海外小説 - グーテンベルク21の検索結果
検索のヒント
検索のヒント
■キーワードの変更・再検索
記号を含むキーワードや略称は適切に検索できない場合があります。 略称は正式名称の一部など、異なるキーワードで再検索してみてください。
■ひらがな検索がおすすめ!
ひらがなで入力するとより検索結果に表示されやすくなります。
おすすめ例
まどうし
つまずきやすい例
魔導士
「魔導師」や「魔道士」など、異なる漢字で検索すると結果に表示されない場合があります。
■並び順の変更
人気順や新着順で並び替えると、お探しの作品がより前に表示される場合があります。
■絞り込み検索もおすすめ!
発売状況の「新刊(1ヶ月以内)」にチェックを入れて検索してみてください。
-
北回帰線
パリは売笑婦に似ている。遠くから見ると、男の魂をとろかすようであり、彼女を両腕に抱きしめるまで待ちきれぬほどだ。しかも、五分後には空虚感を味わい、自己嫌悪をおぼえる。だまされた思いだ。ぼくはポケットに金を持ってパリへ戻った――ぼくが汽車へ乗りこもうとしたとき、コリンズがポケットへ押しこんでくれたのである。これだけあれば、部屋代を払い、すくなくとも一週間は、うまい食事をまかなうのに十分だ。これだけの大金は、ここ何年かのあいだ一どきに握ったことがなかった。ぼくは、まるで新しい生活が眼の前に開けたかのように、昂然たる思いを味わった。…パリでの奔放な放浪生活と、その間の回想と思弁とが脈絡もなく展開される「プロットなき小説」! -
牡猫ムルの人生観
牡猫のムルは魔術師のアブラハムに拾われたが、ご主人が声を出して本を読むのを聞き、文字を目で追ううちにドイツ語を習得した。ムルは才能にめざめ、羽根ペンで自伝を書くようになる。ホフマンの友人がムルの原稿を目にし、ホフマンに渡す。ホフマンは出版社を見つけてやり、見本刷りを見てびっくりした。自伝は各所で別の文書で中断されていた。ムルはインクの吸取り紙として、手元にあった『クライスラー伝』のページを破って使っていたのだ。だが、ホフマンは『クライスラー伝』の価値を認めていたので、目印を入れてそのままの形で出すことにした。なので原書の正式名は『牡猫ムルの猫生観ならびに偶然の反古に含まれた楽長ヨハネス・クライスラーの断片的伝記』となった。こうしてアイロニー豊かなムルの伝記部分と、犯罪推理小説仕立ての「クライスラー伝」が交互に展開する奇妙でおもしろい本書が完成した。 -
王妃の首飾り
落ちぶれ貴族のジャンヌ・ド・ラ・モット伯爵夫人は、ルイ16世の宮廷に出入りするという野望を胸に抱いていたが、ふとしたきっかけから王妃マリー=アントワネットと顔なじみになり、足がかりを得る。王妃のお気に入りの美女アンドレは、恩義を感じる海軍軍人シャルニー伯に恋心を覚えたが、シャルニー伯のお目当ては王妃だった。アンドレの兄フィリップも王妃に気があった。王妃は次々と画策される陰謀にまどわされる。王はあるとき王妃の行動を疑ったことを恥じ、お詫びに高価な首飾りを贈ろうとするが王妃は受け取らず、首飾りは宙に浮く。カリオストロ伯は陰謀を企む謎の人物だ。彼は王妃に関する醜聞を広めようと、王妃と瓜二つの容貌を持つ、オリヴァという無名の女を利用して、有名なサロンに行かせて錯乱を起こさせたり、オペラ座の舞踏会に行かせて、王妃としての品位を傷つけるように仕向けたりした。 -
かみそりの刃
モーム晩年の70歳の作。1944年、米国滞在中に書かれ、第二次大戦中だったため、主人公ラリーの生き方に共感した米国の青年たちに歓迎され、熱狂的に読まれた。物語はモームによって語られる。モームはたまたま立ち寄ったアメリカで旧友エリオットから、姪のイザベルと彼女の婚約者ラリーを紹介される。ラリーは第一次大戦で親友を失い、途方にくれ、道を求めてヨーロッパを放浪する。当然ながら婚約者イザベルはついてゆけず別の男に嫁した。ラリーはさまざまな体験を経て、最後にはインドで自分の人生の目的を悟る。この本筋のなかに、エリオット、シュザンヌ、ソフィらを巡る数々の物語が組み込まれ、全体は周到なエンターテイメントになっている。 -
メジャー・リーグのうぬぼれルーキー
原題はYou Know ME ALで、「アルよ、君はおれのこと、よく知ってるよな」という意味。アルは友達の名だ。この作品は投手としては抜群だが田舎者でウヌボレ屋でケチなジャック・キーフという青年が、アルに書き送る手紙でできている。1910年代の小説だが、実在のチーム、選手、監督を織り交ぜて描いて大好評を博し、ユーモア小説、野球小説の古典的名作となった。作者ラードナーは野球物のあとで中流層の市民たちを描いたユーモアと諷刺のきいた諸作品によっても高く評価された。アメリカン・ユーモア小説はマーク・トウェイン→ラードナー→デイモン・ラニアンと受け継がれていく。 -
トロイア戦争物語
ひとつの金のリンゴをめぐって、ヘラ、アテナ、アプロディテの三女神が自分が欲しいと言い張る。ゼウスは一番美しい者に与えるといい、その審判をトロイアの王子パリスに任せた。パリスはアプロディテを選び、その手助けを得て、スパルタの王妃ヘレネの誘拐に成功する……これが10年にわたるギリシア・トロイア間の戦争の発端だった。アキレウス、アガメムノン、オデュッセウス、パトロクロス、ヘクトルなど数多くの英雄が戦い、倒れるなか、知将オデュッセウスの「木馬の計」でトロイアは陥落する。作者エヴスリンはホメロスの叙事詩『イリアス』の中味を好個の読み物として提供する。 -
オデュッセウス物語
古代ギリシアの詩人ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』は、トロイア戦争後の英雄冒険譚だ。ギリシアの勇将オデュッセウスは一路故郷をめざすが、海神ポセイドンの怒りをこうむったため、簡単にはいかない。オデュッセウスは、10年にもわたって海上を放浪し、行く先々で嵐、難破に遭い、キュクロプス、魔女キルケ、鳥女セイレン、怪物スキュラとカリプディスなどに遭遇し、数々の危難にみまわれる。オデュッセウスはようやく妻ペネロペの待つ故郷イタケに生還するが、なお最後の困難が待ち受けていた。作者エヴスリンは古代ギリシアの一大ページェントともいえる物語を楽しく語ってきかせる。 -
夜はやさし
スイスの診療所に入院していたアメリカの富豪の娘ニコルは、若いアメリカ人の医師ディックを恋し、やがて二人は結婚する。だが、ニコルには暗い過去があり、精神を病んでいた。ディックも夫と付添医師という二重の役目を負わされる。二人の子にも恵まれた平穏の暮らしのなかへ、ハリウッドの新進スター、18歳のローズマリーがあらわれ、ディックはその誘惑に抗しきれなくなる。深酒にふける彼のモラルの崩壊はこのときから始まる。だが、夫の愛情が冷めてゆくにつれて、ニコルは精神の健康をとり戻し、以前から秘かに彼女への思慕をつづけてきたトミー・バーバンへ走る。…「ジャズ時代」の申し子であった作者の野心作であり、すぐれたドキュメンタリーな作品ともいえる。 -
怒りの葡萄
砂嵐の猛威と旱魃、大資本の進出に父祖の土地を追われたオクラホマの小作農ジョード一家は、一片の宣伝ビラの文句に誘われて「緑なす、たわわに果実の実る、職のある」カリフォルニアを目指して長い旅路につく。売れるだけの家財を売り払い、二頭の仔豚を屠って塩漬けとし、中古おんぼろ車を急造トラックに仕立て、一族12人に元説教師をくわえた一行13人は国道66号線をひたすら走る。だが、国道は同じように西へ移住しようとするトラックでいっぱいだった。災厄がつぎつぎと降りかかる。次男トムとおっかあは知恵をしぼり、気力をふりしぼって一家の苦難を支える……カリフォルニアは確かに「緑したたる」場所であった。だが、そこは夢にみた楽園ではなかった。俗語や卑語を駆使し、全体状況をさしはさむテンポのよい構成で、力強くうたいあげた社会小説、家族小説。ピューリッツァー賞を受けた、スタインベックの代表作のこの作品は、20世紀アメリカ文学の金字塔である。 -
ホテル
「ファクション」作家アーサー・ヘイリーの名を一躍高めたベストセラー。ニューオーリンズ最大のホテル、セント・グレゴリーは、深刻な赤字を抱えていた。あらゆる融資を拒否されて苦悩する頑固な老経営者と、彼の片腕となって奔走する精力的な副総支配人。やがて、買収をもくろむチェーン・ホテルの総帥が乗り込んでくる。巨大な組織の内部をえぐり、極限状況の中で展開される群像劇。そこには客と従業員にも多種多様な人間が登場する。客の不始末を種にゆすりをかける警備主任、ホテルを餌食にする専門の盗人、チップをピンはねするボーイ長、黒人医師の宿泊拒否トラブル…次々に展開する多彩なドラマ! -
マーク・トウェイン短編全集
マーク・トウェインというのは水の深さを示す用語で約3.6メートル。これだけあればミシシッピ河を上下する蒸気船は座礁する心配はなく、いわゆる安全水域を表わす用語でもあった。彼はほとんど学歴がなく、文章は庶民的で親しみやすかったこともあり、このペンネームでアメリカの人気作家となった。1935年、ハレー彗星が接近した年にミズーリ州の寒村に生まれ、75年後、ふたたび彗星が現われた年に亡くなった。「トム・ソーヤー」や「ハックルベリ・フィン」でよく知られるが、人間の喜怒哀楽を巧みに描いた多くの短編でも親しまれた。「その短編は長編に劣らず面白いものが多く、訳出している間も、また、ゲラの校正中も、思わずおかしくなって吹き出してしまうことが度々ありました。また、反対に、身につまされてホロリとさせられる場面もあり」…本短編集の訳者の言葉である。 -
トリストラム・シャンディ
「破天荒な小説」という言葉がぴったりの18世紀のイギリス文学の古典。「紳士トリストラム・シャンディの生涯と意見」というのが正式なタイトルで、当然ながら語り手はトリストラム氏なのだが、そもそも話は母親の受胎から始まり、やっと誕生してもすったもんだのすえに名前が決まるまででも、たいへんな時間がかかる。途中で話題は突然わき道に脱線して、それがまた別のわき道へと続き、なかなか元に戻らない。かと思うと、真っ黒なページや真っ白なページ、マーブルペーパーのページ、抜けている章などが出現する。だが、父親のエピソード、伯父トウビーとその昔からの従卒トリムの物語など、脱線しても個々のエピソードは十分におもしろく、語りは絶妙で、終始笑える。夏目漱石はこの作品について「シャンデー程人を馬鹿にしたる小説なく、シャンデー程道化たるはなく、シャンデー程人を泣かしめ人を笑はしめんとするはなし」と書いたが、漱石の「猫」にはその影響があるとも言われる。 -
リトル・ドリット
リトル・ドリットは、大人になっても小柄でか細い。しかも債務者監獄生まれ。ドリット一家は20年以上も壁の中で暮らしているが、彼女は体面だけは捨てない父ウィリアムを世話する日々を送っている。一方、中国での事業を畳んで帰国したアーサー・クレナムは陰気な生家を訪ね、そこにお針子として通うリトル・ドリッドを見かけ、その身の上を知るようになる。だが彼女の父親には疑問がわき、知り合いに、その借金について調べる事を依頼する。ロンドンの社交界には一大勢力がはびこっていた。その中心は官界・政界に巣喰うバーナクル一族、財界の巨頭マードルだ。踊り子として舞台に立っていたドリット家の長女ファニーはマードル家の息子に見初められる。クレナムは、発明家ダニエル・ドイスの共同事業に活路を見い出す。そんななか、リトル・ドリットには、驚くべき知らせがやってきて、一家は監獄から解放される。 -
輪廻の蛇
第二次世界大戦前後の時期のアメリカを、色濃く反映した短編集。主人公たちの生き生きとした行動や、彼らがうごきまわる世の中の的確な描写はハインラインならでは。本書に収めたのは、既刊の『失われた遺産』『魔法株式会社』に続く「未来史」シリーズ以外の短編集だ。1929年、アナポリスの海軍兵学校を卒業後航空母艦勤務をしたハインラインは、体をこわして退役、以後、「生命線」でSF作家としてデビューするまで、UCLAの理数系大学院に学び、さまざまな職種を転々とする。「象を売る男」の元セールスマン、「わが美しき町」の腐敗政治家とたたかう地方新聞の記者、「歪んだ家」の建築家などの描写に、その体験が生かされている。 -
花咲くユダの木
キャサリン・アン・ポーター(1890?~1980)は米国南部の旧家に生まれたが、幼いとき母と死別、祖母に引き取られ修道院の学校で教育を受けた。以後きちんとした学歴はなく、週刊誌記者、教師などを続けながら、アメリカ、ヨーロッパ、メキシコなどを広く旅行し、その間、作品を書き溜めた。1930年短編集「花咲くユダの木」を発表。寡作ながら簡潔な文体と人間心理への鋭い洞察を認められ、第一級の女流作家となった。ピューリッツァー賞など多くの賞を受け、多くの大学から文学博士号を授与された。唯一の長編「愚者の船」(1962)は、スタンリー・クレイマー監督、ヴィヴィアン・リー主演により『愚か者の船』として映画化された。 -
別世界物語
『ナルニア国物語』で名高いC・S・ルイスの神学的SF『別世界物語』3部作の第1巻。原題はOut of the Silent Planetで、「沈黙の惑星」とは地球(サルカンドラ)をさす。地球は科学による進歩思想に毒され悪となった沈黙の世界であり、それに対して神によってすべてのものが祝福されて輝いている火星(マラカンドラ)は愛の世界、理想郷だった。言語学者ランサムは、二人の男に拉致されてマラカンドラに連れ去られる。そこは地球よりはるかに古く美しく「垂直」が支配する別世界で、3種の知的生物がオヤルサという光に似た存在によって統治されていた。次々にひき起こされる不思議な出来事のあと、ランサムは地球への帰還を許される。詩人のイマジネーションあふれる異世界物語。 -
源氏物語
紫式部は平安時代の藤原氏一門の全盛時、京都に生きていた女流作家です。当時の日本は、中国の先進文明と我国の風習とを巧みに調和させた、前後にも類のないような優美繊細な文化を作りあげていました。『源氏物語』の完成に生涯をかけた紫式部はまさに天才で、この物語のなかに、いわば彼女の生きた時代そのものを、全て封じこめてしまおうという野心を抱き、それを実現させてしまったのです。だから、この物語のなかには、数百人の様々な男女が、それぞれの出身階級や家庭やの考え方、感じ方をもって登場します。特に人間生活の永遠の主題というべき愛欲に喜んだり苦しんだりする姿は、私たちにも、ありありと感じられるように見事に描かれています。『源氏物語』は私たち日本人にとって、最大の魂の故郷であり、また己れを写す鏡というべき作品です。しかし、一方で、千年前の貴族の女性の言葉で書かれたこの作品には、言葉の違いという厄介なものがあります。私はまず、この複雑極まりない内容を持つ大ロマンを、近代的な小説として読めるようにしようと思いました。そうして、物語の中心をくっきりと浮き上らせるように試みました。…中村氏はこう述べています。 -
失われた時を求めて
この作品は一般的な形式の小説とは異なり、近代小説のモデルを築いたといわれる。構造はあたかも交響楽のようであり、物語は筋や局面にたよることなく展開する。その一切の構造は、過ぎゆく時、あるいは過ぎゆくように思われる時の、雰囲気と感覚だけでできている。印象派の画家モネの作品を思わせるので、本電子本の表紙には、大半モネの作品を用いた。第1巻は語り手(私)が田舎のコンブレーに滞在していたころの、大叔母や祖母との暮らしの思い出だが、スワン氏が夕食に訪れたある夜の出来事ほど鮮明によみがえるものはなかった。後半では社交界の寵児スワン氏の恋が描かれる。もと高級娼婦オデットをめぐる苦悶の果てに氏は彼女と結ばれて娘ジルベルトをもうけた。「失われた時を求めて」は7編の小説からなり、本電子版ではこれを10巻にして提供する。「スワン家のほうへ」「咲く乙女たちのかげに」「ゲルマントのほう」「ソドムとゴモラ」「囚われの女」「逃げ去る女」「見出された時」がそれだ。井上究一郎氏の手になる流麗な訳でお贈りする。 -
エジプト人
面白い小説である。作者の驚嘆すべき空想力は微に入り細にわたって、古代の文化や風俗を、絵巻物をくりひろげるように展開してくれる。怪奇あり、愛欲あり、冒険あり、ユーモアありといったふうで、読者を堪能させる。作者ワルタリはフィンランドの作家だ。時代は紀元前3300年代の古代エジプト、主人公は王の頭蓋切開師シヌヘで、新王国第18王朝のイクナートン王の失脚と死のあと、追放の身になってからその来し方を振り返る。エジプトでの数々の出来事はもちろんだが、シヌヘはシリア、ミタンニ、バビロン、クレタ、ヒッタイトなど近隣諸国にも足を運び、その豊富な経験を物語る。ワルタリは古代エジプトの歴史と風俗を研究した成果を本作に盛り込んだが、その正確さはエジプト学者の賞賛をも勝ちえた。 -
チャンス
数奇な運命を負わせられた女性フローラ・ド・バラルの物語。裕福な家に生まれるが父親が詐欺師の汚名を着せられて収監されたあとは、他人の好意にすがらざるを得ない境遇におちいる。彼女は南アフリカへ行く輸送船に乗って運命の転換を図ろうとする。この間に彼女の出会う出来事はすべて、コンラッドの他の作品にも登場するマーロウという男、ならびに彼女の関係した多くの人びとによって、多面的にさまざまな角度から語られる。父親が釈放され、同じ船に乗り込んで来たことで別の困難にも直面するが、最後にはハッピーエンドを迎える。投機やフェミニズムなどアクチュアルな社会問題も論じられ、それもこの作品の特徴となった。 -
自動車
作者へイリーは徹底した取材を武器に巨大組織を描いた作品を次々に生み出し、その長編ドキュメンタリー・フィクションは「ファクション」という流行語を生んだ。本書もその一編。アメリカの巨大な自動車会社のダイナミックなメカニズムを、新車「オリオン」の開発をめぐる全活動を通じて、あらゆる角度から詳細に描き、現代企業の全貌を描ききった。幹部の面々、デザイナー、工場長、パーツメイカー、広告代理店、ディーラー、レーサー、映画監督まで登場し、虚々実々の駆引き、野心と欲望に火花を散らす男女をからませ、抜群のストーリー・テリングを駆使した、話題の長編。 -
バーナビー・ラッジ
第一の魅力はプロットの網を巧妙に張りめぐらした物語の面白さである。ことにヘアデイル邸の惨殺事件をめぐる部分は、完全な推理小説。ポーが最初の部分を読んだだけで、トリックを見破ったと豪語したのは有名な話だ。人物造形の面白さはどうかというと、ゴードン卿の描写をはじめ、実在・架空を問わず、ディケンズ独自の細密画のようなペンによって、見事に提示されている。特に絶品なのは女性、しかもいやな女の描写で、ヴァーデン夫人やミッグズなどは、一緒に暮したら生きているのがいやになってしまうだろうが、読んでいると金縛りにかけられたような魅力を感じざるを得ない。本作の主人公はいつの間にか英雄になってしまうバーナビーであろう。最初の主人公である理性の人ゲイブリエルがバーナビーという白痴にその名誉ある地位をあけ渡したのは、作者が作品全体のライト・モティーフを、理性から狂気へと変えて行ったからに違いあるまい。(訳者あとがきより) -
ガルガンチュアとパンタグリュエル物語
ラブレーはフランス・ルネサンスを代表する人文主義者、医師。トゥーレーヌ地方に弁護士の子として生まれ、修道院に起居して勉学に励む。のちパリに出、モンペリエ大学医学部に。その後リヨン市立病院に勤務、医師・古典学者として知られるようになった。畢生の大作「ガルガンチュアとパンタグリュエル物語」はソルボンヌや教会など既成の権威を風刺した内容をふくむ破天荒な作品で、終始発禁本とされたが、巨人王ガルガンチュアの誕生・成長と冒険の数々、さらに戦争とその顛末が、古典の膨大な知識とスカトロジー満開の笑いのなかに展開される奇書中の奇書だ。(全5巻で、第二之書以下は「パンタグリュエル物語」と称されている) -
マーティン・チャズルウィット
恐ろしいほどの利己心がチャズルウィット一家の特徴である。マーティン老は、周囲の人間はみな自分の財産を狙っていると疑う。信頼するのは孤児メアリーだけだ。だが孫のマーティンは、メアリーと密かに婚約し、老人に追い出される。孫も自己中心的で、縁戚にあたる建築家のペックスニフの元に身を寄せる。このペックスニフは徹底した偽善者だった。マーティンを迎えたのも、むろん欲得ずくだ。彼の仕事も、かつての生徒で彼を師と仰ぐトムに任せていた。ある日ペックスニフと2人の娘は、マーティン老から、孫が勝手に婚約したので追い出したと聞きショックを受けるが、老人の希望どおり、青年を体よく追い出す。宿無しとなったマーティンは、アメリカで一旗揚げようと考える。メアリーと最後の逢瀬を楽しんだあと、マーティンはアメリカに向かう。イギリスでは、マーティン老の弟のアンソニーが急死する。アンソニーも利己主義者だったが、その息子ジョーナスも同様で、父親の居場所は棺の中が最適だと考えるような人間だった。葬式の後、ジョーナスは打算からペックスニフの次女マージーと結婚し、濡れ手で粟の詐偽商売に肩入れしはじめる。ペックスニフにはマーティン老の衰えがわかった。彼は遺産を確実に手に入れようと、メアリーに言い寄る……人間の暗部とこっけいさを徹底して描ききったディケンズの代表作のひとつ。長谷部史親氏は「作中における人物造形の巧みさと場面ごとの面白さ、犯罪にかかわる謎の要素が推理小説を思わせる」と述べ、本書を高く評価している。 -
マネー・チェンジャーズ
銀行内部の人間模様を、詳細に、赤裸々に描ききった長編野心作。アメリカ中西部最大の銀行の次期頭取の椅子を争う二人の副頭取は、地域開発計画への出資をめぐって鋭く対立した。利潤の追求か、それとも公共性の重視か。大企業シューナトコーヘの大口融資を図って主導権を握ろうとするロスコー、その危険な経営内容を知ってこれをはばもうとするアレックス。ついにロスコーは賄賂を受けとった……。暗躍する大クレジット・カード偽造団や、取付け騒ぎなども絡んで、事態は緊迫の度を深める。アーサー・ヘイリーは緻密な取材に基づいて様々な業界の内幕を活写した作品群でよく知られる英国生まれの作家。2004年に亡くなった。 -
ナボコフの一ダース
ロシア生まれのアメリカ作家ナボコフ(1899~1977)の作品は、『ロリータ』をはじめ多くの長編が翻訳されている。しかし、ナボコフの小説は読みやすくないから、努力して取りくみながら途中でついて行けなくなる読者もありそうだ。その点、この短編集は、ナボコフには珍しく平明に書いたのもあるし、短いながらもナボコフ的な特徴がよく出ているのもあり、かれの作品へ接近するのに手ごろな踏み石といえる。色彩ゆたかな濃厚な文体、驚くばかり奔放な構成、瀑布のような雄弁、石ころのような寡黙、にじみ出る詩情、痛切なノスタルジヤ、新鮮で強烈なメタファー、容赦ないユーモアなど、どれもナボコフ的世界を美事に展開している…訳者のことば。 -
ナナ
ナナはパリのヴァリエテ座の俗悪なオペレッタでデビューし、怪しい魅力によって男たちの注目を集める。老銀行家ステネール、喜劇役者ホンタンの女となる経験をへてナナは売春婦となることを決意し、寄って来る男たちを次々と破滅におとしいれることに生きがいを見いだす。伊達男ヴァンドーヴル、放蕩者のファロワーズ、さらにユゴン大尉と遍歴を続け、ついにはナポレオン三世の高官ミュファ伯爵との交渉がはじまる。彼女は老伯爵をまるで下男のように鼻であしらい、公衆の面前で恥ずかしい思いをさせることに無上の喜びを感じる。伯爵に建てさせた屋敷に引きこもり、取り囲む男たちを互いに反目させ、彼らの家庭の秘密を片っぱしから暴露する。ナナは伯爵家を破滅させるが、同時にそれは自身の破滅になる。ナナは見すぼらしいホテルの一室で生涯を終わる。ゾラは「居酒屋」についでこの「ナナ」で、腐敗した時代の社会の悪を、大きな壁画のように描こうとした。 -
ローマは光のなかに
かつては映画俳優として華々しく活躍していたジャックは、第二次大戦を経て今はパリで目立たない公務員の仕事を粛々とこなす生活を送っている。ある日、長らく疎遠になっていた映画監督のデラニーに請われて二週間ローマに滞在することになるが、そこでの出会いや目まぐるしいほどの出来事によって、ジャックは若かりし頃の栄光や挫折を振り返り、今後の人生について思いを馳せる。美しいイタリア人女性のヴェロニカ、暴力的だが若く才能のあるブレサック、戦争ジャーナリストのデスピエール、石油王のホルト、それぞれが日常に直面しながらローマの光のなかで織りなしていくカレイドスコープのような物語。表紙挿画─和田誠。 -
魔術師
モームは、アレスター・クロウリーという特異な人物とパリでめぐりあった経験をもとに、オリヴァ・ハドゥーなる悪魔的怪紳士を創作し、それにふさわしい怪奇な筋をもつ一編の怪奇小説、恐怖小説を造りあげた。それが本書である。「常識」と「迷信」との対決という主題を掘り下げたのであるが、こうしたプロットを効果的に運ぶためには、作者は自身の経験にもなく、知識もなかった《魔術》という奇怪なカルトが、現実のヨーロッパ社会に存在していることについて、同じく無知な読者に納得させなくてはならない。すなわちこの小説は、小説としての意匠から必然的に、魔術とは何か? という問いに対する解明と考察とを含む一種の思想小説、文明批評小説として仕立てあげられることになった。 -
犯罪文学傑作選
ほとんどすべての世界的に有名な作家は犯罪文学に貢献してきたのであります。この選集の目的は、「純文学」畑で名をあげた作家たちによって書かれた、ミステリと殺人、犯罪と探偵を扱った、粒よりの物語を読者に提供することにあります。それはディケンズ、マーク・トウェイン、ウィラ・キャザー、R・L・スティーヴンスン、リング・ラードナー、ジョン・スタインベック、ウィリアム・フォークナー、パール・バック、オールダス・ハックスリー、ウォルター・デ・ラ・メア、H・G・ウェルズ、モーパッサンなど、天分のある物語作家や練達の技巧家たちの手になったものばかりであります。そうです、だれか著名な作家を、「当代えりぬきの巨匠」を、だれでもいいから一人あげてごらんなさい。きっと、あなたはミステリ作家を名ざすことになります。そしてそのことを26回も繰り返して証明するために、わたしたちはこの短編の宝庫をあなたにささげるしだいです。これこそまさしく「犯罪の粋(クレーム・ド・クライム)」、読者大衆へのキャヴィアと申すべきでしょう…エラリー・クイーン。 -
日陰者ジュード
貧しいながらも学問への志を持っていたジュードは、ふとしたきっかけから村の娘に誘惑されて結婚する。だが、考え方、志向すべてが合わずに破綻。その後町へ出たジュードは従姉妹のスーに出会い、強烈な引力で引き合い二人は愛し合う。だが、二人は同棲はするものの結婚はせず、そのことで、世間からは日陰者扱いされ、貧困に落ち込む。ジュードは元の妻がこっそり産んでいた子どもを引取り、スーとの間にできた二人の子供をかかえ、貧乏に拍車がかかる。そして、さらなる悲劇が。スーは打ちのめされ、これまでの自分の生き方を反省し、ジュードの元を去ってゆく。人間存在の悲劇性を描いた問題作。 -
トム・ジョウンズ
ある日、大地主オールワージの屋敷で捨て子の赤ん坊が見つかる。赤ん坊はトム・ジョウンズと名づけられ、トムは大地主の養子として、大地主の妹ブリジェットの息子ブライフィルとともに育てられる。トムは隣家の地主の娘ソファイアと相思相愛になるが、ソファイアは両家の親によってブライフィルと婚約させられていた。陰謀家のブライフィルはトムを中傷して家を追い出してしまう。トムはロンドンへ向かい、ソファイアも家を飛び出し後から追いかける。だがトムは行く先々で女性たちに言いよられ、決闘騒ぎに巻き込まれたり、波乱に満ちた暮らしをおくる。最後にトムが本当はブリジェットの息子であったことがわかり、トムはソファイアと結ばれる。小説のおもしろさを満喫させてくれる作品といってよく、モームは『世界の十大小説』の一つに挙げている。 -
夏の黄昏
南部の小さな町に育った十二歳の少女。背丈ばかりのびて、近所の子どもから仲間はずれになっている少女の夏の出来事。この少女の心の孤独感は、仲間はずれになったことのある誰の心にも消えがたく残っている。そして自分がどこかのグループに属したい、誰かに認められたいという願望も。この作品はこの深くて鋭い心情をとらえて、あますところがない。しかしその卓越している点は、空気さえ感ぜしめる描写の力だ。人は空気によって生きるように、この作品の三人――少女と少年と黒人女性――は作中の暑い夏の空気を呼吸して生きている。その空気は狭いキチンにいる三人の息遣いを伝え、その絶妙の会話を伝える。外で遊ぶ子供たちの叫び、ピアノの調律音、猿まわしの演奏するオルガンの音、照りつける街なかの白い光などを伝え、その脈搏によってこの作品を日常の次元よりも高い、不思議な雰囲気のものにしている(訳者あとがき)。「結婚式のメンバー」という訳書もあるマッカラーズの代表作。
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。