上野千鶴子のレビュー一覧
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『おひとりさまの老後』(文春文庫)や『ケアの社会学』(太田出版)で、老いや看護の問題について論じた上野千鶴子に、当時まだ大学院生だった古市憲寿がみずからの抱えている不安をぶつけるかたちではじまる、対談形式の本です。
近年はすっかり炎上芸でおなじみになった古市ですが、本書ではピエロの役回りを演じて、上野の鋭い洞察を次々に引き出しており、さすがだとうならされました。
漠然と感じていた将来への不安を、一つひとつていねいに腑分けし、具体的な問題へと帰着させられていくので、どこか心が軽くなるような読後感をおぼえます。また、若い世代が日本の社会に希望をもつことができるための道筋まで提示されており、明る -
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自分の老後について考えるのは、気持ちのよいものではない。
なぜか「自分は大丈夫」と漠然と考えているのではないだろうか?
本書は、そんな甘い考えに、ガツンと食らわせる。
豊富なエピソードもあり、自分の親に対してどう接するか、
自分と妻、娘の老後について考えさせられる。
自分はどこで死ぬのだろう?
基本的に上から目線なので、文体が嫌いという人も多いだろうなと思う。
[more]
(目次)
はじめに
第1章 男がひとりになるとき
増えている男おひとりさま
死別、別離、非婚、さてあなたは?
死別シングル
60代から増えはじめる“番狂わせ”
別離シングル
そしてだれもいな -
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上野千鶴子がいかにしてフェミニズム界のスターになったのかがよくわかる。これだけ鮮やかかつ明晰に理論を展開できる手腕はすごい。
30年も前の本なので、今ではさらに研究が蓄積され、理論的にも実証的にこれを乗り越える研究がいくつもされているのだと思う。とはいうものの、ここで指摘されている家父長制的な男性のあり様に対する批判は、今でも全然通用する。というか、外形的には大きく変わっているように見えて、その実、このメカニズムは完全に温存されているし、それに乗っかった男性の意識も変わっていないように思う。
なにしろ「そして父になる」みたいな作品が感動作として平気で成立・流通している世の中だから、まだまだ先 -
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新聞連載を愛読している。面白さでは岡田斗司夫氏と双璧かな。「天下の朝日新聞でこんな単語(チ○チ○とか)が堂々と使えるとはいい時代になった」というような意味のことが何回か書かれていて、確かにそうだなあと思う。
上野先生と言えば、その鋭い舌鋒であちらを斬り、こちらをバッサリ、というイメージだが(ま、実際そうなんだが)、「こういうことが達成できたことはすばらしい」というようなことも折に触れて発言されている。この人生相談でも、かつての悩みとの違いによく言及されていて、なるほどなあと思うことが多かった。特に女性の生き方について、古い規範を内面化した相談がほぼなくなっているように思う。確実に世の中は変わ -
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月に一度くらいのペースで新聞に載る、上野千鶴子先生の人生相談。毎度毎度「うーん、なるほど」とか「これは厳しい!」とか言いながら愛読している。こうやってまとめて読むと、より色合いがはっきりして、ご本人もおっしゃっているが「芸」だなあと思う。
上野先生の「芸風」の特徴は、何と言ってもズバッとしたもの言いにあるわけだが、身もふたもない正しさなので、軟弱でいい加減な私など「それはそうなんだけど、なかなかそうはできないのよねえ」と思うことも結構ある。それでも、時々はその厳しい言葉にわが身を振り返るのも必要かなと思ったりして。
何と言っても「家族・身内」についての相談が多い。家族って喜びの元でもあり、 -
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前半は、なんとも噛み合わない。お互いに理解しようとしているんだけど、根本のところでは理解し合えていないと感じてしまった。
団塊の世代の上野さんは、偉そうな同世代の男性を批判し、嫌悪してるけど、雨宮さんに対して上から目線で偉そうなところが垣間見えてしまうと感じた。そして、結局は「謝るしかない」って、ごめんなさいで済まないんだよ〜ってモヤモヤした。
上野さんと雨宮さんは、団塊と団塊ジュニアではあるけれど、お互いの階層も違うので、それで少し噛み合わないところもあったのかもしれない。
言葉が通じない、の壁を超えなきゃならないんだと思う。最後の章は、お互い同じ明るい方を向いているようなお話だったのでよか -
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面白い!切り口がまた!いい!と、思ったら酒井順子と仲良しだそうで!それでこうスパッと切ってくれちゃうんだなぁ。いい!65歳以上の高齢者で配偶者のいない女性の割合は55パーセントだとか。なるほど!確かに64歳ならまだまだな感じだよなぁ。おひとりさま老後。
そんなおひとりさまの老後の生活のイロハを説いた本なんだけども、介護される側の心得や、介護を気持ちよくさせてあげるためのツボなど、介護者からの目線じゃなく、介護される側からの目線での話もなかなか面白かったし、この人にだけは遺産は絶対やりたくないっていうネガティヴリストの書き方など、なかなかやるな!という一冊でした。
でも、確かにそういうのもな -
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吉行淳之介、島尾敏雄、谷崎潤一郎、小島信夫、村上春樹、三島由紀夫の6人の作家と作品について、上野千鶴子、小倉千賀子、富岡多恵子の3人が語り合った鼎談を収めています。わが国におけるフェミニズム批評の嚆矢とは言えないまでも、フェミニズム批評の活性化に大きく寄与した本と言えるように思います。座談会ということもあって、三者ともかなり辛辣な言葉を吐いていますが、制度化してしまったフェミニズム批評には見られないおもしろさがあります。
村上春樹の文体について富岡が作家の視点から鋭い分析をおこなっている箇所には目を見張らされました。また上野が、島尾の小説に対する吉本隆明の批評や、小島の小説に対する江藤淳の批 -
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北原みのりさんと同じく、木嶋佳苗はじめ、女性が起こした事件に興味を持っていて、ついこの手の本を読んでしまう。
あたしは壇蜜と同い年のエンコー世代で、毒母持ちであり、男と同等の評価が欲しいと社会で苦しむ、結婚をゴールとしない独身女である。
…このお三方の研究分野にすっかり当てはまってしまった。
しかし、あたしはエンコーコギャル世代ど真ん中でしかも比較的都会にいたのに、その時期、人生で最も輝く10代を、みっともない脂肪にまみれて暮らしていて、誰からも性的に求められなかった。現実から目を逸らして暮らしていた。
大人になって、ああ、あれは肥っていたからだ、そう思っていたのだ。
木嶋佳苗には、だから -
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本のタイトルにあるように、日本に今後戦後80年は
くるのかという議題で、現政権を中心に批判する
下記の講義集
内田樹氏ー比較敗戦論
東浩紀-本と新聞と大学は生き残れるか
木村草太-集団的自衛権問題とはなんだったのか
山室信一-戦後が戦前に転じるとき
上野千鶴子-戦後日本の下半身
河村小百合-この国の財政・経済のこれから
姜尚中-総括講演
このなかでも、山室信一氏、上野千鶴子氏、河村小百合氏の
3本がとても興味を引きました。
どれも、日本が破綻し、または戦争の道に進むのでは
ないかという潜在的な恐れを感じる内容です。
支持率は高いですが、本当に今の政権でいいのでしょうか?
他人事ではないような -
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Posted by ブクログ
☆☆☆☆上野千鶴子さんの作品は5年ほど前に『男おひとりさま道』を読んでから2冊だけど、おそらく『おひとりさまの老後』のほうが先に書かれたのだろう、前者のほうがスーッと読めた記憶がある。
同性を対象に書かれたものであるからかもしれないし、上野さんが、「おひとりさなシリーズ」という作品の型を身につけ、馴染んできたからかもしれない。
前者を読んだときには、女性の先輩からの手厳しい忠告、男の下心を見透かされたかのような、核心をついた意見が、痛痒くて読んでいくうちに少し快感めいたものになっていたのを思い出す。
今回のテーマ「老後」は女性に向けて書かれているので、優しさを感じた。
「老後」に関