あらすじ
外敵に襲われ逃げ出したところを、茂さんに助けられたチャボの桜。茂さんは、仕事も人間関係もうまくいかず調子を崩して、東京の下町の商店街でジイチャンが営む金物店の二階に居候している。ある日、茂さんを外へ連れ出してくれる相手を探しに出かけた桜は、さまざまな出会いを引き寄せることに――。本邦初! キュートでユーモラスなチャボ小説。一日一日を自分らしく生ききるための、止まり木のようなやさしい物語。
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Posted by ブクログ
チャボと鬱になって動けなくなった青年
しんどいときにそばにいて、何も言わないチャボのありがたさ
チャボは鳥語で話しているけどね
鬱から少しずつできることが増えてきて
自分が読んだときも、鬱から復帰していくタイミングだったので、
主人公の気持ち、チャボのありがたさ
読むタイミングが良かったなという感じ
Posted by ブクログ
チャボの“桜”の目を通して、人と人との距離、再生のきっかけ、そして日々の中に宿る優しさを静かに見つめる物語。
語り手が鳥というユニークさが、逆に人間の心のひだや、社会のひずみに繊細に寄り添っていて驚かされた。
傷ついたまま立ち止まっている誰かに、言葉じゃなく「そばにいること」でできることがあるんだ、とそっと教えてくれる。
疲れた心に、静かな光を届けてくれる作品。
「終わり」ではなく「これから」を感じる、やさしい再生の物語だった。
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前情報なく入りました。
最初主人公が何なのか分からずに読み進めて、やっとチャボが主人公で茂が人間だということが分かりました。そこからは読みやすく、難しい表現もそんなにない。
途中、これはどんな結末だ?着地点はなんだ?と多少不安になりますが、中盤以降でグイグイ読めました。
読み終えた後は、仕事や家事で悩んでいる自分を誇らしく思えるような、そんな温かい元気をもらえた気がします。
動物目線で描かれるので、周りの人に対する想いがフラット。周りで起きていることは意外と波風が立っていて、普通だったら結構大きな出来事なのに、桜の目線から語られるとあまり大したことないように思えてそこも良かったです。
また、桜の茂に対する想いも屈託がなくまっすぐで、愛するとはこういうことなのだろうと思い知らされました。
綾瀬まるさんらしい、ぬくぬくあったか小説でした!
Posted by ブクログ
最初は目線が分からなくて読みづらかったけどチャボ目線だと理解してからは楽しく読めた。
生きづらい世の中だけど何回もやり直す力強さを感じた。とても良かった。
Posted by ブクログ
アンソロジー「明日町こんぺいとう商店街」で大好きだった短編が一冊の本になっているのを見つけて狂喜乱舞した。(大げさ笑)。「アタシ」と一人称で語られる、チャボ桜さんの世界が可愛くて愛しくて、読み終えるのが悲しかった。やっぱ大だぁ。
「明日町こんぺいとう商店街」も新作を出版して欲しい。
Posted by ブクログ
読み始めたときは、そこからの視点で話が展開していくのかぁとビックリしました。
読み進めるうちにその視点もしっくりくるようになってきて、お話にもグイグイと引き込まれました。
ツライ内容もありましたが、心温まるストーリーでした。
Posted by ブクログ
チャボが主人公の小説、初めて読んだ!
とっても、楽しくて、切なくて、よかった!
チャボの桜さん、まるで天使のような、守護神のような、
いつも茂さんに寄り添って、何とも暖かい。
セキセイインコの師匠も、すごくよかった。
鳥好きの方は、多いに楽しめる。
メンタルをやられている人、
辛い状態で生活が滞っている人、
つまづいて立ち上がれない人、
この本を読んで、元気を出してほしい。
転んでけがをしたら、誰かに手当をしてもらう。
立ち上がれなかったら、手を差し伸べてもらう。
手すりにつかまって、ゆっくり起き上がればいい。
一人で頑張らない。
そんなメッセージをひしひしと感じた。
映像化、もしくはアニメ化にしたら、とてもいい。
『明日町こんぺいとう商店街』のほかの本も読んでみたい。
Posted by ブクログ
2025.12.3
主人公はチャボの桜さん。
桜さんのように茂さんを大切に思っていて、色んなことを考えて伝えようとしてくれる相棒がいるっていいな。気持ちを伝えられないのが勿体無い。
鳥同士の会話も可愛くてほっこり。
出てくる人間もみんな優しい。
Posted by ブクログ
チャボの桜さんが主人公。鳥好きにはたまらない。目線や語りが終始しっかりチャボなので、筆者の筆力に脱帽だ。(インタビューで筆者が桜さんが思ったよりおしゃべりでびっくりしたと書いてあった)商店街といった狭い中での日常系のお話がとても居心地が良いので、紆余曲折はあるもののゆったりと読むことができた。
話の途中で消化不良なところがあり、もっと最後は王道的展開でもよかった気がする。キャラクターが魅力的なので掘り下げて書いて欲しいところがたくさん出てしまうのだ。
インコの師匠と桜さんとの会話が好きだ。変わることは悪いことではない。いいことも悪いことも、変化に伴ってなんどでも生まれるのだろう。
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最後の想像させるところが好きだと思った。
生きていくことは大変だ
病気も、仕事も
職場も家族も。
それでもまた産み出していく
具体的な感想はうまく書けない
特別好きなキャラクターまではいかないけれど、おじいさんとおばあさんかな
いなくなったら嫌だなとドキドキしていた。
Posted by ブクログ
仕事や人間関係で生きづらさを感じている茂さんと、茂さんに飼われているチャボの桜さんの再生の物語。物語は終始チャボの桜さん視点で紡がれており、茂さんに対する感情や行動がとても愛らしい。
物語を通して茂さんは祖父母の暮らす商店街で手伝いをすることにより、徐々に希薄になっていた人間関係を再生していき、その過程で桜さんが一役買う。一人と一羽のとてもいいコンビである。
Posted by ブクログ
チャボが主人公の心温まるお話でした。
過酷な労働環境から心の病に陥ってしまった茂さん。一進一退を繰り返しながら少しずつ回復していきます。
身内に同じような状況になった者がいるので、時々その頃のことを思い出しました。
チャボの桜さんがいじらしくて可愛いです。
他にもたくさん個性的な鳥達が出てきますが、お気に入りはバリケン姉さんです。
私も川沿いを散歩している時に、一羽だけいる白鷺を見つけると、どうしても心惹かれてしまうんですよね。「私は私」と凜とした姿が好きなのかも、と思いました。
『なんどでも生まれる』というタイトルもいいですね。辛いこと・嫌なことがあると「もうダメ」「終わった」と気分が下がってしまうけれど、そんな時は回復に努めればいい。またエネルギーがたまるまで。優しい考え方だなと思います。
「迷うのも変えるのも、生き物ががんばって暮らしているから起こることで、素敵なこと」
とても気に入ったフレーズです。
Posted by ブクログ
チャボの桜さんが主人公というユニークな小説。とても面白いし、素敵なお話。軽く読めるので、疲れた時の息抜き、落ち込んだ気分を前向きにさせてくれる、おすすめの本だ。
桜さんの飼い主、茂さんは、営業のお仕事がうまくいかなくて、心の病気になり、祖父母の営む金物屋さんで暮らすことになった。その商店街で桜さんと茂さんが、出会う人と鳥たちとの交流を描いた、あったかい物語。鳥が卵から孵るように、新しい世界へ踏み出していく、希望と不安。新しい扉を前にして、躊躇いそうになる背中を、優しく押してくれる小説だ。
フィクションとはいえ、桜さん、とても賢く優しく魅力的だ。実際、鶏も七面鳥も鴉も、多分、とても頭がいいのは事実らしいし、人間と心通わすこともできるらしい。
ドラマチックなんとかいう番組で、ニワトリ(種類はわからない)を最愛のパートナーとする人の暮らしが紹介されてたし、この小説みたいなことはあり得る話だと思う。仲間が溺れそうになって、自分たちで助けられないとわかると、人間に助けを求めに行く七面鳥の映像を見たこともある。
そんな賢いものたちの命をいただくことに、少しだけ罪悪感も感じてしまうけど。
Posted by ブクログ
文庫アンソロジー「明日町こんぺいとう商店街」のお店のひとつ、川平金物屋のチャボの桜さん目線のお話。明日町のたくさんのお店や人物やマネキウサギを思い出し懐かしい。心と体の調子を崩した茂を気遣い守ろうとする優しい桜さんは行動も思いもきゅんとするかわいさ。鳥が種別をこえてこんな風にお喋りし歌ってるのかと想像すると楽しくなる。何でも屋を始めた茂が少しずつだけど変わり、自分の殻を破ろうとしてる姿にこちらも励まされる。厳しいこと、しんどいこと、辛いこともたくさん描かれているけどどれもあったかい温もりを感じて心地いい。
Posted by ブクログ
チャボの桜さん、可愛すぎる。なかなか外に出られない茂さん、優しすぎるんだけど、気持ちはすごくわかる。
うちにもそんな感じの息子がいるので。
しかし鳥たちのおしゃべりの面白いこと。
そして観察眼の鋭いこと。
さくらさんから見たら、人間もただの雄と雌でしかないのが可笑しい。
Posted by ブクログ
語り役、主人公がチャボの桜さん。
チャボ視点のはずが、人間の事を知り過ぎている都合の良いところには多少の不満が出てしまいますが、
それを気にせず物語として楽しめたなら、
師匠との会話から「なんどでも生まれる」に気付いた桜さんは、人としても行き詰まっても、何度でも生まれることができる気持ちで前を向きたいと思える。
最後のたまごの上に座りたい気持ちは、どうなんだろうと面白く感じた。
Posted by ブクログ
焦げ茶色の桜碁石模様チャボである桜さんの視点に終始する。桜さんの命の恩人、茂さんは勤めていた企業で精神的ダメージを積み重ねていて今は引きこもりがちになり、おじいさん、おばあさんの営んでいる金物店に居候してる。金物店のある明日町商店街は傷ついている茂さんもチャボの桜さんもふんわり受け入れてくれる心優しき商店街。商店街の人たちと接する中で茂さんは少しずつ恢復していく。すっぱりハッピーエンドにはならないがかすかに明るい未来を感じてシアワセになる桜さんなのだった。鳥界と人間界の間にいるセキセイインコの「師匠」は桜さんのいい相談役で作品の調味料となっている。
■簡単な単語集
【いろはちゃん】小学二年生。茂のいとこ。
【宇崎真悟】おもちゃ屋の「うさぎ屋」店主の武子さんが転倒して大腿骨を骨折したのでその世話と店番をしている孫。
【梅干ババア】梅子。米屋。
【大塚】明日町診療所の職員。
【久保田】二日町で日用品の店をやっている。バリケンのことを教えてくれた。ついでに桜がSNSで話題になっていることも教えてくれた。隼人という子どもがいる。奥さんは日葵(ひまり)さん。
【浩二】向かいのブティックの主人。
【桜】主人公。チャボ。焦げ茶色の桜碁石模様。白色レグホンと一緒にされるのが悩み。茂のためになりたいと思っている。片一方の羽を痛めている。
【ジイチャン】川平幸太郎。茂の祖父。金物屋。
【茂】桜の飼い主。職場でうまくいかず引きこもりがち。
【師匠】明日町診療所のセキセイインコの雄。喋るのが好き。ご近所の鳥たちの人気者で「風さま」と呼ばれている。
【橘先生】明日町診療所の先生。藤木先生のつがいらしい。
【龍臣】茂の旧友。文具屋。
【鶴田】明日町診療所の職員。
【藤木先生】明日町診療所の先生。橘先生のつがいらしい。
【バアチャン】園枝さん。茂の祖母。コミュ力が高くしたたかな商売人。
【バリケン】カモの仲間だが白くて顔に赤い色があり目立つ鳥。群れからはぐれて一羽でいるが気が強く仲間を見限ったようだ。
【未来/みく】いろはちゃんのお母さん。茂さんの叔母さん。
【陽子】茂さんのお母さん。
【ララさん】毛先を明るい黄緑色に染めたおしゃれな若い人間の雌。ロッカさんのつがいらしい。二人でギターを演奏する動画を配信している。
【ロッカさん】長いまっすぐな髪の人間の雌。ララさんのつがいらしい。二人でギターを演奏する動画を配信している。きっぱりとした性格。
【渡/わたる】茂さんのお父さん。六つの定食屋を経営している社長。悪人ではないが茂さんをわかろうとしないガサツなタイプ。
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今までの著作は暗い雰囲気が多かったけど、本作はかなり明るい印象を受ける
描くテーマは似ているように思うけど描き方が変わるだけで見え方が変わるんだな
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人から贈られた本
ペットのチャボ目線でご主人が社会と自分自身との関わり方を模索してる物語。
自分も職場が苦しくなって辞めたり
その後の職場で居場所ができたり
自分の心との向き合い方を意識して生きている。
贈られた時のコメントとしては
ほっこりしますよ、ってことだったけど
個人的には自分の辛かったこととかが思い出されて少ししんどかった。
どんなつもりでこの本をプレゼントしてくれたのか。
この登場人物の誰を思って贈られたのか気になる。
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視点がユニーク
鳥たちの会話も楽しい
優しくもどかしく見守る再生のおはなし
そんなことは書かれてないけど、人間側から見れば、ある意味アニマルセラピーな側面もあるような
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主人公はまさかのチャボ。
鳥目線の話は初めて読んだので面白かった。
登場人物がみんな良い人ばかりで、ほっこりするけど、イヤミスばかり読んでる私には物足りないかも。。
Posted by ブクログ
チャボの桜さん、商店街の金物屋の孫である茂さん。桜さんの一人称で話は進む。飼われている鳥の目線って想像したことがなかったので最初は困惑したけれど、鳥がこんなふうにものを考えて行動していたら面白いなと思った。鳥の中でも品種や分類が違えば鳥同士でも知らないことがたくさんあったりして、まるで人間社会のような鳥社会があって楽しかった。現実でもこうだったらいいのにな。
なんだか温かな陽だまりの中にいるような作品だった。色々な個性をすべて受け入れて包み込むような温もり。太陽の光は誰にでも平等に降り注いでいるように。
つらい現実も書いているがあくまでも前向きさがあり、タイトルのように何度でも変化の機会があって、みんなどこかで生きていける居場所があると思える作品だった。
Posted by ブクログ
まさかのチャボ小説!
小学校の時、あの目に恐怖していた自分からすると、愛らしい桜さんの姿にほっこりするとは不思議なもの。こんなに可愛いチャボもいるのだろうか。肩に乗り!寝てる姿は玄米餅!…いや、そんなチャボに出逢ったことなどない。
穏やかで何も起きないけれどゆっくり時間が流れる小説。どうやらアンソロジー作品集から生まれたそうだが、発想は膨らむものなのだなあ。
Posted by ブクログ
人ではないものの視点から描かれた物語はとてもほんわかと、ただこの人らしく、苦しい何かを抱えた人たちも登場しつつ、みんなが少しずつ再生しながら進んでいく。どっかできいた名前だなとか、なんか既視感あるなぁと思いつつ詠んでたら巻末にその理由を見つけてこれもちょっと嬉しかった。読書熱が夏に比べて下がってきた今読むのにちょうどよかった。
Posted by ブクログ
小さかったチャボの桜,拾ってもらった茂さんと毎日暮らしている.会社でのパワハラで心を病んで祖父の営む金物店の2階に引きこもってしまった茂さんを思う気持ちに溢れた桜さんの心情が優しい.インコの師匠や周りの鳥たちとの交流もほほえましい.そして桜も成長していく.桜,卵を産むだけでなく孵すのか,最後気になった.
Posted by ブクログ
彩瀬まるさん好きなので、新刊かなり期待値高め過ぎてしまったせいか、そこまではハマれなかったです。ただ内容的にも、グイグイ次が気になって一気に読むという系統の作品ではないので、毎日少しずつ読む感じがちょうどいいペースだったのかも?「明日町」で起きるささいな事件に、登場人物たちが迷って悩んで立ち止まってそして進み出す、たんたんとした日常の中のあたたかいお話です。うつ病治療中の(読書可能な段階の)人たちにも強くオススメしたい作品です。
Posted by ブクログ
主人公(語り手)は装画の通りチャボの桜子さん。彩瀬さんの今までの作風とは違うと感じたけど、アンソロジーから派生した作品なのですね。たぶんそっちは読んでない気がする。