彩瀬まるのレビュー一覧
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彩瀬まるさん、20作目
アンソロジー「鍵のかかった部屋」の一作
「神秘の彼女」
これはミステリーなのかな
大学寮に現れるきんきら大仏
決められたトリック
ー糸を使って外から鍵を閉めた密室ー
そこから5人の作家が全く違ったミステリーを作ったアンソロジー
似鳥鶏さんは、あの一〇一教室しか読んでいなかったので、こんなコミカルなモノも書くんだと驚き.大学サークル内のトラブル「このトリックの
問題点」
石井羊さんは、初めましてですが、優しい雰囲気のあるミステリーを書くなあと
あと食べ物を折り込むのかな「大叔母のこと」
芦沢央さんは、好きな作家さん
この短編も短い中にしっかりトリックアイテムを仕込 -
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2016年第5回新井賞受賞
さて新井賞とはなんぞやと調べてみると
カリスマ書店員でエッセイスト、そしてストリッパーデビューを果たした新井見枝香さんが個人的に推したい本に贈られていたらしい
2023年に終了している
過去受賞作13作を眺めて見たのだけれど、なかなかのセンスと思ったのでした
彩瀬さんが旅行の途中東日本大震災に被災された事から生まれた作品の一つ
親友を震災で亡くした女性と その親友の恋人
ふらっと出かけたまま震災にあい帰ってこない親友の死を徐々に受け止めていく、という章と
亡くなった親友が震災にのみこまれた後の幻想世界.彷徨いながらやがて海の石となり、全てを受け入れたのち、再生に -
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テーマは“ふるさと” の5話からなる短編集
彩瀬さんは旅行途中で東北の震災に被災しており
描かれるふるさとは東北です
第一話 モッコウバラのワンピースは
大学生の孫が東北で一人暮らしをする祖母を訪れます
祖母は好きな人ができて東北へ
ばあちゃんがいるところが ふるさと
第二話 からたち香るは
婚約者のふるさと東北の実家にご挨拶
そこに震災を感じさせない温かなふるさとがある
第三話 菜の花の家
母親の法事で久しぶりに帰省
姪とお散歩中に懐かしい思いがけず
同級生と出会う
第四話 ハクモクレンが砕けるとき
花巻 親戚の結婚式で東北へ
宮沢賢治と遠野物語で生者と死者の境界線を
第五話 桜の -
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彩瀬まるさん、15作目
小説新潮掲載短編の
現世と常世のあわいの物語
はざまに足を踏み入れてしまう人達と
この世に遺憾を残した彼方者との
接点を描いた
君の心臓をいただくまで
ゆびのいと
よるのふち
かいぶつの名前
「眼が開くとき」
小学生の時、一時期クラスメイトだった
絵を描くことが好きだった少女と
周りの空気を良く読み演じる転校生の少年
大人になって再び出会う
少女はカメラマンとなり少年は俳優となり
カメラマンとして強靭なセクシーという要求に
美しい新人俳優を取り続ける
全てを撮り尽くしたあと 彼女の渇望は終わる
ちょいとドキドキした
石田由良の「跳ぶ少年」のセクシャルな感じと似てい -
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彩瀬まるさん、14作目
郊外に建つ古い借家
庭には 植物が生い茂る
世間から逃げたい隠れたい人達が 一時住み着いては離れていく
「はねつき」
家族を捨てた男との駆け落ちの行方
その包丁は背中に刺すので良いと思います
「ゆすらうめ」
殺人を犯し逃亡中の男と元同級生の同居
良い友人を巻き込まなくて良かったと思います
「ひかり」
新興宗教元教祖の殺人隠蔽逃亡の果て
最期をこの家で迎えて良かったと思います
「ままごと」
政略結婚から逃げた従順な姉と 親の真意を知った妹の短い同居生活
自分の気持ちを表現できて良かったと思います
「かざあな」
育休からの左遷出向、単身赴任先でのトラブル
仕事から -
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良くも悪くも好き嫌いが分かれそうな作品。
多忙な時期でも、読書がしたいと思います買った短編集。
特殊な世界線というか、独特な設定が含まれているにも関わらず、すらすら読め、何故かその設定を受け入れられるのが不思議な感じがしました。
ただ、話によっては此処で終わる?というお話もありました。話の内容が面白かった分、少し終わり方が残念な印象。
短編集の中でも、1編が短い印象があるので時間がない人にはおすすめできます。
逆に長編が好きな方にしたら内容が薄く感じる可能性が捨てきれない印象も。
個人的には、「花虫」が1番好きでした。タイトルとおなじ「くちなし」は内容が薄く感じられました。凄く好きな世 -
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幼い頃に別れた父親が亡くなり、実家の屋敷を相続した主人公の女性。
漫画家として成功しており、今は5歳年下の役者志望の恋人を結婚前提という形で養っている。
途中からものすごくしんどくなった。
幼い頃に別れたきりの父親の影にいまだに囚われる主人公。
無意識下で愛に飢え、愛されることを求め、愛することを熱望する。
愛しているから、と面倒を見ていた年下の恋人のことはいつしか支配下に置こうとしてしまう。
愛ではなく、忠誠。
大切にしていたはずのものを取り返しのつかない形で失ってしまうシーンが辛くてどうしようかなと思ったけど、寂しくない終わりかたで、よかった。
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「家族愛に飢える」感覚がいま