あらすじ
ありふれた雑居ビルで繰り広げられるいくつもの人間模様。シングルマザーのマッサージ師が踏み出す一歩、喘息持ちのカフェバー店長の恋、理想の男から逃れられないOLの決意……。思うようにいかないことばかりだけれど、かすかな光を求めてまた立ち上がる。もがき、傷つき、それでも前を向く人々の切実な思いが胸を震わせる、明日に向かうための5編の短編集。
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Posted by ブクログ
とある雑居ビルに関わり生活している人々の連作短編集。
誰かの何気ない一言が、人の人生を大きく変えるきっかけになる。
人生捨てたもんじゃないなって思える、何気ない名言が散りばめられた一冊だと思う。
人の印象というのは、見る人によって全然違って見えて。
自分の思う"私"と、他人から見える"私"は違うのだと、当たり前のことなんだけど、なんだかそれがすごく印象的だった。
人生に疲れた時にぜひ読んでほしい一冊。
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優しい人になりたい。
暗いものやみすぼらしいものに
目をつむるのではなく、
それを見たまま
それでもそっと光る人に、
今度こそなりたい。
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Posted by ブクログ
ありふれた雑居ビルで繰り広げられる
日常のどうにもならない理不尽なこと、
大きな怒りや悲しみを抱えた登場人物5人が
様々な出来事や出会いを通じて
生きる姿勢を少しだけ変えることで、
今までの日々を時間をかけて許し、
付き合っていこうと前を向く。
それまでの憎んだ相手や、苦しみもがいた自分自身が、
手を添えて今の新しい幸福を一緒に作ってくれたんだと
思えるようになるまでを描いた、短編集。
少しずつ話は繋がってるけど
私は1話目の「泥雪」と
ラストの「塔は崩れ、食事は止まず 」が好きです
Posted by ブクログ
どの編の主人公も決して華やかでも綺麗でもなく、非常に人間的で面白い。どの主人公も最後は悩みとかモヤモヤが少し晴れた感じでスッキリする。視野が広がった感じがする。
Posted by ブクログ
97
蓋をしていた汚い感情がすべて露呈した気分。
一度は思ったことがある劣等感とか人に合わせて正解の相槌をすることとか、見たくないものは見ないとことか、どうしようもない才能に嫉妬することとか、ああわかるわかるってなった。
それでも最後は、何かしら乗り越えて希望が持てるエンドでよかった。
それを読んで、わたしもなんか頑張ろうと思った。
20191229
「光る背中」がとにかく好きで、何度も何度も読み返している。イケメン商社マンに恋をして、好きになってもらいたいから偽りの自分をつくって。それでも最後に自分をさらけ出して決着をつけた君はえらい。
Posted by ブクログ
映画、音楽、小説などのカルチャーが人それぞれ評価や受け取り方が違うように、
今起きたこと、この瞬間も、自分からしたらどうしようもなく辛く、どうしようもなく幸せでかけがえのないことでも、
自分以外の誰かにとっては特に記憶に残らず過ぎ去っていくことの一つに過ぎない。
人生は、なかなか自分の思い通りに進まない。
登場する人物たちは皆、弱くて、脆くて、でも強く生きていて、人間らしくて魅力的。
特に好きなエピソードは「龍を見送る」「光る背中」
Posted by ブクログ
彩瀬まるさん好きだなぁと痛感する1冊だった
短編集は基本あまり好まないけど
彩瀬まるさんの短編は別格。
どの主人公も生きづらさを抱えながらも
最後ちょっとずつ、よりよい方向に行くのがすごくよかった
Posted by ブクログ
今まで読んだことがない感覚の作品だった。生きていれば一度は抱える人間関係の拗れや嫉妬、手の届かない想いなどを登場人物は抱えている。最後はハッピーエンドとはままならず、微妙に手の届かないところで終わっているのがもどかしい。けれど希望はもう自分の中にあって後は進むだけなんだという気持ち良さもあった。古い雑居ビルの中で起こる出来事、ウツミマコトの映画で全ても物語が繋がっているのがおもしろい。どの章もとてもよかったけど龍を見送ると最後のパンケーキが特に好きだった。
Posted by ブクログ
どこにでもあるような駅前雑居ビル
そこに入居している、マッサージ店、カフェ、古本屋等
今回は、ビルの一部屋が変わりながら物語の中心となる連作短編集
プラス「深海魚」という映画がそれぞれの主人公達の記憶に残る
小説宝石掲載の4作と書下ろし1作
それぞれ50ページほどの短編だけど 登場人物達のキャラクターが把握しやすい
何かに傷付き 誰かを失いながら 次に進める神様のケーキを見つけるといったところ
痛くて脆いけれど 決してそこで止まらない
「光る背中」と「龍を見送る」の
好きな男子から自分の次の為に離れていく女子の物語が好きだった
Posted by ブクログ
「もし売り場で大野さんを見つけてからかってくる人がいたら、その人は最後に別れた時からずっとおんなじ場所に立ってる。変化のないつまらない人だよ。」
これほんま確信ついてると思う。
「私は私を褒めていい」
いやほんまそれ~みんな自分大事にしよ~
自分だけのケーキを口いっぱいに頬ばって癒されてぇー
Posted by ブクログ
雑居ビルに関わる人が、やむにやまれぬ状況から一歩踏み出す短編集。登場人物たちの現状への閉塞感で読むのがしんどいシーンもあるけど、少し希望が見えて終わるお話が多くてよかった。
Posted by ブクログ
彩瀬さんの本読みつくしキャンペーン中(自分)につき読んだ本。ジャケ借り+タイトル借りだったけど、読みやすい短編集でした。全ての短編が少しずつ繋がっている(今回はひとりの映画監督)系のお話好きだなぁ。世界はどこかで知らない誰かと気付かないうちに繋がっている、と思うとなんか嬉しい。
Posted by ブクログ
一本目の泥雪、くっっっら、って思って。
もっとほのぼのな話だと思って読んでたので、ちょっと進めるのが辛くなる。
うまいなぁと思うのは、話が進むごとに少しずつ希望の割合が増えていくこと。
だから、龍を見送る。光る背中。塔は崩れ、食事は止まず。は結構好きだったかも。
気持ちが明るくなる本ではないけど、救済を感じた。
そして柚木麻子の解説がすごい。
本書くの上手い人って読むのも上手いのね。笑
Posted by ブクログ
等身大の悩みやひとの立ち直りを描いた短編小説。
これから立ち直っていきたいひと、希望の光がほしいと思ったひとにおすすめ。
自分自身がいまは落ち込んではなかったので感情移入しきれなかったために★を一つ減らしました。
Posted by ブクログ
適度に人間くさい。誰もが心の中に抱えるエゴのようなものをしっかりと描き、そこから脱することを試みる主人公たちの姿に、心がギュッとなると同時に勇気ももらえる。
Posted by ブクログ
同じ雑居ビルで働く人たちのそれぞれの人間模様を描いた5編の短編集。
シングルマザーのマッサージ師や、イタリアンカフェバーの店長や、IT企業に勤めるOLなど、ままならない人生に疲れ果て、恋に仕事にもがき苦しむ人たちが新たな一歩を踏み出す様子を、心の内側をとても細やかに表現されていて、その苦しみが痛いほど伝わってくる。
重苦しいのになぜかどんどん読み進められて、彼らの立ち直り方が潔くてかっこいい。
それぞれの短編の締めくくり方もよかったけれど、最終章で、タイトルにある「神様のケーキ」という言葉の意味がちゃんと込められていたし、何かを失っても忘れられても、また新しく生まれ変われる、そんな希望を持たせてくれる終わり方が素晴らしかった。
綾瀬まるさんの作品は、いつも最後に驚かせてくれるし、優しい気持ちにさせてくれる。
Posted by ブクログ
最初の「泥雪」を読んでありがちな大人の成長もの?と思ったけど、2話目以降からどんどん印象が変わった。
生きて働いて食べて寝て…と毎日懸命に生きている登場人物たち。抱えてる苦しみがあって、ジタバタしながら最終的には新しい道へ進もうとする訳だけど、彩瀬さんの描き方に寄るものなのか、みんな小説の中の他人というより身近な人みたいで、彼らの人生の話を聞かせてもらえたような気がした。
それだからかみんなの葛藤一つ一つに不思議と共感できて、彼らに投げられた言葉が心に響いたりもした。
「どうでもいい奴にどう思われようと、関係ないだろう」
「ケンカ別れした人とも、もう一度新しく出会えるんだよ」
時間を置いて、またじっくり読みたい。
Posted by ブクログ
救われるのかと思いきやなんか救われない話。
でも、最後の話は今の自分に重なって、言葉がなんか心にストンって入った。
救われないのがあまりにも現実に近い気がする。
Posted by ブクログ
重たい気持ちになるのに、前に前に読みたくなる文章でした
交差するのかなと思ったけど、そこまででもなく、小説だからと言って奇跡があるわけではなく
ただただ現実に寄り添っている感じでした
でも、それがとても良かったです
Posted by ブクログ
みんな色んな困難があるけどそれぞれ腐れずに頑張っているんだよ〜な作品でよかった。
きっと現実でもこんな感じだと思う。好きなのにとか辛いとか恨んじゃう気持ち、様々あるけど、自分にとってそれはよくないからその気持ちを終わりに向かわせ進んでいく。きっと進んでいくのだろうけど、どうなったのかはほぼ書かれていないからわからない。でもみんないい方向に向かっていくんだろうな、そうなるといいなと思える作品。
最近主人公に共感できない作品ばかり読んでいたけど、この作品はみんな共感できて、小説だけど適度で適切な現実味があってよかったなー。
すごく個人的だけど、泥雪の「初めて買った絵は、意味を持ちますよ」が絵を買ったことのある自分としてはなんだか嬉しくなった。学生だった当時の私には大金だったけど、今でも大事にしてよく眺めているしその後社会人になってから原画にも手を出しちゃった。
私も神様のパンケーキ頬ばりたいな。
星の付け方をいまだに悩んでいるけど3と4の間で3にしておきます。
Posted by ブクログ
理不尽な現実という壁に直面した5人の主人公が、弱さを含めた自分と向き合うことで考え方や見方が変わり、少しずつ前に進むお話。世界は繋がっているんだと実感できる、短編集のよさが詰まっていた。
Posted by ブクログ
どの話でも必ず語られる、ウツミマコトの「深海魚」という映画。美談だと評価する人もいれば、気持ち悪いと言う人もいた。
映画を観ても捉え方が違うように、人生も自分の気持ちひとつで良くも悪くもなるんじゃないかなと思った。
短編の中で1番好きなのは「龍を見送る」
悪いのは脱退した彼ではなく戦場から逃げた自分だと千景さんに打ち明ける場面が苦しかった。最後に心から哲平の成功を願ってあげるシーンが切ない。
どの短編も自分と向き合うことが、前を向いて行くきっかけになっている。幸せも不幸も他者ではなくいつも自分次第だと気付かされる作品だった。
Posted by ブクログ
取り壊しが決まっている雑居ビルで働く人々の短編集。
各章でモチーフとして扱われるウツミマコト監督の映画「深海魚」、それぞれの話の主人公でも賛否両論分かれる作品で、色んな人の感想を聞けて面白い。私は苦手な作品だなあ。
バンドの作詞作曲をする古本屋のバイトさんの話「龍を見送る」が好き。彼女の作る曲を聴いてみたいな。
古本屋の店主さんががんで胸を切除した後の縫合の傷に名前をつけて蝶として可愛がる恋人可愛すぎる。一生仲良くしてほしい。
Posted by ブクログ
同じ作品、同じ経緯についての感想なのに、なんてばらばらなんだろう。そして二人ともまるでしっかりと根付いた木のように、自分の考え方に確かさを感じている。
捉え方は人によって違って、どれも間違っていないから難しい。
Posted by ブクログ
「塔は崩れ、食事は止まず」がお気に入り。
主人公の暗くてひねくれた部分が私に似ている気がして、葛藤や付いた悪態一つ一つに共感してしまう。
ハッピーエンドです!とは言い難いけれど、澱んで沈みきった思考の持ち主だった大野が、日常の中の小さな幸福を見付け始めた事が嬉しかった。
それにしても、パンケーキ食べたくなっちゃったな。
Posted by ブクログ
彩瀬まるさんの書く物語は 苦しい。
それは、目を逸らしたくなるような悲劇が描かれている訳ではない。家族、仕事、恋人…生きていれば誰もが1度は悩み苦しんだことがあるであろうこと。日々の生活の中でぶち当たる壁。5篇の短編の主人公の誰かには共感してしまうんじゃないだろうか。ただ、この主人公たちには共通していることがあると思う。それは みんな「真面目」だということ。きっとみんな生きることに不器用で几帳面で、自分の中にある「正しさ」があって他人も自分も許せない。自分で自分をがんじがらめにしている感じ。
今日のわたしは 生理痛と低気圧頭痛のダブルパンチでメンタルが弱くなっているんだ。「生きていると、一つ一つ、いとおしんできた夢が醒めていく。二人の子供はけして幸せそうではない。娘も、息子と同じくいつか私を嫌うのだろうか。」なんて一文に急に涙が込み上げてきそうになった。いや、うちの子 誰も反抗期なかっただろ。心の不調と体の不調って繋がってるよね。本の中でマッサージ師の主人公が、ガチガチに凝り固まった患者の体を丁寧に揉みほぐしながら「胃腸が弱ってるね。ちゃんと眠れてる?」ってツボを押してくれるシーン。体も心もジワーっとほぐれた患者がホロっと悩みもこぼしちゃうんだけど、めっちゃ気持ちよさそうなんだよなぁー。心身ともに揉みほぐされたい。
どの話の終わりも 奇跡的で感動的な出来事なんて起こらない。それでも「明日はちょっとだけ前向きに生きられそう」と思わせてくれるところがすき。
そしてこの本を読み終わったときに 誰もが思うであろうこと。
生クリームたっぷり乗ったおいしいおいしいパンケーキを頬ばりたいっ!!(*´﹃`*)