彩瀬まるのレビュー一覧

  • 骨を彩る

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    本編も当然ですが、最近解説を読んで、作家先生は、言葉を形にするのが凄く上手なんだと改めて実感します。当たり前ですが。

    解説であるように、物語それぞれが「寡黙」ではあるが、それでいて「鋭利」であり「優しい」。読んでよかったです。

    桐野夏生さんの「日没」からの、振れ幅、最高かよ。

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    2024年07月11日
  • 森があふれる

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    ネタバレ

    作家の妻が発芽し、森になるところから始まる、幻想文学のようで、真正面から現実を突きつけた作品。
    編集者ふたり、作家の不倫相手、作家、作家の妻…それぞれの、女性への呪い、男性への呪いをぐるぐるにまとわりつけていたが、森で気づき、あふれていく。
    彩瀬まるさん作品の、登場人物の価値観や凝り固まったものが、ふとほぐれる瞬間が大好きなんですが、『森があふれる』では、特に引き継いだ編集者・白崎の夫との会話がすばらしかった。
    主観による気付きに、対面した相手の表面だけでないものが作用した瞬間の化学反応…!

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    2024年07月06日
  • 偏愛小説集 あなたを奪うの。

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    「略奪愛」をテーマに紡いだ、書き下ろし恋愛小説集。彩瀬まる/窪美澄/千早茜/花房観音/宮木あや子、好きな作家しかおらん…。好きな作家しかおらんと思ったら好きな話しか収録されていない…。どれも好きで読んでてぐわああっとした感情でいっぱいになった。略奪愛というテーマで薄暗いようなイメージがあるかもしれないけど、でもどの話もピュアでまっすぐでだからこそ「略奪」って可能なのかもしれない。てらいなく自分に素直になれるからこそ手元に愛を引き寄せることができるんだなあとそのエネルギーに溺れそうになった。どの話も読み応えがあって幸せな読書体験だった

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    2024年06月17日
  • あのひとは蜘蛛を潰せない

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    めちゃくちゃ良かった。母との関係、母に愛されたいけどうまくいかず憎む気持ちに共感されっぱなしで、同じような気持ちになる人がいるのだとどこか安心する気持ちになる。主人公の、常に社会的に「ちゃんと」しないといけない気持ちも痛いほどわかる。帰結では強くなれた主人公を見て、イヤなことはイヤと言おうという、勇気が出る

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    2024年05月18日
  • 朝が来るまでそばにいる(新潮文庫)

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    誰かの生や死からくる悲しみとその悲しみが私を行ってはいけないところに引き摺りこんでくるような恐ろしさが感じられた作品だった。この本を見つけた時にタイトルの優しさに惹かれて読むことにした。それは自分のエゴから来る優しさというより誰かの我儘に仕方なく付き合うような優しさだったのだがそれがこの作品の肝であり良くないところでもあるなと気づいた時、とても鳥肌がたった。

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    2024年05月11日
  • くちなし

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    帯に神様のお話みたいと書いてあった。私も同じようなことを思った。芥川龍之介の蜘蛛の糸みたい、人間の醜いところが垣間見える。なんかゾクゾクする。現実世界とは違う世界のことだけど、現代社会の何かを表しているような気がした。千と千尋の神隠しが実は環境問題を題材にしているのではないか、みたいな。ちょっと怖くてドキドキしつつ、でも急にじんとさせられたり。毎回予想の斜め上を行くストーリーが待っている。一本ジブリ映画を見終わったような満足感があって、考えさせられる。すごくよかった。

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    2024年04月15日
  • 草原のサーカス(新潮文庫)

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    姉妹の対比が良かった。どちらも真面目なのだけれど気付かないうちに間違っている。それは誰にでもあることだなと共感しました。文章もとても読みやすかったです。

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    2024年04月13日
  • 神様のケーキを頬ばるまで

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    ありふれた雑居ビルで繰り広げられる
    日常のどうにもならない理不尽なこと、
    大きな怒りや悲しみを抱えた登場人物5人が
    様々な出来事や出会いを通じて
    生きる姿勢を少しだけ変えることで、
    今までの日々を時間をかけて許し、
    付き合っていこうと前を向く。
    それまでの憎んだ相手や、苦しみもがいた自分自身が、
    手を添えて今の新しい幸福を一緒に作ってくれたんだと
    思えるようになるまでを描いた、短編集。

    少しずつ話は繋がってるけど
    私は1話目の「泥雪」と
    ラストの「塔は崩れ、食事は止まず 」が好きです

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    2024年03月28日
  • あのひとは蜘蛛を潰せない

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    どんな時も「みっともない女になるな」という母の"正しさ"が呪縛のように付き纏う28歳実家暮らしの女性が
    恋をして初めて母に抗って、だけど結局何が正しいのか分からなくて悩んだり、間違えたり、それでも日々を生きていく物語。
    日常的で、生々しくて、それでいて根暗な内容だけど一応 恋愛もの。好きです。

    自分の考えを上手く伝えられない、相手の事がよく分からない、当たり前な事の表現とか文章が秀逸ですんなりと頭に入ってくる作品

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    2024年03月28日
  • まだ温かい鍋を抱いておやすみ

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    食べることは生きること。自分や大切な人のために美味しいと感じられる料理を作りたい、美味しいものを誰かと楽しくいただきたい、そんな時間を大切にしたいと改めて思わせてもらえる本でした。

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    2024年03月27日
  • 眠れない夜は体を脱いで

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    なんとなく読みやすいかな?と言うだけで手に取った一冊。何も期待していなかっただけに予想以上に面白かったし、気持ちが前向きになれた。

    短編でサクサク読める。ひとつのネットの書き込みをめぐってのそれぞれの見方が面白い。どれもわかる点はある。どの主人公、どのストーリーも好きだった。

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    2024年03月18日
  • まだ温かい鍋を抱いておやすみ

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    食をキーにした短編集。著者は、女性の心の揺らぎ、シスターフット系の作品に長けている。
    ふと道を外しジャンクなピザの味に恍惚としたことで、逆にメンタルを病んだ夫を理解し包摂できるようになる「ミックスミックスピザ」子を亡くした友人を引き取って食を与え続け自らの喜びを知る「シュークリームタワーで待ち合わせ」がんで味覚を失い死にゆく優しい友人が残してくれた鍋「大きな鍋」がよかった。

    P172「家庭は、異世界だよ。社会とは違う。ちょっとずついろんなものがずれる。愛情で、何らかの磁場が狂う。」

    P182それは奇妙に甘美な体験だった。一つの命にずっと触って、それが太くしたたかになるのを待っているのだった

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    2024年02月11日
  • くちなし

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    幻想的で甘美で少しグロテスクな短編集。
    文章も美しく、不思議な世界観に浸れる。
    現実にはあり得ない世界観の中でも、そこにある感情の揺らぎは普遍的なものがあって、共感もできる。
    どのお話も独特の魅力があって素敵だった。

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    2024年02月07日
  • 骨を彩る

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    偶然死を身近に感じる機会が多かった時に読んだ。どんな言葉でも言い表すのは難しいけど、生きることと死ぬことについて上手く飲み込んで自分の中で折り合いがついた作品だった。

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    2024年01月26日
  • あのひとは蜘蛛を潰せない

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    【2024年8冊目】
    めちゃくちゃ好みの作品でした。

    最初は毒親から逃れる話かと思ったんですよ。全然そうじゃなかった。主人公が一人の人間として、生きる話でした。

    28歳で実家暮らしであることに引け目を感じていたものの、兄から子が生まれることをきっかけに、実家に戻ろうと思っている連絡を受け、一人暮らしを決意する主人公。ずっと片親であった母親の呪縛みたいなものがあったのですが、そこから解き放たれたわけです。

    途中までは母親のことを毒親として認識してましたが、母親も母親で子どもに「かわいそう」と認識される存在であることに気づき、互いにめちゃくちゃ辛いじゃんと思って心臓握りつぶされるかと思いまし

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    2024年01月17日
  • 花に埋もれる

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    人に薦められて、彩瀬さん初読み。
    第158回と第166回の2回直木賞候補になったというが、この短編集に関しては独特の世界観があって、どちらかというと芥川賞っぽいな、と。

    「ベストアルバム的短編集」ってあまりピンとこない表現だけど、素晴らしい作品をとり揃えた短編集ということなんだろう。
    確かに、収録された6編は全編捨て駒なし。息つく間もないほど濃密だ。

    最初の2編はジャブ。でもパンチが思いの外重くて焦っていたところ、3編目「マイ・マイマイ」で目にも止まらぬ速さのストレートが飛んできていきなりダウンさせられた。
    そのあとは4連続ダウンでもう立てません。
    なす術もなくノックアウトです。

    とくに

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    2023年11月26日
  • やがて海へと届く

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    3回読んでます。構成も好きだし読みやすい。何度も何度も出てくるおばあちゃんが、あーもう立ち止まっていいよと優しく諭す。それを跳ね除けて、そして生まれ変わる。あの震災で亡くなって、魂が洗われて生まれ変わって報われた。あの海まで何度も行く姿が切なくて、サムイボでした。友人の想いもしっかり出ていて私にも伝わった。4回目も必ず行きます

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    2023年11月14日
  • 不在

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    短編と思いながら読み進めて、これは長い話になると。サイン会の出だしの言葉がどういう意味なのか、お父さんだったのか。お父さんの死から始まり、あんなに嫌いな実家を譲り受けて、同時進行で作家業が続く。冬馬がめちゃくちゃまともな人間で、2人の愛という名の束縛に、拒否して終わりが来る。情緒不安定と表現したけど元々がそういう人間なんだ。自分の養ってあげてるのを、帰るのも貰うのも全て明日香。施したお礼がかえる時のお腹の中のものが解けるとか、これからもそうやって生きていくんだね。

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    2023年11月14日
  • 骨を彩る

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    やがて海へと帰る。を読んで自分が死んだ事に気付かず歩いて歩いて同じ場所に戻って、また歩いて、歩かなくていいんだよとお婆さんが言ってくれる、顔が菊の花で、その大元が震災で、何度読んでも切なくて、でも切ないと自分とは関係ないと人事みたいに考える浅はかな自分がいる。どんどん記憶が消えて行き最後に歩かなくていいんだよと、救われる、最後に救われた思いです。小春の話が印象的だった、自分から見たら今の子供達は複雑で、逃げる術を持たないと生きれない、小春は自分が変わる事が正しいと知り実際そうした、葵とまた会えるはず

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    2023年11月14日
  • 眠れない夜は体を脱いで

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    手の書き込みサイトがどれでも出てきて気になったのも、最後にちゃんとオチが付く、これもまたいい作り。物語も繋がっているし内なるテーマも繋がるし、いいですね。身体を脱ぎ捨てるという発想と実際にあり得る事と、なるほど頷く。綾瀬まるさんは桜の下で待ってるから読み初めて、地元が舞台で訛りがちゃんとしてて、そこからですね好きになる。震災の時に相馬で電車に乗っていたんだった。やがて海へと帰るが強く残ってて、あの世界観が何回でも読める

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    2023年11月14日