【感想・ネタバレ】家父長制の起源 男たちはいかにして支配者になったのか(集英社シリーズ・コモン)のレビュー

あらすじ

上野千鶴子氏絶賛!
「家父長制は普遍でも不変でもない。
歴史のなかに起源のあるものには、必ず終わりがある。
先史時代から現代まで、最新の知見にもとづいた挑戦の書」
男はどうしていつも偉そうなのか。
なぜ男性ばかりが社会的地位を独占しているのか。
男性が女性を支配する「家父長制」は、人類誕生の時から続く不可避なものなのか?

これらの問いに答えるべく、著者は歴史をひもとき、世界各地を訪ねながら、さまざまな「家父長制なき社会」を掘り下げていく。
徹底した取材によって見えてきたものとは……。
「抑圧」の真の根源を探りながら、未来の変革と希望へと読者を誘う話題作!

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Posted by ブクログ

家父長制のはじまりなど考えた事がなかったので純粋に面白かった。また、私自身の知識に偏りがあるのだと思い知らされた。家母長制があったり、スパルタ国の女性がイキイキと活動していたり。宗教もその時代の統治者によって都合よく変更されたり┅とすると天皇制を男系を主張する人達もなにやら

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2024年12月31日

Posted by ブクログ

瀧波ユカリが紹介してたので読んでみた。家父長制を固定的・普遍的な構造としてではなく、「変化し得るもの」として扱っている点が新鮮だった。霊長類社会におけるジェンダー構成の多様性、世界各地における母系社会の存在、DNA解析によるヨーロッパでの家父長制の広がり、さらにはアテネとスパルタの女性像の対比と、それぞれの章が「家父長制はどこにでも自明のように存在していたのか?」という問いに対し、歴史的・文化的・生物学的な反例を積み上げていく構成になっており、読み応えがあった。

特に、女性を「人を生産する資源」として奴隷化したという視点に対して、「それはすでに奴隷が存在していた社会だったからこそ起きた」という指摘は鋭くて、歴史のコンテクストを見落とさない著者の視線はすごくいい。

また、旧共産圏での女性エンジニア比率の高さを紹介し、女性の社会進出が社会主義によってある種「加速された」点に着目するあたりも非常に示唆的だと思う。「壮大な社会実験」としての社会主義が、皮肉にも女性の役割を拡張したという事実は、単に制度や思想だけではなく、実際の社会構造や目的によってジェンダーが変容し得ることを浮き彫りにしてる。

一方で、学者の名前や文献の引用が連続して、どこまでが著者の主張でどこまでが引用か判然としない構成は、読んでてかなりの負荷だった。家父長制における知的な冒険の連続であると同時に、編集的な視点からは「読みやすさの設計」において課題が多いと思う。めんどくさかった。巻末の上野千鶴子氏の解説が最も明快だった。

家父長制は肯定できないが、ある意味では人間社会が成熟していく過程における、ある程度合理的で必然の選択でもあったのではないか?とも考えた。これはとても皮肉なんだけど、現実を直視すると否定はしきれず、思考の余白を残してくれる読後感につながった。

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2025年07月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

インド系イギリス人ジャーナリストの方の書かれた本。

家父長制について歴史をさかのぼって調べていくと、家父長制といってもいろいろあること、

男と女、という2つの性別の関係性は、いろいろあって今も変化しているということ、

それでもやっぱ、どっかからかこの今の家父長制的な関係性がメジャーになってきて

今でもその勢いが増している場所もあれば、より男性の支配が緩められる傾向にある社会、

あるいはまだまだどっちに転ぶか落ち着かなく不安定な地域、などもある、

とにかく男性優位な社会が全体として広がっている世界に生きている。

『額縁の中の女たち』とも少し重なるところがあった。あの本は、主に欧米の絵を扱っていたけれど、まさに、より平等だったエジプトの文明ではなく、世界がギリシャ文明を選び、男尊女卑の傾向のかなり強いキリスト教とともに世界に広がっていったことが書かれていたのを思い出す。

日本については触れられていなかったように思うけれど、

他のアジアの国、特に著者の出自のインド、あるいは中東、中国、インドネシア、

そしてアフリカ、もちろんギリシャ、他ヨーロッパ、アメリカ、ソ連・ロシア、よりさかのぼるとトルコの辺りやエジプト、北米の先住民族についても、近代はイランの、最近いくつかの本でも読んだ革命後の話。

世界と時代を駆け巡って。

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2025年03月13日

Posted by ブクログ

訳文が読みやすく理解しやすい。
「起源」とタイトルについているので時系列的に書かれたものを想像していたが、テーマごとに章を追って書かれている。
母系社会は過去から時系列的に遡って分かる単純なものではなく局地的に発生したり移行したりしていて発生の理由も単一ではないとの事らしく、読み進めてもそれを母系とはっきり定義づけられたもの、を知る事は出来なさそうであった。
中盤はページをさいて男女の二元論という固定観念を外して考える事の難しさが解かれている。
個人的にはもう少し動物の社会の話も知りたかったかも…

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2025年03月10日

Posted by ブクログ

男性が女性を支配する家父長制はしっかり頭と心に染み込んでおり、それを生物学的に説明する説もあったりしたが、この書は古代から現代までの歴史的に家父長制を調べ、そしてイスラム圏や社会主義圏での家父長制を論じる。また生物学的に規定されたものでないことを証明する大胆な書である。家父長制は支配の道具であり、現在の支配層は容易に手放さないが、現代の若者には必要でなくなってきており、そのために歴史は逆流のように締め付けを行う。歴史はジぐザグであっても前に進む。希望が持てる書であった。

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2024年11月28日

Posted by ブクログ

実質的な中身は「おわりに」の4ページのみ。本編はやたらと多くの学者やジャーナリストの研究・コメントの引用をつなぎ合わせた「事例集」の連続でしかなく、平板感が強い。邦訳タイトルで付加されている「起源」という語が想像させるような学問的な深みは無い。

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2025年04月28日

Posted by ブクログ

この本を読んだだけで何かを得られる訳ではないが、日本の家父長性に触れている訳者の解説だけでも一読の価値はあると思う。

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2025年03月20日

Posted by ブクログ

おそらく、フェミストの人々にとってもあんまりよい本ではない。そもそも「家父長制」を「男性の女性に対する支配」みたいにとらえていて、それじゃだめっしょ。むしろ、ケイトミレット先生みたいに、「男が男を支配する」システムでもあることを見ないと話にならない。ちゃんと他の人々が別の形の理解をしめしてくれてるのに。見てる文献がごく限られている、というか見てはいるみたいだけど言及するものは限られている。ゲルダ・ラーナー先生とかの扱いも軽すぎる。この本読むより進化学の本読んだ方がいいと思う。

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2024年12月30日

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