上野千鶴子のレビュー一覧
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ネタバレ読後の”気圧され感”がとても強い鼎談録だと思います。
角田美代子、三橋歌織…と東電OL・木嶋佳苗以外で関心の高い人物の話題も多く、特に木嶋佳苗と同時期にニュースになっていた上田美由紀の事件に対する考察は、両者の比較もありとても興味深いものでした。
そして、自分が知らず知らずのうちに男性目線の報道を何の疑問も持たず受容していたことに気づきました。
でもまたしばらくしたら忘れちゃいそうですが。
北原さんのあとがきで、信田さんに壇蜜をどう思うかと訊ねた際の
「私、好き!あの人、女のパロディだから!」
という一言が強力にヒットして電車の中で思わず笑いそうになりました。
その後の「なぜパロディなのか」 -
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最近や介護や市民社会についても発言することの多い上野千鶴子さんと、新進気鋭……もとい若手の社会学者とされる古市憲寿さんの対談。話題は自分の親の将来の面倒を見る覚悟のない古市さんに対して、上野さんが介護保険など社会の仕組みを説明しつつ、古市さんの漠然とした不安に迫り、緩和させる相談に乗っているといったところ。
とにかく、古市さんがカッコつけたり知ったかぶることなく、情けない青年っぷり丸出しで上野さんに教えを乞うているのがいい。このくらい地に下りないと、読者は実感をもって上野さんの教えが染み込んでこないだろうから。
介護保険制度はなかなかによくできた制度で、ある程度、下りていく覚悟を持って将来を見 -
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上野千鶴子と古市憲寿の対談集。
基本的には「介護」がテーマなのだが、お互いの専門であるジェンダーや若者論だけでなく、経済、歴史と幅広く議論している。
大学院に入ることを本学のごく一部の先生は「入院」という。この言葉結構広まっているみたい。本書では次のように説明されている。(p.29)
入院……大学院に進学すること。特に文系大学院に進学すると、将来が非常に限定されてしまうため、「入院した」と皮肉られる。一般の病院とは違い、入院したからといって「病気」が治るとは限らず、むしろより病状が悪化する可能性が高い。
団塊世代は親からの援助が得られない人がほとんど。何が何でも歯を食いしばって就職せねば -
- カート
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試し読み
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この本が最初に世に出たのは1998年であるが、今読んでも古いと感じないのは、状況がほとんど変わっていない(むしろ、悪くなっている)からだろう。
個人的には、最後に収録されている「アジア女性基金の歴史的総括のために」を非常に興味深く読んだ。
私も、国民基金(正式名称は「女性のためのアジア平和国民基金」)に対しては、あくまでも国家補償ではないこと、被害者や支援者の間に分裂を生んだことなどから、批判的な気持ちを持っていたが、「あのとき国民基金をつくらなければ、その後つくる可能性は非常に低かっただろう」という指摘にはハッとさせられた。確かに全くそうであろう。
この本の帯には「『慰安婦』問題は終わらない -
Posted by ブクログ
上野さん,ほんとに男が嫌いなんだな.悪意がある.女性が幸せに生きるためには,男がしっかりしてほしい,そのためにびしびし言う.だからこそ本書は女性と生きていかねばならない男性にはまたとない実用書となっている.
私は女性異性愛者だけでなく,男性同性愛者の友人がいる.他にも社会的な弱者とのつながりもある.これも自分がうつ病であること,弱さの情報公開をしているからだろう.たしかに男はたいがいイヤなやつだ.女性とおなじくらいに.
本書が強調した,弱さの情報公開を適度に,適時に行える人は確かに万事うまくいくような気がするのは私の実感でもある.
ひとりで死ねる,という記述は大変に心強く感じた.