あらすじ
十年前に妻を失うも、最近心揺れる女性に出会った津村。しかし罪悪感で喪失からの一歩を踏み出せずにいた。そんな中、遺された手帳に「だれもわかってくれない」という妻の言葉を見つけ……。彼女はどんな気持ちで死んでいったのか――。わからない、取り戻せない、どうしようもない。心に「ない」を抱える人々を痛いほど繊細に描いた代表作。
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Posted by ブクログ
こういう時、なんて返すべきだろう。なるべく端的に、物事の核心を突いた返答を探す。正しい事はいつも短い。(136p)
短編かと思い読み進めると…すべて繋がります。
家族、友達、恋人。そして自分。どうしてもそれぞれ世界があって、傷付いたり、傷付けたり、誤解ができたり、和解できたり。他者と関わることによって、全て分かり合う事はできないかもしれないし、少し分かるようになれる、歩み寄ることができる。読んだあと、すこし心が温かく、さみしい気持ちになれます。素敵でした。読めて良かった。
Posted by ブクログ
イチョウの葉が印象的だった。
1話目の指のたよりは夜中に読んだからか、
少しホラーに。夢の中で自分の指も。笑
2話目の古世代のバウムロール
分かる。
嫉妬心とか見栄とか。
他人が羨ましく思う。自分を着飾りたくなる。
3話目のバラバラ
人は1人では生きていけない
お互いの気持ち、自分が思ってもないほど実は相手は思っていてくれてたり。
4話目のハライソ
きっとみんな違う形でも
こーいう息抜きというか本音を出す場所が必要
ただ、そんな中にも気を遣ったり言葉を選んだり
最後のやわらかい骨。
人と違うところ。
心内を打ち明けていく
そして打ち解けていく
心の歪みが解かれていく気がした。
柔らかい気持ちになった。
Posted by ブクログ
正直、5月の自分は、何もしたくないという気持ちが溢れていたせいか、最初の方はあまり進まず、時間がかかってしまいました。そんな無気力な気持ち読んでいましたが、読み終えた後は「難しいな、色々」という気持ちです。
他者には起こっていない自分の出来事を分かってもらうことは酷いのではないか。
だから、他者と違う部分はお互い触れず、うまく加減して付き合っていくことが利口であること。
結局は、自分が変わるしかないこと。
他者の気持ちを完璧に理解しようとするのは難しいと言う現実を分かっていながら、それでも他者と分かり合いたいと思ってしまうって大変なことすぎませんか。