上野千鶴子のレビュー一覧
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ネタバレ案の定、あらゆる意味で「昭和」な本。
無理もない。本書が初めて世に出たのは1982年。男女雇用機会均等法が成立する4年も前、テレビの中では女性たちがあられもない姿でバカ殿様に弄ばれ(それもゴールデンタイムに)、世間では「アイドルはトイレに行かないしオナラもしない」という神話がまことしやかに囁かれ(トイレにも行くしオナラもする一般女性にはハタ迷惑な神話だったはずだ)、挙句に「据え膳食わぬは男の恥」と誰もが当たり前のように公言して憚らなかった、そんな時代だった。
だから上野が「女はつらいよ、それに比べて男は…」と手を変え品を変えて主張してても、文化の型を「女っぽい」とか「男っぽい」などと性 -
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副題~マルクス主義フェミニズムの地平
フェミニズムとマルクス? 一体どこでどうつながるのか?
婦人解放(時代を感じる言葉です)思想の歴史をみると、社会主義婦人解放論は女性解放を社会主義革命に還元し、ラディカル・フェミニズムは性革命を再重要視する。歴史的に女性は男性に支配されてきた、との両者の説だが、それを階級支配というなら、それをマルクス主義は「資本制」と名付け、フェミニストは「近代家父長制」と名付けた。
それに続く思想として、新マルクス主義フェミニズムが現れ、それは上記2つの論を統合したものである。近代社会の中で女性は「資本制」と「家父長制」の二重の抑圧を受けているというのだ。
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1982年カッパブックス刊。相互行為論というのを研究しているアメリカのアーヴィング・ゴフマン(1922-82)の書いたgennder advertisements という1976に書かれた本をもとに日本版応用編を書いたもの。「性からみた広告」という訳でいいのか? 1980年に刊行されたマスメディアに登場する商業広告ー「アンアン」「ノンノ」「モア」「ミセス」「プレイボーイ」「ポパイ」等に載ったものを対象にしている。広告にみられるポーズ・行動を通してそのメッセージを読むというもの。
広告からは男女の「らしさ」ごっこが伝わり、その演じ合いは対等ではなく、女は演技者で男は観客で現実社会の力関係を現し -
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あの”おひとりさまの老後”が上梓されてから2年。上野千鶴子が男性読者からの要望に応えて”男性版おひとりさまの老後”をこの程書きました。 女性である上野さんが書いたのだから、内容はどうしても男性にとっては厳しい見方になります。 始めに彼女が言い当てているように、男の方は・・「自分の老後のことなんか考えてないひとが多い。妻であれ、他人さまであれ、ひとのお世話を受けて亡くなるなんて、見たくない、聞きたくない、考えたくないようで・・・」と文中から引用した言葉がぴったりきます。
男性シングルにも理由別タイプ分けがあります。 死別シングル、離別シングル、非婚シングル。 このタイプ別に事例を紹介しているの -
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上野千鶴子さんのエッセイ集。学者さんのイメージで難しい著作は読んでいませんがこの本はとても読みやすく、しかも面白かったです。
ご自分の生い立ちや両親を見送ったことをはじめ、ごく個人的なことが書かれています。自身の好みや生活のことなど、素の上野千鶴子さんが表れていて好感を持ちました。自分を飾ることなく、思ったことはストレートに言っているのが気持ちいい。
人間だれしも年を重ねるしだんだんひとりになっていく。
この本を読んで気持ちが前向きになり勇気づけられた文章たち。
心に刻まれた。
※以下引用
何をするか、ではなく、だれであるか。それも肩書きや地位では測れない、その人のありよう、ふ -
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俎上に載せられた作家と作品は、
吉行淳之介「砂の上の植物群」「驟雨」「夕暮まで」
島尾敏雄「死の棘」
谷崎潤一郎「卍」「痴人の愛」
小島信夫「抱擁家族」
村上春樹「ノルウェイの森」
三島由紀夫「鏡子の家」「仮面の告白」「禁色」
このうち、わたしが読んだのは島尾敏雄の「死の棘」だけだった。以前は小説をあまり読まなかったうえ、近頃は主に女性作家のものをよく読んでいるからだ。しかし、ラインナップを見てみると錚々たるメンバーの有名な作品群であることはわかる。やはり、読まなかったのは、読もうとしても、解説なり批評なりを見て、自分に近く引き寄せられるものを感じなかったからだと思う。
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最近ダラダラ読む本が多い中、これは一気に読んでしまった。
読めるし、読まさせてくれる。
たぶん文章がすごく読みやすいんだなと思った。
こういう年上の女の人が書いたエッセイをこれからはたくさん読みたい。
背筋がしゃんとするし、自分が何も知らないことを頭からだけでも分からせてくれる。
「何も知らない」ということを本当はなかなか身体感覚として理解できない。
どうも私は思い上がりも甚だしい。
でもしょうがないよね、そうとしか感じられないんだから。
この本を読んで、「謙虚さ」も学んでいくものなのだと知った。
安心して、ゆっくり理解しよう。と思った。という甘え。 -
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ネタバレすーーーーっごい、血となり肉となった本。
どこかの本で『極端に示すことで見えてくるときがある』と書いてあったけど、上野さんはそれを体現してくれてる人で、新しいなにかを生み出すために、あえて極端に言ったり挑発したりして、世の中とか自分とか相手とか聞き手を前に進ませようとしてるところがあるように思う。
あとサービス精神がすごい。本ひとつにしても講演ひとつにしても、「お客様の大切なお金を頂いたからには、それなり、それ以上ものを持って帰っていただきます」というところがとても好き。
内容は、学ぶってことはどういうことか、働くってどういうことか。欠陥だらけの学校教育についてとか、偏差値は親の収入と結 -
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日常のこと、子供の頃のこと、好きなこと‥
落ちついた筆致で、これまで語らなかった個人的なことについて書いています。
NHKの「おしゃれ工房」に連載したもの。
そのせいか、母が得意だった焼きリンゴの話、洋菓子といえばシュークリームとかすていらが双璧といった話題も。
フェミニズムの旗手として女性問題に鋭く切り込んだこれまでの著書とはやや違う面も出ていて、これがけっこう感じが良い。
子供の頃の自由研究の話なども社会学的?
社会学を目指す人は、一に好奇心、二に尻軽さ、三四がなくて五に知力、だとか。
お母さんは結婚と同時にクリスチャンになった。
姑や小姑とのもめ事が絶えず、夫婦の言い争いは子供達が不