上野千鶴子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
上野千鶴子の著作を読んでいて、いつもなぜか、違和感のようなものを感じ続けていた。上野千鶴子の築く世界は、一見、フェミニズムという一つの思想を想い起させるもののように見える。しかし、どことなく思想としての完成度、手法などの学問的な基礎の部分が、深いところでは、あやふやで、悪くいえば未熟ともいえるものを漂わせている。これはなぜか。つまり、最近やっと思いつくことが出来た。それは、上野千鶴子の築く思想というのは、一つの歴史であるということだ。そう考えて読み進めているうちにハッとさせられた。そこには、確かに、彼女自身の恨み、悲しみ、憎しみ、また自惚れなどが混在し、そしてたまにそれらの感情が混乱しながら、
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Posted by ブクログ
「結婚」というものとそれにまつわるあれこれの問題について2人の巨頭が対談する本書。カウンセラー(但しかなり型破りな!)の信田先生が、社会学者である上野氏とどのような「化学反応」をするのか、楽しみながら読んだ。…と、言いたいところだが、テーマがテーマだけになかなか単純に「楽しむ」とはいかないのである。お互いに身も蓋もない発言を乱発しつつエスカレートしていく議論はエキサイティングではあるが、やはり術語のすれ違いは否めない気がする。いや十分刺激的なのではあるけれども。DVや性犯罪など、心理臨床とも社会学とも強く関連するテーマにかなりディープに踏み込んでいるので、多少なりとも関心のある向きは必読か。但
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Posted by ブクログ
大学時代から読み続けている上野千鶴子センセの1冊。前作(?)、「おひとりさまの老後」に引き続き辛口で説く「老後の備えのハウツー本」が本書。とはいえ、男性を対象にしているせいか、上野エッセイとしては快刀乱麻のノリも心地よかった前作に及ばない。まあ、男性の老後ですから・・・。
それにしても知りたいのはこの本の読者層。上野本を手に取ろうという層の男性なら、家族との関係さえよければそこそこの老後を送れるのではないかと思うのだが、格差社会ニッポンで老いを迎えるロウワー層への言及はなく(本書にある死別、離別、非婚の3種のシングルのケースを見ても然り)、あくまでも「プランニング可能」な層を想定しているよう