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ヒトが欲情するのは,そうさせる「文化装置」があるから――.援助交際・婚活殺人・「こじらせ女子」など時代ごとの性風景や,春画・写真・オブジェなど古今東西のアートから,発情を強いる「エロスのシナリオ」を大胆に読みとく.性からタブー・虚飾を剥ぎとり,アラレもない姿を堂々と示す,迫力のセクシュアリティ論.
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Posted by ブクログ
個人的な上野千鶴子さんのイメージは フェミニズムの急先鋒、といったところで、 あまりポジティブなイメージはなかったけれど、 かといって当人の言論を直截見たことはなかったので読んでみた。 序盤は面白い立ち位置から興味深い言論が展開されていた。 近代になって“使用禁止の性”が生まれたとあって、 ほかの...続きを読むところで読んだ“青年期は近代の産物”という話と合わさってとても腑に落ちた。 売春と買春についても男性の目線が色濃く出た言論が罷り通っているのはその通りだと思った。 中盤以降は“フェミニズム”と聞いて思い浮かびそうなネガティブな部分が顔を出してくる。 初めのほうから不要に男女を対立構造にして語っていたけれど、 男女の性の非対称性というあまりにも自明の部分に噛みついたり、 個人の恋愛観を有名人であるという免罪符を高々と掲げてこき下ろしたりしている。 エッセイのような形式で不快感を示すだけならいくらでも好きにやればいいと思うけれど、そこまでの文脈と合わない切り口に感じた。 男性個人から向けられる視線と社会から向けられる視線をごっちゃにして語っているように感じられた。 「戦争は女の顔をしていない」というのは最近また脚光を浴びる言い回しになった印象があるけれど、そもそも社会だって女の顔はしていなかった。 今でも社会での男女の不平等を語るときにまず初めに登場する指標は「賃金差」であって、つまり社会という場は「カネを稼ぐ場」、つまり飯のタネを掴む場、原始的には狩りだったものの代替として語られるものである。 出産という過程を男性が代わりにできるものでない以上、男女の賃金が完全に平等(見かけ上)な社会というのは、全く子どもが生まれなくなったか、もしくは会社が大きな負担をしている社会ということになる。 事実誤認もある。 性の隔離を批判しているところがあるけれど、少なくとも日本における性の隔離は差別ではなく役割による区別による部分が大きい。 修験道で女体とされる山やほこらが女人禁制になっていることを「逆説」だとしている。 これは女性である山に女性が入ると山が怒るから、というのが定番の言い回しで、これは女性に対する畏れ、敬意の表れになる。 また、山という危険な区域に女性を入れてむざむざ喪うわけにはいかない、という事情もあるように思う。 社会における“男女平等”が金銭面で表現されるうちは、その向かう先はディストピアにしかならないし、フェミニズムの目指すべきところは平等の定義づけだと思う。 社会がどうしても金銭の多寡でしか語れないのであれば、新生児の金銭的価値を社会的に定義づけするしかないのではないかなー、と思ったりした。
東大名誉教授として、東大入学生への彼女の祝辞は、東京医科大学の受験における女性差別から、メタ知識の重要性で締め括る、とびきりクールで理知的なスピーチだった。ただのフェミニストではなく、知性を感じる公平な内容。 本著を開いて一瞬、そのギャップにびびるが、本質は同じ。女性器の名称を連呼し、隠された性の...続きを読む不自然さ、背後の差別意識をとことん追求する。女性の性欲を肯定したい。何故、昔の女性は性行為を苦痛に感じたか。女性が性快楽を自ら求めたら不都合でもあるのか。 女体が記号化されている、との表現は目を引いた。確かに、陰部だけで、強烈に扇情的な力を持つ女性器だが、それが肉体としての繋がりがイメージされず、パーツだけ、かつ、意味付けや記憶が無ければ、男性は恐らく発情しない。ただの肉の造形だ。しかし、それが発情装置として、文化的意味を持つようになる。性行為や性欲は、文化、制度の延長線にある、というのは共感できる内容だった。
1987-1998年論文をまとめた1998年版に、80年代-2010年代の時局発言を追補、半世紀にわたるセクシュアルティの地殻変動期を性的身体として生きた一人の女の歴史的証言。 性の抑圧やタブーは、文学やアートの源泉でもある。
自著解題より セックス音ハードルはたしかに下がった。女性に性欲があることは当然視されるようになったし、女性が快楽を求めることにもスティグマはなくなった。女性があからさまにセックスやマスターベーションを口にすることへのタブーも、なくなりはしないが、確実に少なくなった。結婚の前にも後にも外にも、女性がセ...続きを読むックスを求めることに社会的な制裁はいちじるしく減少した。そうでなかった時代のことを思うと、隔世の感がある。だが、それはほんとうに女性にとって「性解放」だったのだろうか? その反面、ジェンダーの非対称性がおどろくほど変わっていないことにも驚く。避妊の知識と技術が普及したのに、無知からではなく遠慮からパートナーに避妊を言い出せない女。「今どこに誰といる?」と恋人に訊かれてしょっちゅう写メを証拠写真としておくらなければならない拘束を、愛情ととりちがえる女。…(中略)… 性解放は女の性の自立と自律を求めるもののはずだった。だが結局、いくらハダカで向き合っても「ベッドの中」だけが解放区になるはずもない。ベッドの中には、ありとあらゆくる社会的・経済的・政治的な非対称性が持ち込まれるだけにすぎないことが、あれから四〇年経ってみれば、あらためてよくわかる。フェミニズムの標語、「個人的なことは政治的である」は今でも有効なのだ。
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