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Posted by ブクログ
なんとなく批判的に使っている「家父長制」「資本制」という言葉を一度しっかり勉強してみたいと思って読む。かなり難しい箇所もあったが、考えさせられる箇所もいくつもあり、結果的に読んでよかったと思える読書だった。
以下、特に印象に残った部分。
・家庭外労働というものは、労働時間も定まらない、際限なくおそいかかる家事労働からの防衛手段としてある
・家事労働サーヴィスを自分の賃金より安いコストで買うことのできる女たちは労働者化し、自分の労働賃金が家事労働購入価格と同等かそれ以下の女たちは家庭にとどまるだろう。
それより経済階層の低い「働かざるをえない」女たちは、家事労働者なみの賃金で、自分じしんの家庭の家事労働負担をかかえたその上に賃労働にも従事するだろう。
・いずれにしても、家事労働があらゆる労働の中でもっとも低く位置づけられている事実は変わらない。市場が家事労働の価格を最低限におさえる限り、女たちは家事労働をより劣悪な条件の下におかれた労働者に代行させて、自らの労働力を売りに市場へ出ていくことだろう。
・進行しているのは、労働市場全域におけるグローバルな家父長制の再編である。かつて女が家庭で行っていたことを、今は女性や高齢者や移民が周辺労働として行う。家事労働の外部化や福祉労働の現場で、すでにその事態はすすんでいる。ここでは、性に加えて、年齢、階級、人種、国籍のような経済外の変数が、新たな政治的な差異として「辺境」をつくり出しつつある。国民国家という利益共同体のメンバーであり、階級集団の成員でもある女性は、いまや、多国籍化した資本制の受益者にして加害者でもある。
・ありとあらゆる変数を問わず、労働の編成に内在する格差の問題が残るーそれは、なぜ人間の生命を産み育て、その死をみとるという労働(再生産労働)が、その他のすべての労働の下位におかれるのか、という根源的な問題である。
家事や育児、介護といった仕事は、明らかに大変で価値ある仕事なのに、なぜその他の仕事をする方が優れているとされるのだろう、というのはわたしも思っていた問題だった。
今この本が書かれた当時より女性の社会進出が進んでいるとしても、結局誰もやりたくない家事や福祉を弱い立場の女性や移民になすりつけているようでは、根本的な差別の解決にはなっていない。
再生産労働を見直し、評価する動きが必要になってくるのではないだろうか。さもなくば「市場」をダウンサイズするほかない。
そして私が生まれる前からこの問題を提示していた上野先生はすごい。今はもう少し疑問を解き明かしているのだろうか。最近の上野先生の著作も読んでみたい。
Posted by ブクログ
日本のジェンダー論をわかりやすい二軸論にたてかえ、フェミニズムとマルクス主義における女性論を整理した本。
もちろんわかりやすくしたのだから、種々の議論が抜けている、視座が偏っている、などなどの批判はある。が、≪男性=女性≫という対立関係の中から抜け出せないで議論されていた女性論、僕なりに言えば「解放される主体としての女性をどこにおいたらいいのか論」を、マルクス主義批判をもって非常にわかりやすく転回しまとめたという点でこの本の価値はある。
またこの家父長制と資本制という二軸から女性論を捉える視座の批判から、それをすることによって初めて明らかになる人間関係を規定する制度もあるだろう。
本人の過激な発言で脚光を浴びまた批判を浴びることの多い筆者だが、マルクス同様人間性に囚われない新しい批判がこれから登場しさらなる男女論、そして社会科学(科学?笑)の発展のためにも真摯に読まれ批判されて欲しい一冊だ。
Posted by ブクログ
ほとんど高2の時に読んだ『スカートの下の劇場・・・ひとはどうしてパンティにこだわるのか』(1990年・岩波書店刊行、のち岩波現代文庫2009年)以来、単行本を手にしていなかった上野千鶴子ですが、それでも雑誌掲載論文とか対談集やアンソロジーくらいは読んでいましたが、このあたりで全貌を明らかにするために少し読み込んでみようと思っています。
フェミニズムについても、もう一度おさらいする時期だとも考えていますから。
それにしても、他を圧倒する気っ風のいい論客として名高い千鶴子センセですが、昨年アラカンを迎えられたとはとても信じられませんし、少し前にヒットしたのは、なんと『おひとりさまの老後』(法研刊行2007年)という著作でびっくり仰天した覚えがあります。・・・・・
Posted by ブクログ
上野千鶴子がいかにしてフェミニズム界のスターになったのかがよくわかる。これだけ鮮やかかつ明晰に理論を展開できる手腕はすごい。
30年も前の本なので、今ではさらに研究が蓄積され、理論的にも実証的にこれを乗り越える研究がいくつもされているのだと思う。とはいうものの、ここで指摘されている家父長制的な男性のあり様に対する批判は、今でも全然通用する。というか、外形的には大きく変わっているように見えて、その実、このメカニズムは完全に温存されているし、それに乗っかった男性の意識も変わっていないように思う。
なにしろ「そして父になる」みたいな作品が感動作として平気で成立・流通している世の中だから、まだまだ先は長い。
Posted by ブクログ
副題~マルクス主義フェミニズムの地平
フェミニズムとマルクス? 一体どこでどうつながるのか?
婦人解放(時代を感じる言葉です)思想の歴史をみると、社会主義婦人解放論は女性解放を社会主義革命に還元し、ラディカル・フェミニズムは性革命を再重要視する。歴史的に女性は男性に支配されてきた、との両者の説だが、それを階級支配というなら、それをマルクス主義は「資本制」と名付け、フェミニストは「近代家父長制」と名付けた。
それに続く思想として、新マルクス主義フェミニズムが現れ、それは上記2つの論を統合したものである。近代社会の中で女性は「資本制」と「家父長制」の二重の抑圧を受けているというのだ。
会社・社会は男が作った男による男のための社会で、かかあ天下なんてまぎらわしい言葉もあるがそれはオブラートで、家庭は男を再生産するための場所、であるな、と言い換えてみる。
それにしてもなんと論旨の展開の明快さよ。
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