【感想・ネタバレ】花に埋もれるのレビュー

あらすじ

彼氏よりソファの肌触りを愛する女性。身体から出た美しい石を交わし合う恋人たち。憧れ、執着、およそ恋に似た感情が幻想を呼び起こし、世界の色さえ変容させる――イギリスの老舗文芸誌「GRANTA」に掲載された「ふるえる」から、単行本初収録となるR-18文学賞受賞作までを網羅。著者の原点にして頂点の作品集。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

綾瀬さんの本は2冊目。
とても好きです。
日常の中にとても自然にファンタジー要素が織り込まれている。
不思議な読みごこちですが、とても心地よいです。

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2025年07月29日

Posted by ブクログ

久しぶりの彩瀬まるさん。不思議な世界。「ふるえる」が1番好き。石を交換し合うなんて、嫌いになったら、どうするんだろう。あと、振られちゃったら。ストーカーみたいに体から石を取り出すことができなくなって、、などさらに考え進めても面白い。

私の中から石が出るなら、真綿色がいいかな。

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2024年12月13日

Posted by ブクログ

人に薦められて、彩瀬さん初読み。
第158回と第166回の2回直木賞候補になったというが、この短編集に関しては独特の世界観があって、どちらかというと芥川賞っぽいな、と。

「ベストアルバム的短編集」ってあまりピンとこない表現だけど、素晴らしい作品をとり揃えた短編集ということなんだろう。
確かに、収録された6編は全編捨て駒なし。息つく間もないほど濃密だ。

最初の2編はジャブ。でもパンチが思いの外重くて焦っていたところ、3編目「マイ・マイマイ」で目にも止まらぬ速さのストレートが飛んできていきなりダウンさせられた。
そのあとは4連続ダウンでもう立てません。
なす術もなくノックアウトです。

とくに「ふるえる」と「花を眩む」が好きだな。
恋心を「石」で表したり、花はがんみたいに人の寿命を短くしていくものだったり。
奇抜な発想のようだけど、すごく的を射ているというか、「ああそうだよね」としっくりきてしまうところが素晴らしい。

ソファー、靴、カタツムリ、石、花と人。
フィット感。安らぎと艶かしさ。

すごい才能だわ。
彩瀬さんの他の作品も読んでみたい。

♫Save Me/Aimee Mann(1999)

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2023年11月26日

Posted by ブクログ

だんだんと不思議な世界が強くなってくる短編集。少し切ない感じ、でも優しく穏やかな気持ちになる。これまで読んだ彩瀬まるさんの本は現実的な話が多かったので、こういう不思議な感じのも読めて嬉しかった。

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2023年10月19日

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この本では異常と日常が接触した時の摩擦を美しく表現している。なぜこれほど、自然に人と植物を融合させるのだろうか。それは、異常な状態を拒否せずに受け止める周りの人達がいるからだと思う。異質を100パーセント拒否はしない、しかし迎合もしない。30-70パーセントの間で揺れる機微。摩擦はあるけれど対立しきらない微妙な感じがかえって他にない世界観を醸していて印象深かった。

短編集の編によって印象が違う。どの話も一定して良かったが、特に最後から二番目、マグノリアの夫が好き。通常と異常の対峙を最も感じたのが、マグノリアの夫だった。

愛する、外見ではなくありのままを受け入れる。葛藤なく、ただ自然にこなす。いつも通りに。異質と化した存在に出会った時の愛し方、表現、目線が途方もなく美しかった。なんだろうか、上手く表せられない。温度が違う。本ではなく、動きを持った現実に感じた。花、そう花を感じた。このパートだけ、神がかっていた。

他の短編は普通にいい話で終わっていたけれど、マグノリアの夫は読んで手汗をかくような、怖さがあった。美しいクレイジーに埋もれることができた。

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2025年11月09日

Posted by ブクログ

普通の短編集だと思って読み進めていくうちに、んん?となりましたが、作者の本を読んだことがあれば慣れっこでしょう。肺に睡蓮が咲くボリス・ヴィアン的快感です。ファンタジー要素があっても、登場人物はみんなそういうものだと割り切っている感じが面白い。
最後に収録された「花に眩む」はデビュー作?作風の源泉がよく表れた、爽やかなお話でした。

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2025年03月23日

Posted by ブクログ

ファンタジーの要素によって、恋愛の生々しさや艶っぽさが強調されている。
著者の言葉の選び方が好きなので、他の作品も読んでみたい!

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2025年03月07日

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前半のリアルな2編、男女の感情の機微が生々しく艶かしいくて、いいなあと読み進めてたら3作目での突然の転調に戸惑った。でも全編の中では、ファンタジーに振っているマグノリアの夫が一番好きだ。狂っていて不穏で尋常でないのに、静謐で切ない雰囲気にワクワクゾクゾクさせられた

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2025年02月11日

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男女の話、少しファンタジー、な短編集。
うまくいかないことがあって、全体として闇を感じながらも、でも嫌な感じでは終わらない、美しさがあった。ちょうど今の気分に合う。

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2025年02月08日

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幻想的な世界でありながら、男女の心の機微はリアルに描かれ、胸に迫る。随所に触覚が特徴的に描かれ、しっとりとした妖艶な空気感を作り出している。

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2024年10月12日

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全編好きだったけど特にふるえるが好きでした

私の石は何色なんだろう、本当にあったらいいのになあと何度も思いながら読みました

たまに描写が想像しづらくて、でもいろんな場面で綺麗な画が想像できてそんなところも好きでした

創造のものなのにリアリティがあってたまにゾッとするような瞬間もあり楽しかったで

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2024年06月21日

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短編が6本の構成だが、読後感は何かしっくりこない.「なめらかなくぼみ」はアームソファ ノアールを中心にした物語だが、萌花と礼央くんのやり取り、澄香と啓太の生活、離婚した雅美も出てきて、ごっちゃな感じだ.「マイ、マイマイ」はベーグル店を営む父、翻訳家の母の存在、友梨愛と鈴白くんの付き合いに潜り込んでくるハルヒが登場するがアンモナイトのおはじきが主題だ.「ふるえる」では体から様々な色の石が出てくる.こりゃなんじゃ.「マズノリアの夫」では白木蓮に変身してガラスの鉢に潜り込む郁人の話だが、うまく把握できない.「花に眩む」では体に芽が出てくる.ツリガネニンジンやセンニチュウ、ハトムギなどだがそれを摘まんで食べるのが妙だ.「二十三センチの祝福」が最も普通に楽しめた.天海ルルコの靴を直す加納達夫の話だが、達夫の元妻 芽衣子や娘の美月とのつかの間の接触が虚しい感じだ.ルルコはアイドル活動後故郷に帰るが、彼女からの手紙が話をほっこりさせる.全ての話に花がからむが、それが題名の「花に埋もれる」なんだと、勝手に理解した次第だ.

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2024年05月28日

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ちょっと妖艶で不思議な世界の女性視点短編集。拘りのアームソファ、体に潜るカタツムリ、体に埋まっている石、皮膚から生えてくる草等々、寓話的に読むのか、視覚、触覚的に感じとるものののか。

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2024年05月16日

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彩瀬まるさん ベストアルバム的短編集とのこと
ストーリーの中に メタファー的(だと思うのだけど)モノや身体変容を独特に差し込んでいる
多少不思議系でもある
この短編集集は、ベストと言われるだけあり
モノと人、ストーリーがとてもしっくり

「なめらかなくぼみ」 小説新潮2021
選りすぐったソファの肌触りを愛する女
…というより 自分の愛でるモノを尊重してくれるパートナーが良いんだよね

「二十三センチの祝福」 文芸あねもね2011
同じアパートに住む女の傷んだ靴を直す男
安く傷んだ靴は彼女そのもの
都会で傷つき疲れた女性を優しく送る大人の男

「マイ、マイマイ」 オール読み物2018
大学生同士のそれっぽい恋
好きだったような気がする男の子
いろんな側面を見切ったらさよならでも良いらしい

「ふるえる」 文藝2022
イギリス文芸誌「GRANTA」掲載
誰かを愛しく思うと体内にできる石
石の幻想的な存在と 石について語る登場人物の現実的な言動が相まって面白い
あくまで恋愛は現実にある

「マグノリアの夫」 小説新潮2022
マグノリアは木蓮
世界的音楽家のカクシゴの夫
演劇に生きるが裏切られた父親への憧憬と固執
感動的な木蓮の役を演じたあと 木蓮そのものとなる
かなり勇気ある設定だけど 木蓮がその生態で語ってくる これが一番好き

「花に眩む」 小説新潮2010
第9回 女による女のためのR-18文学賞 読者賞受賞作
これは この受賞作の中でも異質ですよね
わかるようなさっぱりのような
身体に植物が生えるという(全員ね、家族によって植物が決まる)世界観
それが何を著そうとしてるのかわからんかった
まあ次行きます

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2024年05月10日

Posted by ブクログ


「花に眩む」

一緒にいたい、一人になりたい、一つになりたい。

矛盾をいつも、抱えている。
けれど、どれも私のほんものの気持ちで、どれも大事に抱いていたい。私たちはいつだって本当はひとりで、溶け合える日は決して来ない。だからこそ、不意に触れ合う温度に心が踊る。

その刹那を夢見て、今日もひとり、矛盾を慈しみ、生きていく。

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2024年03月27日

Posted by ブクログ

短編集。嫌らしくない官能小説、だけどちゃんと艶かしくて惹かれる、描写が好き。あと、人の弱さとか脆さとか愚かさの表現が好き。ちゃんとして見える人も一皮剥ければそんな聖人みたいな人はいなくて人間でしかないのだなあと思う。「マグノリアの夫」がとくにうつくしくて好きでした。切なくて残酷で。

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2024年01月27日

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彩瀬さん初読み。始めは世界観に浸れず、突然おはじきやカタツムリや、石が出てきて戸惑った。私は、なに読んでるんだっけって感じ。後2編で慣れてきて、楽しくなった。「マグノリアの夫」が一番切なくてお気に入り

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2023年10月14日

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冒頭の2話「なめらかなくぼみ」「二十三センチの祝福」はリアリスティックなお話だったが、以降の4話「マイ、マイマイ」「ふるえる」「マグノリアの夫」「花に眩む」はファンタジー要素のある作品だった。
どのお話も人間の持つ持つあまり認めたくない微妙な心理や弱さ、残酷さを表していると思った。
そして、それぞれのお話で象徴的なオブジェ(物体)が登場する。1人がけのソファ、パンプス、カタツムリ、石、白木蓮、ハトムギ…。
どこか視覚に訴えてくるものがある。
特に、最後の二篇が印象に残った。

「マグノリアの夫」
…語り手の陸と夫の郁人は2人とも表現者だが、陸の真っ直ぐな潔癖さと、郁人の器用ながらも繊細で少し脆い気質が対称的だった。花の美しさと不気味さ、ラストの物悲しさがドラマチックで魅力を感じた。

「花に埋もれる」
…人から花が咲き、花に埋もれて死んでいくという設定が面白い。花は現実世界で何に例えられるだろうかと考えてしまう。(癌とか?)
もし現実がそのようであれば、日々死の気配を感じて時間をもっと大切にできるだろうか。
植物の匂い、土に還っていくイメージとともに、ひとの温かさのイメージが強く印象に残った。

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2025年06月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

お洒落で綺麗な雰囲気の文章で、読んでいて気持ち良かったです。
短編の最初の2つがリアルな内容だったから、3作目の「マイ、マイマイ」で急に違うタイプでびっくりしました笑。
身体から石とか花とか面白かったです。
「本当にあったら自分は梅か桃を咲かせたて、実をならして食べたい」と考えています。

一番好きだったのは「なめらかなくぼみ」で、もし特に大きな事件が起こらない人の人生が小説になるのなら、こういう部分が切り取られるのかなと思いました。
母親との確執を多く語りすぎないところは、この作者の上手な表現方法なのかとも思いますが、この主人公の辛いことを振り返らずに、したいように生きるっていう性格も現しているように思いました。

「花に眩む」は、はなとしまのその後の関係がすごく気になります。
一緒にいたいときに一緒にいられるのって凄く良いけど残酷ですね。

しかし、どの作品も濡れ場がすごく官能的で読んでいてドキドキしました。
タイトルから仄暗い話たちなのかなと思っていたら、花は植物の生殖器だからそういうことか、って理解しました。

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2024年12月30日

Posted by ブクログ

ちょっと不思議な感じの短編集。人体の一部が植物や石がになっていくところが、不思議でした。その不思議さがとても印象に残っています。

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2024年12月07日

Posted by ブクログ

どのお話もじんわり好きだった。
特に「二十三センチの祝福」が良かったな。これからも追いかけたい作家です。

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2024年09月07日

Posted by ブクログ

とても妖艶で官能的な短編集。モノが何かのメタファーというか、その不思議な世界の「核」になってた。それぞれが、自分の大切なものが何なのかと悩みながら、小さな幸せを求める感じが良い。
まあ、非現実の話なんだけど、怖い。ゾッとしてしまうほどの表現力だった。俳優の夫が、役に入り込みすぎて木になっちゃうとか。切ないね。

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2024年06月26日

Posted by ブクログ

人間だとか、恋だとか
とても幻想的に描かれているのに
胸に迫ってくるのは、リアルで飾り気のない
人の心だ。
自分の心や身体を持て余したり、コントロールできなくてもがいても
花も人もいつかは枯れて、大地へと帰っていく。
耽美的な世界を漂うように、ゆらりゆらりと物語を楽しみました。

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2024年03月10日

Posted by ブクログ

不思議な世界観。
ふわっと時空を飛び越える感覚がある。

5篇からなるベストアルバム的短編集
・なめらかなくぼみ
・二十三センチの祝福
・マイ、マイマイ
・ふるえる
・マグノリアの夫
・花に眩む

特に『マグノリアの夫』『花に眩む』が好き
何の物語を読んでるんだっけ?主人公は一体何なんだっけ?と何度も確認したくなる不思議な感じがどちらもある。

当たり前な事を当たり前として読み進めているとハテナがいっぱいになるので、素直に受け入れて読み進めるのが大事。
それがおもしろい!

人間の感情って見えない物なんだけど、もしも見えたらという視点でこんな表現で書けるのは本当にすごい!

綾瀬まるさんが表現する人間はいつも生々しく艶ぽい。
でも綺麗な生々しさで、嫌悪感なく読めるから好きです。



個人的に、村上春樹みたいな空気を感じる
SF空想的な村上春樹って感じ
淡々と進んでいく感じがどちらも好き

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2024年01月14日

Posted by ブクログ

読み進めるたびに不思議な世界に入っていくような、本当に不思議な短編集でした。

二十三センチの祝福は、普通にいい話だなぁと言う感じだったのですが、マイマイ、マイから「おやおや?」と言う何とも言えない世界観に引き込まれ、マグノリアの夫、花に眩むは温かくもどこか寂しい感じがして、ゆっくりともう1回読んでみたいなぁと思う。1回では咀嚼しきれない感は否めない笑

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2023年12月17日

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ん?あれ?そうだっけ?と思うようなリアルな描写。
匂いと湿度。
短編集だけれど、徐々に空気や世界に飲まれていく。

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2023年09月03日

Posted by ブクログ

綾瀬さんはまだ数冊しか読んでないけど、なんだか分かったような分からないような読後感。急にディストピア?みたいな。

今作は「女による女のためのR‐18文学賞」受賞作の「花に眩む」も収録された、帯曰く「ベストアルバム的短編集」と。そう、女性向きの作風かなと感じる。そのディストピア感は村田沙耶香さんっぽさも。黒いソファの話から始まり、靴修繕の話、アンモナイト化石、恋をすると芽生える石、白木蓮、体から植物…と各物語の断片だけを切りとると、訳が分からない。

物語的には、どの話もじんわり綾瀬ワールドを堪能させてもらった。

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2023年08月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「なめらかなくぼみ」と「二十三センチの祝福」が好き。

「なめらかなくぼみ」は、
主人公が子どもの時、久々に母親に抱っこされて嬉しかった時、クレヨンで家の壁に落書きしたのを母親が見た途端、母親は主人公を床に落とした。
「きっとみんな、確かだと思っていた腕からすべり落ちた経験があるのだ。だから安心して体を預けられるものが欲しくなる。」ってところが、ハッとさせられた。
私も子育てしていて、愛情を持って子どもに接していても、落書きとか嫌なことをされたら、嫌な態度を取ってしまうかもしれないな…と思った。

「二十三センチの祝福」は、
主人公の元妻が、妊娠中に具合が悪くて、ひどい態度を取ったことで、主人公は傷ついて、産後に妻の症状は回復して謝られるけど、やっぱり忘れられなくて別れることになるってところが、怖かった。
私も妊娠中体がつらすぎて旦那にひどく当たったことがあるから、それで別れられたらきついな…と思った。でも、この主人公の気持ちもわかるし、自分が旦那側だったらすごく傷つくだろうから、余計恐ろしいなと思った。
産後は、「憑きものが落ちたように穏やかになった」と書いてあるけれど、実際は産後も、妊娠中以上に体つらいよ…。産後の方が旦那にきつく当たった気がする…。そこがリアリティがないなと思ってしまった。

それ以外のお話は、ファンタジーが入っているものが多くて少し苦手だった。特に「花に眩む」は、体から花の芽が生えてくる設定が、気持ち悪くて無理だった…。実際は芽は生えなくても老いて病気になったりするから、それを比喩しているのはわかるけれど、芽をついばむ描写は生理的に受け付けなかった…。

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2023年07月27日

Posted by ブクログ

なんかすごい不思議な!はなし!

人の身体を生々しく感じる表現が多くて
子供は見ちゃいけません!って感じの
大人の優越感さえあるような、
禁断の本棚に置いてありそうなベストアルバム。

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2023年07月14日

Posted by ブクログ

艶っぽく、ちょっと怖さも感じるような短編集。
かなり不思議な世界観だったけど、気がつけば引きこまれていた。
「二十三センチの祝福」「マグノリアの夫」が好みだった。

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2023年07月06日

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