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もうひとつラヴ・ソング
彼女が作り、彼が歌うラヴ・ソング この短篇のすばらしさは、タイトルに集約されている。 「もう一つのラヴ・ソング」ではなく「もうひとつラヴ・ソング」。 「の」を抜くことによって、一つのラヴ・ソングのことだけでなく、 人が生きているこの世界すべてが小説の対象になった。 思いがけない形で遺されたラヴ・ソングを思いがけない人物が歌うことになり、 それを家族が聴いている。読者が聴いている。 この世界が聴いている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
熟睡する女性の一例
熟睡できることは力だ 不思議なタイトルの短篇であり、様々に解釈できそうなストーリーだ。 片岡義男の小説群は、美人しか登場しない、 というおそるべき特質を備えているが、 彼女たちがことごとく警戒心を欠いている、 というのも共通した特質である。 ここに登場する女性もまた、 遊んだのでも遊ばれたのでもなく、執着はなく しかし電話をしよう、という意志があり といってわだかまりがあるわけでもない、という そのバランス、その強さが、彼女の熟睡に現れている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
一日じゅう空を見ていた
最高の贈りものは時間である 一日じゅう空を見ていることを可能にするもの、 それも最高の条件で見続けることを可能にするのはいかなる状況か、ということをこの小説は描いている。 どんな高価なプレゼントよりも記憶に残り、消費や購買とも無縁なその成り行き。 読者の皆さんもまた、出典を明らかにすることなく この短篇とそっくり同じ一日を過ごしてみるとよいかもしれません。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
こちらは雪だと彼女に伝えてくれ
名前のよく似た2人の女性 名前を構成する漢字が1文字だけ違っていて、年齢は同じ。 そして何より、2人ともとびきりすばらしい女性、 というのが、1人の男を挟んでてあちらとこちらにいる。 さて男はどうするのか。 片岡義男の小説においては、こうした状況はさして困ったことではない。 むしろ、晴れやかなことである場合が多い。 ラストの成り行きはいささかご愛嬌だろう。 三角関係が美味なサンドイッチになるのもいいが、 雪の日本と南の島に分かれるのも悪くない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
水瓜を射つ女
女に二言はない 明解極まりない短篇小説である。 アメリカでは、日本と違い、一定の手続きを経れば、誰でも銃を手にすることができる。 射撃の対象となったものは、よほど堅固な物質か、もしくは柔らかすぎる物質を除いて ひとたまりもなくその存在を崩壊させるだろう。 そこでは、何であれ水瓜みたいなモノであるほかはない。 ここでは女は、たしかに水瓜を射る。 水瓜「も」、というべきか。 「水瓜を撃つの」と言った女に、二言はない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
缶ビールのロマンス
ロマンスは一人で オートバイで長距離を移動するなら電車やバスなどの移動手段と違い、 時には先に進めないアクシデントが起こり、予定外の遅れが生じることもある。 しかし主人公の「ぼく」は、その予定外の遅れを半ば以上意図して行い 恋人と会う時間を先延ばしにしている。 会いたくないのか? といえば、すこし違うだろう。 今、彼は違う種類のロマンスがほしいのだ。 いつでも、どこでも、そしていくらでも缶ビールを飲むという、平凡で最高のロマンスを。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
世にもふしぎなゲームの物語
涙と笑いとゲーム愛あふれるその内容に、有野課長も大絶賛! 人気ゲームバラエティ番組「ゲームセンターCX」の放送作家・岐部昌幸がお届けする待望の小説第2弾! 80~90年代にかけて、社会現象となったファミリーコンピュータ。 あのころ夢中でプレイしたソフトをモチーフに、岐部昌幸が新たに紡ぎ出す、 ゲームキャラクターたちの「世にもふしぎな」アナザーストーリー全4編! 1『商人の息子』 商人の息子に生まれた主人公・ユウスケは、悪魔王討伐の旅に参加するも、 戦闘に向かない自分の能力に自己嫌悪する毎日。 ついに耐え切れず、パーティを飛び出してしまい――。 2『とある村からやってきた、パンツ一丁の男』 ある日、デパートの屋上でアルバイトをしていたマキノは、 ヒゲモジャでパンツ一丁の怪しい男と出会う。 彼は悪魔にさらわれた婚約者を救出に向かう途中だというが――。 3『リストラ会議』 長年愛されているパズルゲーム<ミノリス>。 同部署に所属する7人の社員にまさかのリストラ通告が。 いらない社員は一体誰だ! ? 白熱のリストラ会議はやがて思わぬ方向に――。 4『兄弟の確執』 兄のクリオばかりが活躍し、なかなか目立つ機会に恵まれない弟・二テール。 「オレだってやればできると証明してやる! 」と、 たったひとりでプラム姫の救出に向かうが――。 -
夢を継ぐ
夢が生み出す悲劇とサスペンスの小説! 「約束よ。私の夢を受け継いでちょうだい」 小学六年の時、おじいちゃんが死んだ。父は畑を手に入れ、農業をやると言い出した。私が中学へ進級するのと同時に、父の言いなりのまま、家族は田舎に引っ越す事に。 私には、アイドルになる夢があった。でも、父のせいで潰えてしまいそう。何度か抵抗するも、父の暴力の前に為す術がない。ママは助けてくれない。そんなある日、中国人留学生の劉が、畑の手伝いに来てくれた。私と劉は、少しずつ距離を縮めていく。 (初出:『月刊群雛』2015年03月号・05月号) 表紙イラスト:神谷依緒(『月刊群雛』2015年06月号・09月号表紙イラスト担当) -
Xメン・日本〈竹島八百富短編集〉
読後にモヤモヤする、なんともいえない後味の短編小説集! 『Xメン』 寒風吹き荒れる二月上旬。サラリーマンの聖地新橋に全国各地から集まった五人のおじさん。彼らはネット上で知り合った自称『超能力者』ならぬ『超能力っぽい力がある人』。主催者ウルヴァリンの呼びかけのもと、オフ会で初めて顔を合わせる五人。 居酒屋を舞台に互いの超能力のお披露目会。 そして、『超能力っぽい力がある人』同士の悲哀を語り合い結束を固めていくおじさんたち。 果たして、おじさんたちに未来はあるのか! いや、あるのか? (初出:『月刊群雛』2015年04月号) 『日本』 紅葉が映える山間の風景を画用紙に描く葉山卓は、自分の技術が一向に上手にならないことに不安を感じるが、ナースの鈴木裕子からの励ましで描き続ける。しかし、結局はそれを活かすことなく、ある単調な作業場で働くことになる。そこで生活は保障されるのだが……。 (初出:『月刊群雛』2015年01月号) 表紙イラスト:しんいち(『月刊群雛』2014年07月号表紙イラスト担当) -
アンダーワールドストリートへようこそ
「あなた呪われていますよ」 裏社会通り。日常のほんの裏側、一歩道を違えた場所にある謎めいた街には、その身に呪いを抱えた“厄人”が集っている。 あまりに不運な自分の身の上を「呪われている」と看破されてしまった四つ葉つゆりもまた、その街に迷い込んだ。 彼女が出会うのは、誰からも忘れられる女殺し屋、何もかもを忘れられない情報通、生ける藁人形に宿る探偵、セクシーなインチキ霊媒師……そして、全てを「生かす」呪いにとり憑かれた男――。 呪われた人々の運命が、ひとつの事件を巡って集約していき――。 -
無理矢理な人たち ~この素晴らしき世界~
物語の語り手である《おれ》は、とあるバーで出会った奇妙な老紳士《傷の痕》氏から、人の内面をのぞき見ることができるという不思議なコンタクトレンズを受け取る。《おれ》は個性豊かな7人の人生を覗き見て老紳士に語り聞かせる。 一見普通に見かけるような人々…。愛嬌がある太めの女の子。データ入力を生業にする痩せ細った男。変態性癖を隠し持つビルの清掃員兼ブルースギタリスト。勘違いな超ナルシストのビジュアル系バンドマン。男性不信の三十代後半独身キャリアウーマン。過去のトラウマゆえ人形にしか心を開かないSV(スーバーバイザー)の男。石膏のような厚化粧をした良家の令嬢。 物語はそれぞれの人生を細やかに描き出していく。彼らがそれぞれに抱えている決して普通ではない闇と光、痛みと喜び。何が今の彼らをつくったのか。やがてそれぞれの物語が交錯して絡み合ってゆき、《おれ》と老紳士《傷の痕》の関係にも劇的な変化が訪れるのであった。 救いのないようにも思えるエピソードの中で、愚かでどうしようもない、それでも愛すべき「人という生き物」を軽妙な語り口で描いた一冊。 ※本作品は2010年に、ぶんか社より電子出版されていたものを加筆訂正し再発売。 表紙絵・寺澤晋吾 -
バタフライダンスにSAYONARA
夢の中では無敵の<帝王ホリウチ>として、やりたい放題。 しかし現実に帰れば、派遣ドライバーの仕事を適当にこなしながら両親と同居する、牛乳大好物のイモくさい男。 やがて、あまりにも夢の世界だけを求めていくうちに、夢うつつの境界がずれていく。 冒頭に引用される荘子『胡蝶の夢』さながら、黒アゲハが随所にあらわれ、堀内の夢と現実の世界を行き来し、両者の境界の危うさを露呈させる……。 精彩に富む故に震撼とさせるホラー描写、サイコ・ミステリー的謎解き、脱力ギャグ、切ない恋物語と、バラエティに富んだエンターテイメント性満載……現実とは?夢とは? 心とは? 他人とは? 社会とは? と哲学させもする異色のハイブリッド・ノベル。 ミュージシャン、画家としても活躍する著者 寺澤 晋吾の『夕焼けとにょろり』『七日目の蝉』『無理矢理な人たち~この素晴らしき世界~』に続く小説第4弾。 表紙絵・寺澤晋吾 -
ビタースイートホーム
詩集「半島の地図」(思潮社)で第10回山本健吉文学賞を受賞、最新詩集「Tiger is here.」(思潮社)が第23回萩原朔太郎賞候補になるなど注目される川口晴美。 2014年9月~翌年1月にかけてマイナビブックスブログ「ことばのかたち ~日々が紙から飛びだして~」で連載した「ビタースイートホーム」が電子詩集になりました。頁が進むにつれ、詩の言葉は地上のどこにもない記憶の家へと静かに深く入り込み、読者の記憶をも揺り動かします。全16編を収録。 【目次】 遡行/夕暮れの水/まるい石/ヒミツの話/浮遊する王国/窓の外は晴れている/押入れのなか/旅人算/緑色のコップ/ヤモリの行方/かたい儀式/なんでもないこと/光の開口部/おなじなのに別々の家/裸足のことば/庭には -
P+D BOOKS 銃と十字架
初めて司祭となった日本人の生涯を描く。 「何のために苦しい旅を続けるのか。いつかは捕まり、殺されることも確実なのだ。しかし、いかなる苦渋にみちても肩から人生の十字架を棄ててはならぬ」……。 船を乗り継ぎ、砂漠をよぎって、日本人として初めてエルサレムを訪れ、後にローマに学び司祭となった実在の人物・ペドロ岐部。 この破天荒な訪欧大旅行は、イエズス会亜等の組織の保護なしに、個人の自力で成し遂げた、日本人としても最初の快挙だった。やがて彼はキリシタン弾圧の荒れ狂う日本に立ち戻り、使命に生きたのだが……。 17世紀前半の日本におけるキリスト教弾圧の貴重な通史であり、「沈黙」とともに、作者のキリスト教観の理論的な最高峰に位置する一冊である。一日本人ペトロ岐部の劇的生涯を描く。 -
P+D BOOKS 熱風
中上健次、未完の遺作が初単行本化&電子化! 1個3億円のエメラルド3個を携え、ブラジルから来日したオリエントの康の遺児タケオは、新宿で「中本」の一統である“毒味男”や、オリュウノオバの甥っ子である“九階の怪人”と出会う。 “毒味男”の一味は、最初に地上げ屋の斎藤順一郎を焼き殺したが、彼らの周囲をGメンが嗅ぎ回り始めので、一味は共に紀州・新宮へ舞い戻る。そして、次の標的に土地の実力者・佐倉(この時、130歳近い年齢だが)を選ぶのだが……。 新たな抗争の予感を湛える長編。「千年の愉楽」の続編ともいえる未完作。「週刊ポスト」にて連載中に絶筆した。 -
捜査四課・実相寺丈
都知事にかかってきたテロ予告電話、不法残留中国人の集団脱走、この二つの事件を結ぶ意外な事実とは!? 東京都知事室に「東京を火の海にする…」という脅迫電話がかかってきた。犯人の狙いは何なのか。混乱する都庁。その夜、入国管理局の収容所が襲われ、警備官を殺害、不法残留の中国人が大量脱走した。ふたつの兇悪事件を結ぶ意外な事実に気付いた警視庁捜査四課の実相寺は、怒りに燃えて、一匹の猟犬と化し、陰謀の核心に肉薄していった。長篇ハードサスペンス。 ●龍一京(りゅう・いっきょう) 1941年大分県生まれ。元兵庫県警察、司法警察官として主に公安を担当する。退職後、コンサルタント業等を経て、作家に転身。著者の実体験をふんだんに織り込んだ、リアルな刑事の実態を描く警察小説を得意とする。『偽装捜査』(光文社文庫)、『鬼刑事(デカ)謀殺痕』(祥伝社文庫)など著書多数。 -
捜査一課・瓜生田洋
自動車会社と運輸省の贈収賄に絡んだ刺殺事件と脅迫事件! 二つを結ぶ点と線を追う刑事の苦悩 安田自動車工業の社長秘書・藤井一恵が自宅で刺殺され、会社の最高幹部三人の元へ脅迫状が届いた。警視庁捜一の瓜生田洋(うりゅうだひろし)は怨恨の線から調べ始め、容疑者の一人として運輸省交通局の課長が浮かび上がるが、彼も刺殺され捜査は難航を極めた。三つの事件を結ぶ点と線を追う瓜生田は、ある証言から、過去に起きた交通事故にすべての事件を解くカギを見つける。そして辿り着いた意外な人物に…。 ●龍一京(りゅう・いっきょう) 1941年大分県生まれ。元兵庫県警察、司法警察官として主に公安を担当する。退職後、コンサルタント業等を経て、作家に転身。著者の実体験をふんだんに織り込んだ、リアルな刑事の実態を描く警察小説を得意とする。『偽装捜査』(光文社文庫)、『鬼刑事(デカ)謀殺痕』(祥伝社文庫)など著書多数。 -
美人警部補裏調書
見知らぬ人間の不動産を乗っ取れるか? 美人婦警の泥棒稼業! 新宿派出所は、婦人警官ばかりで、そのソフトな雰囲気は人気があった。だが、派出所につめている英明玖美(はなぶさ・めぐみ)警部補以下、五人の婦警には“裏の顔”があった。ある日、交通事故で知った女性が、見知らぬ男性に自宅のマンションを乗っ取られたと訴えてくる。明玖美たちが裏で調べ始めると、金と欲に汚れた人間関係が見えてきた。美人婦警たちは、その鋭敏な頭脳と美貌で悪人を出し抜けるか…? 不動産をめぐる長編サスペンス。 ●龍一京(りゅう・いっきょう) 1941年大分県生まれ。元兵庫県警察、司法警察官として主に公安を担当する。退職後、コンサルタント業等を経て、作家に転身。著者の実体験をふんだんに織り込んだ、リアルな刑事の実態を描く警察小説を得意とする。『偽装捜査』(光文社文庫)、『鬼刑事(デカ)謀殺痕』(祥伝社文庫)など著書多数。 -
無頼漢・真道明彦
巨悪に挑む男の熱い怒り! 大蔵省若手エリート官僚変死事件の裏に潜む陰謀とは… 東京・世田谷の高級マンションの一室で大蔵省主計局の若手エリートと、二人の若い外国人女性が変死体で発見された。女とギャンブルにうつつを抜かす大手出版社の落ちこぼれ社員・真道明彦(しんどうあきひこ)は、美貌の女弁護士・粟津景子の依頼をうけ、事件の鍵を握る元秘書の行方を探しはじめる。調査をすすめる真道は、スキャンダラスな事件の裏に政財界、警察権力をも巻き込んだ巨大な陰謀が蠢いているのを知り、戦いを挑む。長篇ハード・サスペンス第1弾。 ●広山義慶(ひろやま・よしのり) 1935年大阪生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒業。児童文学、翻訳、TVドラマの脚本家を経て、1983年『夏回帰線』でデビュー。『女喰い』シリーズ(祥伝社)、『無法戦士・雷神』シリーズ(光文社)などハード・バイオレンスを中心に著書多数。 -
マジカル・シティ・ナイト
昼と夜、神と悪魔、科学と魔法の逆転した都市“マジカル・シティ”に現れた殺人鬼を倒せ! マジカル・シティ……それは現代の科学技術から隔離され、中世以来魔術が発達した〈もうひとつの世界〉。市民は日常的に魔術や妖術、呪術を使い、夜ともなれば魔神、悪魔、精霊、妖魔達の跋扈する百鬼夜行の世界へとシティは変貌する。あるとき、毒ガスを噴射し無差別に市民を殺害する怪人、マッド・ガッサーが現れた。命を受け、魔術犯罪専門特捜官〈騎士(ナイト)〉である、道術師のベン・スズキと吸血鬼女のエスターがその捜査に乗り出した! 大人気オカルト・ホラー・アクション、その第1弾が電子で復刊! 表紙&口絵イラストは義仲翔子による描き下ろし。 ●朝松 健(あさまつ・けん) 1956年札幌生まれ。東洋大学卒。出版社勤務を経て、1986年『魔教の幻影』でデビュー。ホラー、伝奇など、幅広い執筆活動を続けている。2006年『東山殿御庭』が第58回推理作家協会賞短編部門の候補となる。近年は室町時代に材をとった幻想怪奇小説〈室町ゴシック〉、一休宗純を主人公とした〈一休シリーズ〉、妖怪と人間との心温まる交流をユーモアたっぷりに描いた〈ちゃらぽこ〉ほかの妖怪時代コメディなどを発表している。 -
泉鏡花 現代語訳集10 海神別荘
【あらすじ】 海底世界の公子は、さまざまな海の宝と引き換えに、貧しい漁師の美しい一人娘を妻として迎えることとなった。 案内の女官に海底へと導かれたその美女は、故郷を離れて嘆き悲しむのではないかという公子の懸念をよそに、彼の力と宮殿の壮麗さ、そこに満ち溢れる金銀宝玉を喜び、人間の世界へなど帰りたくはないと言う。 が、いまや自らの身を包むこの栄華、それは措くとしても、自分が海の底で生きていることだけは、どうしても故郷の人々に知らせたく、そのために一度陸へ戻らせて欲しい―と強く請うた。 それに対し、公子は「人は自分自身だけで生を生きなければならない。それに、ここに来た貴女は、もう人間ではない。」と宣告したのだった。 人々の目に、自分が蛇体に見えることを知った美女は悲泣し、どうか殺して欲しいと公子に願うのである。 -
化粧
さびれた芝居小屋の淋しい楽屋に、一人の女が座っている……。女の名前は五月洋子。大衆演劇「五月座」の女座長である。やがて客入れの始まる音が聞こえ、いよいよ初日幕開きの時刻が近づいてくる。洋子が舞台化粧を始めたその楽屋に、かつて彼女が捨てた息子だという人物が現れた――。捨てたのではない、ああするより他に仕方なかったのだ。わかっておくれ……。洋子の語る物語に、観客は幻惑されていく。井上ひさし初の一人芝居にして、一人芝居というジャンルの中でも最高峰と讃えられる傑作中の傑作戯曲。併せて松尾芭蕉の生涯を描く、歌仙仕立ての名作『芭蕉通夜舟』も収録。モノローグの至芸を味わえる戯曲集。 -
見えないほどの遠くの空を
2011年5月公開映画の原作小説。 賢は大学で映画研究会に属している。今回は賢が監督で映画を撮ることになった。映画のヒロインには同じく映画研究会に所属する杉崎莉沙が選ばれる。莉沙も実は監督志望、賢が書いた脚本のセリフをめぐって言い争いとなり、賢は莉沙と少し険悪になる。撮影は進むが、莉沙の最後のワンショットを残して、彼女が交通事故に遭い死んでしまい、映画は頓挫する。そんな時、賢は街で莉沙にそっくりな女性を見かける。追いかけて話を聞くと、莉沙の双子の妹の洋子だった。賢は洋子に白羽の矢を立て、彼女を起用して最後のワンショットを撮影し、未完の映画に終止符を打とうとする。大学の映画研究会のメンバーを招集して撮影の再開を告げる賢だったが。集まったメンバーたち、そんな賢の申し出に、何故か戸惑うのだった。「見えないもの。手で触れられないもの。あるってことを証明できないもの。それを信じて欲しいんだ」ひそかに莉沙に思いを寄せていた賢には、深く胸に突き刺さる彼女の言葉だった。2011年5月公開映画の、監督自らが執筆した原作小説。 -
御伽草子
英国に滞在している両親と別れて暮らす早紀は、結婚を考えていた恋人にふられ、新しくできた彼氏とも別れ、姉のように慕っていた若くて美しい叔母の「りいちゃん」を失って以来、日ごとに孤独な思いを募らせていった。仕事に生きがいを感じてはいたが心の中の空虚感は埋められはしない。そんな早紀を「りいちゃん」は早く幸せに気づくように歌声を響かせる。そしてもうひとり、ずっと早紀を見守ってきた人物がいた。同僚の谷崎君だった。やっと彼の思いに気づいて「ごめんね、わたし、谷崎君の気持ちに、一度も応えたことがなかった」という早紀。しかしそのとき、彼は父親の勧める縁談を受け入れる覚悟をしていた。適齢期を迎えた女性の揺れる心を描く著者の初期の作品。 -
俺のハートがNOと言う
俺のハートがNOと言い、彼女の返事もNOと言う。 音大を中退し、才能はあるものの芽が出ず、宙ぶらりんな25歳のバンドマンが2人。 東京を離れ、束の間、東北の地方都市にドサ回り興行に出る。 短いなりに、いちおう、安い下宿を借りての生活だ。 そこへある日、ホステスの女が加わる。 女が1人に男が2人。起こるべくして事が起こり、思いがけない事態になり、男は逃げる、2人とも。 時を経て、再会。女はうらまず、すべてを決めていて、男たちは前に進めない。 いやしかし、何かが変わった、確実に。 その感触を男たちは、オートバイに乗りながら、確かめる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
水玉模様と月の光り
バカな男2人を、しかし女は責めてはいない。 学生の夏休み。東京からオートバイでやってきて、あまりの暑さに、シャワー浴びたさに、 分不相応なホテルに部屋を取ってしまう。 部屋があり、スナックがあり、ビールがあり、そこに彼女がやってきて、思いがけないことになった。友人を呼び出したら、また思いがけないことになった。 2つの思いがけないことのあいだに、彼女はいる。 2人の男たちの目の前に、彼女はいる。 彼女は責めてはいない、静かな悲しみが男たちをうちのめす。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
ホワイト・アルバム
夏の個人教授 片岡義男のこれまでの短編の中で繰り返し出てくるモチーフや場面が、ここでも複数、登場する。 夏。オートバイ。路上の出会い。 年上の女。年下の男。旅。ストリッパー。 そして、片岡作品の王道(?)である「個人教授」がここにも。 これら見慣れたモチーフが組み合わされると、しかしその都度、新しい物語が生まれる。 同じようなシーンを繰り返し描いてきた片岡義男の短編は、なぜいつもあたらしいのか。 留まるのではなく、通過することを描いているからこそ、ほんの一晩、二晩の滞在の輪郭が鮮やかなものになる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
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