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放課後カイダン倶楽部
セーラー服姿の幽霊が出ると噂のある高校に赴任した岡村は、宿直の夜、校舎内に響く不審な足音を聞く。彼は噂の幽霊かと思い、その正体を確かめようとする。しかし、その足音の正体は、浜口と言う名の男子生徒が繰り返し校舎の階段を駆け上がる音だった。深夜の学校での奇妙な行動の理由を問い詰める岡村に、浜口は目標のタイムを出すためだと言うだけで納得できる答えは口にしなかった。だが、浜口の言動になぜか惹かれるものを感じた岡村は、階段を駆け上がる浜口に付き合うようになる。まるで部活の顧問でもするかのように。やがて岡村に心を開いた浜口は、なぜ階段を駆け上がるようになったのか、ようやくその理由を口にする……。 第4回「マイナビeBooks作品コンテスト」学園部門・優秀賞受賞! ■著者コメント■ 読みやすい短編小説です。タイトルにカイダンがつき、作中に幽霊も登場しますが、怖い話ではなく、さわやかな読後感です。 -
九十九耕一短編集
ぼくは畑のすみの小さな野菜売り場で出会った。「トゲなしサボテン 三百円」、そう書かれた紙とともに売られていたきみと。それから一緒に暮らしはじめて二ヶ月。相変わらず無口で名前さえ教えてくれないけれど、ぼくはなんとなく、きみの気持ちがわかるようになった。だけど突然、別れがやってきて……。 ――表題作『トゲなしサボテン』ほか、『さん・ちょっと・クッキー』『大臣のユウウツ』の3本を収録。 ■著者プロフィール■ 1970年10月10日生まれ。1994年『トゲなしサボテン』で「アンデルセンのメルヘン大賞」入賞。1995年『夜風のウィンディア』で同賞大賞受賞。以降、童話作家として活動。2000年に作品集『トゲなしサボテン』を愛育社より出版。WEBサイト「ストーリーゲート」に多数執筆。「つくも堂まめ本舗」として、豆本の制作やワークショップも行っている。 -
リストカット
10分で読めるミニ書籍です(文章量12,000文字程度=紙の書籍の24ページ程度) 「役立つ」「わかりやすい」「おもしろい」をコンセプトに個性あふれる作家陣が執筆しております。自己啓発、問題解決、気分転換、他の読書の箸休め、スキルアップ、ストレス解消、いろいろなシチュエーションでご利用いただけます。是非、お試しください。 内容説明 過去の恋愛が引き金となって、リストカットを繰り返す女性の話。 OLをしているハルは、真夏でも長袖生活をしている。 リスカの傷を隠すためだ。 それにいつもスカートで通勤をしている。 傷を見せることなく、セックスするためだ。 リスカと『自分いじめ』と称したセックス依存症をどうにかしなくてはと思っているが自分ではどうすることもできない。 そんな時に現れた隣人、恭平との出会い。 彼との時間に心地よさを感じながらも、自分を止めることができない。 ハルは、腕に残る傷と心にある傷、リスカと『自分いじめ』の後悔をぬぐい去るために必死に何とかしようともがき苦しむ。 「不安と安心の間にあるものとは?」 そんな時、偶然恭平にリスカの現場を見られてしまう。 心の奥につらいものをしまい込んでいる人、思い出したくない恋の経験がある人に読んでもらいたい作品です。 心に残った傷を共感しませんか。 著者紹介 桜井 涼(サクライリョウ) 1978年新潟県生まれ。元学習塾講師。その頃より子どもの心に興味を持つ。2009年よりライターとして活動。子どもの心に関するコラム、子どもの心が正常に育つために夫婦へのアドバイスなども執筆中。心の闇を抱える子どもへの取材や心理学を学び、現在はメンタルケア心理士修了課程。資格取得を目指すべく勉学中。 -
病があるから素敵な人生
薬よりも言葉で治す医者がいる。疲れた体と心に寄り添う珠玉の89詩。 地域医療へのユニークな取り組みが評価され、2014年「日本医師会 赤ひげ大賞」を受賞した医師・下田憲氏。「けん三(さん)」の愛称で親しまれる下田氏は、北海道の小さな町で「けん三のことば館クリニック」を開業。院内には、下田氏により墨で書かれた多くの「ことば」が飾られており、患者の心を癒す。その中から89詩を厳選した、疲れた体と心に寄り添う珠玉のことば集。 【内容例】 ●愛しあう 「執着はせずにひたすら愛せたらすてきだろうね むずかしいけど」 「愛する人をずっと大事にするためには時々力を抜くと良いよね」 ほか ●許しあう 「嫌だねと思ってた人を好きになれたあの時から人生少し広くなったよ」 「うらやむ事もいばる事もない あの人にはあの人の 私には私の人生が与えられている」 ほか ●支えあう 「自分の喜びだけを追ったら本当の幸せには辿りつけない」 「それぞれに足りないところが与えられ それがすてきな個性を作る」 ほか ●癒しあう 「明日はきっと良い日になるね 意味有って今日の苦労をいただいている」 「切なさに耐えて情が深くなり 困難を越えて絆が強くなる」 ほか ●生かしあう 「人さまにめいわくかけず やせがまんすることもない そんな老い方すてきだなあ」 「生き方下手と言われようとも正直に そしてすなおに生きれば良いね」 ほか -
崖っぷちの花嫁
遊園地に自殺志願の女性現る!? 「私の役目は終わりました――」微笑む彼女は一体何者? 愛されて30年、ロングランヒットの花嫁シリーズ! 親友の聡子とともに遊園地に遊びに来ていた主人公の女子大学生・塚川亜由美。のんきにソフトクリームをなめていると、どこかからかたくさんの悲鳴が聞こえた。あたりを見回すと、ジェットコースターのレールの上で、いまにも女性が自殺しそう!? 亜由美は捨て身の覚悟で女性のもとに駆けつけるものの、どうやら彼女は正気ではないようだ。必死で説得にかかる亜由美だったが、当の女性はにっこりと微笑んで、自分のこめかみに拳銃をあてたのだった――。謎めく彼女の行動の真意とは?(表題作「崖っぷちの花嫁」)。ほか、バレリーナたちにまつわる事件を描いた「花嫁は今日も舞う」を同時収録。華やかでありながらも厳しい世界に身を置く一流のダンサーたち。彼女たちの悲哀と葛藤が、世代と時を越えて謎を呼んだ――! -
モテない男の残念な7つの特徴。致命的な欠点があるから彼女ができない。結婚できない。
10分で読めるミニ書籍です(文章量8,000文字程度=紙の書籍の16ページ程度) 「役立つ」「わかりやすい」「おもしろい」をコンセプトに個性あふれる作家陣が執筆しております。 自己啓発、問題解決、気分転換、他の読書の箸休め、スキルアップ、ストレス解消、いろいろなシチュエーションでご利用いただけます。 是非、お試しください。 書籍説明 本書は女性にモテたい方の本です。 女性に引かれる残念な人の行動を参考にしながら、それを反面教師にして、自分を律していこうというものです。 モテる男になりたい方こそ、是非、ご覧ください。 気になる、あの子との距離が縮まるはずです。 女性にモテない人には、残念な特徴があります。 本書では、それを紹介します。 本書で紹介する特徴が少しでもある人は、女性に好かれる可能性は非常に低いです。 そのくらい致命的な特徴を集めました。 逆に考えると、その特徴を避けるように行動すれば好かれる可能性は非常に高くなります。 モテる人には、それなりの特徴があるし、モテない人には、モテないなりの特徴があります。 一番大好きなあの子と付き合いたい方、とにかく多くの女性に好かれたい方、 できる限り早く結婚したい方、これは、あなたの本です。 まえがき 初対面で女性につき合ってくださいと告白して成功する人は少ないでしょう。 だれでも成功率をあげるために、告白の前に良好な関係を築こうとします。 しかし、自身では良好な関係を築いているつもりでも相手にとってはそうでないこともあります。 その結果ごめんなさいと頭をさげられてしまいます。 そのようなとき、男性には理由がわかりません。 なぜわからないのか? 男性側は良好な関係を築いてきたと勘違いしているからです。 要するに独り善がりです。 それでは女性の心を射止めることはできません。 一般的に女性は断るときに理由を詳しくは話さずに「ごめんなさい」と簡潔な言葉を述べます。 しかし、胸の内にはそれなりの理由……ダメ出しがあります。 本書では、女性がダメ出しする致命的な7つの特徴を紹介します。 もし一つでも、あなたが持っているなら、致命的なので、急いで直すことをおすすめします。 それでは早速紹介いたします。 著者紹介 猫又にゃん太郎(ネコマタニャンタロウ) 三度の飯よりもおしゃべりが好物の三十代男。 二十代からサービス業に従事しているが、水商売の経験はなし。 -
情報捜査員・尾形一刀
総裁候補にかかってきた謎の脅迫電話、その背後にいる敵の正体とは!? 次期総裁選出馬を目指す深沢龍則に、正体不明の脅迫電話がかかった。政治生命を断つという脅しだった。調査を依頼された元警視庁刑事の尾形一刀は、深沢の人間性に惹かれ、協力を約束する。深沢には、過去に一つだけ他人にいえない秘密があった。ある女性を、彼女が深沢の子供を妊娠していると知りながら、政治家になるために捨てたのだ。脅迫者がその事実をつかんでいるのか!? 尾形は早速女性の行方を追う。一方深沢は、彼を担ぎ出そうという若手グループと、それに敵対する派閥との争いに巻き込まれてゆく…。永田町を舞台に、男たちの熱い闘いが始まった。 権謀術数渦巻く政治の世界、そしてその裏で暗闘する調査員・ヤクザ・警察…。ハードバイオレンス・サスペンスの傑作、第1弾。 ●広山義慶(ひろやま・よしのり) 1935年大阪生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒業。児童文学、翻訳、TVドラマの脚本家を経て、1983年『夏回帰線』でデビュー。『女喰い』シリーズ(祥伝社)、『無法戦士・雷神』シリーズ(光文社)などハード・バイオレンスを中心に著書多数。 -
闇刑事
「真人間」を目指す元極道が男に鉄拳制裁、そして出会った女には…? 伝説の極道・天道正義、四十五歳。殺人罪で十三年もの長い間塀の中にいたが、五年間修行すれば真人間になれるといわれ、海然和尚の弟子になった。頭を丸め、僧衣姿になった天道だが、女の味だけは忘れられない。「色」にも「悪」にも滅法強い破戒坊主・天道が思い描く真人間とは…? 長編官能バイオレンス「闇刑事(ヤミデカ)」シリーズ、第1弾。 ●広山義慶(ひろやま・よしのり) 1935年大阪生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒業。児童文学、翻訳、TVドラマの脚本家を経て、1983年『夏回帰線』でデビュー。『女喰い』シリーズ(祥伝社)、『無法戦士・雷神』シリーズ(光文社)などハード・バイオレンスを中心に著書多数。 -
ブラック・タイガー
巨大総合商社から調停の依頼を受けた事件処理人が、闇の核心たる黒幕へと迫る…! 「貴社のインドネシアにおける自然破壊を暴露する!」通信社の告発状に戦いた総合商社日友物産は、語学・武道の達人にして元官僚の国際的事件処理人(トラブル・シューター)の東金虎仙(とうがね・こせん)を雇った。だが現地では邦人を襲う謎の凶悪事件が続発。環境保護団体、華僑グループ、軍情報班らによる利権争いと熾烈な謀報戦が浮上し、凶弾は虎仙にも及ぶ。やがて虎仙に近づく謎の美女。彼女は敵か味方か? 事件の首謀者はいったい誰なのか…。 壮大な構想と入念な取材、圧倒的スケールで贈る長篇謀略ハード・サスペンス第1弾。 ●広山義慶(ひろやま・よしのり) 1935年大阪生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒業。児童文学、翻訳、TVドラマの脚本家を経て、1983年『夏回帰線』でデビュー。『女喰い』シリーズ(祥伝社)、『無法戦士・雷神』シリーズ(光文社)などハード・バイオレンスを中心に著書多数。 -
カトマンズ・イエティ・ハウス
十四の街角を曲がり……喧噪から瞑想へ、現実から幻想への旅 言いわすれたが、おれはケイ。齢は二十二。日本の情報は少しは入る。いま、やっているバイトのせいさ。バイトは、いうならばガイドだった。二、三年前にここにいた日本から来た放浪族が、どういうぐあいか、つけたコネを、つぎつぎいろんなやつが引き継いで、おれのところまでまわって来ていた。(「カトマンズ・イエティ・ハウス」より) のっぺらぼうの人間などあり得ず、常ならぬ部分、ゆがんだ部分は誰にでもある。どこか「常ならぬ部分」をかかえこんだ人びとを描いた短篇集。 ・坂道 ・街角 ・草原 ・秋の日 ・広場 ・暴力 ・春の影 ・すばらしい冬の日 ・冬の日の鳩 ・サマータイム ・おれのバイオレンス ・炎のなか ・ラジャスタンの笛吹き ・カトマンズ・イエティ・ハウス ●河野典生(こうの・てんせい) 1935年1月高知県生まれ。詩作、劇作のかたわら1960年『陽光の下、若者は死ぬ』でデビュー。1964年『殺意という名の家畜』で推理作家協会賞を受賞。日本のハードボイルド小説の先駆者となる。幻想派SF小説、ジャズ小説など、多彩な執筆分野とジャズのフィーリングを持つ作家として特異な存在。 -
ルーシーは爆薬持って空に浮かぶ
ジャズとロックのリズムをバックに、幻想と笑いと反逆が爆発する あいつ、J・Lが死んだのは十二月八日、ニューヨーク時間の真夜中、おれが知ったのは、何となく寝ぼけまなこでボヤーッと見ていた昼間のテレビの短かいニュースだ。へえー、とおれは思っただけだ。あのJ・Lさんがねえ、お気の毒に、と言ったところ。だから、あいつという感じでもない。いや、とてもあいつなんて、言わせていただくわけにはゆかない、お偉いお方が亡くなったのだ、そういう感じだったというわけ。(「ルーシーは爆薬持って空に浮かぶ」より) ジョン・レノンの死と少年たちの生活を描いた表題作、『街の博物誌』を彷彿とさせる「ブルースマン」など、音楽との関わりが深い13作品が収められた短篇集。 ・ブルースマン ・あいつの夢 ・リヴァーサイドの不思議な空 ・アンダーグラウンド ・おジイさんの輝ける日々 ・笑い男 ・花 ・徳さんのヌートピア ・夜の会話――腹を割る ・犬神屋の一族 ・モンスター ・少年たちの夜 ・ルーシーは爆薬持って空に浮かぶ ●河野典生(こうの・てんせい) 1935年1月高知県生まれ。詩作、劇作のかたわら1960年『陽光の下、若者は死ぬ』でデビュー。1964年『殺意という名の家畜』で推理作家協会賞を受賞。日本のハードボイルド小説の先駆者となる。幻想派SF小説、ジャズ小説など、多彩な執筆分野とジャズのフィーリングを持つ作家として特異な存在。 -
他人の城
失踪した女の部屋には〈私〉が雑誌に書いた戦争混血児に関する記事が残されていた 人はみな心の中に他人には窺い知れない孤独な城を持っている。しかしその秘密の城が白日の下にさらされる時、思いもよらぬ悲劇が生まれることもある。ハーフの美少女〈真理〉の失踪。これが〈私〉の四日間、だが四年にも感じられた暑い長い秋の始まりであった…。 本格ハードボイルド・ミステリの傑作。第62回直木賞候補作品。 ●河野典生(こうの・てんせい) 1935年1月高知県生まれ。詩作、劇作のかたわら1960年『陽光の下、若者は死ぬ』でデビュー。1964年『殺意という名の家畜』で推理作家協会賞を受賞。日本のハードボイルド小説の先駆者となる。幻想派SF小説、ジャズ小説など、多彩な執筆分野とジャズのフィーリングを持つ作家として特異な存在。 -
〈シグマフォース・シリーズ2.5〉コワルスキの恋
〈シグマフォース・シリーズ〉初の短編! これまで明かされなかったシリーズとシリーズを繋ぐブリッジ・ストーリー。第1弾は、ジョー・コワルスキが主人公。 シグマフォース・シリーズ3の『ユダの覚醒』で初めて登場したジョー・コワルスキは、体が大きく、頑丈さだけが取り柄のような男だ。どちらかというと頭の回転の鈍い彼は、高いIQを持つ兵士で構成されるシグマフォースの隊員の中では異質な存在と言える。それ以外にも、コワルスキには謎が多い。なぜ病的なまでに「サル」を怖がるのか? シリーズ4の『ロマの血脈』では、シャイ・ロサウロと顔見知りであることが描かれているが、二人の間には過去にどんな接点があったのか? その謎を探ると、『ユダの覚醒』の前に起きた、ブラジルでのある事件にたどり着くのだった……。 -
十六団子
抱腹絶倒! 笑いと涙の金字塔! 笑いに飢えたすべての読者に捧ぐ「夏目椰子」乾坤一擲の勝負作! その昔、じっさいに村八分のあったムラで起こったお葬式。そのたった1日の出来事を描いた、「十六団子」をめぐる悲喜こもごもな人間模様。 作者独特の軽妙な筆致とユーモアで描く、待望の長編小説! 全6巻の(1) -
君がいなくちゃだめなんだ-Waltz for Life Will Born-
【花澤香菜(映画版主演)×倉田健次(原作・脚本)スペシャル対談(完全版)特別収録】 花澤香菜主演で話題となった映画「君がいなくちゃだめなんだ」の原作。 あなたがいたから、私は今ここにいる― 再生したい父と娘を中心に想いと人がつながる、少し不思議で入り組んだ、でも真っ直ぐな物語。 映画をより楽しむためにも必読の一冊。 <STORY> 楓アンは絵本作家。処女作が偶然にも新人賞を獲ってしまい周囲に期待されるも、その後は泣かず飛ばずでスランプ状態に陥っていた。 しかし元々の気ままな性格のせいもあって、担当編集者のトモエとも軽ふざけをして日々の時間を潰す始末で創作の進む気配はない。 ある日、楓は失踪した飼い猫のペローを探す街角で見かけた伝言板で「ペローを蘇らせる代わりにこの世界から太陽を頂くよ。いいのかい?アン?」と書かれた謎のメッセージを見つける。 そして他にも街のあちこちの伝言板に残された不思議なメッセージたちを次々と探しだしていく楓。 楓はそれが幼い頃に失踪した小説家だった父・光平の文章であることに気づくのだが…。 -
クロスロード
彼女たちは偶然、トウキョウで会い、 またそれぞれの人生に分かれた。 東京・銀座四丁目交差点付近。 休日のこのあたりは、歩行者天国だ。 雑多な人々が行きかう路上に この時ばかり出された簡易テーブルがあり、 ハンバーガーを手にした2人の女性がたまたま相席になった。 2人はかつて、それぞれの仕方で自然の脅威を目の当たりにし、 古い自分を脱ぎ捨ててきた存在だ。 それが偶然、自然から最も遠く離れたように見える日曜日の銀座で、 周囲に溶け込まず、しかし浮き上がりもせず ごく控えめに、微笑と共に出会ううつくしい物語。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。84年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
ブルースのブランケットにくるまって
久しぶり、と言わずに彼女を迎えてくれるのは そのオリーブ色のブランケットだけ。 シンガソングライターの自伝を出版するための、ゴーストライター。 その仕事を引き受けた彼女は、 インタビューと取材を兼ねて様々な土地への コンサートツアーに同行する。 仕事の仕方は極めて丁寧かつ優秀だ。 そして何人もの男たちが、短い逢瀬のためにホテルの部屋を訪ねてくる。 そうした日々を経て、束の間、東京の自宅マンションに戻った彼女を やさしく迎え入れるブランケットにくるまり、 ようやく彼女は深い眠りに落ちる。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。83年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
よりかかってドライ・ジン
男は、バカばかり。 彼女を癒すのは、ドライジンと 心優しきゲイ・ボーイ あからさまだったり、まわりくどかったり。 ホステス、という職業をやっている女性の許には 様々な男たちが寄ってくる。 律儀に対応していると、車で連れ出されたり、 ホテルに連れ込まれたり。 やけになって雨の中、放り出されたり。 五月の連休でさえ、つぶそうとしてくる男たちから彼女を解放してくれるのは、 ドライジンと心優しきゲイ・ボーイだけだ。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。82年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
約束
誰と約束を交わしたか、ではなく 交わした、という事実と行為だけが問題である。 読みすすめるにしたがって、「これもしかして・・・・・・」と、 嫌な予感が兆すかもしれない。 その予感は・・・・・・ 当たります。 そこにそのような道具があり、 「約束」という言葉が発された以上、行為は遂行される。 たとえその言葉が、当事者同士で正しく共有されていなくても。 そして舞台は、周囲に誰もいない、誰も音を聞いていない荒野。 失敗のしようもなく、完璧である。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。81年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
バドワイザーの8オンス罐
あっけらかん、と、8オンス罐 仲の良い女ともだち、2人。ちょっと久々に会う週末。 楽しく飲んでいるうちに、興が乗って、 知人の男性を呼び出すことになった。 男はステーション・ワゴンを持っていて、 海を見たくなったら横浜へ。車の中では飲みっぱなしだ。 女性2人が、時間をおいて酔いつぶれても、 男が面倒をみることになろうとも、 あっけらかんと屈託のない時間が過ぎていく。 たとえ二日酔いになったって、冷蔵庫には、 自分の好きな8オンス罐がある。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。80年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
昨日は雨を聴いた
堂々めぐりの言葉の果てに なぜふと、唐突な言葉が出てしまうのか。 浮気。この、凡庸にして普遍的な、 みじめな、疲労感のつのる、男女間の出来事。 言葉は常に行為よりも遅れているから、 言い訳も、釈明も、解決の提示も、嘆願も、 互いの言い分も、堂々めぐりを繰り返す運命にある。 そのような倦んだ言葉のつらなりの中で、 男はふと、あらぬ言葉を口にしてしまう。 何一つ決定的な事柄にはつながらない平凡な、 しかし不思議な言葉を、ふとつぶやいてしまう。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。79年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
夕陽に赤い帆
やがてすべてが終わり、 ヨットの白い帆は夕陽に染まる。 プラターズやナット・キング・コール、フランク永井らの歌唱でも知られるジャズのスタンダード・ナンバーと同じタイトルを持つ短編。 ここに登場するのは堅気ではない、ヤクザな人々だ。 組織からの現金強奪、という物騒な案件に かつての恋人との再会と、それにまつわる情がからみあう。 男は果敢に行動に出る。 そしてハードな仕事をすべて終えた、はずが そこが終わりではなかった。もう1つ、あった。 そのもう1つも終えた時、ようやくホテルに赤い夕陽が差し込んでくる。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。78年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
結婚記念日
祝福の日には、 出席者全員に祝砲を。 高原のスロープに立っている優美なヴァケーション・ハウス。 夫妻の結婚記念日を祝うため、7人が集まっている。 残る1人も、まもなくやってくるだろう。 ハウスについての、そしてふるまわれる料理についての詳細な説明が書き込まれ、また、ラッキー・ストライクの歴史をめぐる いささかスノッブな会話が取り交わされる。 空虚にも思えるきらびやかさが、何か別の物事が着々と進行していることを感じさせる。 そしてほら、8人目がいま、到着した。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。77年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
限りなき夏1
それぞれのエンドレス・サマーを描く試みは、 今のところ未完のままだ。 タイトルに「1」とあるように、この小説は さらに長大になる構想のなかにあった。 いや、「あった」ではなく「ある」というべきか。 書かれてから30年以上が経過した今、わかっているのは、 これが未完の小説の一部に過ぎない、ということである。 小説の企みは「あとがき」に簡潔に書かれている。 生きることと波乗りの区別をつけない人々にとって、 いま、生きている夏は過去の夏ともつながっており、 そしてこの先にも伸びていく永遠の夏である、という困難が、 この小説を未完にしている最大の原因なのかもしれない。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。76年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
瞬間最大風速
渡り鳥 ミーツ キャデラック。 その成り行きは台風とともに。 それまで無関係だった男女が路上で出会う。 片岡義男の黄金パターンが遺憾なく発揮された中編小説。 女は、様々な土地を回っている渡り鳥の歌手。 男は、キャデラックを札幌の友人まで返しに行く途上の身。 その2人の出会いは、速度の遅い、しかし猛烈な 台風の接近、進行、通過とともにある。 過酷、と言って差し支えない状況をともに過ごした 2人のその後は果たして? 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。89年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
どうぞお入り、外は雨
これからはひとりになるのだから、 彼女は路線バスを選んだ。 18歳。未成年ではあるが、車の運転は可能な 大人への入り口に立った年齢だ。 ある雨の夜、2人の18歳には、楽しい偶然があった。 同じような環境に暮らす2人は心を許しあった。 やがて彼女のほうの生活環境は、新たな次元に入る。 彼女はほんとうに1人になるのだ。 また別の雨の夜。今度は彼女は、もう1人の18歳には頼らない。 1人で路線バスを選んだ。ただし、彼にはしっかり手を振りながら。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。88年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
最終夜行寝台
そうしよう、と思ったら、そうしてしまう。 行き着く先は、やさしい最終夜行寝台。 タイトルが示すように最終夜行寝台が舞台にはなっているが、 おそらく、読む前に想像できるイメージとは違っているはず。 その寝台には、女が1人で乗る。 そして、女が立て続けに酒を飲む、という時の 感情の動きや事の顛末なども、 これまで多くの物語が紡いできたものとは違っているだろう。 最終夜行寝台は、きちんと定刻ごおりに任務を遂行するはずだ。 そして寝台のベッドは、上段ではなく下段で、ほんとうによかった。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。87年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
ブルー・ムーン
別れ話は3度。そして 空には、ブルー・ムーン。 女と男がいる。 女が「終わりにしたい」という。男は「なぜ?」と聞く。 人類が、これまで無限に繰り返してきた行為だ。 いったい、平行線ではない別れ話というものが、あるだろうか? 終わりにすることと嫌いになることは違う、という言葉がそこにあり、 しかしその言葉は2人のあいだで共有されない。 されないまま、しかし2人は3度、話すために会う。 一度目と二度目は雨。しかし三度目は晴れた。 すべてを終えて、窓から見えるのは、きれいなブルー・ムーン。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。86年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
ステーション・ワゴン
ピカピカのステーション・ワゴンは、 宇宙からやってきて、やがて海に還っていく。 福音館書店発行の雑誌『子どもの館』(1980年)に発表された短編。 自動車をテーマにした片岡義男ならではの一編だが ここでは12歳の少年が主人公であり、 少年がスクールバスという、少年にとって戦場のような社会の中から 光り輝くステーション・ワゴンを目撃する視点がおもしろい。 やがて彼は、大胆にもそのステーション・ワゴンのハンドルを握るのだが およそ現実離れしたその乗り物は、 意外な、いや、もしかすると必然的にそうなるしかない、 というような結末を迎えることになる。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。85年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
波が呼ぶんだよ
波が呼んだら、どこまでも行く。 幸雄と貴志。波乗りを何よりも愛する2人は そのあいだに麻衣子、という気になる存在をはさみながらも 常に海を、波を第一に考えることにおいて共通している。 ある時2人は、小さな町の映画館で、ポルノ仕立ての安い映画を観た。 そこに彼らが観たものは、他の観客がまるで目にとめないもの、 画面を横に抜けていく完璧なチューブ波だ。 素朴すぎる情熱と手段で、 彼らはその波が生起する場所を、ついに見つける。 あとはもう、いつまでもそこに留まるだけだ。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。84年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
いまから一〇〇年あと
離婚暦、4年の歳月、初夏の東京。 2人のシャイネスは、言葉で防波堤を築く。 女が営む店の名前はウェンディ。 ビーチボーイズのナンバーから取られている。 いちばん大切な存在だったのに、 去ってしまったウェンディという女の子を歌った曲だ。 時々店に顔を出す男は、ここへ来て4年になる。離婚暦アリ。 彼女の誕生日に、男は、金がなくて贈り物ができない 若い男性が登場する映画の話をしたりする。 店を閉め、外を歩き、2人は今までにない段階に入る。 それを「幸せ」と呼ぶことをためらいながら、体と言葉を重ねていく。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。83年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
ハイビスカス・ジャム
大きな音で、静かな仕事。 2つの赤がこの小説の主役だ。 片岡義男の小説のアクションの中には、いくつかの強靭な定型がある。 この小説もその1つを踏襲している。 全長7メートル近いオールズモービル・トロナード。 豪勢に見えすぎないことに金をかけた邸宅。 プールには全裸で泳ぐ女性。 ただ小さな予想外として、ハイビスカス・ジャムがあった。 予定された1つの赤に加えて、 もう1つの赤が、物語には加わった。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。82年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
港町しぐれた
ふられる時には、共に移動してみる、 というやり方もある。 女と男がいて、別れが生じようとしている。 よくある話だ。別れは時に、唐突に訪れる。 別れ話、とは言うけれど、どちらかが決めてしまったら 決意はなかなか覆らない。 2人にとっての最後の時間を、日常ではなく、 列車や、ホテルや、自動車の中で過ごすことで 時間ばかりでなく、互いの中を流れていく何かがあるだろう。 もう二度と会わないのだとしても、 その「流れ」を2人はその時、確かに共有している。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。81年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
彼のお気にいり
すべての信号が赤の日と、 すべての信号がグリーンの日。 オートバイで走る、ということによってしか 知りえない人の魅力、というものがあるのだろう。 男は前を走る赤いオープン・カーの後ろに付いたまま離れない。 女も、普通なら気味の悪い尾行と思えるこの行為が なぜかしら心地いい。こうして2人は路上で出会った。 路上の出会い。それは、片岡義男の小説の黄金のパターンだ。 その日、彼女の自動車はそのボディの色のように ことごとく赤信号で止められた。だがその1年後。 今度はことごとく信号がグリーンの道を走る運命にある。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。80年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
人魚はクールにグッドバイ
アイドルだって、勝手にやってます。 アメリカのショービズの世界ならいざしらず 日本の芸能界、という所はいささか特殊で まさに偶像としてのアイドルがいまだに健在だ。 彼女(たち)とファンのあいだには 通常、メディアを通じてコントロールされたイメージしか共有されない。 しかし、アイドルも人間である以上、綻びはある。 その綻びは、片岡義男の小説なら、 路上と、エンジンの着いた乗り物の中に見つかるだろう。 世間が見れば事件になりそうな出来事も クールな18歳が係われば、楽しい寄り道になるはずだ。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。79年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
オレンジ・ペコ、午前八時
ひとりの朝、はじまりの朝。 祝福には、オレンジ・ペコがにつかわしい。 ユミコ、という女性の名前はありふれているが、 漢字で表記すればいくつもの種類がある。 自分と同じ発音のユミコと、 ありがたくない場所で遭遇してしまった主人公・夕美子は、 自らの将来について、断固とした決意に踏み切る。 あとは自動車で、列車で、それを実行するだけだ。 それらをすっかり片付けたら、彼女には、 オレンジ・ペコの時間が待っている。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。78年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
ときには星の下で眠る
誰もが例外なく、移ろいゆくものたち。 天空の星座のように。 夏のイメージが強い片岡義男の小説にあって この物語は明確に秋を舞台としている。 「時には星の下で眠る」という短編が先行してあり それが北米大陸を舞台としていたのに対し、 こちらは明確に、日本の、高原の秋だ。 オートバイを愛する者同士の4年ぶりの再会を介して 人が4年、という時間を生きることの、いくつもの模様が描かれる。 そこにはいくつも死があり、不在がある。 生きている者たちも紅葉の色の変化のように確実に変わってゆく。 そして時には友とともに、星の下で眠る。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。77年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
翔びなさい、と星が言う
見る前に翔べ、と悪い星がささやく。 ティーン向けのレーベルであるコバルト文庫に収録された一編。 冒頭、朝の新宿駅のシーンに象徴されるように 17歳の女子高生2人は、朝のラッシュ・アワーで怒涛のように流れてくる人波に逆行し、そこから外れて生きる存在として描かれている。 通常のヘテロセクシュアルからの逸脱。死への傾斜。 生まれてくるべき星は、ここではなかったのかもしれない。 だから、「翔びなさい」と別の星が言う。 しかし彼女は、この星の現実の中でしか、飛ぶことはできないのだ。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。76年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
味噌汁は朝のブルース
2人の関係がどこでわかるか? 会話だ、と言ってみたい。 ロクでもない男、と言ってもいいかもしれない。 販売促進課に勤めるサラリーマンだ。 片岡義男の小説の多くの登場人物(男)がそうであるように、ここでも年齢は27歳。 恋人らしき女のほうは、実に平凡極まりない名前で、 しかしいい女。のように見えて・・・・・・ さてどうだろうか。 凡庸なようで、停滞のない会話。共に迎える朝。 とりあえず、それだけあれば、なんとかなる。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
30ポイントで読み解く 吉田松陰『留魂録』
「身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも 留め置かまし 大和魂」の句で始まる吉田松陰の『留魂録』――。自身が処刑される直前、松下村塾の門下生に向けて書いた文字通りの“魂の遺書”だ。牢獄の中から愛弟子たちへ切々と最後の訓戒を述べ、死に直面して悟り得た「死生観」を書き記したその内容は格調高く、現代でも読む者の心を打たずにはおかない。事実、松陰が遺した『留魂録』は長州藩士を中心に回読され、志士たちのバイブルとなり、幕末維新の原動力ともなった。本書は、そうした凄まじい“感化力”を秘めた『留魂録』のエッセンスと後世に与えた影響を、「大和魂を伝承せよ」「誠を貫け」「後世の評価に委ねよ」「学問の力を信じよ」「志を継承せよ」「尊王攘夷を実現せよ」「京都に学校を創れ」「死を恐れず志を全うせよ」など、30ポイントに分けて解説していく。死して時代を動かした男の“魂のメッセージ”が現代に甦る! -
長崎・有田殺人窯変
女のタトゥーが事件の地図!? 猟奇殺人の鍵は長崎に――。大人気旅情ミステリー・私立探偵小仏太郎シリーズ! 東京・亀有で探偵事務所を開く小仏は、かつての警視庁の同僚の安間からある依頼を受ける。近頃連続して起きた殺人事件と猟奇事件の二人の被害女性は、元警察上層部で民間企業の重役を務める男と不倫関係にあったらしい。その事実をマスコミに感づかれずに事件の調査をしてほしいと依頼された小仏だったが、殺人事件の被害者・高木の体には意味深な鯉の刺青があり……。社会の闇とつながる男と女たちの因縁。巨大犯罪の影を追って小仏は長崎、そして佐賀へ飛ぶ! 傑作トラベルミステリー。
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