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大げさな台詞も、スポットを浴びる役者のエクスタシーもない。劇団「青年団」の舞台は日常の言葉が静かに交錯し物語が進行する。いま、このスタイルが新劇や小劇場のイメージを変え、若手劇団に影響をあたえている。演劇はテーマではなく、作家・演出家の世界観で勝負する。演劇に自覚的であればあるほど、過剰な台詞や感情移入はいらない。平田オリザが求めるものは徹底した演劇の『リアル』だ。表現の形こそ違え、『リアル』こそが国や世代や言葉をやすやすと超えていく。「私とあなたとはこんなに違うけど、一つの共同体がつくれますか」。演劇をつくることは、自己と他者を峻別するこの問いから始まると著者はいう。日本のこれからの社会は、壊れかけたシステムを価値観のバラバラな人間たちでつくり直さなければ滅びてしまう、そこで有効なのも『リアル』なのだ。
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Posted by ブクログ
劇作家の平田オリザさんの本。
自分の世界観を表現したいというところがよかった。
自分が世界を人間をどう見ているかを作品にしてそれぞれの立場でながめてもらいたいと。
穿ったところがなくて、とても魅力的な考えだった。
自分がどう見ているかというものを素直に表現できて、それを見てもらえれば。それを束縛するのは他者の視線だったり、立場だったりするわけだけど、日本ではそのしがらみが特につよい。とりわけ自分がどう思われてるかという点に苦心してしまうが素直な感性を阻害する。
価値観がバラバラになってしまった現代。一人一人が世界観をもっていて、それでいてそこだけにとどまらず多くの世界観を認めあっていく時代なんだろう。
Posted by ブクログ
2006年9月19日読
備忘録:タイトルが尖がっていたので気になって読んでみたが、内容は編集者と平田さんの対談をまとめた内容。浅く広く、平田オリザに関するテーマを語っていく本だった。新劇と絡めた演劇におけるリアリズムの問題、戯曲、演出、ことば、劇団運営、劇場運営、アートマネジメント、ワークショップ、異文化の人たちとの演劇の共作、などなど、色々なことについて対談していた。
中でも特に興味深かったのは新劇のリアリズムが「西洋」と「近代」をねじれたまま発展させてしまったという話だ。
翻訳劇における口語文体が後に戯曲の作風にまで影響し、日本においては真の近代劇が根付いていかなかった。近代劇が目指していたヨーロッパ的リアリズムは失敗に終わったまま、反近代演劇を目指す唐十郎や寺山修司などの60年70年代のアンダーグランド演劇が起こり、80年代にはヒューマニズムを全開にした野田秀樹や鴻上尚司が人気を得ていく。そして閉塞した90年代に呼応して真の意味でのリアリズムを目指した平田オリザの青年団がいわゆる「静かな演劇」と呼ばれる現代口語演劇というジャンルを確立していく、という流れだろうか。本を読む限りはリアリズムを巡る演劇の系譜はそう理解できる。
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