あらすじ
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日本の何が問題なのか?
母娘問題、セクハラ、結婚・恋愛・子育て、団塊世代と大学闘争、性暴力などについて徹底的に語り合った7時間!
◆もくじ◆
はじめに 田房永子
第1章 女はどうしてこんなに大変なの?
母のふたつのメッセージ。「手に職つけろ」と「結婚して子どもを産め」
団塊母とロスジェネ娘、価値観のねじれ
1960年代の大学闘争。その時、母は? 上野千鶴子は?
彼女が毒母になったワケ
母から娘へ、暴力の連鎖を止めるには
「おまえのため」は「私のため」だった
母も、そのまた母も、女はいつの時代も大変!
団塊世代はこうして生まれた
お母さんに認めてほしかったお母さん
すべての母は抑圧的
当事者にならない団塊父
母という名の女には勝てやしない
第2章 女はどうやって闘ってきた? どうやって闘えばいいの?
個人的なことは政治的なこと
性革命とウーマンリブ
上野千鶴子がフェミニストになったワケ
ジーパンで性的主体性を取り戻した!?
A面とB面/市場と家族
障害者運動とフェミニズム。優生保護法改悪反対運動
働く女と専業主婦の分断は誰のせい?
「活動専業・主婦」たちの闘い方
幼保無償化は女を分断する
第3章 結婚・恋愛・子育てについて真剣に考えてみる
戦場を非日常に移した女たち
「一人一殺」。家庭から社会を変える!
男が自発的に変わらないのは「男ボーナス」があるから
結婚、恋愛、ナメンなよ!
半世紀たって女の結婚願望は変わった?
「花嫁候補」から「戦力」になった女性社員
子どもを産むのは親のエゴイズム
ナメたツケは子どもに回る
子どもには干渉するのに夫に踏み込まない妻、妻から逃げる夫
手を抜かない交渉を続けないと夫婦の関係は変わらない
第4章 フェミニズムと性の話。おっさん的想像力よ、さようなら!
That's very オヤジ!? That's very 東大!?
娘の母として性を考える
おっさん的想像力を撲滅したい!
息子の母として「性」を考える
「フェミニスト=性に厳格」という思い込み
モテる女はおとせる女?
私たちは山ほど洗脳されている!
子ども向けアニメ・漫画で進む男子と女子のミスマッチ
オーガズム、それが私の革命!
第5章 私はフェミニスト!
フェミニストはモテない、嫌われる、いじられる?
テレビ番組やCMは炎上して学習してもらえばいい
フェミニストのイメージが変わってきた!
男は権力の側にいることを自覚している
「フェミニスト=男になりたい女」という誤解
女も戦争に行ってはじめて平等?
フェミニズムは学校で教えられるものか?
戦争神経症の問題はホモソの象徴
フェミニズムは女が女であることを愛し、受け入れる思想
私はフェミニスト!
おわりに 上野千鶴子
近年、話題になることの多い「フェミニズム」。興味はあるけど難しそう…。結局フェミニズムって何だろう? そんな人に向けた、令和のフェミニズム入門書を紹介します!
本書は、社会学者・上野千鶴子先生と漫画家・田房永子先生の、フェミニズムに関する対談がまとめられています。この本が入門書として特にオススメなのは、上野先生と田房先生お二人の会話形式で進むため、分かりやすく、肩肘張らずに読むことができる点です。専門用語は必ず説明がつきますので、知識「ゼロから」でも問題なく歴史を学べます。本書ではフェミニズムを、仕事や恋愛、子育てなどの身近なトピックのなかに落とし込みながら紹介しています。読みながら「あの時感じていたモヤモヤって、フェミニズムの問題だったのか!」とスッキリすること間違いなし! ちなみに私はかなりスッキリしました(笑)。
フェミニズム、なぜか気になるけど、なんとなく足踏みしてしまう。そんなあなたにこそオススメの一冊です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
▼「女ぎらい」という上野さんの本を読んでいて。そういえば、この本を前に買って読んでなかったなあ、と思い出して。こっちを先に読みました。
▼フェミニズム入門、ということでいうとこっちのほうが読みやすいですね。ただ一方でフェミニズムというのが、「弱者が弱者のままで尊厳のある生き方ができるという理想」だとするならば、そんなに構えなくてもいいのでしょうが。
▼単純に、割と身近な?上野さんの時代や、その親の時代、つまり日本の近代以降の女性の具体的な生きづらさ、経済など、切れば血が出る具体的な「不利益の歴史」みたいなものが口語的に語られるのが非常に分かりやすかった。
▼やっぱりこっちが男性なせいか、そういうのって、ついつい意識の外で見逃してしまっていたんだなあと改めて。「男はつらいよ」とか言ってる場合ぢゃないですね(笑)。おもしろい本でした。
Posted by ブクログ
初めての上野千鶴子さんの対談本。
田房永子さんは漫画で知っていたので、ちょっと身近な感じがして、手にとれた。
以前、世界からみたフェミニズムについての本を読んでもいまいちピンとこなかったのは、私が日本の近代史を知らなかったからだと思った。世界の潮流と日本の潮流は、会うときは会い、離れているときは離れている。
日本の、次の世代につながらないフェミニズムの構図は教育のせいだと思った。
「自分の中にあるミソジニーと闘い続けてきた人をフェミニストと呼ぶのよ。」という上野千鶴子さんの言葉で、私はフェミニストではなかったと気づいた。
ただの女尊男卑。
ミソジニー 「男にとっては『女性蔑視』、女にとっては『自己嫌悪』」
私は自己嫌悪とは仲良しなほうだと思うけれど、そこまで徹底してできているかと言われるとできていない。
フェミニストがカッコいいなと思った。
この本で知った、エマ・ワトソンさんのHe For Sheも見て、フェミニズムの行き着くところは、弱者が弱者のままで存在意義のある状態へ、そしてそれは男性的であらねばと強がっている男性たちを救えることでもあるのだと、心底感心した。
Posted by ブクログ
少し前にコテンラジオの「性の歴史」で女性の人権が認められるようになってきたのは歴史的にもつい最近だと聞いたことと、本書で団塊の世代以降の母や女性の姿が語られていたことがリンクして、自分の母や義母や妻や妹や娘たちも思い浮かべながらリアルに女性の気持ちを想像することができた。
お互いに踏み込まない、気持ちをぶつけ合わない夫婦は結婚をナメている、そのツケは子どもに回されるというのは、確かにそうだなと思った。妻の話ちゃんと聞かないとならないし、伝える努力を怠るべきでないと思った。
それと、良くも悪くも社会の変化は極端だなと実感する。一昔前は主婦の女性が一般的だったことに対し、今では場合によっては主婦が軽んじられたり肩身が狭い雰囲気になることもある変化に、気持ち悪いものを感じる。
主婦か働くかとか、結婚するしないとか、子を持つ持たないとか、本来無意味なはずの分断が女性同士の中にもあって、それが場合によっては本丸の問題から視線を逸らすために意図して作られた分断であったりもする ということに対し、注意深く生きていないとならないと思った。
全体を通して、女性の人権のことは男性の自分としてはとっつきにくいというかあまり触れないでおこうと思いがちな難しい問題であることは否めないのだけど、自分が歴史的に既得権益を持っている側であり女性にはそれがないということをきちんと受け止めて、健全な人権社会の構成員になろうと思った。少なくとも無神経にハラスメントを撒き散らすオヤジにはなりたくないと思った。
Posted by ブクログ
フェミニストに対する理解度が深まった感覚。ホモソーシャルな社会に所属している自覚って、こんなにも意識の表層には出てこないものんだなと気付かされる。
「一人一殺」の夫婦関係って身に染みる。価値観が断絶してしまっているところがデフォルトなんだから、責めあって罵り合うのが成長には必要なんだな。諦めたふりして逃げてちゃダメだわな。
Posted by ブクログ
すんばらしい本であるし、
この方が東大の学長になったということは、日本の最高学府もまだまだ捨てたものでない、という気がした。
股を開いて一人一殺!!
Posted by ブクログ
会社で女性活躍推進の研修ビデオみたいなものを見せられたことがあった。
講師の女性が、産休後に社会で活躍するためには、育休中に各自で仕事に役立つような勉強をしておくことが大切だ、と話していた。
その時に、女が社会で活躍するには、男より余分な努力をしないといけないのか、と思った気持ちが、この本を読んだら新鮮な憤りとなって蘇ってきた。
人間を産むという大仕事をしてるのに、なんで男社会のペースに女が全面的に合わせないといけない?
本書で言われている通り、今の「男女平等」は、「女を男並みに働かせて使い倒すためのもの」であると思う。
「弱者が弱者のままで尊重される」社会には、どうやったらなるのだろう。
会社にちらほらいるムカつく男までを調教してやる体力まではない私ですが、しっかり分かり合いたい夫とは、「一人一殺」の心で、諦めずに違和感について対話バトルしていきたい。
Posted by ブクログ
女性の扱われ方学ぶとよくわかる! 女性の扱われ方を歴史的に学ぶと、親の価値観と子の反発がよく分かる。課長制度で辛い思いした人多かったのだろうな。
だから、子にはそれに打ち勝てる能力を親は求めすぎる。個人の性格だけが問題じゃなくって、社会の問題なのかもしれない
Posted by ブクログ
2人の会話形式で進むので読みやすい
フェミニズムという概念について自分で勉強しようとしないとふわっとした理解しかなかったということを思い知らされるが、タイトルの通り入り口を提供してくれる本だと思う
上野先生の言葉はイメージ通り鮮烈で興味深く読み進められる
田房さんの漫画やイラストも可愛らしく読みやすい
Posted by ブクログ
社会の流れ自体を簡単に変えることはできなくて、幼い頃から刷り込まれて教育されるものに今すぐに抗うのは難しいし、上野千鶴子先生が生涯をかけて戦ってきても社会には微々たる変化しかない。だからそこに期待するのは難しい。
その上で、「個人的なことは政治的なこと」と言う言葉の意味を深く捉えて理解し、自分が変えたいと思う目の前の人を変えていくこと、そして自分自身が考え続けて変わることが求められるのだなと思えた本だった。
余談だが、通学電車内で読もうとしたら何度か気まずくて本を閉じてしまった。電車内で安心して読めるほど私も社会に安心し切ってはいないらしい。
Posted by ブクログ
女の選択肢は増えたけどそもそもが男社会。これを当たり前として育てられたら、自分に不都合でもない限りその偏った構造に気づけない。不都合がある者、つまり女ばかりが声をあげるから、フェミニズムは偏った考え方だと非難されやすい。
私もフェミニズムについて理解しきれていない。この本に書かれていること全てに賛同できるというわけでもない。ただ日本のジェンダーギャップ指数の低さは日本人全員が恥ずべきことだと思う。そしてそれをもっと問題にしていくべきだと思うし、男女共に考えていかなければいけない。フェミニズムは女性だけの問題ではない。正直、日本はジェンダーギャップ指数が低いですと言われても、でしょうねとしか思わなかった。この諦めみたいなものを多くの人が感じていると思う。まずはフェミニズムについて正しく理解することから始めたい。
Posted by ブクログ
申真衣さんのフェミニスト表記に興味をもち、オススメされてたこの本を読みました。
社会的な偏見や個人的な偏見がクリアになり、より自分に忠実な概念を大事にしたいと思いましたわ。
Posted by ブクログ
フェミニズムについて。対談形式なので分かりやすいし、田房さんもほぼ初心者だから分からない言葉は上野さんが解説してくれるし、入門書としてはとても読みやすい。
田房さんの父親が田房さんに「長男的な役割を求めていた」という部分で、私の父もそうだ!!と腑に落ちまくった。父は典型的な女性蔑視人間なのに、私を東京に行かせたのはそれが理由だったと思う。
それにしても女性を取り巻いてきた、今も取り巻いている環境は本当に劣悪で、おそらく多くの女性も何が問題なのか気づかないままでいるということを考え出すと気が遠くなる。
私の元夫は自分ではフェミニストと名乗っていたけどおそらくフェミニズムについて何にも理解してないし、何なら家事育児は女の仕事だし、私の仕事を見下していた。腹立つ。
「個人的なことは政治的なこと」
「男のミソジニーは女性蔑視で女のミソジニーは自己嫌悪」
「男を代表してごめんなさい、って言ってくるフェミに寄り添ってますアピールがすごいヤツは腹立つ」
などなど、名言が多かった。
Posted by ブクログ
上野先生の名前は昔から知っていて賛否両論あったので、ウキウキしながら読んだ。
色々と、目からうろこなこともあったけれど、特に印象に残ったのが、「源氏物語などの古典テキストを読んでいて、知っているから」「恋愛を恋愛と認識出来る」というのと同じぐらい、セクハラやDVという単語が輸入されたから、私たちはセクハラをセクハラと認識出来る、角度を変えると洗脳されていると言う問題。
言われてみれば、何を持って恋愛とするのか、前例がなければ、私たちには恋愛が自覚出来ない=恋愛出来ない、していてもしたと認められないという問題だった。
では何をして恋愛とするのかというと、本の中では源氏物語とかから始まる古典テキストになるわけで、すると、恋愛の中には当然、マザコンロリコン、強引なノウハウ、のぞき、果てはショタとかそれも入っちゃう、不倫はガンガン入っちゃう、一夫多妻制も入っちゃう、何でもかんでも入っちゃうんだねえ、なるほど、恋愛って不潔だ……とまで考え込んだ。いやこれは私の感性なんだけど。
すると、清潔な恋愛というのは一体なんだろう、そういうのを、純愛というんだろうと思うけど、フェミニズムって純愛は好きなのかな。好きという言い方も、変かもしれないけれど。
それと同時に、外国では事実婚というのが多いそうだけど、私は何にも考えずに結婚といったら法律婚しかあり得ないと思って実行した世代で、それで特に不満もなかったけれど、事実婚というのがどういう制度で、どういうふうに法律婚と違ってくるのか、それを知りたいと思った。
事実婚の人というのを、確かにリアルで見かけたことがない。漫画の中で、手作りせっけん作ったりする人として描かれているのを、見た事はあるけれど。
Posted by ブクログ
結婚、子育てに関わるすべての人へ。
結婚、子育てをナメてないか。家族と本気でぶつかってるのか。そんな問いかけがある1冊。
もちろん、フェミニズムについてもわかります。
人によっては物足りないかもしれません。
Posted by ブクログ
対談形式で軽快な語り口。読み始めたら最後まですぐに読めた。
上野千鶴子先生は権威でありながらやっぱり少し昔の価値観もあるのかな、なんてメディアやSNSからの情報を元に思っていたけど、50年間フェミニズムと向き合ってきた人の引き出しの多さと、その前からずっと続くフェミニズムの歴史も感じられ、30代のフェミニストは満足しました。
家族やパートナーとの向き合い方なんかについてもすごく参考になった。私もパートナーを一回殺して、もう一度二人で生き返る必要性を感じた。
Posted by ブクログ
初めて上野さんの本を読んだ。なんというか、言葉がストレートでなぜかこちらがハラハラする方笑 でもこれこそがフェミニズムを牽引するのだろうとも思う。
ゼロから、とあったが流石にど素人にとってのゼロとは違った。また、世代と経験の違いだけでなく歴史知識の足りなさから途中理解しにくいところはあったけれど対談形式は読みやすかった。
今現在結婚や子供というワードに敏感になる中でこれらを取り巻く歴史や現実を知り、勿論相変わらず子供は産みたく無く、所謂男の人の鈍感さに一緒になって不快になった笑 きっと別のところでは女も嫌なのだが。うまく言えない。
不満には声をあげるべき、あげるしかない、あげてよいということがふんわり残った。
Posted by ブクログ
肉親も含めて、特に相手が自分と異なる世代で育った人の場合、相手が生きてきたのがどんな時代なのか、その時世の中はどんな雰囲気だったのか、大きな時代の流れの中でどこに位置しているのか知っていると、相手との“分かり合えなさ”にわずかでも寛容になれる気がした。
そして人が作ってきた社会において、女性と男性の関係について歴史を知り、俯瞰的に眺められることは自分が心を搾取されずに生きるために必要だと感じた。
Posted by ブクログ
日本の女性が果たしてきた(男性に課せられてきた)役割の変遷、それに伴う母娘関係の難しさが紐解かれ、学生時代は男女平等と教えられたのに実際は不平等な社会に直面する女性の生きづらさが語られています。
私自身も多くの違和感を感じてきました。
なぜ、男性はでかい仕事ができる総合職が勝ち組、女性は負担がそこそこで家事育児と両立しやすく、夫の転勤にも同伴できる一般職が「賢い」選択とされるのか。
なぜ、男性が雑用するととても感謝されるのに、女性はやって当たり前なのか。
なぜ、女性だけ結婚や出産のタイミングを考えて異動したり転職しなければならないのか。
なぜ、女性だけ結婚していたり子供がいると昇進や転職に不利なのか。
なぜ、男性は女性が感じる生きづらさがピンとこないのか。
これらすべて、男性がつくった「仕事に全振りする男性とそれを支える女性」をスタンダードとする仕組みに女性が無理やり合わせているからだと改めて理解しました。
「男」になって総合職として働くか、「男の妻」として一般職として働くか。いずれにしても、男が中心。
職場を見渡すと20代〜30代前半の男性は家事育児を担うのが当たり前となっていて、上野さん田房さんの論調よりは進歩を感じますが、それでも半分以上を担う男性は少ない。
自分自身の中にも、夫に半分超を任せることに心理的なストッパーがあります。自分自身の意識も変えていきたい。
Posted by ブクログ
最近なにかと目にする「フェミニズム」についての入門書。
フェミニズムの言葉の意味は知っていたが、その歴史について知らなかったので、勉強になった。
とても読みやすく、おすすめです!
Posted by ブクログ
卒論の参考になればと思い読んだ。声を上げる、それを続けることの重要性が心に刺さった。自分らしく生きるためにはそのための行動が必要だし、我慢せず理解し合える社会にもっとなればいいなと感じる。
Posted by ブクログ
会話調で書かれているのでなかなか刺激的な表現ではあるが、今まで女性が感じていなもやもやを分かりやすい言葉で言語化されているので、とても読みやすい。
印象に残った言葉:
・おっさん的想像力の撲滅→性犯罪の話で男に「自分の娘や彼女が被害に遭ったらと考えて行動しよう」っていう話し方、それ自体が女性が男性の所有物という感覚であり、おっさん的想像力になっている
・夫(男)には既得権益があり妻(女)はその不平等にキレるという構図→社会構造上の問題であり、家庭の問題として捉えずにしぶとく議論することが大事
・男は既得権益を保有していることを無自覚的に認識しており、女に奪われると感じているが、女は別に尊重して欲しいだけで既得権益の山に立ちたいわけではなく、ぶっ壊したいだけ。
Posted by ブクログ
田房永子さんが、上野千鶴子さんに質問していくかたちでフェミニズムについて学べる一冊。良書だった。
私自身、フェミニズムって日本で広まったのは伊藤詩織さんの事件や#MeToo運動などからで、海外に触発された思想だと思っていたのが無知すぎて恥ずかしい。
上野先生が青春を過ごしたいわゆる全共闘時代から、学生運動に参加していた女性たちも性差別を受けていたし、それに対してずっと毅然と闘ってきていたんだ。
女は男によって選ばれるものであり、当時の日本では女性が大学に進学すること、ましてや未婚であることは規格外だった。
田房永子さんは毒母に苦しめられてきた経験を著作にしているけれど、上野先生とほぼ同世代のお母さんも性差別の真っ只中を生きてきたんだ。
「母になったらすべての母は抑圧的になるのよ。抑圧者であると同時に犠牲者でもあるのよ」という上野先生の言葉にハッとした。
1960年代後半から70年代初頭にはウーマンリブという、新しい女性解放運動の波が広がった。
「個人的なことは政治的なこと」として、ある女性が受けた個人的な差別や価値観の押し付けは、すなわちそのまま政治的な問題であるということだ。
中絶に関してもそう。日本は中絶天国と呼ばれるほど中絶を簡単にできる国だったそうだが、それだけ望まない妊娠も多かった。コンドームでの避妊が主流で、女性主体の避妊法はまだまだ全然すすんでいない。女性用避妊具もピルも婦人科を受診しないと手に入らない。
私はこれまで自分が受けてきた性被害を、性被害として認識していなかったんだと気づいた。上野先生を始めとするフェミニストがやってきたのは、「あれはセクハラだ」とか「あれはDVだ」って名付けをしてくれることだった。
私は多分それを分からないままで、受け入れなければならないものとして、ただ生きてきた。
しかも男性に性被害を理解してもらおうとするとき「もし自分の彼女、妻だったら」という例え方をするのも甚だ間違いだと気づいた。その例えで男が感じるのは、女はあくまでも男の付属品としたうえで「自分の付属品を傷つけられる」ということだけだ。女性そのものの痛みではない。
フェミニズムって、なんだか仰々しい響きで、賢くて意識の高い女性たちだけがやっているものだと思っていた。
でもそうじゃなかった。個人的なことは政治的なことで、フェミニズムは常に「わたし」から出発しているんだ。
女が女であることを愛し、受け入れる思想のことをフェミニズムと呼ぶ。女は弱い。弱いことも自分自身で受け入れる。
その弱さを隠したり否定したり(ウィークネスフォビア/弱さ嫌悪)すると、ホモソーシャルの社会に同一化して同性でも敵対することとなってしまう。
ミソジニーという言葉があるが、その言葉の本当の意味は男にとっては"女性蔑視"。でも、女にとっては"自己嫌悪"。
「自分の中にあるミソジニーと闘い続けてきた人をフェミニストと呼ぶのよ」
「フェミニズムは女にとって、自分と和解するための闘いだもの。」
と、凛として話す上野千鶴子さんがとても素敵だ。
時代を先に生きて切り拓いてきた女性がいてくれたから、私たちは今こうして曲がりなりにも男女は平等であるとして生きていくことができる。
そのことを決して忘れずに、次にできることはなんなのかを考えていきたい。そしてできるならそれを積極的に吐き出してみたい。
フェミニズム、という大きな思想を前に、決して恐れない女性でありたい。
Posted by ブクログ
【全体の所感】
対話形式で、わかりやすくかつ自然に時系列に沿って、社会の動きやフェミニズムの歴史について学べる。フェミニズムの歴史や知識に留まらず、男女・親子関係、社会における物事の捉え方に新たな学びが得られたし、とても読み応えのある一冊。
上野さんの、男性社会や現代人そのものに対する不満は正直過激。発言内容はもちろん、言葉遣いにいわゆる「配慮」もないので(「エリート女」「股開く」「」などなど)強すぎる印象もある。上野さん自身が既婚男性とも付き合ってきた経験(つまり不倫相手だった)があって、それを少し得意気に?話す部分は悪印象。フェミニズム云々ではなく、人間としてかっこよくなさすぎる。
社会学のような学問は多くが否定から入るからこそ、研究者は自分の正当性を主張するために、自分以外の派閥や以前以降の時代を批判するイメージだけど、上野さんはまさにそれすぎて語気が強すぎると感じた部分は少なくない。
【メモ・感想】
社会のA面B面の話はわかりやすい。女が結婚や出産を通して、強制的にA面(表社会)→B面(家族、生活そのもの)に移動、あるいは行き来しないといけなくなるという話。一方で男は家族ができてもA面だけに居ることができる。
理想(改善策)として、男も女と同じようにAB面を行き来するような社会が語られているように思うけど、個人的には、AB面の境界線が薄くなるような社会を作るという方向もあるんじゃないかと思った。
それこそ昔の商店街のように、店をやりながら子育てをして、商店街内で手助けし合うような社会。自営業が少なくなって、夫婦共働きでも基本的に別々の場所に働きに出る昨今では難しいのかもしれないけど。
傷ついたり葛藤したりする労力を避けるために、夫に育児などの不満を直接言わず、それをSNSでグチることで解消する。
= 修羅場を回避することで、変化よりも不満をとる。でも根本的解決には至らず、その不満はまたすぐ溜まる、の繰り返し
「一日子どもを預けることに対してする信用のない男と、セックスして子ども作ったのかよ!」今自分が付き合ってる相手と結婚した時に、この言葉言われないようにしよう…
一流企業に花嫁候補として採用された女子にとって、逆に会社は花婿探しの場でもあり、「自分には男を見る目がないから、会社が選んだ男が確実なんです」と言う女子がいたらしい。
→今より大企業勤めのブランド力が高かった時代の現れでもあるし、結婚が当たり前だった時代には勤め先=結婚のための舞台でもあったといえる。
→「すでに出会う前の段階で選別が行われてるってこと。その中で誰を選んでも大差ないのよ」
「優等生こそ、親のやらせたいことに応えられてきちゃったから、嫌なことでもある程度できてしまって、いざ自分のやりたいことを問われると分からない。」今社会人二年目。やりたいことがわからなくなっている自分に刺さる。
「親から子への条件付きの愛」
その条件は親によって違うから、子は選べない立場で生まれてきたその場所で、まずは(無意識でも意識的でも)親の期待に応えないといけない。親からの条件があまりに高すぎたり子に対して合わなかったりすると、その親はいわゆる毒親に見えるんだけど、きっとすべての親子関係に何かしらの「条件」はある。
独身の自分にとっては、やっぱり障害児より健常児がいいとか当たり前に思っちゃうし、親にはやっぱり子を選べるという自覚と望む条件があるんだと思う。
とにかく不快に思うことには声を上げて行かなきゃいけない。それが多数派であれば、いずれその声は大きくなっていくはずだし、少数派であれば自分の中で落としどころを見つけるしかない。実は多くの人が感じていることでも、声を上げなければ多数派にはなれないどころか、そもそも問題として顕在化しないままかもしれないし、もちろん社会も変えられない。
「性暴力は女性問題ではなく男性問題であって、あなたたちが自分で考えるべき問題だ」
激しく同意!いじめをする側される側の話にも置き換えられる。性暴力もいじめも、現状被害者が声を上げることで、それが社会問題と認識され、解決のために動き出しているけど、本来なら加害を加える方に問題があるのだから、加害者が取り組まなければいけない問題のはず。
でもどちらの加害者も権力的に優位に立っている場合が多いから、そもそも問題を大事には捉えていなかったり、解決のための腰も重かったりする。
天皇の「一生お守りします」発言をけなしたのはちょっとなあ…。もちろん「守ってもらいたいなんて思ってねーよ!」って言いたい女の意見もわかるけど、自分と婚姻を結ぶことで天皇一家という特殊な環境に身を置いてもらうから、その責任は必ずとるっていうポジティブな意味でしか捉えてなかった。天皇一家こそ日本の古すぎる体質をそのものだから、そこは進化すべきだと思うけど…。
異性愛はとどのつまり「異性に対して恋愛感情を寄せ、性的な欲求を感じる」というヘテロセクシュアリティの歴史が、私たちの身体に染み付いているから。一方でゲイやレズビアンの人たちはモデルなき性愛を自分たちで開拓しなきゃならないから大変。
→自分は違和感なく異性愛者でいるから、同性愛者の感覚がどうしても想像できなくて、否定する気持ちは無いけど理解ができていなかった。でもこの言葉を読んで、自分の感覚はただ歴史を背負わされているだけで、異性愛者ではない人たちはその歴史ではなく別の歴史を背負っているか、背負う歴史がないから今自分たちで作っているんだって思った。それは性愛だけじゃなくて、あらゆる発明にも言えることで「ただそれだけ」の違いなんだ。多分同性愛者=どこから生えているのかわからないって認識だったのが、そこに歴史がある(今作っている)と気づくことで、「存在するもの」として認識できたんだと思う。
フェミニスト同士の戦いもある。
無罪判決が出た性暴力事件の判例きもすぎ。
新しく出てきた価値観は、すでにある価値観の中で解釈されてしまう。
→フェミニスト=男性の立場に女性が並ぶことではない。それは結局男性基準(すでにある価値観)でしかない。目指すのは女性が女性のまま尊重される社会の実現。
→しっかりとしたイメージはできてないけど、つまり全く新しい価値観の浸透が必要ってこと?男に追いつくんじゃなくて、今男は男のままで不自由なく生きられているのに、女は女のままだと不自由だから、そのままで生きられるように環境を整えるべき、みたいな?
男が男であるが故の不自由(徴兵制とか)を訴えるなら、それはそれで訴えればいいだけの話で、女性の生きやすさと対立するものでは無い。
右翼の女性たちの、「自分の弱さは女性の被害者性を認められないこと」ってのわかるなあ。「自立した女性」に憧れてる自分もこの感覚に近い。でもこれって結局、自立=男性なんかに頼らなくてもいい=男性と同じような立場を目指してるってことだから、フェミニストとは違う。フェミニズム(フェミニスト)は、被害を受けている弱い立場であることを認めて、弱い立場のまま尊重され生きられる社会を作ること。
Posted by ブクログ
女であること。それだけでなんでこんなに息苦しいのだろうと思っていて、その息苦しい感じをなかなか言語化できないでいたが、家父長制度の話や日本の女性に関する歴史を知ることで、理解できた。面白かった。整いつつあると見せられてる出産と子育てと働く女性のための制度と、その裏に隠れてるたくさんのこと。A面B面という考え方に、納得。世代を理解するって大事だなと思う。
Posted by ブクログ
memo
今の世代は政治への運動の成功体験がないから運動を起こせない。どうせやっても無駄、活動家のTwitterでの意見にいいねして気が済んじゃう。
保育園の無償化っていいものだと思ってたけど、そうすると競争率が高まって子供を入れられた親と入れられない親で分断が起きる。争わないでいい、同じ立場なのに。本当は無償化の予算で保育園を増やすことが大事。
Posted by ブクログ
対談なのて、読みやすかった。「フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です」「フェミニズムは女が女であることを愛し、受け入れる思想」という。
不平不満を体の中にためこんでおくのでなく、吐き出して、社会を変えていこうという意気込みが必要なんだ。
そうする勇気を持たなくてはいけないんだな。
Posted by ブクログ
歴史の部分が分かりやすく学べた。んーまだまだ私自身、フェミニズムについてよく捉えられてない。でも、ある世代の母娘関係あるあるが毒親になりがちなところとかは気になる。何故そうなったのか、これから何を目指したいのかよく学び、掴みたいな。ミソジニーについて学びたいと思います。女ばっかの職場ってやだなって思うのも、ミソジニーなのかな?!
Posted by ブクログ
フェミニズムってなんでしょう。
フェミニストって一部のよくわからない団体なの?
なんで今、フェミニズムが話題なの?
田島先生がTVタックルで叫んでたのを見てたあの時代の女性も2020年を生きる女性も、女性を取り巻く環境はさほど変わっていない。
周りにはいろんなオンナがいる。
世間から見たら家庭を放って夜中に遊びまわる母親はとんでもない母親。父親は例外。
オンナだからって仕事出来ないとか言われたくないんです!なんて言って結婚したら専業主婦になるオンナ。
そのへんの事を女性2人が痛快に語ってくれるこの一冊。対話で書かれているのですぐ読めます。
すぐ読めるけど、グッと掴まれる感はないかな。
フェミニズム最初の一歩におすすめ。