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Posted by ブクログ
ジェンダーの理論家である上野千鶴子さんの最近のテーマは「おひとりさまの老後」。
若い頃からずっと扱ってきたフェミニズムというテーマでは、上野さんは研究者であると同時に、自分自身が研究対象でした。
あらたなこのテーマにおいても、上野さんは、研究者と研究対象を兼務しています。
幸福な人生の典型として描かれるのが、「夫婦子供二人」だとしたら、「おひとりさま」に対して人が抱く思いは、孤独であり、寂しさでしょう。
でも、この本では、「おひとりさま」であることに、肯定的で、潔い決意を持った上野千鶴子という研究対象が描かれています。
これを読むと、私たちも、「どんと来い!おひとりさま」という気分になれそうな気がします。
父母を相次いで亡くし、年末年始を供に過す人がいなくなったとき。供に過す「家族」を探そうと思い、女友だちに声をかけました。
「お願い。大晦日と元旦を一緒に過して」
三人で、缶ビールで乾杯し、明け方には初詣に出かけました。
わたしはそのときのことを、いまでも恩義に感じている。会うたびに、「あのときは一緒に『お正月家族』したねえ」となつかしく思い出す。
ひとりものが「家族持ち」を心底ねたましいと思うのは、こんなときだ。
というより、こんなときだけだ、と言ってもよい。
最近では、大晦日を一緒に過す友人は、誰にしようかと迷うほど増えました。
私はこれを「大晦日家族」と呼んできた。
あれこれ考えると、選択肢がいっぱいあって迷ってしまう。
家族持ちではないが、自分が「人持ち」だと感じるのは、こんなときだ。
自ら「おひとりさま」を選択した人ばかりではなく、絶対に「おふたりさま」を望んだ人も、いつか、「おひとりさま」になってしまうことはあります。
結婚は社会契約。「つがい」は繁殖期の行動。夫婦は子育ての戦友だ。だが、子供を育てるという一大事業が終わったあとは、いったん契約を解除してもっとゆるやかな関係を結びなおしてもいいのではないだろうか。
超高齢化社会には、家族の義務から解放された男女のおひとりさまが、あらためて男女共学の仲間づきあいをできるようになればよいのに、というのがわたしの「おひとりさまの未来」だ。人生八十年時代、つがいでいる期間はその四分の一。人生百年ならその五分の一だ。「おふたりさま」がゴールであるような考え方を、そろそろ捨ててもいいんじゃないかと思う。
Posted by ブクログ
上野千鶴子のエッセイをまとめて読むのは『ミッドナイトコール』以来だと思う。
攻撃的挑発的な上野節は影を潜め、読んでいて心地がいい「B面のわたし」のエッセイ。(個人的には『ひとりの午後に』よりも『B面のわたし』の方がグッとくるものがある)
結婚、老い、上野千鶴子の個人史等、「プライベートは切り売りしない」はずの上野千鶴子が素直に語ってるのは、あとがきにも出てくる担当編集者だからこそ、なせた業なんだろうな。
(連載媒体が「おしゃれ工房」ということで、雑誌の読者を意識した上野さんのサービス精神の発揮とも考えられるけれど、それをも見通したその編集者に会いたくなってしまった、小湊雅彦さんと仰有るそうな。だって上野千鶴子×ハンドメイド雑誌とか、そのズレが面白すぎるし)
Posted by ブクログ
上野千鶴子さんのエッセイ集。学者さんのイメージで難しい著作は読んでいませんがこの本はとても読みやすく、しかも面白かったです。
ご自分の生い立ちや両親を見送ったことをはじめ、ごく個人的なことが書かれています。自身の好みや生活のことなど、素の上野千鶴子さんが表れていて好感を持ちました。自分を飾ることなく、思ったことはストレートに言っているのが気持ちいい。
人間だれしも年を重ねるしだんだんひとりになっていく。
この本を読んで気持ちが前向きになり勇気づけられた文章たち。
心に刻まれた。
※以下引用
何をするか、ではなく、だれであるか。それも肩書きや地位では測れない、その人のありよう、ふるまい、口のきき方や身のこなし方……つまるところ、そのひとの佇まいが、そのひとについてのいちばん大切な情報だと思うようになった。
(略)ひとがつきあうのは、そのひとの過去とではなく現在と、そしてそのひとの仕事とではなくそのひとの人柄とである。
自分の若かった頃を「思えばなさけなくもあさはかな若き日々でありました」と回想するちひろさんは「あのころよりはましになっている」と感じて、次のように書く。
「まだましになったというようになるまで、私は二十年以上も地味な苦労をしたのです。失敗をかさね、冷や汗をかいて、少しずつ、少しずつものがわかりかけてきているのです。なんで昔にもどれましょう。」
迷いと後悔の多い歳月と経験とが、いまのわたしをつくってきた。昔より、少しはましになったと感じることができる。そう、「なんで昔にもどれましょう」。
(略)若いときは柔軟だ、というのはウソ。若いときほど、アタマは固く、思い込みが激しく、固定観念でがんじがらめだった。それがしだいに解きほぐされ、柔軟になってきたのは年齢のおかげだ。いまさら「なんで昔にもどれましょう」。
Posted by ブクログ
最近ダラダラ読む本が多い中、これは一気に読んでしまった。
読めるし、読まさせてくれる。
たぶん文章がすごく読みやすいんだなと思った。
こういう年上の女の人が書いたエッセイをこれからはたくさん読みたい。
背筋がしゃんとするし、自分が何も知らないことを頭からだけでも分からせてくれる。
「何も知らない」ということを本当はなかなか身体感覚として理解できない。
どうも私は思い上がりも甚だしい。
でもしょうがないよね、そうとしか感じられないんだから。
この本を読んで、「謙虚さ」も学んでいくものなのだと知った。
安心して、ゆっくり理解しよう。と思った。という甘え。
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