酒井啓子の作品一覧
「酒井啓子」の「9.11後の現代史」「原油急落と中東情勢」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
先日youtubeで中東研究者有志の会が「ガザ戦争の即時停戦」を求めるLIVE配信を行った。そこで栗田禎子、酒井啓子女史を知りこの本を手に取った。本書はシャルリエブド事件の際に組まれた特集号である。シャルリエブド事件は、少し前の話だが、ガザで戦争が行われていることとひとつなぎであり、内容はまったく古くならない。
本書で繰り返し述べられることのひとつに「テロ」とは何か、すなわちテロとカテゴライズすることが多くの問題を覆い隠しているということが挙げられる。
例えば、シャルリエブド事件は、イスラーム教徒が表現の自由に対する侵害を行ったと挿げ替えられた。「表現の自由=文明、神への信仰=未開といった図式で片付けられるといった単純な思考というか、むしろ「無思考」である」。また「『自由』を振り回すのは、新自由主義者でもそうですけど、たいていはすでに自由に振る舞っている人間であり、人権や財産をすでに保証されている連中ですね。」という。すなわち、身の安全や財産が保障されていない人間を、宗教的な(西洋近代に対して未開なもの)ものとしてテロリスト認定し排除する。テロリスト認定してしまえば何をしても大義になるのだ。これは単純な思考というよりは無思考であるという批判である。
このように、叩いてもいい対象としてカテゴライズして排除する行為は何よりも残酷なものではないだろうか。一連の中東を中心にした問題を宗教的なものとして片付けている人は多いように思われる。そうではなく、私たちも日常で目にするあるいは経験する、不当なカテゴライズによる残虐行為の正当化が行われているのだ。これは殺人者の擁護といった矮小な問題ではない、論理である。
このように本書は、まったく古くなることはないであろう内容を持つ。
Posted by ブクログ
【「犠牲者として貶められ続けた」という記憶――。その積み重ねが中東各地で,テロであれ紛争であれ,さまざまな暴力事件を起こす要因になる】(文中より引用)
ISの台頭や「アラブの春」,そしてイラク戦争から中東和平問題に至るまで,2000年代に入ってからの中東情勢の動きをテーマ別にまとめた作品。引っ切りなしの変化に見舞われた様子を概観しながら,その諸問題の淵源に迫っていきます。著者は、在イラク日本大使館に出向経験を持つ酒井啓子。
わずか20年弱の間にこうも怒濤のように出来事が相次いだのかと改めて痛感すると同時に,その怒濤の変化をここまでわかりやすくまとめることができるのかと驚かされた一冊でした。断片的に中東の報道については目にするものの,それを一連の流れとして捉え直したいと考えている方にはオススメできる作品です。
中東についてバランスの取れた記述をするというのは本当に難しい☆5つ