【感想・ネタバレ】〈中東〉の考え方のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年03月12日

発行から十年以上経つが、現在にも通ずる中東の成り立ちをわかりやすく解説した良書。

19世紀以降の石油産油国と欧米諸国の利権、サウジアラビアの登場と非産油国のアラブ民族主義化
イスラエル建国によって、アラブ人が非アラブ人、イスラムかユダヤ教の二軸対立構造でアインデンティティを突きつけられるどちらにも...続きを読む属する人々
中東での冷戦問題 アフガニスタンでのソ連駐留に代表される東西冷戦に利用されるたアラブの若者たちと9.1 1に代表されるアラブの反撃
二軸対立の中で強かに大国を利用してきたアラブ国家

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Posted by ブクログ 2023年12月08日

中東と呼ばれる地域の歴史、宗教、民族を概観。
とかく複雑、狂信的、怖い、などと誤解されがちな地域。様々な角度で丁寧に解いていけばこんなにも分かる。とても面白かった。著者の他の本も読みたい。

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Posted by ブクログ 2020年05月22日

中東に関する各種論点について、基礎的な知識を提供してくれる入門教科書。
・西洋諸国の干渉と近代から現代までの経過
・石油に絡む問題
・冷戦の影響
・イスラム主義の位置づけ
についてそれぞれ解説している。

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Posted by ブクログ 2018年12月31日

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Posted by ブクログ 2017年12月22日

著者の酒井啓子(1959年~)は、中東政治、イラク政治を専門とする国際政治学者で、2012~14年には日本国際政治学会理事長を務めている。本書では、「中東」という地域の抱えている問題と、その問題の原因・背景となった近現代の国際政治について、網羅的に解説している。
本書で著者は、
◆18世紀以降の大英...続きを読む帝国の植民地政策の影響で、ペルシア湾岸・アラビア半島において、小さな砂漠の部族が、産油国として大きな富と国際経済上の重要な役回りを得ることになったこと
◆東西冷戦時代に米国が中東で行った場当たり的な諸政策が、アルカイダの発生や、イランの激しい反米政策などの、現在の中東の混乱の遠因の一つであり、9.11同時多発テロやイラク戦争をもたらすことになったこと
◆中東諸国では、欧米の概念である「民族主義」が諸問題を解決できなかったために「イスラム主義」が台頭してきたこと
や、中東問題の根源とも言えるパレスチナ問題を取り上げている。
本書の刊行された2010年5月以降にも、中東では、アラブの春、ISの発生、シリア内戦、大量の難民の流出などが続き、昨今の在イスラエル米国大使館のエルサレム移転表明に端を発する暴動など、本書で述べられた問題は解決されることなく、その延長線上にあることを、強く感じざるを得ない。
中東諸国とイスラエルの対立、根付かない「民族主義」、欧米諸国・文化への反発と一部のイスラムの原理主義化、いくつもの絡み合った問題を、中東諸国と世界はいつか解決できるのか。。。
中東問題の基本的な背景や構図を知る上で、有用な一冊である。
(2010年11月了)

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Posted by ブクログ 2015年02月23日

日本から遠い「中東」。
しかし、ニュースで多く見聞きする。
内容は、わかりやすい。

「中東」と一括りにしてしまいがちだけれど、さまざまな考えがあり、それぞれ問題抱えている。
当然といえば、当然だが。

巻末に各章ごとの内容の理解を深めたい人のための本を紹介されていたのもよかった。

個人的に印象に...続きを読む残った部分。
アメリカとイランの蜜月関係があった時期と、そのイラン国内での欧米化の反動で、反米感情が育った経緯。
中東各国での独裁政権崩壊により、インターネットが普及し、グローバル化が進む中で、イスラームに生きる人々が、イスラームのアイデンティティを模索しているということ。

「パレスチナ問題とは何か」
「イランとイスラーム主義」
「メディアとアイデンティティ」

本書が刊行されたのは2010年5月。「アラブの春」が起こる少し前。
この後、中東情勢が大きく変わり、2014年から問題となっている「IS」が勃興する。

「メディアとアイデンティティ」の章を読んでいて、現在のIS情勢との関係を考えざるを得なかった。

現在起こっている「IS問題」につながっていく、ほんの少し前の中東情勢を知る手がかりともなる一冊だと思った。

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Posted by ブクログ 2014年09月16日

中東の歴史から現在の情勢までを丁寧に解説してくれています。中東というとイスラム教による衝突というイメージが強かったですが、それだけではないということを教えてくれます。
ページ数は多いというわけではないのに、知識としては多くのものを勉強できる本です。

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Posted by ブクログ 2013年09月10日

中東の国を訪れることを決めたものの、これまで中東諸国あるいはこの地域に関して、特別思い入れを持っていたわけではない。
他の一般的な日本人と同じように、私にとって中東は地理的な意味だけでなく、情報量の少なさ、イメージの偏りの意味でも、「遠い」地域であった。

日本のメディアから得られる情報で私が持...続きを読むっている中東のイメージ、ものすごく偏ったイメージを元にこの地域を旅するのがいやだったので、中東にやってくる前に購入したこの地域に関する本3冊のうち1冊が、この本だった。

プロローグにこんなことが書いてある。

『中東の紛争は、「神様」のせいで起きているかのようにみなされがちだ。だがそうした見方は、簡単に思考停止につながる。紛争が「神様」によって起こされるならば、「神様」の違う私たちには、その原因も解決方法もわからなくて当たり前。だから、中東でも戦争は人間の努力によっては解決できないのだーと、最初から努力を放棄してしまうことにならないだろうか?』

『文化が違うからと言う以前にまず、戦争と占領に振り回された人々の立場に目をつむっては、わかるものもわからない。』

『中東が「わかりにくい」と思われてしまう原因は、中東で生きる人々を主人公にして考えないことにある。』


このプロローグを読み、著者の強い思いを感じて、期待を持って読み進めたが、内容はもちろん、私の期待を裏切らないものだった。
大国からみた中東ではなく、中東から見る政治や紛争の原因は、ものすごくリアリティがある。

何よりも、著者がプロローグに書いているように、この本は、今まで中東にたいして偏ったイメージを持っていた人や、中東に関する知識をあまり持たない人に対して書かれているから、私のようなまさに中東初心者には、非常にピッタリ来る。
平易な文で、わかりやすい表現で、専門用語やマニアックなものは極力避け、面白く読んでもらいたいという著者の配慮が全体から感じられる。

中東のことに興味があるが、良くわからない人はもちろんのこと、
戦争に興味がある人や、イスラム教という宗教に興味がある人にとっても、また違う側面からの知識を与えてくれる本だと思う。


この本を読む際には、ぜひ中東地域の地図を傍らに置いて、それぞれの国と国との位置関係を把握しながら読むことをお勧めします。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年04月25日

「レンティア国家」:産油国政府が、国民から税金を取るのではなく、石油収入を国民にばら撒いて国民の支持を確保する国家。

【イランのインターネット普及率は48%】p215
2000年から2009年の間に、イスラエルを除く中東・北アフリカ諸国のインターネットユーザーは、なんと32倍にも増加しており、世界...続きを読むの平均増加率の8倍、最も伸び率の高い地域となっている。その結果、中東・北アフリカ地域のネットユーザーは全人口の24.4%で、世界平均の26.6%にやや及ばないものの、アジア、アフリカ地域に比べたらはるかに高い。Cf. Internet World Stats
ネットカフェの存在。
ネット普及率が5割を超えているのは、アラブ首長国連邦やカタールなど、裕福な湾岸産油国だが、面白いのは、過去9年間でどの国でネット普及率が急速に伸びているかだ。2009年現在イランは普及率48%だが、ユーザー数は実に9年前の129倍である。シリアでは119倍、モロッコが104倍、次いでアルジェリアが82倍。サウジアラビアやエジプトもかなり高い。
どうも政府による統制が厳しい国々ほど、インターネットが爆発的に普及しているようだ。p216

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Posted by ブクログ 2013年07月27日

分かったつもりでイマイチ分からん「中東」情勢。ニュースなんかで耳にする「中東」は、やれアメリカがどっかを空爆したとか、イスラム過激派がどっかを爆破したとか、ドバイの繁栄は息切れしつつあるとか、そういったどちらかというとネガティブな話ばかり。

そういったこともあって「理解する」ことさえ放棄しがちな「...続きを読む中東」が、何故こんなにイメージしにくいのか、そして目を背けることでどれだけ「中東」について誤解しているのか、といったことについて、非常に簡潔かつクリアに解説してくれている本。比較的新しい本でもあるので(さすがにエジプトに端を発した「アラブの春」までは網羅されてませんが)、「今と昔」を繋ぐ目的で読んでも面白い本です。

さらっと表面だけ中東について学ぶと、「イギリスとアメリカが余計なちょっかいと利己的な政策を取ったからじゃねぇか」という印象を持つまでで終わってしまい、「中東を荒らした責任はイギリスとアメリカが取れよ」ということになりがちですが、実はそれがすべてという訳でもなく、時の中東の権力者や一部の民族にとっても欧米の権力を借りることで莫大なメリットがあった、ということが分かります。
また、外圧が強ければ強いほどイスラーム勢力が力を誇示するようになる(あるいは選挙で票を得るようになる)という、傍から見てるとなぜそうなるのか分からないロジックについても、ここでの解説を読めばスンナリと納得です。これを凡人並みに理解できれば、きっとブッシュみたいな戦争バカが暴走することもなかったんでしょう。

イスラームがうまく機能すれば、欧米とは全く違った形で「民主的な」選挙や政権交代が起こりうるという実例も、ここでは紹介されています。イスラームへのバイアスは、その点ではかなり解消されるのではないかと思います。
それを考えると、結局のところ、「欧米人が信じる、自分たちのシステムのみが正しい民主主義」ではなく、「それぞれに違っていて当たり前の民主主義」を、「民主主義国」であるアメリカやヨーロッパ諸国、さらには他の欧米から民主主義を何も考えずに直輸入した国々が認められるようになることが、一番肝要なのではないかと思います。

さて、そこまでは新書レベルでも明らかにされている今。世界のリーダーたちは、利己主義と保身に走らずにお互いを認め合う世界を作れるのでしょうか?
それができれば、世界のどこかで寒さに震え、砲弾に怯え、民族や信仰による差別に泣く人を、間違いなく今よりは減らすことができるんだと思います。

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Posted by ブクログ 2013年03月16日

個人的には最後の章にあった最近の文化の話がおもしろかった。
とかくイスラムやテロとして報道されがちないわゆる中東諸国について、改めて学ぶにはいい本だった。

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Posted by ブクログ 2013年01月14日

アメリカの片腕であったはずのイランが何故アメリカと敵対することになったのか?等、日本人には一般的に知られていない中東のカラクリを分かりやすく解説してくれます。お勧めです。

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Posted by ブクログ 2012年10月21日

中東の国際政治を理解するための入門書で、そうゆうのを数冊読んだ上でこの本が良かったなってのは英が強かった頃の英とアラブの話だとか、米ソ冷戦とアラブの話だとか、大国の思惑の中アラブ諸国がどう動いたのかってのがわかったこと。その続きとしての現代の中東があるんだなと繋がりが見えてきた。あとは現代アラブ諸国...続きを読むでのメディアやアイデンティティの話も面白かった。

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Posted by ブクログ 2012年01月28日

中東に関しての知識がちょっと固まった。何で今のような構図になったかがよくわかる本でした。ラストに載っていたもっと掘り下げたい人用のおすすめ文献もまた読んでみたい。

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Posted by ブクログ 2011年09月21日

【目次】
プロローグ
なぜ中東情勢はわかりいにくいのか?
なぜ「中東」とくくるのか?
中東は欧米が導入した言葉
「神様」や文化の違い?
世界のど真ん中で
本書の目的と構成

関連地図

第1章石油の海に浮かぶ国々
オイル・マネーが生んだ摩天楼
最初の中東体験
世界の動乱の鏡

1.大英帝国の遺産「湾...続きを読む岸首長国」
「中東」はいつできたか
大英帝国、部族長と手を結ぶ
砲艦外交

2.サウディアラビアの登場
イスラームの盟主
宗教家と部族の雄のタッグ
半島のヒーローと英外交官たち
アメリカとの蜜月
アラブ民族主義の政権が続々と
イギリスの退場と左派の台頭
石油がサウディアラビアを救った
石油が国を強くする

3.石油の国々
外国人で成立する湾岸産油国
なぜ格差が政治の不安定につながらないのか?
軍事力を持たない国の生きる道
クウェートのパレスチナ人
小説「太陽の男たち」のラストシーン
「石油の国々」の現在

第2章パレスチナ問題とは何か
故郷の味
アラブ民族意識とは何か
パレスチナは共通の問題

1.中東の人々のアイデンティティーを考える
そもそもアラブ人とは?
「アラブ民族はひとつ」という思想
「人工的な国分け」への反発とアラブ民族主義
イスラエルの建国
シオニズム思想
イスラーム地域出身のユダヤ教徒「ミズラヒーム」
イスラエルに暮らすアラブ人「イスラエル・アラブ人」
国民とは何か
移住と衝突

2.パレスチナ問題をふりかえる
「ゲリラ」から「テロ」へ
イスラエルの外交戦略「一刻ずつの和平協定」
アラファートPLO議長の登場
占領地のパレスチナ人たち
アメリカはなぜパレスチナ問題に関わったか?
オスロ合意
細切れになっていく自治組織
分離壁で切り離されて

3.アメリカはパレスチナ問題にどのように関わってきたか
アメリカの政権とイスラエルのロジック
脅威は外からひっくりかえす
アメリカの対中東政策
『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』
オバマの中東政策

第3章冷戦という時代があった

1.アメリカとソ連の時代
世界が「東」と「西」に分かれていた時代
二大ボスが世界を回す
なぜ今冷戦時代について考えるのか?
超大国を操作する技術
「二大ボス間の戦い」の時代から「仮想的との戦い」の時代へ

2.北辺防衛のための国々―トルコ、イラン
ソ連の南下をどこで防ぐか
トルコはアジアかヨーロッパか?
冷戦時代のイラン
湾岸の憲兵
ソ連の戦略「民族主義政権を取り込め」
アメリカの関心を引くための「ソ連カード」

3.アフガニスタン侵攻
なぜソ連はアフガニスタンに軍事介入したのか?
サウディアラビアとパキスタンをパートナーに
オサーマ・ビン・ラーディンの軌跡
「アフリカの角」ソマリア

4.メリカの一極集中時代へ
アメリカはなぜ直接の軍事関与を避けてきたのか?
「地平線のかなた」作戦
湾岸戦争が「超大国操作術」の転機に
イラク戦争
冷戦時代は中東をどう変えたのか

第4章イランとイスラーム主義―イスラームを掲げる人々
イランの反政府運動
イスラーム主義とは

1.イランで実現した「イスラーム共和制」
「よくわからない国」というイメージ
ホメイニーはどんな指導者だったのか?
イラン革命とアメリカ
なぜアメリカは「大悪魔」と呼ばれるようになったのか?

2.「革命」政権の変質
ホメイニー亡き後
ハータミーの微笑み外交
アフマディネジャードとはどんな人物か?
「救世主(マフディー)」と交信できる大統領

3.「民主化が進むとイスラーム主義が強まる」のはなぜか?
イスラーム主義はなぜ台頭しているのか
ヒズブッラーとハマース
民衆が支持するのはなぜか?
ムスリム同胞団

終章メディアとアイデンティティー
パレスチナのラッパー
庶民の声はどこにいった
アラビア語衛星放送「アルジャジーラ」の影響力
イランのインターネット普及率は四八パーセント
ネット空間
ヴァーチャルなイスラームの連帯
ネットでのイメージと民衆感情にはギャップも
イスラーム銀行とスカーフ
なぜスカーフをかぶるのか

読書リスト

おわりに

関連年表

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Posted by ブクログ 2011年09月20日

この本は、中東情勢を知りたい方の入門としておすすめです。
著者はイランの研究者。わかりやすく丁寧な解説なので、すぐに読めます!

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Posted by ブクログ 2011年06月05日

「最近中東は何だか大変なことになっているけど、そもそもあの辺はもともと治安悪いし訳分かんないんだよなぁ」という思いを持っている人は日本人には割と多い気がするけど、そういった人は是非読むべき本だと思う。中東という地域について表面的なニュースしか流れていないため、自分がいかにこの地域のことについて無知だ...続きを読むったか、またはかなり偏った中東観を持っていたことがよく分かった。ただし、タイトルにある通り、"中東"の考え方が纏めた本なので、この本だけ読むと例えばアメリカはなんてひどい国なんだろうという強い憤りを感じてしまうこと請け合いなので、その点は注意が必要。

中東という地域に分類されるそれぞれの国々について、その歴史的な背景はもちろん、各国の立場に立った主張が9.11など昨今の事象に絡めて説明されている点が読んでいて分かりやすくて、かなりためになった。
ただし、チュニジアやエジプトに代表される昨今の革命についてまでは時期的に書かれていないので、続編に期待したい。

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Posted by ブクログ 2021年04月23日

2010年発行の中東解説書。現時点では少し状況が変わっているかもしれないが、それまでの歴史的経緯を知るには十分な情報量がある。全体像をつかむには良いと思う。是非アップデートした内容での続編を希望する。

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Posted by ブクログ 2019年03月10日

イラク戦争のときの的確な解説がとても印象的だった著者による「中東」全体に関する概説書。

「中東」といっても、そもそもそれはヨーロッパが作った概念で、具体的にどこからどこまでが「中東」なのかもわからないし、国や地域によってとても多様性がある。著者の専門は、イラクということで、その領域を超えることへの...続きを読むおそれも感じつつも、こういう概説がないことを踏まえて、書いてみたとのこと。

著者の「9.11後の現代史」を最近読んで、今、中東で起きていることの意味がなんか浮かび上がった感覚があったので、より長い期間をカバーしているこちらも読んでみた。

中東というと、イスラム教と他の宗教の対立、イスラム教の中でも宗派間の対立と、なんか宗教の問題が根にありそうな印象があるか、それは原因というより、より深いレベルでの構造が対立としてでてくるときの現れ方、みたいなものと考えた方がいい。

中東の問題って、結局、ヨーロッパの植民地支配やユダヤ人の迫害とか、冷戦期の米ソ対立とかが根っこ。そういう欧米を中心とする世界政治の矛盾がこの地区にしわ寄せがいっている、ということなのかな?

イスラム主義も、テロリズムだけではなくて、いろいろな立場がある。そして、それは決して過去に帰ろうという懐古的なものではなく、現代においてイスラムをどのように実践していくという課題であるとのこと。

それは、アラブ民族主義的な運動が失望に終わったあとのアイデンティティをイスラムに求める運動なんですね。

この本は2010年の出版で、「アラブの春」の解説がないのが残念だが、それは「9.11後の現代史」で取り扱ってあるので、そっちを読むといい。

そして、「アラブの春」以前の段階での中東におけるインターネットやメディアの普及状況、若者の文化などについてもこの本では、しっかり言及してあり、「アラブの春」への展開もごく自然なものとして理解ができた。

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Posted by ブクログ 2015年03月19日

イラク研究の一人者である酒井啓子先生の中東現代史概略の入門書。分かりやすく且つ深みがある。研究者として一流であるだけでなく、大学で教鞭を取られている経験がフルに活かされている。必読。

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Posted by ブクログ 2013年07月26日

中東と聞いて私が真っ先にイメージするのは、やはり絶えることのない紛争、テロであった。イスラエル、パレスチナの対立の原因となったフサイン・マクマホン協定、バルフォア宣言、サイクス・ピコ協定ぐらいは知っていたが、それ以外はほとんど無知であった。なぜここまで争いが絶えないのか、なぜイスラム教徒たちはテロを...続きを読む繰り返すのか。
本書は、「イスラム教」という切り口ではなく、「中東」という地域性に焦点が絞られている。私は前者に興味があったので、その点に関しては少々物足りなかったが、それでも学ぶべきことは非常に多かった。

特に冷戦時代の米ソとの関係性は、複雑に入り組んでいたように感じた。左傾化する中東諸国をけん制すべくイラン、イスラエルと手を組んだアメリカ。アフガニスタンに侵攻したソ連。革命が勃発してアメリカを目の敵にしたイラン。終戦から70年弱の間にその関係性はめまぐるしく移り変わり、世界で最も変化の激しい地域と言ってもよいのかもしれない。

冷戦終了後も、かつて米のもとで反共戦士として闘ったものたちの反逆が激化し、米ソ対立が米とイスラムの対立へと変化し、混迷を極めていく。9.11テロ後、アメリカはイスラムというアイデンティティを敵視し、イスラムの国家自体をつぶしにかかる。9.11テロだけを考えれば、イスラムへの制裁も正当なように思えるが、それまでに積み重ねられた歴史を考えると、イラク戦争の正当性にも疑問を持たざるを得ない。過激なイメージの強いハマスも、パレスチナでは慈善活動を積極的に行っているという。

日本で目にするニュースだけしか目にしていないと、このような考え方を持つには至らなかったであろう。そのような点において、本書は有用な視点を提供してくれたと感じている。

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Posted by ブクログ 2012年03月10日

「中東」は、奥が深い。新書1冊くらいで分かった気になってはいけない、ということが良く分かる、分かりやすい入門書です。

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Posted by ブクログ 2011年12月17日

中東については無知に近かったので大枠の知識が理解でき有効であった。
・イスラエルはユダヤ民族主義を元に建国された。出身は皆異なる。
US、軍事費の1割をイスラエルに使用する。イスラエルロビーの影響。
特に民主党はminorityを尊重する。
・ビンラディンはUSの子分だった。
 ソ連がアフガン占領時...続きを読むに、対ソ連で地元アフガンと闘った。

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Posted by ブクログ 2011年08月21日

日々ニュースで取りざたされる中東問題の、「わけのわからなさ」。その背景には何があるのか、いままで断片的にしか知らなかった。そんなときに手に取ったのが、この本。本書を読むことで、日々ニュースで接するアラブ諸国への理解が進んだように思う。予備知識がなくても、とてもわかりやすいし、かなり勉強になった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2011年10月22日

中東についての基本的な知識が得られた。
わかりやすい!
基礎知識がほとんどないままよんだのでもう一度読むことになるだろう。

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Posted by ブクログ 2010年11月25日

中東がいかに国際政治の中心であったかが書かれている。

中東の歴史をあまり知らない状態で読んだので中々難しい内容であったが非常におもしろかった。

中東の入門書としてはあまりオススメできない。

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Posted by ブクログ 2021年09月18日

中東に関して幅広くかいてあるが、多くの国にまたがっているため、時々どの国の話をしているのか混乱してくる。中東ではさまざまな要因により、今が成り立っていることがわかった。

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Posted by ブクログ 2014年07月26日

複雑過ぎてとても新書一冊では「分かった」気にならない。
中東と言ってもその定義は民族でもなく、地理でもなく、宗教でもない。ただ何と無くある種の連帯感みたいなものはあって、それはおそらく大国の世界規模の戦略の中で利用され(時には自ら)、結果として様々な矛盾を孕んできたという歴史が一役かっているのだろう...続きを読むと思う。

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Posted by ブクログ 2013年08月20日

中東のわかりにくさは、欧米の文脈に乗り切っていないことにある。日本人が欧米の文脈をちゃんと分かっているかは疑問だが…。

以下、引用。
近代国民国家の思想においては、「国民」アイデンティティーがすべてに優先する。それ以外のアイデンティティーは、背後に追いやられる。そのことは、かつて共存していた人々を...続きを読む、異なる民として切りすてることでもあるのだ。
引用ここまで。

国家も民族も、あるべき論というのはは幻で、ただ現在・現状と各々で異なる願望だけがある気がする。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年05月28日

石油と冷戦。この二つが中東を歴史の荒波に翻弄される小舟足らしめる大きな要因だったのだろうか。それにしても今の混沌を招いたアメリカの所作には大きな責任があると思う。
冷戦も全体のバランスを考えれば意味のあったあり方なのかもしれない。今は西洋文化・キリスト教的思想が多勢を占めているが、今後はイスラムであ...続きを読むったりアジアといった力が肥大することで偏ったものの見方が正されればと思う。

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