無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
思えば、死ぬことについて、あまり考えたことがなかった。
死んだら終わり、ということくらいしか頭になかった。
もちろん死んだ後のことなんて誰にもわからないのだけど、例えば私の肉体に宿る魂は、死後どんな色をしているのだろう。
物語では、死者は夜行という巡礼の旅を経て、静かに消えていったが、夜行に寄れない人もいれば、惑乱を繰り返し成仏できない人もいた。
死んだら私は成仏できるのだろうか。
未練はないことはない。あの時こうしておけばよかった、とか、あの時伝えておけばよかったかな、なんて思うことがそこそこある。
それがもやもやし続けながら消えきれずに、苦しみながら世界を漂っているなんて嫌だなぁ。
でもそれでもラストシーンにもあるように、死者も生者も誰かが隣にいてくれることがどれだけ力になるのか、それさえしっかり理解をしていれば、どれだけ辛くなっても、大丈夫な気がする。
信じる神は、私たちの営みに宿るなら、
寄り添って生きることを忘れてはいけない。
Posted by ブクログ
あの世とこの世が交錯する物語。
この世から形を失くしたあとは、こんな感じでさまよいつつ、かかえていたものを落としてしまってから成仏するのかもしれないと思いました。不思議な世界を体感した感じがしました。こういう感覚を表現出来る彩瀬まるさん、すごいなと思いました。そして染谷悠子さんの「はじまらないしおわらない」が、この小説の装画に本当にあっていると思いました。原画を見てみたいです。
小説ではまず主人公の燈子が、亡くなったあとも綴られる母親の日記から、母親がまだどこかを歩いていることを知ります。そして自分に関心がなかった母親の言葉が気になります。三人で生活していた頃、幼い頃事故死した弟、輝之のことが家族の一人一人に重くのしかかったままでした。本心を話さずにいた家族三人それぞれの現在と過去が語られていきます。
「夜行」と呼ばれる杖を先頭とした行進から外れ、息子(輝之)を探す母親。既に亡くなっている父親はそんな母親を見つけ、ある出来事から2人は息子への思いを消化します。母親から興味を持たれずに育った(と思っている)娘(燈子)は、母親の日記から思いを知り、やっと過去の思いから救われる······。簡単に説明するとこんな感じの小説でした。その中で燈子のありのままを優しく受け止めてくれる泰良の存在が、この小説では安らぎでした。
読後、お互いの気持ちを少しだけでも伝えていたらという後悔をしないように、生きているうちに少しの勇気を持ちたいと思いました。
彩瀬まるさんの他の作品も読んでいきたいです。
Posted by ブクログ
『くちなし』や『森があふれる』を思い出すような彩瀬さんワールド全開のお話だった。とにかく言葉一つ一つがきれいで、じっくりと咀嚼しながら読み進めていく時間がとても幸福だった。
亡くなった母の日記を見つけた燈子は、母亡き後も文章が綴られていくのに気付く。物語は亡くなった母の死後の世界と、燈子が暮らす現実世界の双方を行き来する少しスピリチュアルな内容となっている。死者は「夜行」という行列に参加することでいずれ成仏する仕組みがあり、燈子の母の晶枝も最初はこの夜行に参加するのだが、彼女は過去に交通事故で亡くした息子の照之の死に対してずっと罪悪感を抱えており、死後の世界においてもその罪悪感に苛まれてなかなか出口を見つけられない。そんな彼女が道中で様々な死者と触れ合い、先に亡くなった夫の啓和と再会して、やがて自分を赦すことができるようになる姿を読者は見届けることとなる。
死してなお抱える罪悪感。そんな重くどうしようもない罪悪感に対し、彩瀬さんは自分を赦してもいいのだと優しく語り掛ける物語となっている。たとえ完璧な解決策がなくても、自分の辛い気持ちや憶測を語ってもよいのだと、それも意味があるのだと教えてくれる。自責の念に潰されている人にとって、心を包み込んでくれる優しいお守りのような一冊だと思う。
Posted by ブクログ
私は死後の世界を知らない。
けれど、この小説で描かれている世界がどこかに存在すると思いたい。
死んでもなお、自分の生きてきた道を振り返り、心の奥底に固く閉ざしたものと向き合い、誰かのために、そして自分のために、心のあり方を変え続ける時間が訪れる世界。
しがらみや悔いや妬みや戸惑いやその他にもある様々な感情。
生きてる間はそれらが複雑に絡み合い、けれど向き合うと日常生活をうまく過ごせないから、すぐにその存在に蓋をしてしまう。
それを納得した上で昇華させる事が出来るなら、その時間は尊いと思う。
そして、昇華するには何かが必要で、それは誰か他者との関わりなんだろう。
よくご縁があって、というけれど、偶然か必然か分からないけれど、人は一人じゃなくて、誰かと関わる事の繰り返しで出来上がっているのだろうな。
先の世界をのぞかせてもらったような、予行演習したような不思議な気持ちになった。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸