【感想・ネタバレ】花に埋もれるのレビュー

あらすじ

彼氏よりソファの肌触りを愛する女性。身体から出た美しい石を交わし合う恋人たち。憧れ、執着、およそ恋に似た感情が幻想を呼び起こし、世界の色さえ変容させる――イギリスの老舗文芸誌「GRANTA」に掲載された「ふるえる」から、単行本初収録となるR-18文学賞受賞作までを網羅。著者の原点にして頂点の作品集。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

お洒落で綺麗な雰囲気の文章で、読んでいて気持ち良かったです。
短編の最初の2つがリアルな内容だったから、3作目の「マイ、マイマイ」で急に違うタイプでびっくりしました笑。
身体から石とか花とか面白かったです。
「本当にあったら自分は梅か桃を咲かせたて、実をならして食べたい」と考えています。

一番好きだったのは「なめらかなくぼみ」で、もし特に大きな事件が起こらない人の人生が小説になるのなら、こういう部分が切り取られるのかなと思いました。
母親との確執を多く語りすぎないところは、この作者の上手な表現方法なのかとも思いますが、この主人公の辛いことを振り返らずに、したいように生きるっていう性格も現しているように思いました。

「花に眩む」は、はなとしまのその後の関係がすごく気になります。
一緒にいたいときに一緒にいられるのって凄く良いけど残酷ですね。

しかし、どの作品も濡れ場がすごく官能的で読んでいてドキドキしました。
タイトルから仄暗い話たちなのかなと思っていたら、花は植物の生殖器だからそういうことか、って理解しました。

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2024年12月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「なめらかなくぼみ」と「二十三センチの祝福」が好き。

「なめらかなくぼみ」は、
主人公が子どもの時、久々に母親に抱っこされて嬉しかった時、クレヨンで家の壁に落書きしたのを母親が見た途端、母親は主人公を床に落とした。
「きっとみんな、確かだと思っていた腕からすべり落ちた経験があるのだ。だから安心して体を預けられるものが欲しくなる。」ってところが、ハッとさせられた。
私も子育てしていて、愛情を持って子どもに接していても、落書きとか嫌なことをされたら、嫌な態度を取ってしまうかもしれないな…と思った。

「二十三センチの祝福」は、
主人公の元妻が、妊娠中に具合が悪くて、ひどい態度を取ったことで、主人公は傷ついて、産後に妻の症状は回復して謝られるけど、やっぱり忘れられなくて別れることになるってところが、怖かった。
私も妊娠中体がつらすぎて旦那にひどく当たったことがあるから、それで別れられたらきついな…と思った。でも、この主人公の気持ちもわかるし、自分が旦那側だったらすごく傷つくだろうから、余計恐ろしいなと思った。
産後は、「憑きものが落ちたように穏やかになった」と書いてあるけれど、実際は産後も、妊娠中以上に体つらいよ…。産後の方が旦那にきつく当たった気がする…。そこがリアリティがないなと思ってしまった。

それ以外のお話は、ファンタジーが入っているものが多くて少し苦手だった。特に「花に眩む」は、体から花の芽が生えてくる設定が、気持ち悪くて無理だった…。実際は芽は生えなくても老いて病気になったりするから、それを比喩しているのはわかるけれど、芽をついばむ描写は生理的に受け付けなかった…。

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2023年07月27日

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