<ポイント>
・きちんと自分という軸を持つことが大切。それがあれば、線が引ける。Iメッセージという考え方とおなじではないか。
・自分という軸がないから、相手の圧に負けてしまう。線を引けなくなる。
<ピックアップ>
〇バウンダリーとは、「自分と他者の間にある境界線」のこと。どこまで相手と関るか、どこから自分を守るかを自分で決めるための心理的な境界線を意味する。自分を守るために、「それ以上はやめてください」と言っていい。
〇あなたの人生はあなたのもの、あなたの時間はあなたのもの。
〇時間は有限。だから、「自分の領域はここ」「自分はここまでしかできない」と線を決めて、自分の領域を守るようにしている。時間は命。時間を使うというのは自分の人生をあげることなので、この人なら自分をかけてもいいと思える人にしか注いじゃダメ。
〇「考え・価値観」のバウンダリーは、自分の考えや他者の考えを分け、異なっていても、お互いがそれを尊重するためのもの。
〇「考え・価値観」のバウンダリーがあいまいだと、
・周りの意見に簡単に影響され、自分の考えがわからなくなる
・「みんながそうだから」という理由で行動を決めて、あとから後悔する
・価値観の合わない環境でも、それを認識できずにストレスをためてしまう
バウンダリーがひけると、まわりの人から「~すべき」「~が正しい」などと価値観を押し付けられたときにも、「あなたはそう考えるのですね。でも、私は違います」と穏やかに主張できる。周りの声に流されず、自分の判断で物事を決めることができる。
〇「感情」のバウンダリーとは、自分の感情と他者の感情を区別し、自分の感情を守る。そのバウンダリーがあいまいだと、自分の感情を出すのをためらう、周りの人の感情に影響されやすくなったりする。また、相手を怒らせた、悲しませたというように、他者の感情に対して過剰な責任を感じてしまう。「例えば、「もうつらい」と言ったのに「この程度で『つらい』なんて甘えだ」などと、他人から自分の感情を否定されることもバウンダリーを超えられること。
〇線を引かないままだと他人から、「自分の時間」を「ちょっとこれやっておいて」と奪われたり、「自分の意見」を「未熟だからわかっていない」とつぶされたり、「自分の感情」を「甘えだから、我慢しろ」と否定されたり、どんどん自分の領域に他人が入ってきて、自分の人生なのに、自分のものではなくなってしまう。
〇人間関係に線を引くことは、「自分で自分を守ること」、「自分を尊重すること」でもある。同時に「相手を守る」「相手を尊重する」ことでもある。自分も相手も尊重しつつ、限られた時間やエネルギーを大切にして、快適で充実した人生を送る。
〇線を引くのは繊細な作業。自分がどう思っているか、どこがゆずれないかという自分の価値観や考え方、感情を知る必要がある。「この線から先に入ってこられるとしんどい」をはっきりさせるために、自分と丁寧に向き合い、自分を細やかに知っておく必要がある。「そもそも自分ってどういう人間なんだろう」ということを知る。
☆第1章 「線を引く」ってどういうこと?
〇バウンダリーを引くことは、「誰に」「どこまでOKするか」という問題と考えてみる。「誰に」「どこまでOKするか」の線を引くのかは、一人ひとり違う。自分の性質、感性、自分のキャパシティを把握していないと、ずるずると自分の領域に侵入されて、時間も心も削られる。
〇「普通」や「常識」に惑わされない。「『普通の人』なんて実在しない生き物を目指すからしんどくなる。大丈夫、みんなどっかは変だって」と考える。「普通」という言葉にとらわれすぎていないか。自分の「できない」を、勝手に努力不足に変換してはダメ。みんなができていても、普通はできていても、自分はできなくていい。得意、不得意は誰にでもあって、能力は人それぞれ。「自分はできない」で線を引いていい。
〇自分の考え方や体力、感じ方はその時々で変わる。よって、線引きは、変えてもいい。「今の自分の体力や時間的余裕で、これはできることか」「今の自分の価値観で、これは優先順位の高いことだろうか」と自分に問いかけて、自分を知る力。今の自分のキャパシティや今の自分の価値観を把握する力である。自分を知るからこそ、自分なりの線が引ける。
〇「自分には価値がある」と宣言する。つまり、線を引く前に、大前提がある。それは、「自分には価値がある。丁寧に扱われ、尊重される存在であり、誰からも侵入されたり奪われるべきではない。」と心の底から思い、認めること。私を守るために線を引くことができる。「自分は尊重されるべき、不当に扱われてはいけないから、線を引く」という捉え方。逆に、他人との境界線があいまいな人は「どこかしら、「自分には守るほどの価値なんてない」「自分なんかが尊重さえるわけがない」というような意識がある。もっと自分を大事にする。自分を肯定する材料なんてなくても、無条件に自分を大事に肯定していい。あなたの時間にも、行動にも、身体にも、思考にも、感情にも、全てに価値がある。誰かと比べて秀でていなくても、誰かの役に立っていなくても、何の成果を出せなくても、である。
〇全方向にいい人になるのをやめる。他人からの期待は他人の持ち物。あなたが気負う必要はない。他人の期待に一切答えてはいけないと言っているわけではない。ただ、「どこまでこたえるか」「どのような時には応えられないのか」などの線を引いたほうがいい。
〇悪い人になれと言っているわけではない。すべての人間関係を同じように大切にしようとすると無理が生じる。
〇人間関係に優先順位をつけてみる。
〇できる自分を時には手放す。自分に対して一番期待値が高いのは自分で、その自分を叱るのも、責めるのも、落ち込ませるのも自分というパターンは多い。自分は、「スーパーマンじゃない」って認める。「できないのは、がんばっていないから」「努力が足りないから、ダメなんだ」と思いがちですが、人間には人それぞれ限界のラインがある。それを認められないから、「頑張りが足りない」「努力が足りない」と自分を責めてしまうところがある。いつもいつもスーパーマンのつもりで、線引きをしているから疲れてしまう一面もある。仮面・キャラを人や場面に応じて変えることで、自分に無理をせず、線を引く。
〇「できるけど、やらない」にトライする。「できること=やるべきこと」ではない。「できるけど、あえてやらない」にトライしてみる。「頼まれたからやる」「できるからやる」ではなく、「やりたいからやる」「やる必要があるからやる」で判断してみる。同僚に手伝ってと他のまれたから手伝うのではなく、「この仕事は私がやる必要があるだろうか」と立ち止まって考える。
〇あなたの人生、所有権も選択権もあなたのもの。人の領域ずかずか入ってくる人がいる。よって、「立ち入り禁止」の看板をしっかり見せる必要がある。「普通」は人それぞれ。
〇「多少、自分が損しても、自分以外の誰かに決めてほしい」という感覚は誰しもが少なからずある。でも、それは「多少の損」ではなく「大きな搾取」になったりする。自分の人生は、自分のもの。「自分の領域」を守るために、自分で責任を持ち、自分の意志で線を引けたとき、人生も人間関係も、もっとラクになる。
☆第2章 線を引くにはまず「自分を知る」
〇自分の状態に目を向ける。例えば、本当はクタクタなのに、「上司の期待に応えられない」とか「思うように仕事の結果が出せない」とか悩んでしまいがち。いやいや、人間、疲れてたら人の期待に応えられないし、仕事でいいパフォーマンスなんて出せない。よって、まずは自分の疲れを認め、休むことが大事。自分を犠牲にしてまで仕事やお客様や家族のために頑張りすぎるのは、良くない。疲れ切っているかどうかのポイントは、「いつもの自分とは違う行動に気づいたとき」。例えば、「いつもはスッと眠れるのに、ここのところ眠れない」、「普通ならスルーできることで、すごくイライラしてしまう」など、いつもとは違う自分に気づいたときは、意識して休む。
〇ワーク1
Q 今のあなたは、疲れていませんか? 何に疲れていますか?
〇ワーク2
Q 最近、「いつもの自分」「普段の自分」と違うな、と気づいたことがありますか? どういうときでしょうか?
〇「今すぐやめる」は選択しない。「今すぐ」というのは一番わかりやすく一番簡単な答えであるが、最終手段である。そもそも「今すぐ断ち切る」「今すぐやめる」と思う時って、精神的に追い詰められていることが多い。まずはある程度、冷静な判断ができるくらいまで、心や体力を回復させる方が先決。そして、「一気にゼロにする」ような極端な話ではなく、「減らす」方法がないかを考える。
〇ワーク3
Q 「しんどい」「つらい」と思っているものを軽いものから重いものまで書き出してみる。そして、10段階でランクをつけてみましょう。(10がしんどい)
〇ワーク4
Q 右のうち「1~5」のものを少しでも減らすにはどうしたらいいと思いますか?
〇自分を知るための時間をもつ。「常識」「普通」がじゃまをして、自分の考えや感覚がわからなくなってしまう人は多い。背景も事情も何もかも違う人同士が出会う現代において、「阿吽の呼吸」は無理がある。だから、人間関係に線を引く基本は、「自分はどうしたいか」を伝える。「相手はどうしたいか」を聞く。この2つがわからないと、どこで折り合いをつけていいかわからないもの。そして折り合いをつけるために必要なのが、まず、「自分はどうしたいか」を知ること、自分の体力や能力、気持ちを、考えを知ることである。まずは、自分を知るための時間を持つ。「自分が、本当は、どうしたいか」をはっきりさせる。
・私は本当はどうしたいか
・この選択をすると、自分は心地よくいられるか
・普通はそうかもしれないけど、自分の場合は大丈夫だろうか
・常識に縛られて、自分の思いやキャパシティを無視してないだろうか
例えば)「上司が残業しているのに帰るかどうか」に迷うケースなら、
・「体が疲れていてしんどいから、今は帰りたい」なら、「お先に失礼していいでしょうか」と伝えて、帰る。
・「ちょっと疲れているけど、上司と一緒に残業してしまったほうがこの先の仕事がラクになるかも」と判断したなら残業する。
・「これは残業して上司にアピールするチャンス」と思ったのなら、残業するなど、様々な選択肢がある。様々な選択肢の中から「自分は本当はどうしたいのか」「自分は残業をできる状況か」を考えて決める。
人間関係に「線を引く」には、「自分」の気持ちや状況を伝えることが大事。けれど、その前に、ちゃんと「自分」をわかっているか?
〇ワーク5
Q 「常識」「普通」のように言われたことで違和感を持ったことはありますか?
〇ワーク6
Q 上の出来事を、「自分の出来事」を、「自分の考え」「自分の感覚」「自分の状況」ではどう思いますか?
〇主語を私にすると、あくまでも「自分の領域内」の話になる。例えば、「他人の人はできるかもしれないけど、私は、しんどい」。また、もう一つ大切なのは、「イヤだな」という気持ちが湧いたら、無視しないこと。「イヤ」は自分の心を知るための大切なシグナル。
〇ワーク7
Q 最近、モヤモヤしたり、「うまく気持ちを言えないな」と感じた出来事を書いてみてください。
〇ワーク8
Q 上の出来事を「私は」をつけて、気持ちを素直に思うまま書いてみてください。
〇「イヤなこと」の記録をとる。「イヤ」は自分を知るための大切なシグナル。「自分がどんな状況だとイヤになるか」を知りたかったら、「イヤになること記録」をつけてみるのがよい。
〇イヤなことを記録したら、イヤなことに共通項がないか、みてみる。例えば、直属の上司の言動に対するモノだとしたら、その上司に対して何か特別な感情があるんじゃないかとうたがってみる。もし、上司の言動が嫌なのであれば、それに対してどんな対策ができるかを考える。
〇「イヤなこと記録」には、「イヤと思うこと」とともに、「そのとき、自分はどういう状況だったか」も記録してみる。「おなかがすいたときにイライラしている」「マイナス思考になるのは、夕方以降、早く帰りたいとき」といったように「どういう状況のときに自分はイヤな気分になりがちなのか」の傾向もわかる。「イヤと思うこと+自分の状況」を考えて対策すると、他人と自分の間に心地いい線が引けていく。
〇ワーク9
Q 最近、イヤだったことを3つあげてください。
〇ワーク10
Q 上のときの自分の状況やコンディションも書いてみてください。
〇人間関係に「線を引く」ときの基本は、あくまでも「言葉で伝える」こと。自分の考えやキャパシティの「これから先は入らないでください」ということをしっかり伝える。もちろん、伝えてもわかってもらえないこともある。しかし、大事なのは、「まずは伝えてみる」こと。そして、伝えた結果、相手にNOと言われてもショックを受けないこと。世の中、立て看板を立ててもルールを守ってくれる人ばかりではない。まずは立て看板を立てて、「ルールはこれです」を明言する。誰も察してはくれないので、自分の言葉で伝える。
〇自分を大事にすることで失われる関係なら、失われても仕方ないかもしれない。そんな関係、対等な関係でない。自分が我慢するかどうかは自分で決める。自分の領域。あなたの領域を尊重せず我慢を強いる人とは、そっと距離をとれたらいい。
〇ワーク11
Q 最近感じた不満やモヤモヤした出来事を思い出してください。その時の考えや気持ちを言葉にして伝えるとしたらどんな表現がありますか?
〇ワーク12
Q 考えや気持ちを伝えてもわかってくれない人はいますか?その人との関係を続けることで、自分にとってプラスになること、マイナスになることはありますか?
〇「自分が我慢すれば」ということをやめて、自分の意見や気持ちを伝える。もちろん、あなたが勇気を出して意見や気持ちを伝えるたのに、否定されたり、怒ったりする人もいる。今まで侵入を許していた相手が自己主張をしだすと、彼らにとっては都合に悪いからである。それでも、「あなたにはあなたの意見や気持ちを言いう権利がある」ということを忘れない。「ちょっと無理をすれば」と思ったときに、無理をせずに伝える。
〇ワーク13
Q 最近、誰かに「気持ちや意見を伝えて、それを受け入れてもらった」経験はありますか?
〇ワーク14
Q 「私がちょっと無理すれば」「これくらいなら自分が我慢すれば」と思ったことはありますか?それを我慢せずに伝えるならどんなふうに言いますか?
〇自分を知り、「自分はどうしたいか」を伝えることができたら、次に大切なのは「すり合わせる」こと。大事なのは、自分の気持ちや考えを伝え、相手の気持ちや考えにも耳を傾けること。そして話し合いによって少しずつ線引きをしていく。不満をためたり、相手にイライラする前に話し合いをすることが大切。また、人間関係で線を引くときに気をつけたいのは「ゼロ百」で考えないようにすること。
〇ワーク15
Q 最近、自分と他の人との要望が合わなくて、モメたり、自分が我慢したことはありますか?その時の自分の気持ちを言葉にしてください。
〇ワーク16
Q 上の出来事で、相手の要望しだいでどこまで線引きを変えられますか?(「相手の希望」を仮定して考えてみてください。
〇気持ちや考えを言語化する練習をする。
・スルーフレーズ
「それはプライベートなのでちょっと秘密にしておきますね」
「その話題はわりと苦手なので、別の話にしませんか?」
・マイペースフレーズ
「今、集中したいことがあるので、またの機会にお願いします」
「スケジュールがつまっていて、対応が難しそうです」
・受け止めフレーズ
「○○さんは、そういう意見なんですね(私は違います)」
「考え方は人それぞれですよね」
・やんわり自己主張フレーズ
「その考えは素敵ですね。私はこういう考え方もあると思いますが」
「私はこう思いますが、○○さんの意見も確かにと思います」
・前置きクッションフレーズ
「お忙しいところすみません、今お時間いいですか?」
「急じゃないので、ご都合のいいときでかまいません」
・NOでもOKフレーズ
「大変だったら言ってくださいね」
「ダメだったら断っていただいてかまいません」
〇ワーク17
Q これまで紹介したフレーズで、これは使えそうだなと思うものを書いてください。
☆第3章 関係性の中で線を引く
〇「心地いい人」「苦手な人」を考えてみる。「OKパーソン」「NGパーソン」を考えて書き出す。
例えば、どんな人と一緒にいたら心地いいのか?
→話をちゃんと聞いてくれる、一緒にいて沈黙が苦じゃない、ネガティブな状況でも前向きになれる人など
逆に、「苦手な人」とは、
→自分の話ばかりする、頼みごとをするときだけ連絡をする人、意見を言うと「でも」「そうかな」と否定してくれる人
〇レジリエンス育成のための要因の一つに「他者との関係性を築くこと」が含まれる。
〇ワーク1
Q 一緒にいて「うまくやれたな」「心地いいな」と思った人は誰ですか?その人たちの共通点についても考えてみてください。
〇ワーク2
Q 一緒にいて「なんだかイヤだな」「苦手だな」と思った人は誰ですか?その人たちの共通点についても考えてみてください。
〇職場の人間関係は2段階で線を引く。
まず、第1段階目
自分にとって「仕事」がどういうものかを考えてみる。
例えば、次の3つの内、あなたの感覚はどれに近いですか?
①仕事は人生そのもの。仕事の人間関係は家族のように大切なもの
②仕事は自己実現のためのツール。人間関係はドライでいい
③仕事はお金を稼ぐためのもの。人間関係は多少ぎくしゃくしてもOK
仕事に対するスタンスは異なる。自分にとって「仕事」はどういう存在かを考えたうえで、第2段階へ。
第2段階目
仕事に関する「人間関係」を考える
「部長とはスムーズに仕事できればそれでいいかな」
「同僚とはランチまでは楽しみたい」
「先輩は一定の距離をとっておきたいな」
というように、それぞれの人との線を引く。
最初に、「自分にとって『仕事』とはどういう存在か」を考えてから、それぞれの人間関係について考える。「『仕事』へのスタンス×人間関係」で線引きを考える。
〇ワーク3
Q あなたにとって、「仕事とはどういう存在か」を考えて、書いてみてください。
〇ワーク4
Q 上で書き出した自分の「仕事へのスタンス」を踏まえて、仕事上の人間関係を考えてみる。(例:「上司には~する」「同僚には~する」「部下(後輩)には~する」など)
〇アドバイスと指示は分けて考える。シンプルに言えば、「上司が何を言うか」は「上司の領域」ですが、上司の発現を受けた結果どうするかは「部下の領域」である。それを聞き入れるのもスルーするのも部下の選択。ただ、ここで一つンポイントといえることがある。それが「業務指示」と「アドバイス」を分けること。例えば、「3日後の13時までに資料を提出してください」などは業務指示。上司の価値観や思いは入っていない。もし、その指示ができない場合は、「能力の問題」なのか、「スケジュールの問題」なのか、できない理由を言葉で伝える必要がある。一方、「もっと仕事に情熱を持った方がいい」「残業をイヤがるべきじゃない」などは明らかな「業務指示」とは言い難い。「私の言う通りに動くべき」「私と同じ考えを持つべき」という「べき思考」を押し付けられると、自分の領域に踏み込まれていると感じるもの。部下や上司の関係であっても価値観は人それぞれ。アドバイスという形で「べき思考」を押し付けられていないか注意が必要。「自分の価値観=他人の価値観」ではない。そんな人の「べき」に巻き込まれないよう線引きをしていきたい。
〇ワーク5
Q 上司や先輩など上の立場の人から言われた言葉で「なんか違う」「どうなんだろう?」と疑問に思ったり、不満に思ったりした言葉はありますか?
〇ワーク6
Q 上の言葉の中にその人の「べき思考」のような価値観や思い入れはありますか?
〇「ずるい人」の真似をしてみる。「ずるい」は「羨ましい」から生じるもの。つまりその感情はあなたが目標にするものを教えてくれる。「ずるい」と思ったら、「自分もそれができるのでは」と考えてみる。「要領のいい人」が「ずるい」と思われることと引き換えに自由を手にしているが、それは、あなたも手にしていい自由。
〇まじめな人や責任感の強い人は注意することは、「自分の領域の外の責任を負いがちなこと」。自分の領域の外にある責任をたくさん負わされるのは、搾取である。
〇ワーク7
Q あなたのまわりに「ずるい」と思う人はいますか?
〇ワーク8
Q 「ずるい人」のマネをあなたがするとしたら、何ができますか?
〇少数派でも、自分の希望は伝えていい。伝えることは自分を尊重する上でとても大切である。ただ、伝えても、そのこういをやめてくれたりするかは別問題。人は様々な「枠組み」の中で生きていく。集団の枠組みの中で「どこまでならできるか」を考える。
〇ワーク9
Q あなたはどんなコミュニティ・集団に属していますか?その中でイヤだなと思うルールや慣習はありますか?
〇ワーク10
Q 上のイヤだと思ったコミュニティ・集団のルールや習慣について、イヤだと伝えるとしたら、どのような言葉で伝えますか?
〇SNS上の赤の他人から批判的なことを言われても、家族や友人など身近な人から言われたのと同じように受け取らないということ。誰にどんな言葉を投げられるかはコントロールできなくても、誰のどんな言葉を受け取るかはあなたがコントロールできる。「情報とのバウンダリー」をしっかり引くことで心を守ることができる。心を守るために「いらない情報」「自分を凹ませる情報」などを外していく。よって、SNSの目的を考えてみる。
〇ワーク11
Q SNSで、「イヤだな」「凹んだ」「悩んだ」と思う場面を書いてみてください。
〇ワーク12
Q あなたは今、どんなSNSをどんな目的で使っていますか?
〇パートナーとのルールについて、自分なりの譲れない部分や自分の気持ちをしっかり把握する。そして、尊重すべき大事な部分をお互い知っていく。
〇ワーク13
Q パートナーに「これだけはしてほしい」ことは何ですか?
〇ワーク14
Q パートナーに「これだけはしてほしくない」ことは何ですか?
〇親からの「こうすべき」を疑ってみる。親から言われた言葉を改めて考えてみて、今のあなたの判断で「自分は悪くない」と思うのなら、それは、親からの「自分はダメという呪い」だと思ってください。そして、それを手放す。自分の気持ちを伝えたり、自分のやりたいことをすることに罪悪感を持ってしまうなら、過去の「親の支配」が影響しているかもし知れない。親の期待に応えなきゃと思うもの、しかし、親の期待に応えることが人生の優先順位の上位に来てしまうと、「自分で選ぶ自由」が奪われていく。自分で選ぶ力があるため、他人(親)の人生を生きるのではなく、自分の人生を生きる。
〇ワーク15
Q もしも「親の支配」がなかったら、どんな人生を歩んでいたかイメージしてみてください。仕事は? 住む場所は? まわりにいる人は?
☆第4章 「相手の線」を尊重する
〇相手の気持ちは相手のもの。本当のところは相手にしかわからない。相手の気持ちを汲み取っているつもりでも、あくまでも「自分が想像した相手の気持ち」でしかない。
例えば、
・健康診断の数値が悪かった人に、聞かれてもいないのに自分の健康法を教える
・身内をなくした同僚を励ますために、飲み会を企画する
・同僚のAさんに「BさんがAさんの仕事ぶりを批判していたよ」とネガティブなことを言う
〇ワーク1
Q 最近、やさしさや親切から行動して「失敗したかもなぁ」と感じたことはありますか?
〇ワーク2
Q 上の出来事を振り返って「線を越えてしまったかどうか」を考えてみてください。
〇「自分の領域」と「他人の領域」を分けて、踏み込まない。知らず知らずのうちに相手の領域に踏み込んでしまっていることがある。「良かれと思って」「やってあげているのに」というフレーズが頭に浮かんだときは、注意。自分の「よかれ」だけで動くのは、領域侵入になってしまうことも多い。また、「やってあげているのに」にも気をつけたい。自分がやってあげているに、思ったようなリアクションが帰ってこないと腹立たしくなるかもしれないが、もし頼まれていないとしたら、自分が勝手にやっているだけかもしれない。相手のリアクションは相手のもの。それを思いどおりにしようとするのは、領域侵入かもしれないという視点は大切である。
〇モヤモヤしたり、イライラしたときは、それが「自分の領域」か「他人の領域」かを意識するクセをつける。
〇自分が相手のことをどう思うかは自由。でも、自分には相手の行動や感情を操作する権利はない。
〇ワーク3
Q 「やってあげている」のに、思ったようなリアクションが返ってこなかったことはありますか?
〇ワーク4
Q 上の出来事の中で「自分の領域」はどこまでだったかを考えてみてください。
〇よかれと思ったことでも、あえて「やってあげない」をやってみる。「相手へのアドバイス」は相手の領域に踏み込むことになりがちなので注意が必要。「アドバイス」という顔をして自分の「べき思考」を押し付けているから。アドバイスは相手の領域侵入の代表格。
〇バウンダリーは「責任の範囲」の話でもある。自信で責任を取れない範囲のことは口を出していけない。
〇「イヤだったらNOと言えばいい」という人もいるかもしれないが、NOという側もエネルギーを使う。
〇ワーク5
Q 「○○すべき」と思うことを5つ書いてみてください。
〇ワーク6
Q上に書いた「べき」を万人に当てはまる「べき」か、自分が思い込んでいる「べき」か、それぞれ1~10で評価してください。(10→万人が思う 1→自分だけが思っている)
〇勝手に期待をかけて、勝手にがっかりしない。相手に期待をかけるときも、相手の領域に入っていないかを気をつける。
〇バウンダリーで考えると「自分に向けられた期待」は「自分の領域」のように見えますが、「相手の領域」である。あくまでも「期待」はかけた人の持ち物。ですから、「期待をかけられた人」が背負う必要はない。
〇他人に勝手に期待して勝手にがっかりするというのは、本当に誰も得しないシステム。そもそも他人は自分の思い通りには動かないということを、常々忘れないようにしたい。他人は自分の期待通りに動かない。
〇「してほしい」という期待は、「すべき」の押し付けに進化する。
〇相手の期待に応えるか答えないか決めるのは、あくまでも自分。他人の期待に応えるために生まれてきたわけではない。期待に無理に応える必要はない。自分の人生の責任は自分がもつもの。自分はどうしたいかを考える。自分で選択して、その選択の責任を取れるようになることが、「線を引く」のに大事なこと。「期待」は「かけた人」の持ち物。応えるかどうかは相手しだい。
〇ワーク7
Q 今、誰かに期待していることはありますか?誰に、どのような期待をかけていますか?
〇ワーク8
Q 自分にかけられた期待で「困った」「イヤだなぁ」と思った経験はありますか?
☆第5章 バウンダリーバスターに振り回されない
〇感情的になるのは、相手の領域。人間関係の基本は「他人の行動は変えられない」ということ。感情の感情の出し方は「相手の領域」なので、止められない。
〇自分の領域を守るためには、まず、最初に考えたいのは、「相手との距離」。相手の行動は変えられなくても、それにイライラする自分は変えられる。次に考えるのは、「その態度は、いきすぎではないか」を考える。自分に火があったとしても、だからといって人前で大きな項で長時間怒鳴られたり、人格否定をされていいわけではない。バウンダリーを無視する人にはきちんと意思表示して対処する。バウンダリーを無視する人はきちんと意思を伝えて対処しないと、どんどん侵入を続けてくる。自分で線を引き、自分の領域を守る。
〇「あなたのためを思って」を受け取らない自由がある。「やさしさ」や「心配」というふうを装って、自分の意見を押し付ける、「おせっかいバウンダリーバスター」がいる。「心配してくれたのに、モヤモヤする自分がひどいのかな」と罪悪感を持ってしまう人すらいる。しかし、いくら「あなたのためを思って」「心配だから」と言われても、あなたが「イヤだ」「したくない」と思うかどうか、そのうえでどう行動をするかは「あなたの領域」。つまり、あなたの感情や考えを優先していい。
<切り返しフレーズ>
・「お前のためを思って言っているんだからな」
→ありがとうございます。でも自分で決めることにしますね。
・「普通はそんなことをしないだろ」
→私の中の普通とはちょっと違うかも
・「心配だから言っているんだよ」
→気持ちはうれしいけど、自分で判断したい
・「あとで後悔しても知らないぞ」
→後悔も経験だと思って楽しみます
〇「すぐに決めない練習」をする。すぐに、YES/NOを言わず、スケジュールを確認してから返事をする。
①すぐに決めない。いったん保留する。
②自分の状況や気落ちを確認する。
〇「お断りフレーズ」
ポイントは「気持ち」と「答え」を分ける。
例)(気持ち)とてもうれしいお誘いですが、(答え)調整が難しいです
〇バウンダリーバスターのような境界線を無視してくる人は、まず、「線引き」が理解できていないことも多い。
〇距離を取るとは、2つあり、「心理的距離」と「物理的距離」がある。
①心理的距離「気持ちの上での距離」
自分が強く出られない相手などに対しては、「人間の6割は水でできているから、目の前の人は水。水が何か騒いでいるな」と捉える。
②物理的距離「同じ空間にいないこと」
職場で上司が怒鳴りだしたときは「話し合いには応じますが、大きな声で言われると怖くて離せないのでいったん席を離れます」などと宣言してその場を離れる。「立ち入った場合は警察に通報します」という立て看板と一緒で、自分の領域を守る宣言をすることが大切。いきなりすると相手は理解できませんから、前もって「こうされるのであれば、わたしはこうします」と宣言しておき、それでもやめれもらえなければ逃げる。宣言しても侵入してくる人からは逃げられるうちに逃げよう。
〇大事なのは、「マイルール」に従って行動すること、そしてそんな自分を尊重してくれる人とだけ関わっていく。「自分を大切にしてくれない人を大切にする必要があるのか」を考える。
マイルール例
・遅刻が5回続いたら、ドタキャンが3回続いたら仕事から外す
・夜22時以降は電話を取らない。15分続いたら、電話を切る。
・「やるのはいいですが、3,000円いただきます」と値段をつける。
〇私たちは常に誰かにとって、無意識の加害性(こんなことがハラスメント?こんなことで加害と言われる?)を持っている。バウンダリーをきちんと意識するのは、自分の権利を尊重すると同時に、相手の権利も尊重することにつながる。