あらすじ
十年前に妻を失うも、最近心揺れる女性に出会った津村。しかし罪悪感で喪失からの一歩を踏み出せずにいた。そんな中、遺された手帳に「だれもわかってくれない」という妻の言葉を見つけ……。彼女はどんな気持ちで死んでいったのか――。わからない、取り戻せない、どうしようもない。心に「ない」を抱える人々を痛いほど繊細に描いた代表作。
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Posted by ブクログ
彩瀬まるさんの作品を初めて読んだ。
5編の短編でできているが、繋がっていてひとつの物語になっている。
人は、周りの友人や家族と繋がっているようで繋がっていない…繋がっていないようで繋がっている。
(どう表現したらいいのかわからない^_^;)
「指のたより」と「やわらかい骨」の小春がよかった。
素晴らしい作品だった。
彩瀬まるさんの他の作品も読んでみたい。
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こういう時、なんて返すべきだろう。なるべく端的に、物事の核心を突いた返答を探す。正しい事はいつも短い。(136p)
短編かと思い読み進めると…すべて繋がります。
家族、友達、恋人。そして自分。どうしてもそれぞれ世界があって、傷付いたり、傷付けたり、誤解ができたり、和解できたり。他者と関わることによって、全て分かり合う事はできないかもしれないし、少し分かるようになれる、歩み寄ることができる。読んだあと、すこし心が温かく、さみしい気持ちになれます。素敵でした。読めて良かった。
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本編も当然ですが、最近解説を読んで、作家先生は、言葉を形にするのが凄く上手なんだと改めて実感します。当たり前ですが。
解説であるように、物語それぞれが「寡黙」ではあるが、それでいて「鋭利」であり「優しい」。読んでよかったです。
桐野夏生さんの「日没」からの、振れ幅、最高かよ。
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偶然死を身近に感じる機会が多かった時に読んだ。どんな言葉でも言い表すのは難しいけど、生きることと死ぬことについて上手く飲み込んで自分の中で折り合いがついた作品だった。
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やがて海へと帰る。を読んで自分が死んだ事に気付かず歩いて歩いて同じ場所に戻って、また歩いて、歩かなくていいんだよとお婆さんが言ってくれる、顔が菊の花で、その大元が震災で、何度読んでも切なくて、でも切ないと自分とは関係ないと人事みたいに考える浅はかな自分がいる。どんどん記憶が消えて行き最後に歩かなくていいんだよと、救われる、最後に救われた思いです。小春の話が印象的だった、自分から見たら今の子供達は複雑で、逃げる術を持たないと生きれない、小春は自分が変わる事が正しいと知り実際そうした、葵とまた会えるはず
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彩瀬まるさんの作品が好き。
以前なにかを読んでから漠然と思っていて、メルカリで5冊セットで購入うちの1冊目を読み終えた。
大きなストーリーに流される話ではなくて
手からこぼれ落ちていく日々の生活を、ひとつぶひとつぶ、お椀がたの手で受け止めているような、そんな印象
短編集だがゆるっと繋がっている私が愛してやまないスタイル
読み終わってからはじめて気付く、表紙のイラスト
なにか足りない、ずっと足りないと思っていたわたしを、埋めてくれる
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イチョウの葉が印象的だった。
1話目の指のたよりは夜中に読んだからか、
少しホラーに。夢の中で自分の指も。笑
2話目の古世代のバウムロール
分かる。
嫉妬心とか見栄とか。
他人が羨ましく思う。自分を着飾りたくなる。
3話目のバラバラ
人は1人では生きていけない
お互いの気持ち、自分が思ってもないほど実は相手は思っていてくれてたり。
4話目のハライソ
きっとみんな違う形でも
こーいう息抜きというか本音を出す場所が必要
ただ、そんな中にも気を遣ったり言葉を選んだり
最後のやわらかい骨。
人と違うところ。
心内を打ち明けていく
そして打ち解けていく
心の歪みが解かれていく気がした。
柔らかい気持ちになった。
Posted by ブクログ
正直、5月の自分は、何もしたくないという気持ちが溢れていたせいか、最初の方はあまり進まず、時間がかかってしまいました。そんな無気力な気持ち読んでいましたが、読み終えた後は「難しいな、色々」という気持ちです。
他者には起こっていない自分の出来事を分かってもらうことは酷いのではないか。
だから、他者と違う部分はお互い触れず、うまく加減して付き合っていくことが利口であること。
結局は、自分が変わるしかないこと。
他者の気持ちを完璧に理解しようとするのは難しいと言う現実を分かっていながら、それでも他者と分かり合いたいと思ってしまうって大変なことすぎませんか。
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どこか影がありながらも、優しく穏やかな雰囲気の物語でした。
誰かに押し付けられるのではなく
自分で向き合って、納得して見つけ出した答えは
何よりも強いんだなと思いました。
Posted by ブクログ
強く、強く、なんのうたがいもなく怒ったり、責めたり出来る、のはその物事に関わりがない人
本当の意味で他人を理解することはできない。短編に登場する人達の心の中の暗い部分を描きつつも何かぽっと暖かい気持ちになるような話だった。
Posted by ブクログ
ひとつひとつ丁寧に繋がった短編集
境遇に違いはあれど、あぁわかるなぁと思える、心にしんみり染み渡るものばかり
“ハライソ”が1番わかりやすかった
“やわらかい骨”の、中学生ならではの透明感と純粋さゆえに苦しむ姿も印象的でした
Posted by ブクログ
とても良い作品だった。短編ですがどれもゆるりと繋がっているのにその主人公だけの物語がそこには在るという感じ。骨という言葉が死・繋がり・成長などいろんな意味で表現されていて興味深かった。指のたよりから始まってやわらかい骨で終わるところ、最後の文章が良かった。誰に合わせても何処に溶け合っても自分を形作る骨は自分の中にあってその骨は染まらない。だから他の人にはなれないし、自分は自分を救って抱きしめてあげなければならないんだと強く思った。
Posted by ブクログ
言葉を選び、選びながら寡黙に テーマは“喪失”
10年前に妻であり母親を亡くした、父娘を中心とした連作短編集
「指のたより」
妻を亡くした後、娘との生活を大切に暮らしてきた父親に心惹かれる女性が現れる
妻の日記に残された言葉
誰もわかってくれない
亡くなる前の記憶と妻の出てくる夢が交差する
最後の「やわらかい骨」
こちらは、高校生の娘の視線
父親との生活に過不足はないものの、自分では気が付かないほど本来の母親の不足
宗教家一家の転校生との短いけれど篤い交流
この章は、若くも深い感情が静かに描写されていて、若い世代にお勧めしたい
「古代のバームロール」
父親と親しくなりそうだった女性
彼女の高校時代の友人達の現在
「ばらばら」
前作の女性の友人
器用に生きていそうな彼女の子育ての悩み
育った家庭のトラウマ
旅先で甘え上手な少女と出会う
「ハライソ」
前作の少女とゲーム内の友人の大学生
架空の世界の友人との現実世界の相談
それぞれは、短編なのにきちんと物語が変わる
繋がってはいくけれど、別の喪失に観点が変わる
描ける世界が広いなと思いました
Posted by ブクログ
指のさきが引っかかったり引っかからなかったり、それでも前に進んでいく。
ろっ骨の間からじんわりしみてくるような、最後にぱっとイチョウ色が目の裏に浮かぶようないい本だったな。
Posted by ブクログ
みんな誰だって隠しておきたい事、心に暗い影をもっているものなんだなと改めて思う作品でした。
読み終えてみると、愛情や人の優しさ、思いはもっていても中々伝わらないものなんだな、と。
相手を思う気持ちがかえって相手との距離を生み
、ささいな誤解が大きくなり。
人と繫がれる事は奇跡に近くて正解はないのかな。
でも思う気持ちさえあればいつかまた理解しあえるのかも。
感想は自分の気持ちも相手の気持ちも、理解するのは難しいでした。
Posted by ブクログ
短編集みたいだけど全てが繋がってる
人間誰しも持ち合わせているきれいだったり汚かったりする感情を、肯定も否定もせず受け入れて生きていくってこういうことなんだな
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彩瀬まるさんの本4冊目。
5つの短編やけど繋がってる、でも各物語がしっかり独立してる。
彩瀬さんの抽象的な、幻想的な文章が掴みどころのない雰囲気を作ってるんだろうなぁ。
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淡々とした文章で読みやすかった。静かに時間が流れる感じ。誰も誰かと繋がってるんだなと、人によって見せる顔も印象も違うよなぁ。その人のことってホント分からない。
Posted by ブクログ
なんとなく繋がっている短編集。
あまり好みのストーリーではなかったので、読むのに時間かかりましたが、まぁ日常でありそうな話。
しいていえば最終話が良かったです。
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全部が繋がってるスタイルの短編集。途中で誰が誰かわからなくなったけど読み切った。どの話もハッピーエンドでもバッドエンドでもないんだなーと思ってたけど最後の話は比較的?ハッピーエンドよりでとてもいい話だった。小春の葵に対する「普通」を押し付けるところが、読んでて苦しかったが途中でそれに気づけてすごいなと思った。中学生なんて自分の考えが普通であって、異端者を無意識的に差別する年頃なのによく考えてるなと思った。中学生カップルがかわいい。
Posted by ブクログ
ちょっと繋がりのある短編集って感じ。
最後の話が特に良くて刺さりました。
言葉にするのが難しいような違和感や感情を、小難しい表現でなく、抽象的で柔らか(?)に表現されていて、分かりやすかったし考えさせられることの多い本でした。
正直最初の方はあんまり刺さらなかったし何が言いたいのかよく分からなかったですけど、最後の話がとっても良かったです。
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前の話に登場した人が次の話で語り手になる。
こういう話、好きです。
語り手から脇役になると印象が変わるのが不思議。
どの話もしんと染みてよかったです。
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すべてに満ち足りて生きている人はいない。この連作短編集で思ったことだ。
亡くなった家族のことに想いを巡らせながら生きている人。拠り所を見つけて、何事もないかのように生きている人。自分にないものを持っている人に、嫉妬したり、関わりを絶ったりして、今の自分を正当化して生きている人。表向きはうまくやってるようでも、本当は辛いことを秘めている人。本当の自分を出せない人。自分を守るために人を蔑んでいる人。自分ではどうしようもないことを抱えている人。この登場人物達のことを知るにつれて、誰もが自分にないものを抱え、悩みながら生きていることについて考えた。
読後、改めて見ると、キラキラしたイチョウの葉っぱが降る表紙が、この物語を包んでいるように思えた。
Posted by ブクログ
一話一話読み進めるごとに書かれている感情が、より生々しく感じた。
育ってきた環境の違いで、わかりたいのにわかりあえない。
そういう経験は自分もあったし、ズキズキと古傷が痛む感じがした。
自分の経験としては、いつもカッターシャツがシワだらけで、名字が3年で3回かわった子とか、日常会話はしつつも深く踏み込めなかったもどかしさがある。
確かにその子からしても踏み込めなさを感じていたのかもしれない。
どこまで踏み込むのか、大人になっても迷うことは多々ある。
子供がそういう問題に直面していたら声をかけるのか、どうしようかと考えてしまった。
Posted by ブクログ
そのまま描かれている訳ではないのに、なぜか心にストレートに響くみたいな、そんな小説でした。
みんな黒を抱えてる、わざわざ見せないし、だから他の人のそれにも気づかない、そしてそれを忘れちゃうから羨んでしまったり、憎んでしまったり、踏み込んでしまったり。どっちが悪いとかじゃない、違う部分にはあまり触れず、加減しながら付き合っていくのが利口。それが全てではないと思うけど、とても良いお話でした。
Posted by ブクログ
短編それぞれの登場人物が繋がっているので、同じ人物の見え方が、さっきの話と次の話で変化する。
人には家族や友人との関係、歩んできた人生、話していないだけで悩みもあり、それらに伴う感情がある。
そういったものをどの短編でも感じた。
短編の中で特に好きだったのは「やわらかい骨」で、違うことを嫌う中学生の世界や、小春と葵がその環境の中で友情を育んでいく様子はとてもリアルだった。
Posted by ブクログ
登場人物が薄く繋がっている短編集。
日々の中で何か上手く行かないこと、自分の中では当たり前なんだけど、人にとっては違うこと。
そんな日々に見られるけど、意外とそれについて深く考えたことはなかったなぁーとか…
だけど気付いてしまうと、ちょっと切なくなる。
全体的に優しさが感じられる作品だった。
2023.3.29
Posted by ブクログ
読解力が乏しいので二回読んだ。
一回目はふわふわとしたこの五つの短編集の共通項は何だろう説明が出来なかった。
二回目を読んで、作品紹介を初めて読んで、ああ「ない」を書いたのかと知って漸く物語を理解できた。
少し時間を空けて三回目を読んだらまた何か分かるのかもしれない。