佐木郁の一覧
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ユーザーレビュー
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嘘と秘密とさかさまは、魔女を綺麗にするのでしょ?
一迅社から発刊された『魔女集会で会いましょう』のアンソロジーコミック、その二巻目となります。
ジャンル「魔女集会」の定義については一巻で述べさせていただいたので割愛させていただきますが、元々最盛期を逸した発刊、まさかの二乗ではありませんが続刊が出ると
...続きを読むは思いませんでした。
とは言え、一巻は個人的に非常に楽しませていただいたので私自身としても納得とよろこびしかないわけですが。
その上、今回は前回より増ページ、収録作品も八本と抑えてじっくりとした読みごたえを実現するようです。続き物も多く、さらなる続刊も期待できようなものです。
それでは収録作品について軽く触れていきます。
「海月の魔女と漂流児 ~魔女集会~」:猫乃目瑛生
一巻から引き続き、トップバッターがこの作品というのは非常に強いなと思いました。26P。
今回は「魔女集会」と銘打っただけあって主役の「海月の魔女」のほかにも友人の「森の魔女」はじめ多様な魔女たちが登場します。
森の魔女とそのお弟子さんにもちょっとしたドラマがあったりして、猫乃目先生がTwitterで上げている小話を見ると少々見方が変わると思います。
この書籍でも察せられないことはないんですけどね。
時に、魔女。
女性らしいシルエットと、それを覆い隠すスカート、フリルやヴェールに、三角帽子、施された装飾の数々が実に麗しい。
また、この作品においては魔女たちがエレメンタルに寄った存在でもあるということがわかります。
魔女集会は「時」の経過と変わらぬ「美」を瞬間瞬間で捉える必要からか、ビジュアル重視の作品が多いのですが、この作品は特に顕著、説明がいらない部分もあるなと思います。
一方で人に寄り添ってくれるようにも思えて、善意しかない微笑みに魅入られるうちに無自覚の危うさに呑まれてしまいそうな怖さも見えます。
浮世離れした海月の魔女様に隠れていますが、お弟子さんも彼女と寄り添ううちに長い時の流れを意識しなくなったように解釈できるのが面白いかもしれません。
この作品に限ったことではないのですが、話を重ねていって単独で単行本として出せるポテンシャルを感じますね。
「驚く君の笑顔が見たい」:小椋あん
一巻から続投の小椋先生、再び老いと若きの話です。20P。
「魔女」という言葉は職業や種族として捉えられる一方、異称として捉えられることもあります。
けれどそれでも、これから流れる長い時の中では片時になるのかもしれないけれど、優しいひと時の漫画です。
いつも天真爛漫、体も心も成長しないお嬢様と、彼女に長年仕えて老いていった老執事の話です。
こちらは「魔女」の解釈からすると王道からは少し外れ気味ですが、それでも「別離」の予感をけぶらせるという意味で王道が続きます。
少年期から時を経て老成するに至り、隔てられたようで変わらないものもある。いい意味で変わっていけるところもある。
なんにせよ、奇をてらわない王道の筋立ての中に独自性を見つけつつ、数を重ねていけるのがこのジャンルのいいところなのですが。
ところで「スカートの中の怪物」って着想は比較的近年のものと思われます(不勉強なもので)が、神話的な「原典」の意味でも、歴史的な恐怖としても似たものを見つけられたりするようにも感じました。
なんにせよ、女性が隠しているなにかもあけすけにしてしまえば、ほのぼのにも転じられるものなのかもしれません。
「人殺しの魔女」:わたりさえ
ショッキングなタイトルから裏切っていく展開です。12P。
著者は『生徒会長はブラ♀コン』、『お嬢様はラブコメの主人公になりたい!』などのわたりさえ先生。
味付けとしては中華風、仙人や道士というにはなんか理屈っぽくなく、輪郭をしっかり描いたキャッチーな絵柄が光ります。ゆえに呼び方が魔女なのかも。
ところで人々から恐れられる魔女が実はいい人ってのはそれこそこのジャンルに限らず定番ですよね。
それでも、人里から離れていても案外地に足の着いた生活を営んでいると「人殺し」って言われてそうかもしれないって疑念も抱かせつつ話を進めていけます。
なかなかいい世界観の選び方してると思います。
超然とし過ぎていると、まぁそうだよなってなってしまうので、なんだかんだで俗世を生きる魔女のキャラっていいのかも。
あと中華風といえばのお約束ですけど、パンダがいい味出してます。
それにチャイナドレスが似合う女体と、道服が堂に入ったイケメンなど、描きたさが伝わってくるのもグッド、です。
「魔女さまといっしょ2」:堂宮ていじ
一巻から続投&続編。まさかのマリッジ&ベイビー回です。18P。
長命な魔女が婚期とか気にするんだって意味である意味意表を突かれた気がします。
ただ全く隠せないチョロさ満載は変わらなかったので、ゆるめな世界とちょっとしたドタバタ劇に癒されました。
後半一気に畳みかけ過ぎてとっ散らかったように思えるのが残念な気もしますが、アンソロジーの中盤に当たって緊張した空気を一旦ゆるめる上で申し分ないのかもしれません。
少女な魔女を軽快にいなす老練な執事との掛け合いもあって、このジャンルの秘める悲壮さがいい意味で吹っ飛んで仕切り直しができそうです。
「美少女と悪い魔女」:八汐ごよう
少年を拾う魔女もいいですが、同性同士の共犯関係もいいですよね。16P。
筆者は『オレ、魔王だけどバレてないよね?』などの八汐ごよう先生です。
陰気で不気味な魔女が劣等感も露わにしつつ、やって来た美少女とタッグを組む、そんな話です。
主従関係、殺しを匂わせる魔女らしい物騒さも持ちつつ、暗黙の裡の信頼関係がスキンシップからわかったり。
もちろんビフォー&アフターで身長差の逆転を演出、と色々「逆転」の構図も素敵です。
一見地味に見えて、実は結構ぜいたくな話だと思います。この文脈からすると可能性は低そうですが、破局に転がる想像をしたとしても美味しいのかもしれません。
「魔女を拾った話2」:あさやみのる
THE・日常モノまさかの続きです。10P。
ナンバリングついてますが、一応こっちからでも読めると思います。
けれど、その1はちょっと寂しげな話かと思ったらこっちは色々な意味で暗雲を払う話でした。
たぶんこの魔女さん、このアンソロジー内でも一、二を争う真の実力の持ち主なんじゃないかなー。
で、元の姿と名前を忘れた魔女さん、開き直ったか飲み食いしまくる姿がなんなんでしょう。
魔女と使い魔(ある意味マスコット)を兼役するってのはままあることなんでしょうが。
で、その2が出たことで否が応にも気になる作品に化けたと思います。
ジャンル「魔女集会」からはちょっとだけ外れるかもしれませんが、こちらも今後の展開が期待できる気がします。
ちなみに元の姿は銀髪碧眼、可愛い系の美人さんでした。あの人が拾った少年と残念な言動を繰り広げていると考えれば、一粒で二度楽しめるようです。
「魔女の母は私の同級生」:バラ子
一巻から続投のバラ子先生ですが、今度は現代を舞台に据えます。19P。
タイトル通りの展開が目を引きますが、これは異性間だと今時のラノベに化けるところを同性間の親愛を描きつつ児童書と少女漫画のエッセンスでまとめている感がありますね。
ところで年甲斐もなくはしゃぐ「母は強し」系の作品は最近の流行りなのかもしれません。
さらっ、さらっと魔女狩りの影といった要素も含めポンポン展開を投げ込んでくるテンポの良さと、別ジャンルとの幸せな握手って雰囲気が実に楽しいです。
「復讐の魔女」:majoccoid
最後は魔女と使い魔の倒錯した関係を描きます。28P。
こちらは「復讐」と「母と子」というテーマをストレートに貫こうとする話です。
よって、今までの話を含めるとさらに含みを増すと思われます。
「執着」の一言で説明できるとしても、その中で様々な感情が当事者間で渦巻いていることが理解できていいかと。
逆転した主従の関係と、「色」を感じさせても「性」をあやふやにする絵柄が好きです。
妖しい目元っていいですよね。複合的な話ですが、ポイントポイントを追っていけばこのジャンルを間違いなく理解してくれている作品かと。
大人になりたい魔女と、母の役割を求められた使い魔。
母を奪った人間たちの、街並みに溶け込む魔女の店。
何もかも矛盾した構図が胸を裂くようで愛おしい。
総評。
今回は「魔女集会」の持つ属性の内、「別離」より「逆転」に重きを置いた作品を多かったように思われます。
また、いつまでも変わらない魔女と、長じていずれは老いていく少年の関係のみに留まらず、拾う子供に少女が追加されています。
主従ではあるのだけど、対等にも覆っているようにも見えるパートナーの関係性は、同性間の気安さもありますが、どこか重いものも垣間見えますね。
アンソロジー全体で世界観・ジャンルの奥行きが広がると共に不思議と統一感も生まれてきたと思います。
表紙イラストは『幸色のワンルーム』などの「はくり」先生です。
今回も表情の移り変わりを見せつつも「母」と「子」に似たふたりの距離は健在と思える印象です。
色々と解釈の余地があるからこそ面白い。
総じてレベルの高い一冊に仕上がりました。
ちなみに今回の個人的な好みは「海月の魔女と漂流児」、「驚く君の笑顔が見たい」、「魔女を拾った話」、「復讐の魔女」の四本でした。
願わくば、変わらぬ君よ。今は変わりゆくこころに身をよじらせつつも、いずれ君と歩みたてるのだろうか?
Posted by ブクログ
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時は裏切らない、たとえそれが魔女であろうと。
2018年2月ごろから「#魔女集会で会いましょう」というお題に沿った作品が青い鳥のアイコンを掲げたSNSことTwitter上を席巻した時代がありました。
爆発的な流行を経て、天空に舞い上がる花火のように自然と収束を迎えたようですが、今も命脈は途切れず
...続きを読む珠玉の作品がキラキラと輝き、手に取る方々を待っているようです。
個人的には、一人の提唱者をきっかけとして、意図せずに数多の方々の愛を膨らませ才能を見出すことになったと思うと感動しか覚えないわけで。
最盛期よ再びよと夢を見ないわけではないですが、商業ベースに乗ったという意味で歴史の一側面に名を刻み、指標となった意味で一定の評価はしたいと思っています。
ちなみに「魔女集会」というお題は。
1.長命の魔女(不老)が弱々しい人間の子どもor使い魔を拾う。
2.やがて逞しく育った子供と変わらない魔女のギャップを楽しむ。
この二点の流れを押さえとけば問題はないと思います。
正直、この手のお題はいかにして変化球を投げるかというのも楽しみのひとつですが、この本に収録した作品は大筋を外さず、意外性も含みながら一迅社カラー(適当)に編んでまとめているので。
それでは収録作品について軽く触れていきます。
「海月の魔女と漂流児 ~言の葉の花~」:猫乃目瑛生
構成上、トップバッターがこの作品というのは非常に強いなと思いました。16P。
海月と貴婦人のシルエットが重なり合ってるようなぼんやりおっとりしたお嬢さんと、世話焼きで素直になれない弟子の距離感が愛おしい。
で、クラゲの魔女様は魔女ではあるんですが、人外であって神に片足突っ込んだような存在なのでどうしても母と子という関係性を思わせつつ、やっぱり二人の生きる時の隔たりを思い出してしまう。
儚い花と、その花に託された言葉は、王道の小道具かもしれませんがやはりいいものですね。
「ドラ魔女とドラ息子」:高瀬飛鳥
こちらは打って変わってハイテンションとテンポの良さで押し切っていくコミカルな作品です。8P。
調べてみると作者の「高瀬飛鳥」先生は『偉大なる魔女プアン様の観察日記(全三巻)』という作品をガンガンJOKERで連載されていたのですね。
こういった町の外れに住んでいて普段はそう関りがなさそうなのに、ハレの日にゆかいににぎやかさを振りまいては去っていく、そういった魔女のあり方もまたありそうでいいものだなと思います。楽しいし。
「生きる理由と死ぬ理由」:小椋あん
三本目は薬に通じており、社会の成員として認められている魔女様です。24P。
「魔女」という職は歴史からして悪魔との関りが必須ではありませんし、善寄りの中立といった風情かと。
なんにせよ「魔女集会」というジャンルの王道を行く作品とだけ言っておきます。
浮世離れはしておらず、家族と死に別れた少年と偽悪ぶる魔女との出会い、そして時の流れ、です。
手を引く魔女から、共に肩を並べる関係へ、そして今一度死がふたりを分かつまで。
切なさこそ魔女集会の醍醐味と思いつつ、ページ数の中でメリハリ効いていて密度高いなあ、と実感します。
好き。シブいし、枯れた可愛さもある。
「悪い子は食べちゃうぞ」:あおいサクラ子
四本目はコミカル&ラブ、ただし出オチ重視。10P。
家事が壊滅的な魔女様が拾った子に依存して、家庭の立場が逆転気味ってのはテンプレですがやはりいいものです。
もう少しページを割いて溜めが欲しいってところを除けば、妙齢同士の男女関係に発展する余地を思わせているので、これも王道。
色々と発展する可能性があるからこのジャンルは面白い。
「魔女を拾った話」:あさやみのる
THE・変化球。8P。
題の通り、元の姿を思い出せなくなった魔女を拾う話。
中世~近代の欧州(風)世界が根城なこのジャンルでは珍しく、現代日本の小学生に拾われる魔女様。
ゆるゆるな絵柄でほのぼのしつつ、どことなく悲哀と愁嘆。アンソロジーの一篇だからの話ですが、こういう単純な逆転とも言い辛い空気感の話が不意打ち気味に入っているのもなかなかに面白いところ。
「魔女さまといっしょ」:堂宮ていじ
拾うまでのあれやそれにページを割いた面白い構成。12P。
隠しきれないチョロさを必死で隠そうとする魔女様。「魔女集会」が流行っているというのはTwitter上で流行って来た時からのネタですが、六本目だから言えるともいえるわけで。
あるあるネタに共感し過ぎなのが、愛おしい。
これもまぁ、シリアスとコメディの逆転現象なのでしょうが。
長命ゆえに老成した魔女もいいですが、幼さをいくつになっても残してしまう魔女もまたいいものです。
拾い子がそれを強調してくれますし。
「サクヤコノハナ」:伊坂ウタ
まさかの和風。16P。
妖を拾ったつもりが、長じては妖に憑かれるそんなおはなし。
因習囲まれ、情動死に気味少女と当然イケメンな式神。
和風乙女ダークファンタジー文脈で紡がれて、と。
流石にお題から外れ気味ですが、お題が有する自由度という意味では絶対に必要かもと思いました。
十本中一~三本だから許容されるのであってそれを越えたら流石に厳しいとも思いましたが。
とまれ、こういう滅びを孕んだ雰囲気もあれば全体を引き締めてくれていいものです。
ところで伊坂先生は『現代魔女図鑑』の筆者ということで、まさかのこの方も魔女作家さんでした。
「一流の使い魔の条件」:郷本
一人前未満の魔女とよくできた使い魔のお話。8P。
『ねこだまり』、『夜と海』などの郷本さんの作品です。短めながら、女の子の家と部屋の空気感をしっかり置かれていて強いです。微妙な世知辛さと魔法の現実感もOK。
使い魔も可愛らしいですし、西洋の短編の雰囲気を掌編のなかにぎゅぎゅっと凝縮したような濃度がたまらない。日常がなんかいい感じです。
「優しい王様の作り方」:バラ子
テンプレを踏まえつつ、魔女狩りによる別離の形をストレートに匂わせるこれも王道の作品。9P。
天真爛漫でいつでも微笑んで見せる魔女の造詣の中になんでも受け入れる切なさと怖さをさらっと投げ込むのがいい。一目で恋に落ちても愛に発展することはなさそうなデザインが非常にいいんですよ。
魔女にとって優しくない世界であるか否か、その辺の分岐点に思いを巡らせるのもこのジャンルの醍醐味だと思います。
この本だけで十本のサンプルがありますが、さて――。
「魔女と左腕と私」:おおのいも
作者は違いますが、ひとつ前の話に対する一つの回答編。24P。
筆者は『佐土原和葉は完璧ですか?』、『アストリア・アクティベート』などのおおのいも先生。
エンジニア系ボーイッシュやあやあ系ちびっこ(火傷痕)という、属性盛り気味な長命の魔女と、彼女に救われた王子。
寄る辺なく、長じて魔女と寄り添う選択肢しか選ぶつもりのない孤児と実家が太い王族、この辺の違いもまた分岐点ですね。
死を選ぶことさえ自由な魔女と、立場という枷を振り捨てて一人の男として向き合う王子。
物語の原風景というべきか、このシチュエーションも強い。飄々としていた彼女の赤面、見たくないですか?
総評。
この一冊で「魔女集会」というジャンルのすべてを網羅しきれたとは思いませんが、割とかっちりとした「シチュエーション」から様々な物語が紡がれるということを再認識できました。
表紙の佐木郁さんもビフォーアフターが肝となっているこのジャンルをしっかりと表現されていますし。
ちなみに個人的な好みは「海月の魔女と漂流児」「生きる理由と死ぬ理由」「一流の使い魔の条件」の三本でした。
願わくば、末永く語られてあれ。魔女と人、同じひととせ歩むことなくとも、どうか忘れられず記憶へ残られよ。
Posted by ブクログ
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カワイイ
作者買いです
サイレントというジャンル(❔)
読みながら 脳内台詞をしながら読んではニヤニヤできます
オフィスラブが個人的に好きな設定
メガネなおさる
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ハキダメ。のイラストが超絶好みで佐木さんにたどり着きました。
たどり着いてほんとうによかった!!!
手に取れてよかった!!!
全編セリフはありません。短編です。
でもでもでも!!!!!
もうね、悶え死にます。
萌え死にます。
キュン死です。
本望です。
個人的には描かれている男性のまなざしがたまら
...続きを読むんですね。
あと、しぐさとか、カラダのポジションってゆーんでしょうか、
相手との向き合い方が絶妙でキュンが止まらなくなります。
ご注意ください。
はぁ。。。ステキやったなぁ。。。
Posted by ブクログ
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作家彼女。を読んでください(笑)
もう七野さんの話じゃなくて途中から完全に九条春華と八…じゃなかった北大路さんの話に夢中だった。
Posted by ブクログ
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