彩瀬まるのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分という生き物とうまく付き合えなくて、自分でいることに窮屈さを覚える。
どうして自分はこんな風にしか生きられないのだろう。という自己嫌悪に陥った経験を持つ人は、持たない人よりも多く存在すると思う。
別の誰かになることは叶わない。それならばこの自分という厄介な生き物と、どう付き合っていけばいいのか。
そういった想いを抱えた登場人物たちが織り成す、5つの短編集。
美しい容姿に生まれたことを窮屈に感じている男子高校生や、女性という性に少なからず違和感を抱えながら生きてきた中年女性など、自分のコンプレックスが何であるかをはっきり認識している主人公もいれば、真面目すぎて物事をまっすぐに決め付けてしま -
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ネタバレ正当な相撲は取れない。そんな若さも背力もない。ならば八飛びだ。賭けるんだ。
ハタハタハタ。唯一の活路、意識の端で捉えたかぼそい金色の勝ち筋をなんとしても辿る。手放さない。ハタ、ハタ。私が変える。私しかいない。
「当たらない」
力を込めて呟いた瞬間、胸の中の小うるさい鳥の首をポキリとくびる、確かな手ごたえを感じた。
心が凪いで、静かになる。
川のそばで生きて、他のものやひとたちと隔たれた主人公たちの物語
これまで読んだ本と共通して、他者や強いられた環境により窮屈な思いに囚われる人たちの心が解かれる短編集だった
どの話にも窮屈な現状から逃れるための言葉や後押ししてくれる存在があって、それが主 -
Posted by ブクログ
東北新幹線で訪れる土地を舞台に、遠い距離にいる親しい相手に再会する人々のドラマを描いた5つの短編集です。
今の世の中、遠く離れていても画面越しに話すことだってできるとはいえ、実際に対面して感じるその人の存在の確かさは格別なものだと思うのです。そしてひとときを一緒に過ごすことで、大切な人だという改めての気づきや、保ちたい関係性のための一歩を踏めるようにもなるのかも、とも思いました。
個人的に訪れたばかりの青森が最初の一編にあり、風景が蘇ってきて旅情をまたかき立てられました。他の土地ごとに美味しい物や美しい風景にも触れられていて、旅に出たくもなるお話たちでもありました。 -
Posted by ブクログ
タイトルが気になって読みたかった本。
初読みの作家さんです。
大筋は恋愛小説になるけど、母子家庭で不自由なく育った主人公(梨枝)がさまざまな経験を通し、価値観をアップデートする物語だと思った。
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母子家庭がゆえに、"みっともない"子どもにならないように"正しいこと"を教え育ててくれた母。
それが原因で、常に失敗を怖れるように育ってしまった主人公。
客観的にみれば争いを起こさない優しい人だけど、掘り下げれば自分に自信がなく、責任を受け入れる度胸がない弱い人。
そんな心が弱いけど、まわりに優しい人を"蜘 -
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ネタバレ夏目漱石、人生で5回は挑戦して挫折して、まだ読めてないんだよなあ、、なんと直近で挑戦したのは2週間前。
これってもう向いてないってことでいいよね?とか言い訳し出している。
小説に、過去の名作が出てくると読みたくなる/読まなければいけない気持ちになる。
次は川端康成試してみよう。
他人の痕跡に触れることを恐れながら、ネズミが蛇に食べられることを望む野田さん。
他人の痕跡を整理整頓して消し去り、ネズミが捕食されるイメージを怖がる主人公。
"誰かがあなたの代わりにばつを下してくれれば、このあいだ片付けていた天井裏の箱みたいに、整理した気分になれたのか"
"生ゴミに -
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ネタバレ読んでいると呼吸が詰まりそうになるような、おそらくこの物語と似たような身に覚えのある体験をした方も多いのではないだろうか。
P.195〜199 「かつんと小石を噛んだように三葉くんの表情が強ばる───…」
ここからの流れが所謂毒親育ちの弊害を分かりやすく表現している。梨枝自身も母から言われ続けてきた「ちゃんとしなさい」「みっともない」の呪いで恋人の三葉くんを支配しようと苦しんでいくさま。
梨枝を縛り付けるのは母から女手ひとつで住宅ローンを完済し子供ふたりの成人後まで世話して"やってる"と言われ続けた、見返りを求めて余計な先回り/面倒/条件付きの愛情。
「かわいそう」だ