上野千鶴子のレビュー一覧
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日本のジェンダー論をわかりやすい二軸論にたてかえ、フェミニズムとマルクス主義における女性論を整理した本。
もちろんわかりやすくしたのだから、種々の議論が抜けている、視座が偏っている、などなどの批判はある。が、≪男性=女性≫という対立関係の中から抜け出せないで議論されていた女性論、僕なりに言えば「解放される主体としての女性をどこにおいたらいいのか論」を、マルクス主義批判をもって非常にわかりやすく転回しまとめたという点でこの本の価値はある。
またこの家父長制と資本制という二軸から女性論を捉える視座の批判から、それをすることによって初めて明らかになる人間関係を規定する制度もあるだろう。
本人の -
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ネタバレいわゆる良い大学を出た人間の最大の強みは「やればなんとかなる、自分にはそれだけの力がある、という意識を持てていることである」、という言葉が印象的でした。学歴がもたらすものは「知識」よりも「自信」なのだということ、そしてその「自信」が無ければ先に進む為に行動を起こすことすら出来なくなってしまうこと等が書かれていました。
低学歴でかつニート・フリーターなど社会的に弱い立場にある人達が思考停止しそこから脱出しようとする意欲すら持たなくなる背景にはこのような心理的背景があるのだということ、本人達の「怠け」ではなく学歴社会による心理的な圧迫があるのではないかという疑問に思い至り、社会問題を感情論ではな -
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日本のフェミニズムの40年近い闘いの歴史は、本当に闘いであったのだなと思わされた。大きくとらえれば、既存の男社会が敵ということになるのだろうが、そのなかでも、当初はとにかく現状打破という感じであったのが、最近ではバックラッシュ派との闘いが主になっている。つまり、敵がその時々で変わりながらの40年だったというわけで、それはそれで非常に骨の折れることだったろうと思うけれど、一方では、この変遷はフェミニズムの発展……というよりも世間の女性蔑視の風潮の変化(それも遅々とではあるが前進している)の表れでもあるのだろう。
本書を読むと変化の激しいなかでも上野千鶴子はブレていない。考えの変化はあるのかもしれ -
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「おひとりさま」という流行語の本家本元、上野さんの「男」バージョンおひとりさま道です。
上野さんは女性であるので、どれだけ分析できるかという興味もあって手に取ったのですが、
やはり社会学の達人、いろいろな書物からの参照のみならず、いくつかのインタビュー等による分析は流石です。
未婚率も年々上昇しているし、男のほうが頭数も多いし、熟年離婚によるおひとりさまも増えている状況で、男おひとりさまも笑えない状況です。会社時代の栄光とか上下関係とか、そういうのは一切通じない(逆にそれらを楯に話すと村八分にあう)世代の仲間に入っていくには、40代・50代のうちから「人持ち」になることが一番重要とのこと。お金 -
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ジェンダーの理論家である上野千鶴子さんの最近のテーマは「おひとりさまの老後」。
若い頃からずっと扱ってきたフェミニズムというテーマでは、上野さんは研究者であると同時に、自分自身が研究対象でした。
あらたなこのテーマにおいても、上野さんは、研究者と研究対象を兼務しています。
幸福な人生の典型として描かれるのが、「夫婦子供二人」だとしたら、「おひとりさま」に対して人が抱く思いは、孤独であり、寂しさでしょう。
でも、この本では、「おひとりさま」であることに、肯定的で、潔い決意を持った上野千鶴子という研究対象が描かれています。
これを読むと、私たちも、「どんと来い!おひとりさま」という気分になれそう -
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ほとんど高2の時に読んだ『スカートの下の劇場・・・ひとはどうしてパンティにこだわるのか』(1990年・岩波書店刊行、のち岩波現代文庫2009年)以来、単行本を手にしていなかった上野千鶴子ですが、それでも雑誌掲載論文とか対談集やアンソロジーくらいは読んでいましたが、このあたりで全貌を明らかにするために少し読み込んでみようと思っています。
フェミニズムについても、もう一度おさらいする時期だとも考えていますから。
それにしても、他を圧倒する気っ風のいい論客として名高い千鶴子センセですが、昨年アラカンを迎えられたとはとても信じられませんし、少し前にヒットしたのは、なんと『おひとりさまの老後』(法研 -
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ネタバレ健康診断のリストを見て若い人に「年齢がばれるから嫌ですね」と言われました(年齢によって検査項目が増えるから)。当たり障りなくかわすためには「ね、ほんと嫌だー」というようなことをひとこと言っておくと良いみたい。「(その年齢に)見えないから大丈夫ですよ」というフォローにはとりあえず自分を下げ気味に表現しておきます。挨拶みたいなものだから、こちらも世渡り的に必要な範囲のリアクションを返します。しかしエイジズムについて学んだ経験を無視できないし、サラッとかわすにしても少しだけ労力が要る。というわけで読み始めた本。
「わたしたちは「若い(あるいは年齢より若く見える)ことが価値であるような社会に住んでい -
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上野千鶴子さんや樋口恵子さんが好きだ。この方たちの活動のおかげで日本の介護保険制度が高齢者とその家族を守ってくれているのだ。
お家で一人で死ねますか?はい、できます。家族がいてもいなくてもできます。独居でもがんでも認知症でも。心強い答えである。
自宅での看取りが病院や施設と比べてお金がかかるわけではない(むしろかからない)ということ、必要なサービスを必要なだけいれることが可能だということ、よく説明されていた。
高齢者が亡くなった時あわてて救急車を呼ぶのでなく、訪問看護ステーション、主治医、ケアマネ、訪問介護事業所の緊急対応窓口に連絡をと。大事な知識だ。 -
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ネタバレ2021年に出版された社会学者の上野千鶴子さんの本。一般的には、病院で亡くなるものと考えられている中、在宅で死を迎えることができると説明している。私もいくつか在宅での終末医療の本を読んだことがあったため、在宅で死を迎えることは可能だと考えていたので、特に違和感がなかった。ただ、新たに知ったこともあったので、まとめておきたい。
・年寄りの容態が悪化したとき、119番はしないことと筆者は言う。これには驚くけど、理由がある。 火事場の大騒ぎのような死に目に逢わなければならないことは、避けられるため。
・施設はある意味、刑務所なようなもの。そのように考えたことがなかったので驚いた。生活が 24 時間 -
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この本を学生の時に読んでいたら、挑戦しがいがありそうだと真剣に研究者を目指したか、こりゃ無理だとますます尻尾巻いて逃げる方向に拍車がかかったか、体の向きがどっちに傾いたかはちょっとわからない。けど、研究って、論文ってなに?状態で五里霧中の四苦八苦だったあのころに、こんなに明晰でしかも自信たっぷりなノウハウ本に出会っていたら、ありがたく吸収しただろうことは確実!と思った。
とはいえ、同じようなことは先生も先輩も言ってくれてた気がするが、みんな優しかった⋯。私は何より土台がゆるゆるなのでそこから⋯。
備忘メモ。
・ノイズから問いは発生する。
・答えの出る問い、手に負える問い、検証のためのデ -
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「フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のまま尊重されることを求める思想です。」
これは本書に限らず上野さんがよく発言されていることだが、忘れないようにメモしておく。私が今まで「女だからと不利を被った覚えがない⋯」と感じていたのは、良い環境に恵まれたからなのと、強者のトラックを曲がりなりにもそこそこ順調に走ってきたからだった。きっと私自身が幾人も虐げてきたのだろう。これから何ができるだろう。
本書の冒頭に、吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』の「君たち」に女の子は含まれていないと書かれていた。私にはそれ