あらすじ
その真実に、きっと涙する――。
洋菓子店で起こるささやかな事件が、二人の未来を照らし出す。
六年間、夫の闘病生活を支えた著者。亡き夫に捧ぐ、勇気をもらえる愛の物語。
「今日はどんなお客さんの話?」
西荻窪にあるコイズミ洋菓子店で働く二葉には、腹部に肉腫を抱え長期入院中の夫、一星がいる。
一星は大のケーキ好きだが、禁食のため空腹と暇を持て余しており、いつしか、二葉が店から持ち帰るささやかな謎を解き明かすことが二人の楽しみとなった。
幼い女の子が香りを頼りに一人探し続ける「楽しいお菓子」とは?
実家を出た娘の誕生日ケーキを毎年購入し、記録し続けた亡き両親の真意とは?
そして、謎に隠された様々な想いに触れた二人が選ぶ未来とは――。
「ほどなく、お別れです」シリーズ著者、渾身の書き下ろし。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ご主人の闘病を支えられた作者の経験、気持ちが込められているからでしょうか。
謎解き、としつつも、ラブストーリーであると感じます。
愛する人の痛み、苦しみを間近で見ながら、どうすることもできない葛藤。
大丈夫だと言い聞かせながら、不安に耐える日々。
遺していく側の配慮にも、愛情の深さが見えてしまいます。
甘いケーキ、その食感、その香り。
それらに絡めながらのストーリーなのに、口に入れることも出来ないなんて。
読み終わった今、悲しいのと、寂しいのと、温かい気持ちとがないまぜになっていて、うまく言えませんが、夫婦ってこうありたいと思える作品だと思いました。
Posted by ブクログ
『ほどなく、お別れです』『神楽坂スパイス・ボックス』の各3巻を読んで長月天音さんファンになりました。
『私が愛した余命探偵』は悲しいお別れのお話しだとわかっているのに美味しそうなケーキの描写と謎解きにワクワクして第五話で泣きました。
長月さんも御主人様の長い闘病生活を支えられたからこそ、より胸を打たれた素敵な物語でした。
Posted by ブクログ
最近読んだ本で1番心に残った
記憶を消してまた読みたいし、消さなくてもまた読みたい。
自分が医療に関わっているからこそ、緩和ケアを受ける患者さんとその家族にとって1日1日がどれだけ大切なものかを感じて、尚更涙が溢れた。
先が見えなくても、幸せな記録残して、幸せに居ることがどれだけ心の安らぎになるのか、と考えさせられた。
私は病気を受け入れた2人のシーンがとても好きで、お互いを思いやるからこそすれ違っていた2人が、心が重なったなと思った。
幸せだけど、どうしてもとても悲しい話。病気に向き合うってこういうことだよね、悲しくも思った。
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腹部に肉腫を抱えて長期入院中の夫の「一星」
妻の「二葉」は西荻窪のコイズミ洋菓子店で働く
二葉は一星に身の回りで起こる謎を話して
2人は謎解きをしていく
甘いお菓子
人を傷つけないミステリー
病を患う家族への思い
病を患い支えて貰う家族への思い
一星の二葉への思いが深くて大きい
じんわり優しい気持ちに溢れた作品
初読み作家さんの作品
『キッチン常夜灯』も読んでみたい
Posted by ブクログ
感動した。感動した。これほどまでに感情が震えたお話はかつてありませんでした。『私が愛した余命探偵』の題名からすると、読む前に命と尊さを感じる予感がしました。特に印象に残ったセリフが「こっちだって同じ心境だったからね。でも、君のおかげで一星は必死に生きようとしてくれている。本当にありがとう二葉さん」そして読んでいてケーキが食べたくなりました。特に「クレームブリュレ」と「コイズミ純白ロール」でした。物語に反しますが一星に長生きして欲しかった。あなたも読んで震えて下さい。感涙して下さい。
Posted by ブクログ
洋菓子店に勤めていた時に出会った2人だったが、夫は病気になってしまった。それでも、小さな少女が毎日来ては何も買わずに帰っていく謎などを夫に話すと推理して探偵のように当ててしまった。幾度と難問を解いていたのだが、とうとう命が尽きてしまう悲しい話。
Posted by ブクログ
とても心が温まる、でも切なくもある愛の物語でした。
主な登場人物は、
コイズミ洋菓子店で働く河合二葉
二葉の夫で長期入院中の河合一星
コイズミ洋菓子店の店主
作品はプロローグとエピローグ、1話から5話で出来ています。
1話から5話とエピローグは妻、二葉の語りで物語は進むのですが、プロローグは一星の語りです。
私は、このプロローグが一番好きです。彼の気持ちがとても良く伝わりました。
物語の舞台は洋菓子店と病院です。
そこでのちょっとした謎解きと夫婦の交わりが描かれていて、5話はティッシュ無しでは読めませんでした。
辛くて悲しい、暗い気持ちになるだろうと思える設定だけれど、温かくて優しくて、後に背中を押してくれるであろうと思える素敵な作品でした。
Posted by ブクログ
入院中の夫に洋菓子店での変わったお客さんの話を聞かせる妻の、ほっこりする夫婦の話。
洋菓子店を中心に色々な家族の像が見えて面白かった。
優しさと愛が詰まった作品。
Posted by ブクログ
タイトルから推理ものかと思ったら、温かい夫婦の物語だった。
ケーキ屋さん繫がりで結婚したケーキ好きの二人だけど、夫の一星は肉腫の治療で禁食中という辛い設定。
闘病中でお互い苦しい状況だけど、いつもさりげなく相手を思いやっている姿がいい。
今まで知らなかったけど、著者の長月天音さんは、癌のご主人の6年もの闘病を支えられていたそう。
今作や「ほどなく、お別れです」に込められた思いが、すっと腑に落ちた。
Posted by ブクログ
やはりタイトルの通り余命ということで、悲しく辛い空気感はありつつ、その中でも生きている時間想いあっている2人。
でもやっぱり辛い…。
Posted by ブクログ
西荻窪のコイズミ洋菓子店で働く二葉の夫・一星は病気で長期入院中。食事も取れず病室で過ごす一星は二葉がコイズミ洋菓子店で出会ったお客さんにまつわるちょっとした謎解きを楽しんでいた。
「におい」を頼りにケーキを探す女の子、洋菓子店の前を老犬と散歩する老婦人、病院内のカフェで誰かを待ち続ける男性、40年間以上に渡るバースデーケーキのアルバムを持ってきた女性。
はっきり答え合わせができない謎も含まれてはいるけれど、悲しい結末などはない。結末も二葉が前向きになれるエンディングでよかった。
人見知りで厨房から出て来ない、マッチングアプリで出会った女性を何時間も待った末にすっぽかされるなど、シェフがいいキャラをしていた。シェフにもいい出会いがあってほしい。
Posted by ブクログ
去年はまった『ほどなくお別れです』シリーズの長月天音さん。
腹部に腫瘍が出来てしまい半年近く入院している夫の一星と、洋菓子店に勤めつつ夫を支える妻の二葉。
ある日二葉は、退屈な一星にせがまれお店に来るお客さんの謎を話し聞かせるように。
2日に1回ロールケーキを買って行くおばあさん、匂いで思い出のケーキを探す女の子、娘が独り立ちした後も誕生日ケーキを買い続けた老夫婦。記念日に行く事が多いケーキ屋さんには色々な思い出があるもんね。