彩瀬まるのレビュー一覧

  • 珠玉

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    構成が好きなんだな、やがて海へと帰るのサムイボが出たくらい思い出深い本だったけど、珠玉もラストでサムイボでした。同時進行して交わらないけど騎士のキシとカリンと会話が大事だから、リズを長年見つめるキシのなんと的確な事。少女のリズと海辺を歩く歩の2人の姿がしんみりと胸に刺さるってこと。リズを何も知らない事を知ってが収穫とか上手いこと言うね、歩の成長が嬉しいかな、ラストでお母さん出てくるのもいいね、どんな仕事をしてるのかな、リズの娘で自分でも乗り越えた時期があったのに、娘の歩にさりげない言葉が良いな

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    2024年09月01日
  • 森があふれる

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    凄く良かった。

    芸術家が素晴らしい作品をつくる為に“奪われる人”がいる時、何の疑問も持たずに甘受するだけでいいのか?

    琉生が夫に言う

    “思わせぶりにエッチで、急に母親っぽく優しくなって、困難に打ち勝った主人公にご褒美をあげて、存在をまるごと許さななければならない彼女達と、同じ性別なの。そんな役、まっぴらなのに、美しい女性とはそういうものなんだって…”

    彩瀬まる さんの作品の中では今の所一番好き。
    この作品中の女性達によって自分自身のジェンダーバイアスに気付かされた。

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    2024年08月23日
  • 暗い夜、星を数えて―3・11被災鉄道からの脱出―(新潮文庫)

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    被災した経験を私たちに残してくれたことに感謝する。
    私は関東にいた人間で、テレビでみる統制された情報からは分からなかった現地の感情。自分が体験したかのようにずっしり感じることができた。

    2024.1.1能登半島地震
    学生時代にお世話になった方が輪島に住んでいる。8.4、能登を訪れた。半年たったいまもなお、道路は盛り上がり、つぶれた家屋が道路にはみ出し、火災でやけた場所は、一部更地になっていた。のこっている建物だって、傾いていて。
    ニュースではそんなことやってないのに。復興は遠いことを知る。

    更地は片付けたあとなこと、復興とは建物や道路が元に戻るだけじゃないこと、私も差別をしていたこと、いろ

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    2024年08月06日
  • あのひとは蜘蛛を潰せない

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    彩瀬まるさん、本当にすごいわ。
    うまく言い表せる気がしないし、
    この本の良さを伝えられる気がしない。
    人間に関する機微の表現が巧みすぎる。
    綺麗な表現でまとめられた小説って割とよくあると思うんだけど、綺麗とは違って、現実を美化しすぎてなくて、なんというか、本当にすごいんだよなあ。
    私にもう少し語彙があったらなあ。
    とにかく、出てくる人たちにあまりにも血が通っている。

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    2024年08月01日
  • 骨を彩る

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    本編も当然ですが、最近解説を読んで、作家先生は、言葉を形にするのが凄く上手なんだと改めて実感します。当たり前ですが。

    解説であるように、物語それぞれが「寡黙」ではあるが、それでいて「鋭利」であり「優しい」。読んでよかったです。

    桐野夏生さんの「日没」からの、振れ幅、最高かよ。

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    2024年07月11日
  • 森があふれる

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    ネタバレ

    作家の妻が発芽し、森になるところから始まる、幻想文学のようで、真正面から現実を突きつけた作品。
    編集者ふたり、作家の不倫相手、作家、作家の妻…それぞれの、女性への呪い、男性への呪いをぐるぐるにまとわりつけていたが、森で気づき、あふれていく。
    彩瀬まるさん作品の、登場人物の価値観や凝り固まったものが、ふとほぐれる瞬間が大好きなんですが、『森があふれる』では、特に引き継いだ編集者・白崎の夫との会話がすばらしかった。
    主観による気付きに、対面した相手の表面だけでないものが作用した瞬間の化学反応…!

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    2024年07月06日
  • 偏愛小説集 あなたを奪うの。

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    「略奪愛」をテーマに紡いだ、書き下ろし恋愛小説集。彩瀬まる/窪美澄/千早茜/花房観音/宮木あや子、好きな作家しかおらん…。好きな作家しかおらんと思ったら好きな話しか収録されていない…。どれも好きで読んでてぐわああっとした感情でいっぱいになった。略奪愛というテーマで薄暗いようなイメージがあるかもしれないけど、でもどの話もピュアでまっすぐでだからこそ「略奪」って可能なのかもしれない。てらいなく自分に素直になれるからこそ手元に愛を引き寄せることができるんだなあとそのエネルギーに溺れそうになった。どの話も読み応えがあって幸せな読書体験だった

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    2024年06月17日
  • あのひとは蜘蛛を潰せない

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    めちゃくちゃ良かった。母との関係、母に愛されたいけどうまくいかず憎む気持ちに共感されっぱなしで、同じような気持ちになる人がいるのだとどこか安心する気持ちになる。主人公の、常に社会的に「ちゃんと」しないといけない気持ちも痛いほどわかる。帰結では強くなれた主人公を見て、イヤなことはイヤと言おうという、勇気が出る

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    2024年05月18日
  • 朝が来るまでそばにいる(新潮文庫)

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    誰かの生や死からくる悲しみとその悲しみが私を行ってはいけないところに引き摺りこんでくるような恐ろしさが感じられた作品だった。この本を見つけた時にタイトルの優しさに惹かれて読むことにした。それは自分のエゴから来る優しさというより誰かの我儘に仕方なく付き合うような優しさだったのだがそれがこの作品の肝であり良くないところでもあるなと気づいた時、とても鳥肌がたった。

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    2024年05月11日
  • くちなし

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    帯に神様のお話みたいと書いてあった。私も同じようなことを思った。芥川龍之介の蜘蛛の糸みたい、人間の醜いところが垣間見える。なんかゾクゾクする。現実世界とは違う世界のことだけど、現代社会の何かを表しているような気がした。千と千尋の神隠しが実は環境問題を題材にしているのではないか、みたいな。ちょっと怖くてドキドキしつつ、でも急にじんとさせられたり。毎回予想の斜め上を行くストーリーが待っている。一本ジブリ映画を見終わったような満足感があって、考えさせられる。すごくよかった。

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    2024年04月15日
  • 草原のサーカス(新潮文庫)

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    姉妹の対比が良かった。どちらも真面目なのだけれど気付かないうちに間違っている。それは誰にでもあることだなと共感しました。文章もとても読みやすかったです。

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    2024年04月13日
  • 神様のケーキを頬ばるまで

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    ありふれた雑居ビルで繰り広げられる
    日常のどうにもならない理不尽なこと、
    大きな怒りや悲しみを抱えた登場人物5人が
    様々な出来事や出会いを通じて
    生きる姿勢を少しだけ変えることで、
    今までの日々を時間をかけて許し、
    付き合っていこうと前を向く。
    それまでの憎んだ相手や、苦しみもがいた自分自身が、
    手を添えて今の新しい幸福を一緒に作ってくれたんだと
    思えるようになるまでを描いた、短編集。

    少しずつ話は繋がってるけど
    私は1話目の「泥雪」と
    ラストの「塔は崩れ、食事は止まず 」が好きです

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    2024年03月28日
  • あのひとは蜘蛛を潰せない

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    どんな時も「みっともない女になるな」という母の"正しさ"が呪縛のように付き纏う28歳実家暮らしの女性が
    恋をして初めて母に抗って、だけど結局何が正しいのか分からなくて悩んだり、間違えたり、それでも日々を生きていく物語。
    日常的で、生々しくて、それでいて根暗な内容だけど一応 恋愛もの。好きです。

    自分の考えを上手く伝えられない、相手の事がよく分からない、当たり前な事の表現とか文章が秀逸ですんなりと頭に入ってくる作品

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    2024年03月28日
  • まだ温かい鍋を抱いておやすみ

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    食べることは生きること。自分や大切な人のために美味しいと感じられる料理を作りたい、美味しいものを誰かと楽しくいただきたい、そんな時間を大切にしたいと改めて思わせてもらえる本でした。

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    2024年03月27日
  • 眠れない夜は体を脱いで

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    なんとなく読みやすいかな?と言うだけで手に取った一冊。何も期待していなかっただけに予想以上に面白かったし、気持ちが前向きになれた。

    短編でサクサク読める。ひとつのネットの書き込みをめぐってのそれぞれの見方が面白い。どれもわかる点はある。どの主人公、どのストーリーも好きだった。

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    2024年03月18日
  • まだ温かい鍋を抱いておやすみ

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    食をキーにした短編集。著者は、女性の心の揺らぎ、シスターフット系の作品に長けている。
    ふと道を外しジャンクなピザの味に恍惚としたことで、逆にメンタルを病んだ夫を理解し包摂できるようになる「ミックスミックスピザ」子を亡くした友人を引き取って食を与え続け自らの喜びを知る「シュークリームタワーで待ち合わせ」がんで味覚を失い死にゆく優しい友人が残してくれた鍋「大きな鍋」がよかった。

    P172「家庭は、異世界だよ。社会とは違う。ちょっとずついろんなものがずれる。愛情で、何らかの磁場が狂う。」

    P182それは奇妙に甘美な体験だった。一つの命にずっと触って、それが太くしたたかになるのを待っているのだった

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    2024年02月11日
  • くちなし

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    幻想的で甘美で少しグロテスクな短編集。
    文章も美しく、不思議な世界観に浸れる。
    現実にはあり得ない世界観の中でも、そこにある感情の揺らぎは普遍的なものがあって、共感もできる。
    どのお話も独特の魅力があって素敵だった。

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    2024年02月07日
  • 骨を彩る

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    偶然死を身近に感じる機会が多かった時に読んだ。どんな言葉でも言い表すのは難しいけど、生きることと死ぬことについて上手く飲み込んで自分の中で折り合いがついた作品だった。

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    2024年01月26日
  • まだ温かい鍋を抱いておやすみ

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    ネタバレ

    私とよく似た人がたくさん出てきた気がする。てことはどの人も普通の平凡な人たちなんだろう。どっか満たされない部分とか、どうしても埋められない隙間を、なんとかしようとする食事。食べることは生きることだってことなんだろうな。ポタージュスープの話は「夢オチかよ!」なんて全く思わなかったばかりか、なんだこの話すごいって読み終えてしばらくゾワゾワしてた。不思議で温かくて、この人の作品好きかも。

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    2024年01月19日
  • まだ温かい鍋を抱いておやすみ

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    タイトルが本の内容をぎゅっと凝縮していて秀逸。
    どんなに難しい状況にいても、食べずには生きていけない。
    どの話にも苦い現実があり、けれどそれを包むようなひたむきさや、優しさがあり、じんわりあたたまった。

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    2024年01月19日