平田オリザのレビュー一覧
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ネタバレ高校演劇についての話。
正直なところ、これまで演劇部に明るいイメージがなかったのですが、随分印象が変わりました。私が普段目にするドラマ・映画・舞台につながる道の一つであるわけですよね。高校生のアツい部活の一つなわけです。
セリフ一つ、動きやタイミング一つにとてもこだわっているんだなぁと、(正に)舞台裏を知ることができました。
話自体はかなりサラサラ流れていきます。ラストシーンをどう変えたのかな?と興味深く読み進めました。
あのラストは、誰にでも(=観客)当てはまる普遍的なセリフであり、自分と友人との話であり、もうすぐ離れ離れになる三年生四人の話であり、吉岡先生と演劇部の話であり、そして、自分 -
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Posted by ブクログ
(01)
青春に涙する.高校生に戻り演劇部員としてやり直したくなる小説である.
高校演劇の機微(*02)が描かれるとともに,現代における演技や演出の問題にも触れられており,演劇入門としても読める.
また,演劇についての小説ではあるが,セリフの掛け合いは分量としてそれほど多くを占めることもなく,主人公のひとり語りが地の文をなしており,そのモノローグの爽やかさも本書の魅力のひとつであろう.
(02)
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」に彼女ら彼らのそのときの思いが重ねられる.暗い客席の中の光として浮かぶ舞台が想像され,星たちの空間と時間が高校生に委ねられた情景が涙を誘う. -
Posted by ブクログ
ネタバレ映画は見ておらず、著者の関わった作品も拝見していないため、この小説が初めてです。
演劇をしたことがある人なら共感する部分が非常に多いのではないかと思います。弱小演劇部で、顧問が演劇経験があるわけでもない中で、どこまで本気で芝居を続けて何を目標にして行けばいいのか、部員がバラバラであるというのはとてもよくありがちでしょう。かと言って仲が悪いわけではなく、部員の仲は良いというのはこの演劇部はとても良いところだとは思いますが、そのぶん雰囲気を悪くしないために本気になれないというのも切ないところです。
主人公目線で語られてはいますが、割と淡々と語られていくので、物語も淡々と進んでいきます。 主人公の人 -
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戯曲を書くにあたって、テーマを先に考えてはならない。これは従来の戯曲方法からすると、おかしなことらしい。だが、私から見ると、従来の方法のほうがはるかにおかしなことのように思えてならない。だって、あなたは絵を描くときに、テーマを考えてから風景を探しはしないだろう。ある風景に出会い、その風景を描写したいという表現の欲求が、あたに絵を描かせるのではないだろうか。もちろん、テーマが先にあり、そこから描く作家もいるだろうが、それはおそらく少数派なのではあるまいか。
私たちは、テーマがあって書き始めるわけではない。むしろ、テーマを見つけるために書き始めるのだ。それは、私たちの人生が、あらかじめ定めら -
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表現者とそれを観る者との間に生まれる対話、つまり「コンテクストの摺り合わせ」がどのように行われ、演劇としての「リアル」がどのように産出されるのか、といったことを劇作家、演出家である著者が解説している。
「下手な演劇」を下手と感じる理由の一つに、「説明的な台詞」があるが、例えばこれは「清水が大山のことを好きだからといって、『好きだ』だの『惚れた』だのという台詞を描いてはいけない」(p.103)というのがあって、なるほどと思った。「いかに清水の心情を、場の雰囲気に溶け込ませて表現するかが、台詞を書く技術だといえるだろう。」(同)というのが、分かりやすい。また、そのような台詞が発生する条件の1つ -
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学校でも、会社でも、学生の就職活動でも、どこへ行っても「コミュニケーション力」が問われる時代、そもそもコミュニケーション力とは一体どういうものか。
単に、他人と簡単に打ち解けられるとか、人前で上手にプレゼンをして人の心を掴めるとか、むろん空気を読むのが上手いとかそういうことではなく、意思の疎通が上手くいかない場面で「どうにかする力」であり、それを身につける(あるいは、そもそも持っている力を引き出す)ための訓練として演劇ワークショップが使えるよ、というのが本書の趣旨。
『インプット、感じ方は人それぞれでいい。バラバラなほうがいい。でも、それだけでは社会生活が営めない。何らかの形で集団で共有で