あらすじ
虎治と光は元同級生。夫婦になり子供を持ち家族になった。言葉と体と時間を重ね、時にぶつかりながら同じ方向を見て進んでいると、それが夫婦だと思っていた、けれど。子育てへの意識の違い、自分の体への戸惑い、老い、子離れ。こんなはずじゃなかった――私の〝かんむり〞は一体どこにあるのか。どうしようもなく別々の体を生きる、夫婦の物語。
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Posted by ブクログ
身体のつながりと、心のつながり。
家庭環境、体型、ジェンダー、セックス、子育て、政治、死生観…
さまざまな『多様性』が求められる現代で、
それぞれのライフステージを生き抜いた夫婦の物語。
平凡なようで、美しい。
まるでウォータークラウンのように。
一つとして同じかたちがなく、
すぐに崩れ去るかんむりの、
それぞれがとても完成した物体のように。
そんな、光と虎治という夫婦の美しい物語だった。
Posted by ブクログ
人生のどんな1場面にも、瞬間の切なさと温もりがある。自分だけでなく、どんな人にも。
繊細な光を、崩れないように一生懸命守ろうとする私たち。それこそ私たちの青春でありかんむりだと思う。
Posted by ブクログ
自分自身は男として生を受けた。
性自認は男性で性的指向は女性。
マジョリティに属しているつもりでいる。
ただ趣味嗜好が合わない。
父親が好きだった、
釣り、格闘技、ラジコン、煙草、車。
どれにも興味を持てなかった。
格闘技や煙草は毛嫌いすらしている。
唯一といっていい共通点の野球は全く見方が違って話が合わなかった。
せっかく息子だったのに残念だったな、と思っている。
イエにも社会にも個人に対して要求があって、
個人が個人として欲求を突き詰めるのは難しい。
作品として、途中まではすごくよかったのだけれど、
終盤、依怙地になっていた夫が突然気が変わるシーンがある。
現実はそんなものかもしれないけれど、
そこはフィクションらしく、一縷の望みを持てる虚構を用意してほしかった。
Posted by ブクログ
私は結婚も子供がいる生活も経験したことがないけど、世の中の夫婦達の関係性や悩み、子育問題等の描写がリアル過ぎて想像できてしまう。
読みながら登場人物の夫婦関係が危うくなる度に胸が苦しくなりハラハラしたり、かと思えばお互い寄り添って軌道修正しほっとする。これこそが夫婦なんだなと、色んな感情になりながらもそう感じることができた。
と同時に、付き合った当初の初々しい関係や数年経った後のギスギスした関係もしっかり刻んであり凄く素敵な作品だなと思った。
私もいつか家庭を持つ事ができたら、この作品を思い出し読み返したりしながら、大事にしていきたいと思った。
Posted by ブクログ
夫婦それぞれ、いい人な面と嫌な人な面が自然に描かれてて、人間の複雑さが少し苦しかった。
あと、肉体の表現が好き。性愛ばっかが愛じゃないけど、血と肉を感じる愛も悪くないなって思えた。
Posted by ブクログ
決して読後感は好きではない、もやもやするものもあるけど、自分の境遇にささる、大変印象深い作品だった。
まず自分的に身につまされたのは、息子の様子。子供の頃は親にべったりでも大人になったら、育った分だけ離れていく。
離れれば離れるほど、自分と違う考えを持てば持つほど(場合によれば親を嫌うこともあるだろう)子供が育ったということになるのだろう。悲しい事実だけど、特に現代日本ではあるのだろう。
そして、主人公のキャリアを犠牲にしたが故の恨み…私は主人公ほど家族のために犠牲にしたわけではないけど、自分は子育てしなくて当たり前、自分の時間は自分のためと疑問も持たない夫には色々な感情が付きまとう…
母親って、妻って報われない。だからこそ、我慢しすぎないで、今を大切にするしかないのかなと思う。