【感想・ネタバレ】八ヶ岳南麓からのレビュー

あらすじ

東京⇔山梨。二拠点生活のリアルを綴る
著者初の「山暮らしエッセイ集」待望の書籍化!

四季の景色や草花を楽しむこと、移住者のコミュニティに参加すること、地産の食べ物を存分に味わうこと、虫との闘いや浄化槽故障など想定外のトラブルに翻弄されること、オンラインで仕事をこなすこと、「終の住処」として医療・介護資源を考えること……。
山暮らしを勧める雑誌にはけっして出ていないことまでも語られる、うえのちづこ版「森の生活」24の物語。

わたしのいまのテーマは「大好きな北杜で最期まで」。
それにもちろん「おひとりさまでも」が加わる。
―――本文より


■内容
1 コロナ疎開の山暮らしで
2 いつのまにか山梨愛に……冬の明るさを求めて
3 花の季節
4 ガーデニング派と家庭菜園派
5 蛍狩り
6 冷房と暖房
7 上水と下水
8 虫との闘い
9 八ヶ岳鹿事情
10 夏の超簡単クッキング
11 ゴミをどうするか?それが問題だ
12 本に囲まれて
13 移住者のコミュニティ
14 猫の手クラブの人々
15 銀髪のスキー仲間
16 大晦日家族
17 オンライン階級
18 多拠点居住
19 免許証返上はいつ?
20 クルマ道楽
21 中古別荘市場
22 おふたりさまからおひとりさまへ
23 大好きな北杜で最期まで
24 おひとりさまの最期

あとがき


■著者について
上野 千鶴子(うえの・ちづこ)
1948年富山県生まれ。
社会学者、東京大学名誉教授、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。
女性学およびジェンダー研究の第一人者。京都大学在学中はワンダーフォーゲル部に所属。
約20年前に山梨県内八ヶ岳南麓に家を建て、現在は東京と山梨の二拠点生活を過ごしている。
おもな著書に『近代家族の成立と終焉』(岩波書店)、『おひとりさまの老後』(文藝春秋)、(『最期まで在宅おひとりさまで機嫌よく』(中央公論新社)などがあるが、プライベートな暮らしを綴ったエッセイ集は本書が初めて。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

さらっと一読。最後の、色川先生についての文章が秀逸。

週刊誌の騒ぎように対して、自分から見える心の景色を、おそらく言葉を厳選して表現している。これが彼女なりの闘い方なのだろう。

上野千鶴子が実は結婚していた、世間を裏切った、という週刊誌の騒ぎ立てに対して、いろいろ説明もできたはずだ。介護や相続の手続きで籍を入れていたほうが便利だったのだ、とか。そうすると、週刊誌と同じ土俵に立ってしまうから、それに応戦されてめんどくさいことになる可能性がある。

そうではなく、自分はただ自分の人生を生きている、好きなものを楽しんでいる、と淡々と語ることで、だれも反対しようがなく、相手の戦意を喪失させる。暗に、ほっといてくれよと言っている声が聞こえるよう。

上質な大人の対応、肝の座ったふるまいに、戦い続けてきた学者の成熟の極みをみた思い。

——
コロナ禍がもたらした静謐のもとで、四季の移ろいをじっくり体感しながら色川さんに寄り添う日々は至福だった。

0
2025年02月21日

Posted by ブクログ

善き。
生活を楽しんでいるお姿が目に浮かぶ。
おひとりさま、という言葉もコロナ禍で移住者が増えたことも、それ以前からの2拠点生活をされていた社会学者の上野さんの思うままに書かれたエッセイ。ご自分の生活のことを文章にすることは少ないそうで、引っかかりながらも「週末は山梨にいます」がどうも引っかかり、長野にいますだと知的に感じる、という笑

土地を探すところから、家の基盤、住み始めての虫や鹿などの自然動物、ゴミ問題に果ては、おひとりさまの最期のことまで、短い文だかとても深く面白く、読み返したい。
山の生活にさらに憧れる!


標高1000mの山の家は冷房いらず。
冬も住むなら1000mを越さず、家庭菜園をしたいなら700mよりも低いほうがいい。八ヶ岳南麓は大泉小泉、伏流水の豊かな土地だが湿地は家に悪い。
湿地かどうかは植生でわかる。くるみの木が多いところは湿気が多いから避ける!

長野県は別荘地地分場規制が厳しく300坪以下の分譲を禁止、山梨は50坪でも可、建ぺい率も高さ規制もなし。
軽井沢は霧の街、八ヶ岳南麓は陽光あふれ、湿気がない

谷筋や川の側は避けたほうがよい。冬は冷気が流れるだけでなく、湿気が多い。
傾斜の緩やかな水捌けの良い土地を選ぶ。

基礎工事はしっかり。2階建だが、実質3階建ての高さ。、地面に密着して建てると畳が青かびだらけに。

猫の手クラブ、定住者の1人、八ヶ岳離婚の後にも住む女性が旅行の旅に飼い犬の世話をしてくれる人を探す。名の由来は、猫の手も借りたい、から来るが含意は、何の役にも立たない。ニャン券1枚、¥500

クルマが好きで2台所有していたことも。
1台はスポーツカー、BMWで峠を攻めていたらしい笑、もう一台はスタッドレス付きの四駆。

色々とかっこいい。おひとりさまを満喫している。
これで猫がいたら最高だ!

0
2024年05月19日

Posted by ブクログ

東京と山梨の二拠点生活。社会学者のおひとりさまの20年の暮らし。山の四季から維持管理など日常生活の手間とそれを上回る地元の移住者コミュニティの魅力。
老後の生活に対する問題提起と実践。社会学者ならではの視点も楽しい。

0
2024年04月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

柔らかくて、しなやかに年を取る。つよいひとだなあ。私事の豊かさよ。余りにも大きい山。八ヶ岳、だなあ。

0
2024年03月13日

Posted by ブクログ

強く聡明なイメージの上野千鶴子さん。
話題になった2019年の東大入学式祝辞は感銘を受けた。京大ワンゲル部出身の上野さん。八ヶ岳南麓に家を建て、暮らしていたとは存じ上げなかった。

スキーを楽しみ、自然を慈しみ、
地域の方々と助けあって
看取って
暮らす。

人生を五感を使って味わうような生き方だな、と感じた。

住む場所は
どこであれ、そういう感性だけは
持っておきたいな。
上野さんのような知性はないけど。

0
2025年09月10日

Posted by ブクログ

上野先生の初めてのプライベートなエッセイ集。山の生活は楽しみもあり、初めて知った苦労もあった。上野先生らしいユーモアもあり、楽しく読んだ。

0
2025年03月04日

Posted by ブクログ

コロナ禍を経てテレワークができる世となり、2拠点生活に憧れる私には多くの気づきがありました。家庭菜園をするなら標高700mまで、冬季も滞在するのであれば1000mまで、新住民と在来の民は別のコミュニティ、2拠点生活者は不燃ゴミの処分に難儀する、別荘は個性的なので中古での買い手がいない、高湿度で畳が痛む、将来免許返納したら移動手段がなくなる、一人暮らしの場合の介護は課題、など定住するとなると課題多し。もちろん楽しいことも平易な文章で多く語っておられ、挿絵も綺麗で楽しく読めました。

0
2024年10月17日

Posted by ブクログ

2拠点生活憧れるなと思いながら読んだ。
田舎暮らしは良い面ばかりが取り上げられるが、良い事ばかりではなく大変な面もきちんと書かれていて参考になった。
おひとり様もいいなとも思ってしまった。

0
2024年09月21日

Posted by ブクログ

八ヶ岳南麓・・北杜市
陽光溢れて湿気がない
古代遺跡がいくつもある
南に富士山

八ヶ岳東麓・・「日本一標高の高い駅」JR小海線・野辺山駅

八ヶ岳西麓・・原村

八ヶ岳北麓・・ない
八ヶ岳連邦がそのまま霧ケ峰に繋がっているのでない

軽井沢は霧の街

0
2024年07月06日

Posted by ブクログ

 フェミニズムの第一人者、上野先生は、東京の高層マンションと八ヶ岳南麓(北杜市)で20年以上二重生活しておられる。
 車2台を所有して、カーブの多い中央道をかっ飛ばし、冬は朝一番、誰もいないゲレンデをスキーでシュプールを描き、山の生活を楽しむ様は、なかなかかっこいい。
 軽井沢ではなく、北杜市を選んだところが、良いなあと思った。

0
2024年05月18日

Posted by ブクログ

東京都の二拠点生活から始まった八ヶ岳でのおひとりさま生活。
おひとりさまだからこそ見える問題や、山の家での過ごし方など楽しく読んだ。
八ヶ岳南麓とは、山梨県の北杜市のことのようだ。
長野県だと思っていたので、山梨県とは意外だった。
けれど、北杜市も環境の良さそうな地である。
著者自身、長野県じゃないことを嘆いている箇所があるのだが、それがなんとも可笑しかった。
確かに、長野の方がスマートなイメージではあるけれど。

0
2024年03月26日

Posted by ブクログ

千鶴子さんの幅の広さを感じる別宅での週末田舎暮らし。とても興味深く、知らない面を垣間見られた。挿絵も美しい。

23歳差の晩年を見送られた男性との会話が愛おしい。

0
2024年02月17日

Posted by ブクログ

別荘族と定住族。去年、黒川温泉近くの別荘でも、定住と思われる方が居た。買い物、病院、移動等、考えると、定住は、二の足を踏む。さりとて、一時期の別荘だと、ご飯も付いてこないし、掃除も面倒。やっぱりホテルが快適となるのか?

0
2024年01月26日

Posted by ブクログ

八ヶ岳山麓での生活の楽しいところ、大変なところをつづったエッセイ。
大学教授という少し特殊な環境ではあるが、リモートが可能になり、どのように生活を移したのかが面白い。
学術的ではまったくないが、社会学者としての視点もあり、単なる生活に関するエッセイという感じではない。おひとりさまがどう終活と向き合うのか、山でも都会でも同じ悩みもあり、まだまだ先だと思っているがある時目の前に問題がきているんだろうな、と考えさせられた。
上野千鶴子の著作を読んだ人の方が、もしかしたら面白いのかも。

0
2025年11月16日

Posted by ブクログ

コロナ疎開で、八ヶ岳南麓に建てた家にほぼ定住状態になる。標高千メートル、夏は暑さ知らず、冬の寒さ対策も万全。書庫と仕事場を兼ねた山の家、講義や講演・女子会までオンラインで可能。冬は毎朝スキー、スキーヤーが並ぶ頃に帰宅してブランチ。

山の別荘地への移住のリアル。いいなぁと思うか、大変だなぁと思うかはそれぞれでしょうけれど。

0
2024年09月09日

Posted by ブクログ

土地をハイジャックされたっていうのには驚いた
最後の色川さんとの関係性はこれまでの上野千鶴子観を変えるもの(あまり著作は読んだことがないが)で、いくらおひとりさまでもそれを支える「人」はやはり必要なのだなと

0
2024年03月07日

Posted by ブクログ

 あの上野千鶴子さんがヤマケイ(山と渓谷社)から出版とは驚いて、読んだ『八ヶ岳南麓から』。著者が30年前に気に入って彼の地に土地を購入し、別荘を建てたお話。自然と一体となって、おひとり様生活をおくり、そこでの有意義な日々を綴ったものが、この一冊の本になった。個人的にはその地域は、おそらくわれわれで言う「泉郷」の近くである。会社の夏レクでお世話になったエリアである。確かに夏は避暑として快適であるが、実際はこの地域は冬が一番いい季節だという。山口はるみさんの数々の挿絵も素敵である。

0
2024年03月01日

Posted by ブクログ

老後を自然豊かな田舎で悠々生活してみたい人にオススメ。
ただし、現実はいろいろ大変だということを実体験をもとに綴られている。そんな甘いもんじゃないんだよ、と。
このエッセイは「終活もの」とも言える。むしろ田舎でのスローライフのススメというよりその向きが強い。

0
2024年02月13日

Posted by ブクログ

八ヶ岳で過ごす老後もなかなか厳しそうだなあとは思うが、自然の美しさや澄んだ空気は伝わってきた。

上野千鶴子と色川大吉の最後の幸福な時間が、八ヶ岳だったのは、ファンとしては、なんかうれしい。

0
2023年12月11日

「エッセイ・紀行」ランキング