彩瀬まるのレビュー一覧

  • 眠れない夜は体を脱いで

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    自分自身との折り合いがうまくいかない、自分でいることに窮屈さを感じる。こんなに苦しいことってあるか。だけど、共感すること多く読み進めました。
    相手との関係性、距離感にもよるが、おそらく人は大なり小なり自分を演じている部分もあるのではないか。
    コンプレックス、性別、年齢、こうあるべきという価値観、一般的な役割をうち破りながら自分を見つめ、認め直してゆく。
    無意識に解放されたいという思いが繋がったのか、各章の主人公は、あるネット掲示板に辿り着く。この一風変わったスレッドへの応答に様々な捉え方がきっかけとなり現実と向き合う。
    体を脱ぐ、役割の枠に押し込められず、素のままのなりたい自分になる、これが出

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    2022年11月26日
  • 暗い夜、星を数えて―3・11被災鉄道からの脱出―(新潮文庫)

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    体験したからこその表現がとても心に刺さりました
    震災後も自分には帰る日常がある
    自分の日常から感じていた復興度合いと現地での現実
    嘘偽りなく自分の思いを曝け出した文章を読んで、すごい方だと思いました

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    2022年10月16日
  • やがて海へと届く

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    今年三月まで、東日本大震災で行方不明者は2523人となっています。

    行方不明となったすみれの不在をどのように受け止めればいいんでしょうか。真奈は、すみれの死亡を認めずにいて、「形見分け」をする遠野も、仏壇に向かい記憶の「改竄」をするすみれの母も許せない。自分が苦しければ苦しいほど、すみれが近い。一人で暗闇のなかを彷徨うすみれを手放してはいけない。

    一方、遠野は暗闇から去ると決め、「すみれはきっと歩き続けるだろう」と、自分も勇気を出して進まなければと考えている。

    どちらにしても、現実の時間は生者の悲痛をものともせずに流れていく。真奈は時の移ろいの中で忘れていくことを怖がり、「本当にいいのか

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    2022年09月28日
  • 眠れない夜は体を脱いで

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    ネタバレ

    現代チックで寄り添いやすいお話達でした。
    短編全てに一本筋の通った共通項があって読み進めやすい。
    短編というとお話の厚みに物足りなさを感じるこど多いのですが今回それは無し!


    「これからどんどん楽になるよ。息抜きしたり、自分を作り変えたり、そういう力をあんただけじゃなくて周りも手に入れて、優しくなるから。あと少しだけがんばって」
    大人だからってこんな素敵なこと言えるとは限らないわよ!!!!和海くんの恋は本物ですと声を大にして言いたい。もう言ってる。

    「いい子のふりじゃないよ。お父さんとお母さんが好きなの。だから、今はなるべくあの人たちの生き方を肯定して、一緒に生きていたい」
    月ちゃん良い子

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    2022年07月11日
  • 眠れない夜は体を脱いで

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    最初はタイトルの意味が分からなくて、だけどすごく気になって手に取った本。

    "体を脱ぐ"ことができたらどれだけ良いだろう。
    私は自分の顔が嫌い。体型も声も嫌い。だから、今の体を脱いで他の誰かの体に入れたらいいなぁと、小さい頃から思っていた。

    本作は、そんな私のように自分という入れ物に何らかの違和感を感じている五人のお話。自分が思い描いている"自分"と、他者が見ている"自分"との乖離に思い悩む五人。
    私は中でも「鮮やかな熱病」が好きだ。こうあるべき、といった枠に囚われがちな人は、きっとその人自身が枠に無理やりはめ込まれて息苦しい思いを

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    2022年07月07日
  • やがて海へと届く

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    ネタバレ

    苦しくて。苦しくて。苦しくて。胸がつまる時間だった。〈普段考えないことは心細い。なので、突風にあおられるようにすみれに会いたくなった。〉湖谷真奈とすみれと、遠野くんの物語。フカクフカク。私も物語に引き込まれていった。戻ることも進むこともできない思いに塞がれてページをめくった。〈頭ではわかっても、私のてのひらや、耳や、指先がわからないとぐずり続ける。〉あの日の震災から三年。すみれが居なくなって、三年。〈会いたいねえ〉真奈はすみれが感じたであろう痛みを、恐怖を手離さないことで、すみれとの繋がりを保ち続けようとしていた。もう帰り道もわからなくなってしまった魂のすみれ。〈たくさんの約束も、大事にする方

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    2022年05月21日
  • 朝が来るまでそばにいる(新潮文庫)

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    いのちがテーマになっているような短編集。不気味な世界が多く、冷たさも感じるけれどすごく温かい不気味さ。

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    2022年05月04日
  • やがて海へと届く

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    ネタバレ

    毎年3月になると読む本。
    あの日を思い出す時、この本を読まなくてはいけない気がする。

    今まで何度読んでも分からなかった、ずっと私には分からないと思っていた偶数章が、少しだけわかった気がした。
    偶数章は、すみれと、真奈が望むすみれが入り交じった『私』なのではないかと思う。根拠はまだない。

    どんなに重くて暗くてもずっと道は続いていて、その先には新しい靴が用意されている。

    いつかはフカク、フカク。誰かと想い合いたい。

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    2022年03月25日
  • 眠れない夜は体を脱いで

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    最後の話で掲示板のスレッド主の核心が明かされて、明かされた核心から思いもよらない儚げな幸せが咲いて、ほっこりと温かくなった

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    2021年12月14日
  • 暗い夜、星を数えて―3・11被災鉄道からの脱出―(新潮文庫)

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    震災から10年の節目に、本屋さんで目に止まったので読みました。
    私も被災しましたが、著述業の方が書くと、ここまで表現できるものなのかと驚きと、10年前のことがまざまざと蘇りました。
    同じ著者の『やがて海へと届く』もあわせて読むとさらに伝わるものがあります。

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    2021年03月04日
  • 眠れない夜は体を脱いで

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    「手の画像をください」というスレッドに立ち寄った人々の5つの物語。しっくり来ない現状、夜のネットサーフィン、感情の移ろいが我がことのよう。
    「マリアを愛する」が好き。

    無理に馴染まなくても、いい。

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    2021年01月30日
  • 眠れない夜は体を脱いで

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    どのお話もんんんんああああはああこの気持ちどっかのなんかのシチュエーションでなったああってなるのでたまらんのだが、おじさんの主役の話ではあっっっわたしも攻撃する側になってるっっああああごめーーーん!!ってなる。感情がぶるぶるなるまるで自分がその場にいるみたいな気持ちになるすごいめっちゃ面白い。

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    2021年01月18日
  • 眠れない夜は体を脱いで

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    ふんわり優しいお話ばっかりでかなり好きやった。
    こんな感じの時間軸の繋がりがあるんやなぁ。
    寒い毎日、ほわっとした気持ちを頂けて幸せになれた。
    読んで良かったー。

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    2020年12月10日
  • 眠れない夜は体を脱いで

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    5編どれもとても良かった。体のコンプレックス・・・というか、自分のありようと客観との間にあるギャップに、戸惑う気持ちがいろいろな方向から繊細に描かれている。どのお話を読んでも少しずつ、あ、なんだか分かるな、と思ったり、戸惑う人がいたら、こんなふうに接すればいいのかな、と思ったり。
    ふだん生きる社会と、自分の内面とがなんだか噛み合わないと思う人は多いのかな。程度の差はあれ。その感覚に対して、どう向き合うのかも人それぞれ。「認めていいんだ」と思えるようになる高校生の和海。すでに飲み下して、「変わってる」と言われることに何かを感じることもなく日々の楽しみを見つけている50代の真知子。私が一番気持ちを

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    2020年12月10日
  • 眠れない夜は体を脱いで

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    自分にしかわからないままならなさやコンプレックスを全て温かく包んでくれるようなお話。
    すきになれない部分を肯定してくれるような素敵な短編集でした。

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    2020年10月28日
  • 眠れない夜は体を脱いで

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    心の不安・悲しみ・寂しさがある人は手に取ってみると、もっと楽に物事を見つめ考えることができるのでは・・・と、思う作品でした。読みやすく面白い短編集でした。

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    2020年09月14日
  • 暗い夜、星を数えて―3・11被災鉄道からの脱出―(新潮文庫)

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    帯のコピーよりも書名の「暗い夜、星を数えて」だけで本の内容を十分表していると思う。文庫あとがきを含めて、多くの方に読んでいただきたい1冊です。

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    2020年06月26日
  • 暗い夜、星を数えて―3・11被災鉄道からの脱出―(新潮文庫)

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    彩瀬まるさんのご本を読むのは初めて。
    3.11が近づいて来たので、ずっと気になってたこちらを読んでみた。

    三章からなる構成。
    福島の一人旅中に常磐線であの地震に遭遇。
    たまたま隣に座っていた女性と津波が迫る中逃げるところから始まる。

    一章では、あの震災に遭いながらも励まし合い助け合う人々に救われる様子が描かれていて、自然と涙が出て来てしまった。

    みんな優しい。
    本当に優しい。

    自然災害と今の世界を揺るがす疫病とは話が違うかもだけど、今買い占めとか転売とかで揉めてるのが本当に馬鹿らしくなってしまう。

    でも、二章からはやっぱり人間のどうしようもない面も描かれていて…。
    愚かだし、悲しいな

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    2020年03月11日
  • 妖し

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    あまり「妖し」じゃなかったんですが
    一番良かったのは
    窪美澄先生の 「真珠星 スピカ」
    死んだ母親が娘を こっくりさんを使って
    守る話で 愛情に不意打ちされて
    かなり泣けました さすが

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    2020年03月09日
  • 朝が来るまでそばにいる(新潮文庫)

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    一言でこの小説を表すとすれば、哀しいホラー短編集だと、私は思う。
    全6編のうち3編は死というものが前提にあって、残りの3編にもどことなく死の匂いのようなものが漂っている。
    怖い中にも湿り気や情緒があって、とても日本人好みの内容だと思う。死者の念や想いの強さが、鬼や奇鳥や地縛霊に姿を変えてこの世に取り憑く。そこには人の哀しみが溢れている。

    ホラー要素はほとんどない一編「眼が開くとき」がとてもエロティックで良かった。いらやしい要素や直接的な表現は全くないのだけど、とてもエロティック。だけどある意味でとても恐ろしい物語でもある。
    憧れや恋心は片目瞑って相手を見ているくらいがちょうど良く長続きもする

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    2020年02月06日