彩瀬まるのレビュー一覧

  • くちなし
    帯に神様のお話みたいと書いてあった。私も同じようなことを思った。芥川龍之介の蜘蛛の糸みたい、人間の醜いところが垣間見える。なんかゾクゾクする。現実世界とは違う世界のことだけど、現代社会の何かを表しているような気がした。千と千尋の神隠しが実は環境問題を題材にしているのではないか、みたいな。ちょっと怖く...続きを読む
  • 草原のサーカス(新潮文庫)
    姉妹の対比が良かった。どちらも真面目なのだけれど気付かないうちに間違っている。それは誰にでもあることだなと共感しました。文章もとても読みやすかったです。
  • 新しい星
    読んでる間ずっと、大好きな友達の顔が次々浮かんで会いたくなった。
    胸がいっぱい。
    素敵な作品に出会わせてくれた方々に感謝!!
  • 神様のケーキを頬ばるまで
    ありふれた雑居ビルで繰り広げられる
    日常のどうにもならない理不尽なこと、
    大きな怒りや悲しみを抱えた登場人物5人が
    様々な出来事や出会いを通じて
    生きる姿勢を少しだけ変えることで、
    今までの日々を時間をかけて許し、
    付き合っていこうと前を向く。
    それまでの憎んだ相手や、苦しみもがいた自分自身が、
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  • あのひとは蜘蛛を潰せない
    どんな時も「みっともない女になるな」という母の"正しさ"が呪縛のように付き纏う28歳実家暮らしの女性が
    恋をして初めて母に抗って、だけど結局何が正しいのか分からなくて悩んだり、間違えたり、それでも日々を生きていく物語。
    日常的で、生々しくて、それでいて根暗な内容だけど一応 恋愛もの。好きです。

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  • まだ温かい鍋を抱いておやすみ
    食べることは生きること。自分や大切な人のために美味しいと感じられる料理を作りたい、美味しいものを誰かと楽しくいただきたい、そんな時間を大切にしたいと改めて思わせてもらえる本でした。
  • 眠れない夜は体を脱いで
    なんとなく読みやすいかな?と言うだけで手に取った一冊。何も期待していなかっただけに予想以上に面白かったし、気持ちが前向きになれた。

    短編でサクサク読める。ひとつのネットの書き込みをめぐってのそれぞれの見方が面白い。どれもわかる点はある。どの主人公、どのストーリーも好きだった。
  • 新しい星
    感動、というのとはちょっと違う。でもぐわっと心を揺さぶられる物語だった。全編静かに穏やかに進んでいくのに、感情がすごく揺れる。主人公たちが自分よりも年下だから、彼らの歩んだ道のりがなんとなく分かるし共感できるから尚更なのかな。置いていかれたくないな。置いていきたくないな。彼らは若くてこんな思いを受け...続きを読む
  • まだ温かい鍋を抱いておやすみ
    食をキーにした短編集。著者は、女性の心の揺らぎ、シスターフット系の作品に長けている。
    ふと道を外しジャンクなピザの味に恍惚としたことで、逆にメンタルを病んだ夫を理解し包摂できるようになる「ミックスミックスピザ」子を亡くした友人を引き取って食を与え続け自らの喜びを知る「シュークリームタワーで待ち合わせ...続きを読む
  • くちなし
    幻想的で甘美で少しグロテスクな短編集。
    文章も美しく、不思議な世界観に浸れる。
    現実にはあり得ない世界観の中でも、そこにある感情の揺らぎは普遍的なものがあって、共感もできる。
    どのお話も独特の魅力があって素敵だった。
  • 骨を彩る
    偶然死を身近に感じる機会が多かった時に読んだ。どんな言葉でも言い表すのは難しいけど、生きることと死ぬことについて上手く飲み込んで自分の中で折り合いがついた作品だった。
  • 新しい星
    大きな悲しみの波の中でも、少しずつ喜びや生きることへの希望を持たせてくれる温かみのある内容だった。発売当初からずっと読みたいと思っていたので期待が大きかったが、その期待を裏切らない作品で、いつまでも取っておきたい一冊になった。

    8つの話は4人の男女をフォーカスしている。大学時代の合気道部で仲間だっ...続きを読む
  • 新しい星
    登場人物はみんな何かを失っている。
    でもその何かをすべて失った訳ではない。
    失って、でも少しの希望は残っていて、その希望を少しずつ、胸に拾い集めていくような、そんな温かいお話だった。

    大学の元合気道部の4人は、4人のうちの1人である茅乃の病気を機に、10年後合気道の集まりに参加することになる。青子...続きを読む
  • まだ温かい鍋を抱いておやすみ
    私とよく似た人がたくさん出てきた気がする。てことはどの人も普通の平凡な人たちなんだろう。どっか満たされない部分とか、どうしても埋められない隙間を、なんとかしようとする食事。食べることは生きることだってことなんだろうな。ポタージュスープの話は「夢オチかよ!」なんて全く思わなかったばかりか、なんだこの話...続きを読む
  • まだ温かい鍋を抱いておやすみ
    タイトルが本の内容をぎゅっと凝縮していて秀逸。
    どんなに難しい状況にいても、食べずには生きていけない。
    どの話にも苦い現実があり、けれどそれを包むようなひたむきさや、優しさがあり、じんわりあたたまった。
  • 新しい星
    とても良かった。
    気の合う仲間はたとえ会わない期間が長かったとしても
    その期間を感じさせない居心地の良さがある。
    すてきな4人。
    街行く人もそれぞれがたくさんのことを背負って
    みんなもがきながら生きてるんだろうなぁ。
  • 新しい星
    3年ぶり3冊目の彩瀬まるさん…過去の二作も最高だったけど、やっぱり最高だ〜。心に残るフレーズだらけ。短編一つ一つは短めなので、さくっと読める。

    うまれてすぐ子どもを亡くしたとか、家族がいるのに大病を患ったとか、コロナで夫婦関係が悪くなったとか、パワハラで仕事をやめてひきこもっているとか、今まで生き...続きを読む
  • あのひとは蜘蛛を潰せない
    【2024年8冊目】
    めちゃくちゃ好みの作品でした。

    最初は毒親から逃れる話かと思ったんですよ。全然そうじゃなかった。主人公が一人の人間として、生きる話でした。

    28歳で実家暮らしであることに引け目を感じていたものの、兄から子が生まれることをきっかけに、実家に戻ろうと思っている連絡を受け、一人暮...続きを読む
  • まだ温かい鍋を抱いておやすみ
    P35
    「嫌われることが一番こわかったけど、今は、自分の事を自分で決められなくなることの方がずっと怖い。本当にそう、思います。」

    P81
    「それでも俺は、これを、かなしい食べ物だって思う。だからいつか灯がどん底だけを信じるんでなく、他の、もっと幸せなものに確かさを感じて、このパンを食わずにやってい...続きを読む
  • 新しい星
    初作家さん。とても良かった。
    30代になった大学の仲間たちが、それぞれ問題を抱えながら、お互いにケアしあう物語。女性2人の話しは、共感する部分が多かった。後半はぼろぼろ泣いてしまった。こんな風に思い合える人間関係が自分もできたらいいなあ。