あらすじ
直木賞候補&第五回高校生直木賞受賞の傑作短篇集
別れた男の片腕と暮らす女。運命で結ばれた恋人に会うと体に咲くという花。幻想的な世界がリアルに浮かび上がる繊細で鮮烈な短篇集。
解説・千早茜
※この電子書籍は2017年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
7年の短編集
どの短編も独特の世界観で引き込まれてしまう。
一つの話を読み終わるたびに、ため息が出る。
あり得ない世界なのに、どこか、この世界に指一本でぶら下がって繋がっているような感じ。
誰かの腕の温かさだけを求めていたような。
愛しい人から何か自分だけが見えていたような。
遠くの美しいものに触れずにいるような。
狂おしくて、愛しい人を食べてしまうような。
愛情の行き先と表現を忘れてしまったような。
愛情の距離感がつかめなくなったような。
世界で生きる意味を探すような。
不思議で、どこか不器用だけれど、どれも心の端にグッと指の跡をつけるような愛でした。
Posted by ブクログ
「だって、我慢できる?
私と別れたあと、あの人は他の女を愛して、
同じように触れて、同じようにキスをして、
同じように優しくするのよ」
食べちゃった方がマシ
アキラさんが他の女と死んだと知って、
心によぎったのは怒りでもなく悲しみでもなく、
「ああ、逃げちゃった」だった。
Posted by ブクログ
別れた男に片腕をもらい、その片腕と共に暮らす女。ある日、男の妻が訪ねてきて、意外な要求を受ける(『くちなし』)。
繊細で不思議な幻想世界を描く愛の短編集。
表題作を含め7篇を収録していますが、別れた男の片腕と暮らす女、運命の恋人同士に見えるという幻の花、難民の少年との人形遊びなど、どれも現実とは少しだけ乖離した不思議な物語。けれど、描かれるのは淡々としていつつ繊細で、その中にとろりとした熱の籠った愛の世界。
本当に7篇全てがそれぞれ唯一無二で、それでいてどの話も本当に良いです。
幻想作品めいたものばかり取り上げてしまいましたが、現代日本を舞台にしていると思しき作品も2作ほど収録されています。
一番心に残ったのは、やっぱり表題作の『くちなし』。主人公と共に暮らす貰った「片腕」が、無垢でありながらどこか艶っぽく、とても可愛らしく見えます。
ラストのすっと醒めた感じも好き。
Posted by ブクログ
彩瀬まるの世界観が詰まった短編集。短編のそれぞれにひとくせあってそれがたまらなく魅力的だった。
「けだものたち」の『私たちはみんな別々に、それぞれの理由で死ぬのよ』という文章が心に響いた。
Posted by ブクログ
帯に神様のお話みたいと書いてあった。私も同じようなことを思った。芥川龍之介の蜘蛛の糸みたい、人間の醜いところが垣間見える。なんかゾクゾクする。現実世界とは違う世界のことだけど、現代社会の何かを表しているような気がした。千と千尋の神隠しが実は環境問題を題材にしているのではないか、みたいな。ちょっと怖くてドキドキしつつ、でも急にじんとさせられたり。毎回予想の斜め上を行くストーリーが待っている。一本ジブリ映画を見終わったような満足感があって、考えさせられる。すごくよかった。
Posted by ブクログ
幻想的で甘美で少しグロテスクな短編集。
文章も美しく、不思議な世界観に浸れる。
現実にはあり得ない世界観の中でも、そこにある感情の揺らぎは普遍的なものがあって、共感もできる。
どのお話も独特の魅力があって素敵だった。
Posted by ブクログ
やがて海へと続く。からの、とても不思議な話が続き、文章がとても綺麗で、でもイメージが違うけどと、自分の中で噛み砕く途中で、これがデビュー作なのを気付いた。もう才能の宝庫です高校生に思い付くとか。心の中を表現出来るって凄い。花虫が1番印象を受けたかな。物事を受け入れる人と受け入れない人、でもお互い愛してる。終わり方は哀しみだけだが、夢のある物語だったよ
Posted by ブクログ
ありえないくらいファンタジーで想像力必要とする文章だけど感情の表現の仕方が好きだった、各短編に心に残る言葉があっていい
茄子とゴーヤと愛のスカートが好きです
Posted by ブクログ
彩瀬まるさんは初めて読みましたが、とっても面白かったです。今まで聞いたことないような突飛な設定と、それらの受け入れを容易にさせるような文章力に驚かされました。特に好きなのは「花虫」という話です。
Posted by ブクログ
有り得ない設定の中に自分の知ってる感情や価値観がまじってて楽しかった。
私も好きな人の腕欲しい。
主人公達が無駄に幸せになり過ぎないところが現実味があって良かった。
きらきらにユラユラ
自分の置かれた環境がどんなものであっても
強い自分を持つ人なら揺らがないだろうけれど、
こうした話のように、ちょっと官能的で
きらきらしているものを見てしまって
自分のしていることに身が入ってないと
ああ、自分もそうです、愚かだと思います。
でも、そうです、いつもの自分は
こんなふうに、揺らいでしまいます。
ああ、それでは駄目だから、
しっかり自分の頭で考えようと思います。
だけど、よろめくのは簡単で
悩むのは楽だから、つい強い自己を
持たないまま、ふらふらと、それも楽しいですね。
こういうお話に浸って、同じように揺らいで
安易に世の中のせいにしているのは
判断停止で楽。だから、こうやって
毒と分かって楽しむくらいはいいかな?
Posted by ブクログ
audible
気持ち悪いけれども、続きが気になる。
爽やかなような気持ち悪さ
ねっとりとまとわりつくわりにはさらっとしたような感じ。
自分の中にある感情が言葉になった感じ
Posted by ブクログ
ファンタジーだけど、お話のテーマの根底にあるのは現代社会の生きづらさなのか、するりと心の中に入ってくる文章とお話だった。
描かれる世界は少し薄暗くてそれでも鮮明なのがとても良い。
Posted by ブクログ
独特の世界観でとっても好きでした。
個人的には愛と憎悪の物語かな。私の住む世界とは全く違う道徳感なのに共感できるところが多くありました。あと、表現がとっても綺麗で素敵でした。
短編集なので隙間時間に読み進められると思います。でも読んでいると本の世界観に吸い込まれて周りが見えなくなるので要注意です…笑
彩瀬まるさんの作品ほかにも読んでみたいなと思いました!
Posted by ブクログ
『蛇になる女はそれほど珍しくない… 異形になった女たちは、夜が明ける前のまだ動きの鈍い男たちのところへ向かい、愛する者を捕らえて頭からばりばりと食べてしまう』
(*˙ᵕ˙*)え?
この世には”むかしむかし”から始まる数多の物語があります。そんな物語もよくよく考えてみるとなんだかとっても奇妙です。罠にかかった鶴を助けた翁、助けられた鶴は人間の女に姿を変え、翁に恩返しをします。なんと動物が人間に姿を変えるという摩訶不思議な物語がそこにあります。翁から見ると、その女は人間であってその行動はあくまで人間の行動です。しかし、障子の向こうでは鶴が機を織っていたというオチがついた瞬間、そこには違和感が付き纏います。そこには、動物が機を織るようなことはないという前提があるからだと思います。
一方で、意地悪な猿が蟹に柿をぶつけて殺してしまうというお話がありました。殺された蟹の子供は蜂、栗、そして臼を味方に猿に仕返しをします。親の仇を討つ痛快劇ですが、そこにはそもそも人が登場する余地はありません。人が鶴になって、あくまで人間世界を描くかに見せる前者の物語に対して、最初から最後まで”非”人間、しかも”臼”という無生物まで登場させる大胆さを見せる物語。古の世から伝えられてきた昔話を創作された昔の人たちの想像力の豊かさに驚きます。そしてまた、人にあらざる者に人の姿を垣間見る中に、そこに恩返しや仇討ちといった人と同じ感情を持つ”非”人間の存在を感じることにもなります。改めて考えると昔話というものもよくできたものだと思います。何百年もの間、人々を魅了し、後世に伝わってきた理由を感じもします。
さてここに、『蛇になる女はそれほど珍しくない』、『三回の産卵を果たした女は大抵力尽きて死んでしまう』、そして『女は硬い殻を何度も脱ぎ捨てることで大きくなる』といった摩訶不思議な世界を描く物語があります。人のようでいて、人ではない主人公たちを描くこの作品。七つの短編それぞれに異なる不思議世界が顔を見せるこの作品。そしてそれは、彩瀬まるさんが描く、日常から少しずれた異世界の不思議を見る物語です。
『もうだめなんだ、とアツタさんに言われ』、『両目からだらしなく涙をあふれ』させるのは主人公のユマ。『どうしても?』と訊くユマに『うん、妻がね』と返すアツタは、『ユマちゃんには悪いけど、暮らしは困らないようにするから』と答えます。『奥さんとお子さんのことをとても愛している』アツタからは『離婚はしないともう何年も前に言われて』いたユマ。『初めて会ったとき、私は芸能事務所に所属する女優志望の十八歳』だったと十年前を振り返るユマは、『数あるスポンサー企業の一社の社長だった』アツタと連絡先を交換したことから関係が始まりました。そして、『私より一回りは年上の、四十代半ばに差しかかる』アツタから『とにかくなにか贈らせてくれよ。なんでもいいから』と言われ、『じゃあ、腕がいい』と返すユマ。『腕?俺の?』と訊くアツタに『うん。寝るときに撫でてもらうの好きだった』と返すユマ。それに『いい。いいよ。もちろん』と返すアツタは、『じゃあ、左腕な。うん、義手もいいのが出てるし、そんなに仕事で困ることもないだろう。いいよあげる。十年だもんな。ずいぶん世話になったし』と言うと、『右手を左肩へ当て』ると『くっ、くっ』と操作し、『慎重にちぎり取ってい』きます。『はい、どうぞ。大事にしてね』と『渡された温かい腕を素肌の太腿に乗せ』たユマは、『嬉しい』と喜びます。それに、『そりゃよかった。幸せになるんだよ。俺も、ユマちゃんと一緒にいて楽しかったよ』と続け、『ぎこちなく片腕だけで服を着たアツタさんはホテルの部屋から出て行』きました。残されたユマは『チェックアウトの時間ぎりぎりにホテルを出』、『帰りにデパートで人体パーツ用の点滴セットを買』うと、『電車でも町中でも、私は自分の腰に巻き付かせた腕とコートの内側でずっと手をつないで』帰ります。そして、『うちになじんでくれるか心配だったけれど、始めてしまえば腕との暮らしはとても快適だった』と始まった日々の中で、『男の腕』を『日中は、窓辺に置いたクッションの上で日光浴をさせ』、帰宅すると『抱き上げて一緒に風呂に入り、指の一本一本、手の甲のしわ、爪の間まで丁寧に洗い上げ』ます。『清潔で温かく、いい匂いのする男の腕を抱きしめているだけで、一日の疲れが抜けていくのを感じた』というユマは、『アツタさんの腕』が『充分に私を褒め、いたわり、甘やかしてくれ』ると感じます。そんなある休日、『呼び鈴が鳴』ります。『扉を開ける』と、『アツタです』と切り出す女の姿がありました。『こんにちは、とよく響く声で返』すユマに、口をつぐむ妻は、『主人の腕を返してください』、『腕を返して。そうしたらすぐにいなくなるから』と詰め寄る妻に『返してもなにも、あれは私がもらったものです』と返すユマ。ともに一歩も引かない二人のやり取りの中で、ユマはこう告げます。『じゃあ、代わりにあなたの腕をちょうだい…』。それに『いいわ』と答える妻は…。分かるようで意味不明な状況の中に、緊迫していく不思議感あふれる物語が描かれていきます…という最初の短編〈くちなし〉。一筋縄ではいかないこの作品の有り様を示してくれる好編でした。
“別れた男の片腕と暮らす女。幻想的な愛の世界を繊細かつリアルに描き絶賛を受けた、直木賞候補作にして第五回高校生直木賞受賞作”と内容紹介にうたわれるこの作品。「別冊文藝春秋」に掲載された作品六つと、書き下ろし一つの七つの短編から構成された短編集です。それぞれの短編間に関連はありませんが、なんとも摩訶不思議な世界がそこには広がっています。では、七つの短編の中から私が気に入った三つの短編をご紹介しましょう。
・〈けだものたち〉: 『私はたくさんの男、というものを見たことがない』というのは主人公の『私』。『一人となかなか関係を続けられず、大抵は三ヶ月もしないうちに大喧嘩をして別れてしまう』という『独り身』のスグリと話す『私』は、『二人の娘に恵まれ』ています。そんな『私』に『他の女と関係をもっ』た恋人のことを話すスグリは、やがて『胴回りが一抱えほどもある巨大な白蛇に』姿を変えます。そして、座敷から出て行ったスグリを見て『きっと、恋人を食べに行ったのだ』と思う『私』は、『蛇になる女はそれほど珍しくない…愛する者を捕らえて頭からばりばりと食べてしまう』とこの世界のことを思います。そして…。
・〈薄布〉: 『白壁の』ホテルへと入り、『香辛料を受け取りに来ました』、『シナモンで』と受付で申し出るのは主人公のアザミ。カードキーを受け取り『三階へ上る』アザミが、『三〇五号室』へと入ると、そこには『ハーブの匂いが立ちこめてい』ます。そして、『部屋の中央に鎮座する』『大きな寝台』には、『白いシャツに黒い半ズボンを合わせた少年がうつむきがちに座ってい』ます。『少年、なのだろうか。青年、とも言えない』と思うアザミは『人形、とこの遊びを勧めてくれた友人の言葉を思い出し』ます。『北の子と一緒に遊べる場所があるの…時間内だったらなにしてもいいの…』。そして、アザミは『そうだ、抱きしめてみよう』と彼の肩に触れます…。
・〈山の同窓会〉: 『クラスでまだ一回も卵を作ってないのは、ニウラを入れて三人だって』と連絡をくれたコトちゃんに言われ、前日になっても『同窓会』の『出欠の連絡を入れられずにい』るのは主人公のニウラ。そんなニウラは『居心地の悪い会になること』はわかってはいるものの、一方で『クラスの半数近くの女の子たちがもう三回目の妊娠を果たし、お腹に卵を抱えていた』という現況を思い『三回の産卵を果たした女は大抵力尽きて死んでしまう』こともあって『これが、彼女らにお別れを言える最後の機会になるかもしれない』と戸惑いの中にいました。そして『迷った末』、会へ赴いたニウラは『お腹の卵は順調?』『うん、はちきれそう…』と挨拶を交わします。
三つの短編をご紹介させていただきましたがいかがでしょうか?『巨大な白蛇に』姿を変える?、ホテルの部屋へ『人形』『遊び』に少年を訪ねる主人公?、そして『お腹に卵を抱えていた』?と、全くもって意味不明な内容がそこに描かれていることがわかります。冒頭をご紹介した表題作〈くちなし〉もそれは同じです。『腕を返して』、『あなたの腕をちょうだい』といったやりとりも全くもって意味不明です。このような意味不明な世界が展開するとはよもや思わない中、冒頭の〈くちなし〉は、一瞬、身体に障害がある方を描いているのかと感じさせます。冒頭の抜粋だけではそのような理解をされたとしても決しておかしくはないと思います。しかし、そうではないのです。短編ですので、その先まで書いてしまうのは避けますが、さらに困惑するような物語がそこには描かれています。そして、それは他の短編も同様です。七つの短編はこの摩訶不思議な雰囲気感を共通としていますが、その設定はそれぞれに異なります。そのため、それぞれの作品世界の設定を理解するのにまず時間がかかります。そして、理解できても拭えない違和感が漂い続けます。それこそが、これは、なんだろう?という強烈な違和感です。そんな困惑の中から抜け出せない読者に手を差し伸べてくださるのが、〈解説〉の千早茜さんです。千早さんは、こんな一言をもって読者のモヤモヤを一気に晴らしてくださいます。
“人のかたちをしている。人だ、と思うとぞくっとする”
なるほど、そういうことか!というくらいにこの説明は説得力を持っています。
“愛人に片腕をねだったり、くるぶしに花を咲かせたり、大蛇になって愛する男を吞み込んだり、命がけで卵を産んだりと、人の習性にはないことをする”
それぞれの短編に登場する一見”人のかたち”をした”人ではない”主人公たち。私たちが小説を読む時、そこに感情移入先としての主人公の存在を期待します。そして、そんな存在は当然に人間であることが求められます。しかし、小説は想像力の無限の飛翔力の先の世界を見せてくれるものでもあります。そんな不思議世界を見せてくるこの作品に描かれるのは、そんな”人のようで人ではない”存在たちが愛を求める姿を描く物語です。”人だ、と思うとぞくっとする”存在にとっての愛のかたちとはどんなものか、なかなかにかっ飛んだ物語の中にさまざまな感情が渦巻くのを見せていただきました。
“描かれる感情は覚えのあるものばかり”
それぞれの主人公たちの内面を見る物語の中に、それでいて、人ではない存在が登場する物語がここには描かれていました。次から次へと展開する不思議な世界に感覚が麻痺しそうにもなるこの作品。人ではないという割り切り感の先に、違う世界が見えてもくるこの作品。
現実から少しだけずれた不思議世界が展開する物語の中に、誰かを愛するという感情は変わらないことを確認もした、そんな摩訶不思議な作品でした。
Posted by ブクログ
私の父が哲学好きで、愛の定義を探していますが、その行動に疑問をもった作品でした。私は今高校生ですが、人を愛したいと思ったその未来で、この本を見返すのが楽しみで仕方ないです。
Posted by ブクログ
「愛のスカート」「茄子とゴーヤ」は独特な世界観ではなくて読みやすくて好き
その他はファンタジー要素強めでグロテスクな内容も多く少し苦手意識をもってしまった
Posted by ブクログ
ままならない愛を幻想的な世界観で繊細に表現した短編集__これまで読んだ彩瀬さんの作品とは違った印象で、湿度の高い滑まかしい文章に身震いしながらも読み進めてしまった。
Posted by ブクログ
生々しい小説だ、と思った。自分がいちばんよく知っているはずの自分のカラダが、なにかそれだけで別の意識をもった生き物みたいに描かれていて、ちょっと気味が悪い感じがするというか。
結局いちばん怖いのは、「知らないもの」よりも「知っているはずなのに知らなかったもの」なのかも……。
この本が、「高校生直木賞」を受賞したと知って読んでみたのだけれど、これを選んだ高校生の「読む力」に感服した。
Posted by ブクログ
艶めかしい!どのお話も、なんとも艶めかしい!
ありえないと顔を背けるよりも早く、その世界に浸ってしまう。そんな魅力のある文章たちでした。
愛する人の腕と暮らしたり、羽虫に身体を蝕まれたり、蛇になったり、卵を身籠ったり
艶めかしい世界の中には生と死が無造作に転がっている。なんとなく避けてしまいたくなる生と死をドーンと投げ込まれたような衝撃がありました。
Posted by ブクログ
不倫の話か…
と思ったら
ん?うで?もらう?
持って帰る?うでを?
という感じで
SF展開?含むのがちょっとおもしろかった
といった短編集
長編だとどんなか読んでみたい
んだけど
一番好きだったのはゴーヤの話で
なんか地味なんだけど
滋味深いみたいな
Posted by ブクログ
良くも悪くも好き嫌いが分かれそうな作品。
多忙な時期でも、読書がしたいと思います買った短編集。
特殊な世界線というか、独特な設定が含まれているにも関わらず、すらすら読め、何故かその設定を受け入れられるのが不思議な感じがしました。
ただ、話によっては此処で終わる?というお話もありました。話の内容が面白かった分、少し終わり方が残念な印象。
短編集の中でも、1編が短い印象があるので時間がない人にはおすすめできます。
逆に長編が好きな方にしたら内容が薄く感じる可能性が捨てきれない印象も。
個人的には、「花虫」が1番好きでした。タイトルとおなじ「くちなし」は内容が薄く感じられました。凄く好きな世界観ですがスピード感が早すぎて、残念に感じました。この内容なら、もっと長く書いて欲しい感じの話。
ダラダラ書きましたが、時間がなく特殊設定ありの恋愛が好きな方にはおすすめできます。ただ、例外としてハッピーエンドやラブラブな話が好き方にはおすすめできません。
Posted by ブクログ
一見人間の話なのに、明らかに違う生き物たち。
・別れの時に彼の片腕をもらった女
・3回産卵をすると死んでしまう女たちの中で、一度も産卵をせず見守る女
・激情を抱くと蛇や怪物に変身してしまう女たち
こんな発想できるのほんとすごいなー!と思うけど、普通の人間たちの話である「愛のスカート」「茄子とゴーヤ」がなんだかんだ良かった。
Posted by ブクログ
恋愛小説と言っても、普通ではない。愛人から片腕をもらったり、くるぶしに花を咲かせたり、蛇になって男をたべたり、命がけで卵を産んだり。一体どこの世界の話なのか?という短編7つを収録。ファンタジーより、ちょっとグロテスクな印象。不思議な読後感。