上野千鶴子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
舗装されているとは言わないまでも、自分の歩いている道が砂利道であれ、けものみちであれ、ずっと前にここを踏みしめて作ってくれた人たちのおかげでできたものだということに初めて気づかされた。男並みに働くことがカッコいいと、若かりし頃は確かに思っていた。その男の陰で、母や妻や子が人知れず言葉を飲み込んだり涙したりしていたかもしれないことに、今までは思い至らなかった。その人たちのためにも、後に続く女性たちに「ごめんなさいと言わなくてもすむ社会を手渡」せるよう、この本から得た問題意識を持ち続けていきたい。
星をひとつ減らしたのは、著者の見ている老後の景色はまだまだ恵まれているもので、実態を把握しているとは -
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Posted by ブクログ
女の選択肢は増えたけどそもそもが男社会。これを当たり前として育てられたら、自分に不都合でもない限りその偏った構造に気づけない。不都合がある者、つまり女ばかりが声をあげるから、フェミニズムは偏った考え方だと非難されやすい。
私もフェミニズムについて理解しきれていない。この本に書かれていること全てに賛同できるというわけでもない。ただ日本のジェンダーギャップ指数の低さは日本人全員が恥ずべきことだと思う。そしてそれをもっと問題にしていくべきだと思うし、男女共に考えていかなければいけない。フェミニズムは女性だけの問題ではない。正直、日本はジェンダーギャップ指数が低いですと言われても、でしょうねとしか思わ -
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Posted by ブクログ
上野千鶴子さんと対談したものをまとめた本。
どなたも強烈な個性のある人ばかりで、古いものは2012年のもの。でも何の制度を使うのがベストか?というノウハウ本ではないため、様々な人の一人で死ぬことに対しての考え方を知ることができ、ヒントになる。
稲垣えみ子の母親が認知症を自覚し「私、これから何もできなくなっていくんでしょう。どうやって生きていったらいいのかな」は、若年性認知症になった時の気持ちを考えると寂しく息苦しい気持ち。
香山リカの、母親の介護を終えた時点で自分が多分60代~70代、そこから残りの人生をどう生きるか予測がつかない、という気持ち。老後は自分の親が死んだときから始まる、に納得。
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Posted by ブクログ
上野先生の情報整理力、コメント力にまきとられて、思わずノンストップで読み終えてしまった。
改めて女性の「働く」をめぐる社会動向や政策について把握できたのが個人的にはありがたかった。
久しぶりに読んだ「上野節」。
「『論争』は聴衆に向かって行うもの」と言い切られるだけあって、挑発的な独特な言い回しを差し引いても、読んでる側に突きつけられるものが多々あった。
どんなに理想を追っても、頑張っても自分1人の世代では「ちょっとはマシ」が関の山なのかな、と最後に思いつつ、「100のノイズのなかから数個の意味あるメッセージ」を見出す心持ちはなくさないでいたい。 -
Posted by ブクログ
漢字表記や言葉遣いが分かりやすく、幅広い世代に読みやすくなっていて親切だという第一印象。中身も、フェミニズムのイメージがアップデートされていない(なんかいつも怒っている、うるさいなと感じている)人たちこそ読んでほしい一冊になった。いま、数ある問題(その多くは格差だけど)を放置し続ければ将来は二流国どころか最貧国になっているんじゃないかと思った。高齢貧困女性問題についても、メディアでは普通の、役職なし女性の、収入やライフスタイルなどフォーカスしていない部分にもそろそろ俎上に乗せてもよいのではないか。みながみな、管理職になれるわけではない、そうじゃない生き方もあることを知ることも必要と感じる。弱者