あらすじ
火葬したはずの妻が家にいた。「体がなくなったって、私はあなたの奥さんだから」。生前と同じように振る舞う彼女との、本当の別れが来る前に、俺は果たせなかった新婚旅行に向かった(「ゆびのいと」)。屋上から落ちたのに、なぜ私は消えなかったのだろう。早く消えたい。女子トイレに潜む、あの子みたいになる前に(「かいぶつの名前」)。生も死も、夢も現(うつつ)も飛び越えて、こころを救う物語。(解説・名久井直子)
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Posted by ブクログ
生も死も、夢も現も飛び越えて、こころを救う物語。
このワンフレーズで購入を決めました。
暖かいお話が多いのかなと思っていましたがそんなわけでもなく、しっかり喪失や別離という悲しさを描ききっている素敵な短編が6話収録されています。
ボロボロ泣きながら、ティッシュボックスを抱えて読みました。私の心に刺さりすぎて、もう目が腫れています。
彩瀬まる先生の書くお話は優しいけど現実的で、どこか怖くて寂しくて、それでも私達人間はきっとこの得体の知れない不安感を抱えながら生きているんだろうなと思えました。
Posted by ブクログ
ものすごく抽象的なようで、リアルで生々しく、わかりにくいようで「なんか知ってる、この感じ」と思わせる描写が何とも言えず癖になる。
面白いという感想があってるのかはわからないけど、胸の奥がずんと重くなるような存在感のある一冊。
Posted by ブクログ
彩瀬まる、怒涛の三連続読破。ちょっと中毒性があるね。私の前には他の本も読んでくださいと言って並んでいるから、そちらの方も無視はできない。ひとしきり読んだら、また戻って来るから、安心して待っていて下さい。
今回は、本の題名と同じ作品は無く、各作品に「朝が来るまでそばにいる」という状況が共通して出てくる。こういった短編のまとめ方は初めて体験した。最初からこういった短編集を出版するために作品に共通概念を組み込んだのだろうか。そうだったら素晴らしい。今回もその素晴らしさを書き記して永遠に心に留めておきたい。そのためには今回も各作品についてコメントしたい。ただし、共通部分には敢えて触れないでおく。
〇「君の心臓をいただくまで」
強い人だなぁ、本当に強い。どうしたらこんなに強くなれるのだろうか。そばにいて心の隙間を狙って入って来る存在。あくまでも自分に自然に溶け込んでいく存在。逆に入って来てもらった方が楽になるかもしれない。でも、確固たる信念でそれを拒否して最後には自分を取り戻す。こんなの特別な人でなければ断ち切る事なんてできない。本当に強い人だ。
〇「ゆびのいと」
最初は何の変哲もない話だと思っていたが、そういう話なんですね。違和感ワードが一つ出ると、それがベースとなって話が進展していくとは、そして結末まで一直線に進む。引き込まれる速度がブラックホールに徐々に引っ張られていく星間物質の様に、その加速度が半端ない。そしてシュワルツシルト半径に到達して話は一気に事象の地平線で留まる。その後は、外からはどうにもできない状態になる、という感じかな。
〇「眼が開くとき」
キーワードは「ぱりぱりぐちゃぐちゃぼりぼりごくん」。衝撃的な擬音語で、主人公の心の底辺から突如として湧き出してくる不安定感情。獲物が捕食されて命は直ぐに尽きてしまうのだが、命を落とした直後から一定期間亡骸が徐々に小さくなっていく、その間の捕食者が得た快楽が突如無くなったら人生の目標を失い、最終的にはその絶望により自ら命を絶つ、いやそれに抵抗するか。どちらになるかは曖昧のまま・・・それが終わり方としてはベストだろう。
〇「よるのふち」
久々に良い話を読んだ。読み終わると同時に、ずーーと頭に発生していた痺れがスッと引いた。そして大きなため息。それを吐き出し終えた 後に、今度はすぐに感動の痺れが襲ってきて、なかなか引かない。心臓の動悸もなかなか収まらない。母親が子供時代に亡くなった経験はないが、もし同じことが起こったら、もし同じシチュエーションに追い込まれたらと考えると本当に胸が痛い。程なくして新しい母親が来て欲しい。そして、当面はギスギスした家庭内の雰囲気は続くが、数年で温かい家庭が戻る、当然母親が生きていた時と全く同じ状態にはならないが、子供が大人になるにつれて全員幸せになる、というストーリーを感じさせる結末になって本当に良かった。
〇「明滅」
雨が降ろうとも、過去がどうであろうとも、恐怖体験があろうとも、セックスレスでも、仕事が順調に向かっていても、二人の間に流れる静かな時間は永遠に続く。時間の太さは変わらず、どちらかが年老いて死んでも普遍的な時間は均等に進んで行くのかもしれない。この様な変化のない人生、憧れます。いつ洪水が襲ってくるのか頭の片隅で考えながら読んでいたが、最後まで洪水は発生せず、本作品も本当に良かった、安心した。平穏に生き、平穏に死ぬことができれば、二人にとってこれ以上の幸せはないだろう。
〇「かいぶつの名前」
トイレのはなこさん的お話かと思ったが、実に深刻な問題だった。少し脚本家のお力を拝借すれば、悲しい事件を防止できるテレビドラマになることだろう。
これね、何回も言うけど本当に中毒、もう依存症になってしまった。感想文も久々に長くなってしまった。もうこれでは、次に読む本も彩瀬まるになってしまう。家には大量に入手した彩瀬まるの本が積んであるので直ぐに彩瀬まるに手を出してしまう。でも、彩瀬まるの作品には限りがあるんだな。この調子で読み続ければ読む本がこの世から無くなってしまい、強烈な禁断症状が発生し頓死してしまう。そうならないためには、ここで強い意志を持って彩瀬まるを一旦断ち切る!体内から彩瀬まるを徹底的に抜く。そうしないと廃人になってしまう。頑張って彩瀬まるを絶つ、絶たなければならない。頑張る!!!(大涙)
Posted by ブクログ
誰かの生や死からくる悲しみとその悲しみが私を行ってはいけないところに引き摺りこんでくるような恐ろしさが感じられた作品だった。この本を見つけた時にタイトルの優しさに惹かれて読むことにした。それは自分のエゴから来る優しさというより誰かの我儘に仕方なく付き合うような優しさだったのだがそれがこの作品の肝であり良くないところでもあるなと気づいた時、とても鳥肌がたった。
Posted by ブクログ
【生き続けていたら、いつか、あなたが許せないあなたのなかの怪物を、許してくれる人に会えるから。あなたが誰かの怪物を、許してあげられる日がくるから】
生と死、現と夢、獣や鬼・・・・・・などが交じり合う短編がどれも魅力的で面白かったです。
死んだはずの妻が現れたり、死んだ少女視点だったりと異形や怪異などのホラー要素がありますが、登場人物の誰しもが求める救い。
個人的には【ゆびのいと・よるのふち】が共通点があるストーリー構成・それぞれのキャラたちが迎える結末の違いが印象的で、【眼が開くとき】では青春のほろ苦さ・倒錯的な願望・欲望がたまらなく、【かいぶつの名前】では嘘で塗り固められた少女の切なさや終わらない無限獄から救済されることを願わずにはいられない心に刺さるものでした。
Posted by ブクログ
一言でこの小説を表すとすれば、哀しいホラー短編集だと、私は思う。
全6編のうち3編は死というものが前提にあって、残りの3編にもどことなく死の匂いのようなものが漂っている。
怖い中にも湿り気や情緒があって、とても日本人好みの内容だと思う。死者の念や想いの強さが、鬼や奇鳥や地縛霊に姿を変えてこの世に取り憑く。そこには人の哀しみが溢れている。
ホラー要素はほとんどない一編「眼が開くとき」がとてもエロティックで良かった。いらやしい要素や直接的な表現は全くないのだけど、とてもエロティック。だけどある意味でとても恐ろしい物語でもある。
憧れや恋心は片目瞑って相手を見ているくらいがちょうど良く長続きもするのだろうけど、何かのタイミングで両目が開いてしまう時がある。その瞬間憧れは遠のき、そこから先本物の愛に変えてゆけるかどうか…という。
全体的に、人の念を強く感じて、読んでいる最中はとても気が重かった。愛する者に対する死者の執着とか、過去の傷を忘れられない生者の苦しみとか。
突然という形で自分の命が断たれた時にもしも愛する人がいたら、自分はどうするのだろう?と考えたりもした。自分が死んだ後もその相手が幸せに生き続けてくれたらそれで良いと、立派なことが思えるだろうか。
もしかしたらこの小説の中の夜に潜む者のように、相手に執着して、一緒に死んでも良いから側に居て欲しいと願ってしまうのかもしれない。奇怪なものに形を変えてしまうくらい、愛して、狂ってしまうこともあるのかもしれない。
近頃よく読む作家さんの中で、彩瀬まるさんは特に好きだ。単純に読み物として面白いのと、読んでいて人に対する愛情というか温かみを感じるところが、とても好きだ。
Posted by ブクログ
ブク友様のレビューから手に取った1冊!
なんとなく不穏な印象でゾゾっとするのに、描写が鮮明で本に入り込んでしまった。
[明滅]が気に入った。
素敵な1冊に出会わせてくださったブク友様に感謝\( ´ω` )/
Posted by ブクログ
数年前に表紙買いしてそのまま積ん読になってた本。
積ん読崩し3冊目。
この本は買った事さえ忘れていたし、なんならこの作家さんのお名前も存じ上げなかった。完全に表紙の絵と帯のあおりに惹かれて買ったのだと思う。
今まで詩的な表現が強い女性作家さんの作品が苦手で、読み始めた時は「苦手なタイプかも…」と少し構えたんだけど、それぞれの話が「死」と向き合うことによってそれぞれの「生命」を物語っていて、最後の1ぺージ、下手したら最後の2~3行だけで、一気に話の印象が変わり、すごく好きになる話ばかりだった。
短編集だったのもよかったのかも。
この作家さんの他の本もいつか読んでみたいなと思った。
Posted by ブクログ
六つの短編集。この世ならざるものとこの世を生きるものの不安や苦悩や執着や愛情が彼我の境界を溶かすような形で不思議に描かれていて、幻想的でちょっと怖いような。いや、この世ならざるものというよりは、主人公の意識とか思いがそういう形で立ち現れている、ということなのかもしれない。
突如亡くなった新妻が、火葬した後も家にいて毎日料理を食べさせてくる「ゆびのいと」や、交通事故で亡くなった母親が、幼い弟に何かを食べさせている「よるのふち」で、死者から愛する聖者に食べさせている腥い肉片は何なのだろう。古事記に出てくるよもつへぐいを思い出した。その肉片も、あるいはそれを嘔吐した時の墨のような吐瀉物も黒い。または流産しそうな主人公の元を訪れる謎のおばは、夜な夜な黒い鳥になるとか。黒=死の象徴だから、どれもあの世とこの世の境界の曖昧さみたいなものを感じるけれど、生きてる登場人物は最終的にはその肉片や鳥を拒否していくから、死への拒否、身近な人の死や彼らとともにいられる死への誘惑を振り切って生きることを選択する、ということを象徴しているのかなと思った。美しかったり楽だったりする死と、困難な生の狭間で、それでも生きたいと最終的には思う人たちの話というか。
同級生の男の子に美を見出して、彼を食べちゃうことを文字通り夢に見る写真家の「眼が開くとき」はそういう生と死の話ではないけれど、耽美的で芸術だった。美しく羽化する蛹や、美しく花開く蕾を見守る視点。「ああ、生まれてしまった。生まれたら、あとは死ぬだけだ。腹が空く、体が壊れる、食われる。満ちていく姿を見守るのは幸せだったのに、これはこれから崩れていく。」
その話も、火葬されても夫のもとを離れない「ゆびのいと」も、「執着」とか「執念」という言葉がぴったりで、なんというか業が深いよね。
全体的に、やや厭世主義的だけど生を肯定する、耽美的な泉鏡花、って感じ。面白かった。ゆっくり再読したい。
Posted by ブクログ
この世とあの世を繋ぐ六つの短編集。この本全体に死の匂いが深く巣食っている。
特に好みだったのは「よるのふち」。
母親を失って混乱する家庭がリアルすぎるほどリアルで胸が痛んだ。そして蝕まれていくのが子どもだけだったことが、またある意味では切ない。母親を求めているのが子どもで、子どもを求めているのも母親なのだ。
女の白い手が撫でているシーンが印象的。恐ろしいけれど、死してもなお強く消えない想いが、現実との境界線をゆらりと曖昧にしていくようだった。一緒にいたいあまりに、心配するあまりに、生者を引き摺り込んでしまうこともあるのかもしれない。
「かいぶつの名前」もひどく切なかった。浮遊霊と地縛霊目線なんて想像できないのではと思うのに、読んでいるうちにこういう感じなのかもと悲しい気持ちになってくる。成仏するラストがせめてもの救いだ。
胸いっぱいに読み終えた。
Posted by ブクログ
豪雨の現在に読んだら、「明滅」がとても心にきました。
人ではないものや、想いが強過ぎて鬼になりそうな人もいるけど、それを救うのもまた人なのかもしれない。鬼になるのをとどまらせるのも、一緒に堕ちてあげるのも。
朝がくるまでそばにいる…朝がくるまでの暗闇ではあなたのそばにいるよ同じ闇に引きずり込みたいから、なのか、あなたの闇に朝がきて光が差すまでそばにいるから、なのか…どちらも出てくるお話たちが良かったです。
Posted by ブクログ
静かに静かに物語が流れていくのに、心がぐらぐら動かされる不思議な作品。
今ここに生きている私のすぐ隣にも、もしかしたら「死」が存在しているかもしれない。そもそも生と死の境界線ってなんだろう。
どの物語も、ゾワゾワするような幻想的なような、「死」を考えさせられるものだけど、不思議と怖いとか悲しいとかではなく、心がほぐされるような柔らかさのあるストーリーだった。
Posted by ブクログ
不思議な感じがして面白かったです。
ファンタジーやSFは好きではないですが、人間愛が結論に来るので、ぶっ飛んだ感じもしっくりきます。
本をあまり読まないわたしですが、たまには小説をと手に取りました。
若い小説家さんなので、高校生とかにも人気?のようです。
Posted by ブクログ
いるはずのない、そこにいた人たちとの愛。
じわじわと恐怖に侵食されているはずのに、どこかそれを求めてしまう、よくないとわかりつつそれに執着してしまう登場人物たちに共感したりしなかったり。
全体としては読み応えが充分にあり、筆致も鮮やか。他の作品も読んでみたい。
Posted by ブクログ
暗く重い6編を収録。表題は人に寄り添うような話を想起させるが、実は人に取り憑くような短編が畳みかけるように続く。交通事故で亡くなった母が鬼に変貌していく「よるのふち」は、母の無念の切なさもさることながら、残された父子家庭でのあわや児童虐待に発展しそうな描写に心が痛んだ。学校の中に縛り付けられた女子生徒の霊が、虐げられた恨みと、嘘をつき通してきた後悔の末に昇華する「かいぶつの名前」が印象に残った。
Posted by ブクログ
彩瀬まるさん、15作目
小説新潮掲載短編の
現世と常世のあわいの物語
はざまに足を踏み入れてしまう人達と
この世に遺憾を残した彼方者との
接点を描いた
君の心臓をいただくまで
ゆびのいと
よるのふち
かいぶつの名前
「眼が開くとき」
小学生の時、一時期クラスメイトだった
絵を描くことが好きだった少女と
周りの空気を良く読み演じる転校生の少年
大人になって再び出会う
少女はカメラマンとなり少年は俳優となり
カメラマンとして強靭なセクシーという要求に
美しい新人俳優を取り続ける
全てを撮り尽くしたあと 彼女の渇望は終わる
ちょいとドキドキした
石田由良の「跳ぶ少年」のセクシャルな感じと似ているようで、こちらのカメラマン女子は自己の渇望が優先な感じが冷ややか
Posted by ブクログ
ジメジメしてて闇っぽくて、強い執念みたいな感情が渦巻いている物語だったけど、でもなんか、言葉や理屈では言い表せない優しさや愛だなとも感じた、気がした。愛ゆえに、魂は。という感じ。
Posted by ブクログ
生や死がテーマの短編集。
擬音や表現が個性的で、グロテスク。
共通して、この世のものではない存在が登場し、ぬるい悪夢を見ているような心地悪さを感じた。
寂しさ、執着のようなもの、悲しさといった感情にリアリティがあって目が離せない。
薄暗い負の感情の中に、愛しさや、生に対する思い、希望のようなものが、ぼんやりと光っているような一冊だった。
Posted by ブクログ
生きること、死ぬこと、食べることはつながっている。
大切な人を失くした時、遺された方の辛さはもちろんだけど、死んでしまった方の無念さがとても印象的だった。改めて日々を大切に生きていかねばと考えさせてくれる読書体験になった。
Posted by ブクログ
死にまつわる短編集。ホラーっぽくもあった。
「眼が開くとき」がよかった。
綾瀬まるさんの書く文章ほんますき。言葉選びが絶妙。現実味のない描写でも頭に映像として浮かぶ。
Posted by ブクログ
人間の心に巣食う、化け物?真っ黒なもの?恐ろしいもの、についてのオムニバス。「君の心臓をいだくまで」と「瞳が開くとき」が好きでした。亡くなってしまった奥さんが旦那に忘れて欲しくないと繋がりを保とうとすることも、一度綺麗だと思ったものをずっと愛し続けていたいと思うのも、ものすごく歪んでいるけど、そこにどうしようもない人間らしさもあって、色々考えさせられました。
Posted by ブクログ
読み始めは苦手かとと思って、
気乗りしないまま3つ目のお話を読んで
一気に「最高だ!!」ってなった。
夢なのか現実なのか妄想なのか
生きてるのか死んでるのか分からない世界
想像が弾むお話はやっぱり面白い!!
眼が開くとき は、彩瀬まるさんっぽい。
これと、よるのふちが好きでした。
夏っぽい…ちょっと怖くてヒヤッとする。
Posted by ブクログ
死んだもの関係のお話は“怖い”がついて回るのだけど、読み終わったあとはその怖さが別のものに変化している気がした。怖さの正体の訳がちょっとわかったからかもしれない。生きているものが飛び越えられない境界線を行ったり来たりして、その怖さの正体の一部分を明らかにしてくれた。
死んだら終わりだと思うのは、単に生きているものの視点だもんなって思えた
Posted by ブクログ
彩瀬まるさんの、繊細ということばすら追い付かない細やかで生々しい文章が短編となって収録されている。痛みと苦しみと、ほんの少しの怖さとなって。生まれてくること、生きていること、生きていくこと。死を迎えること、死を受け入れること。生死というものには日常にはない圧倒的な感触があり、けれどそれはやさしくやって来るとは限らない。そんな生きていくことや死んでいくことを、特別なまま特別じゃないものとしてこうも描写できるのは彩瀬さんだからだとおもう。正否や好悪ではとうてい伝えきれないわたしたちの痛みが和らいだような、幻。
Posted by ブクログ
心が弱くなっている人々の前に現れる何か。生も死も、夢も現も飛び越えて、こころを救う物語。
人間は、果たして強い生き物なのだろうか。ちょっとしたことで壊れ行く精神と肉体。感情と行動のコントロールが定まる時は、一生の中では僅かな時間しかない。寄り添う誰かがいるときに、せめて心の解放はしておきたい。