あらすじ
面倒だけれど愛おしい―― 「ふるさと」をめぐる感動の物語。郡山、仙台、花巻……桜前線が日本列島を北上する4月、新幹線で北へ向かう男女5人それぞれの行く先で待つものは――。実家との確執、地元への愛着、生をつなぐこと、喪うこと……複雑にからまり揺れる想いと、ふるさとでの出会いをあざやかな筆致で描く。注目の気鋭作家が丁寧に紡いだ、心のひだの奥底まで沁みこんでくる「はじまり」の物語。解説/瀧井朝世
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ふるさとを巡る心が浄化されるような本書。
新幹線で向かうそれぞれ5人の5つ短編集。
どの物語にも新幹線に乗っている時の感情や、想い、または過去といった内容が丁寧に書かれていた。
そして一番私が好きだなと思ったのは、行く先々に観光名所となるものが本作に登場してくる。
人生で一度は、郡山(こおりやま)・福島・仙台・花巻などへ新幹線で観光してみたい。
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桜の季節に東北新幹線で向かう、郡山、仙台、石巻
そしてその乗客を見守る車内販売員
帰省に伴うネガティブな感情も含め、日本人が持つふるさとへの思いをそっと暖めてくれるような、繊細なお話でした
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東北新幹線でゆかりのある場所に向かう5つのストーリー。
ふるさと、というと一般的には温かいものと連想されがちだけど、それだけではない、
少し面倒だったり、緊張したり、複雑な思いがあったり、
そんなところが共感できて良い。
『モッコウバラのワンピース』と『菜の花の家』が好きだったけど、
それまでの4つの物語の深みが増す最後の『桜の下で待っている』も良かった。
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東北新幹線を北上しながら、春の花に彩られたそれぞれのふるさとの物語が詰まった短編集。婚約者の実家に帰省する『からたち香る』、祖母の手伝いに帰る『モッコウバラのワンピース』と車内販売のお姉さんが主人公の表題作がお気に入り。『ハクモクレンが砕けるとき』の生々しい描写は心が抉られるよう。実家は同じ市内にあるので、新幹線に乗っての帰省には少し憧れる。初恋の人と久しぶりに会って握手するっていいなぁ。
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話の内容には関係ないけれど、この前東北旅行に行ったおかげで知った地名や駅名、行った場所がたくさん出てきて、自分の世界が広がったことを実感した。
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新幹線に乗ったことは1度しかないけど
なんか新幹線に乗って行く旅先には大小関係なく
素敵な出会いがあると思った。
ほかほかふわふわなお話たちが詰まった小説。
もれなく表紙が可愛くてパケ買いしちゃいました。笑
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宇都宮で一人暮らしをする祖母の家を訪ねるために、東京駅から新幹線に乗り込む智也。
三ヶ月前に膝を痛めた祖母の、通院や買い物の運転手をするためである。
温泉郷にある足湯や、大きな吊橋が架けられた美しい渓谷が映像のように浮かび上がってきて、しばらく帰っていない自分の実家をふと思い出し、私も田舎に帰りたくなってしまった。
母として、女として生きた祖母のたくましさを知る「モッコウバラのワンピース」
婚約者の実家のある郡山へ向かう律子。「からたち香る」
母の七回忌法要のため実家を訪れた武文。「菜の花の家」
母方の親戚の結婚式に向かう小学4年生の知里。「ハクモクレンが砕けるとき」
宇都宮、郡山、仙台、花巻と桜前線が北上するように、北へ向かう人たちのふるさとをテーマにした短編集で、それぞれの名所もおさえてくれているので、東北を旅した気分になれます。
帰る場所、誰かが待つ場所をいつまでも大切にしたいと思う。
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東北への移動に関わる男女の短編集。
何と言っても、カタチのないものを表す文章が素敵。知らない匂いが伝わってきます。
瑞々しい景色をいつまでも覚えていられますように。
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冷たい皮を丁寧に剥いていき、さらにその下に潜む皮を剥いていき、そうやって辿り着いたほんのり温かい核
どんな話もそんな仄かな温もりを感じた
ふるさとについて、おもったり考えたりすることはなくて、ただの過去としか捉えたことがないけれど、いつかふるさとの重みに触れることになった時はこの本をもう一度読みたいと思う。
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彩瀬まるさんの本、ここ数年とっても好き。
なんといっても、(個人的に)ハズレがない。
温かいなかにも、尖っていたり痛々しかったり、ちょっと怖いお話も結構あるけれど、この小説はタイトルや表紙からして優しげな感じがして、受けた雰囲気は間違っていなかった。
故郷、家族、旅にまつわる5つの短編集。
舞台は主に東北地方。青森が残念ながらなかったのは恐らく、東日本大震災の影響を強く受けた土地を選んだからだと思う。
彩瀬まるさんは関東の方だけど、震災当日に東北を旅行していて被災したらしく、その関連の本も出されている。震災をモチーフに描かれた「やがて海へと届く」という小説は私も以前に読んだ。
福島にある彼氏の実家へ、彼女である主人公が一緒に帰る「からたち香る」は、放射能のことを気にしながらもそれを口にしていいのか迷う様子がリアルだった。
その土地に住む人にとってそこは愛する場所だけれども、よその土地の人にとっては少しの脅威を感じる場所になる。震災の影響で、いろんなかたちで傷ついた人がたくさんいるのだという事実を感じた。
他の短編にもタイトルや話中に必ず花や植物が登場する。
「ハクモクレンが砕けるとき」はほんの少しのホラー要素も混ざっているような幻想的なお話で(基本は温かいのだけど)、表題作は一番最後に据えられているのだけど、最後に配されたことに大きな意味がある。
故郷は楽しいばかりの場所ではないし、家族というものは面倒くさい面もある。「菜の花の家」はとくにそういう側面が表れている。
だけど、故郷や家族はなくならない。亡くなっても、なくなるものではない。
帰る場所とは思えなくても、それは確かに存在している。
その少しの鬱陶しさや、心強さを、感じられる物語群だった。
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「ふるさと」をテーマに5つの話がある。ふるさとの言葉の裏には私が思うにその物理的な「場所、景色」とそこに関わってくる「家族」の存在があると思う。私にとってふるさとは東北であるとすり込まれてきたが、どうにもその繋がりを感じることができない。きっと大人になって思い浮かべる故郷とは間違いなくここ神奈川の実家である。そして家族という存在が私は幼少の頃からかなり苦手だ。1番近くて1番気を使う相手。切っても切り離せないからなんとも面倒である。そんな私は4つ目の話を読んでいる間、この作者と私は合わないのかもしれないと考えていた。しかし最後の「桜の下で待っている」を読んで、先に読んだすべてのお話の当たり前ではないその「ふるさと」の存在とか、考え方とか私の思いとかすべてが巡ってああ読んでよかったなあって思いになった。読んでよかったなあ
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初彩瀬まるさん。故郷を巡る5編の短編集。
故郷を訪れることで、親や親族、友人など人とのつながりや絆を再確認する話。実家へのご挨拶から、ご先祖様との邂逅まで、バラエティに飛んだ話が収録されている。どの話も違和感はないが、現実的な話とちょっと幻想的な話が入り混じっており、どっちかにしてくれと言う気もします。
モッコウバラのワンピース
孫の智也(大学生)が、再婚をきっかけに親族と離れて暮らす祖母を訪ねる話。息子や娘らの反対を押し切っての再婚だった。タイトルのモッコウバラのワンピースは祖母が着ている服。あまり馴染みのない花(僕が浅学なだけ?)を出してくるからには何か意味があるのだろうと調べてみた。花言葉は純潔ですね。
からたち香る
婚約者の実家、福島を初めて訪ねる律子の話。震災の3年後という設定で、恋人の両親との顔あわせと言う人生の一コマと、当時の福島と言う非日常とが交じり合って緊張感を醸しだす。ちなみに、実家の裏にはに咲くからたちの花言葉は思い出。
菜の花の家
母の七回忌で久しぶりに兄夫婦の住む仙台の実家に帰省する武文の話。亡くなった母親と兄嫁の加奈子さんは折り合いが悪かったのだが、、、
ハモクレンが砕けるとき
叔母の結婚式出席で両親と花巻の母の実家を訪ねる話女の子の話。事故死した友人を思い気が塞いでいた知里の前に、不思議な少女が現れる。前3編は現実味のある(菜の花はちょっと不思議体験ありましたが)話だったのだが、こちらは幻想的。バラエティがあるといえば聞こえが良いが、少し浮いている気もする。
桜の下で待っている
前四話が全て、誰かの故郷(親族)を訪ねる話だったのだが、この作品だけどこも訪ねない。さくら姉弟は帰る故郷を持たないのだ。自らが新たな故郷となることを目指す希望の章。
Posted by ブクログ
テーマは“ふるさと” の5話からなる短編集
彩瀬さんは旅行途中で東北の震災に被災しており
描かれるふるさとは東北です
第一話 モッコウバラのワンピースは
大学生の孫が東北で一人暮らしをする祖母を訪れます
祖母は好きな人ができて東北へ
ばあちゃんがいるところが ふるさと
第二話 からたち香るは
婚約者のふるさと東北の実家にご挨拶
そこに震災を感じさせない温かなふるさとがある
第三話 菜の花の家
母親の法事で久しぶりに帰省
姪とお散歩中に懐かしい思いがけず
同級生と出会う
第四話 ハクモクレンが砕けるとき
花巻 親戚の結婚式で東北へ
宮沢賢治と遠野物語で生者と死者の境界線を
第五話 桜の下で待っている
ふるさとを持たなかった東京の姉妹
ふるさとの想いは人それぞれ
ふるさとってその土地があれば良いのではなく
迎えてくれる人がいての場所なんだと思うのです
“ばあちゃんがいるところがふるさと”
が好きでした
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東北に行ってみたくなった。
あと、庭で菜の花を育てるのも憧れた。
そういえば人生で一度も行ったことないなあ。東北。
「ハクモクレンが砕けるとき」の程よく幻想的な感じがとても好みだった。
死ぬことは特別ではなく、祖先も人以外もみんな繰り返してきているもの。
それぞれに人生を全うしたりしきれなかったりはあれど、不必要に怖がるものではない。と私は読み取った。
童話村も行ってみたい。あと瑞鳳殿も。
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「モッコウバラのワンピース」「からたち香る」「菜の花の家」「ハクモクレンが砕けるとき」「桜の下で待っている」の5つの短編集。さらりと読めた。東北へは行ったことがないので、新幹線に乗ってたどって行くのもいいなぁと思った。ふるさとや、祖父母や、弔いとかに思いを馳せながらの読書だった。
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4月。東北へ向かう新幹線に乗った男女5人は桜前線と共ににそれぞれのふるさとへ向かう。
理由は様々。どの登場人物も心に故郷や家族に対する複雑な想いを抱えていたりする。
家族って近い存在だからこそ難しかったりするし、私も共感できるな〜っていう部分がありました。
東北という土地の描かれる情景も美しかったし桜も見てみたくなりました。
連作短編なのだけれど、私はモッコウバラのワンピースの素敵な恋をした祖母と孫のお話とからたち香るの福島の実家へ結婚のあいさつをしに行くふたりのお話が好きです。
ふるさとって深い。
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何でもない日常や、東北新幹線で故郷や友だちや親族や仕事で行くその中で流れていく物語。
子どもが出てくるお話では子どもの不思議な体験や幼少期に子供の生まれてからの記憶や出来事などを織り交ぜて不思議な時間が流れたり、かと言って特別の事ではないのだけれど。
さらさらと小説の中に流れる時間が東北の地域も震災の傷跡も少し登場し、北野地方の風景も目に浮かぶ。
読み終わってあまり重荷にならない本ではあります。
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5作品収録の短編集
すべてのタイトルに花の名前が入っており
物語の中でその花がでてきました
新幹線で移動し、その先で人々のいろいろな話で
それなりに楽しめました
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新幹線と故郷。私は普通電車で2時間もかからないところに実家があるが、祖母の家は新幹線と特急列車を使用し4.5時間ほどかけていく。小説を読んでる間に祖母に会いたくなり電話をかけた。武文が思った「母親なのだから無条件で自らを受け入れて欲しい」「母さんは、母さんでなくてはおかしいだろう」のところが自分の心境にとても似ていて共感できました。春に読みたくなる1冊。新幹線に乗る人々の表情が観れる仕事、遠くに行ける仕事、素敵だな。
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病気とかペットの死とか安易な設定で感動させようとする小説は鼻白むけど、こういう何気ない会話や描写の細やかさでじ〜んとさせる話は大好きです。
一話目でちょっと泣きそうになってもーた
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桜前線とともに新幹線で北へ、北へ。
舞台は宇都宮・郡山・仙台・花巻と来て、最後に東京。物語同士がつながっているようで心地好かった。
人の数、土地の数だけいろんな「ふるさと」がある。それでいいんだよ、とまぁーるく包んで認めてくれる、著者のあたたかくも鋭い眼差しが感じられた。
Posted by ブクログ
桜の季節、東北新幹線で北へ向かう人や家族の物語。
宇都宮、郡山、仙台、花巻&新幹線で往復を繰り返す車内販売の女性が住む東京。
それぞれの町での「家族」や「ふるさと」を取り巻く事情と鬱屈を抱えた人たちの話でいい話なんだけど、何となくどこにでもあるような話で私にはあまり刺さらなかった(大半を混みあった病院や薬局で順番を気にしながら読むはめになったこともあるかもしれない)。
それにしても岩手を語ろうとすると宮沢賢治は不可欠で、出しておけばそれだけで場面が締まる。
その童話村や記念館をはじめ各地の見所を織り交ぜた作りには、コロナ禍で出来ないままの旅への思いをくすぐられた。東北にもまた行きたいなぁ。
Posted by ブクログ
ふるさとという言葉には郷愁の響きがあり、ほのぼのとした温かい印象を受けるが、ふるさとは必ずしも皆にとって心地よいものではないということを感じさせる作品。そこを訪れる・帰るということには、それなりの覚悟を持っている人も多い。そんな人たちの思いを描いた短編集。
温かくて切ないふるさとがたくさん詰まっている。短編集ではあるが、じっくりと時間をかけて読み味わいたい作品である。
Posted by ブクログ
『菜の花の家』『ハクモクレンが砕けるとき』の不思議さが好きだなー。
いろんな意味でつながりについて感じる一冊。
人間関係は一筋縄ではいかないこと、一面性ではなく多面的なこと、当たり前なんだけど、綺麗事だけでは済ませられないし、自分の価値観だけが正しいというか当てはまるわけではないことを感じさせられた。
Posted by ブクログ
「ふるさと」をテーマにした短編集。最近読書傾向が刑事ものとか事件ものだったりするので、こういうほっこりした小説もたまにはいいなと思った。
私としては最初の「モッコウバラのワンピース」が印象的だった。