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Posted by ブクログ
作家の妻が発芽した。木に葉に実に。一軒家から街中の思わぬところまで根を張る森になる。
SFを感じる衝撃的な始まりで、着いて行けるか分からないまま読み進めた。
埜渡夫妻の出来事を発端に、彼らを取り巻いている人々の夫婦問題を浮き彫りにしていくお話。
夫達は何気なくしている行動から妻達の不満が大爆発する過程を丁寧に描かれていると思う。
例えば担当編集である瀬木口は埜渡に対して軽蔑のような感情を持ったように語っているが、当の瀬木口も自身の夫婦問題に目を向けず挙句仕事帰りに牛丼を食べに行くかのように女を買うという。
当然、仕事に育児にと試行錯誤して夫を支えようと耐えてきた妻が唐突にこれまでの不満をつらつらと殴り書きにした紙を置いて子供達を連れて家出する。
「そういうとこだよ!」という感じ。文字にすると中々怖いなと感じることが多かった。
埜渡の不倫相手の主婦、瀬木口の後任となった担当編集の兼業主婦、埜渡自身の視点で物語が進む。
ある程度予想してた展開にはなってきた?かと思えば終盤がちょっと意外だったので、私からのネタバレは控えてご自身の目で見て感じて欲しい。
建設的な人間関係の築き方を知ることが出来るかもしれない。
すっかり彩瀬まる氏の作品達にどハマりしてしまった。
Posted by ブクログ
彩瀬まる『森があふれる』を読んで、印象に残ったのは、物語全体ににじみ出る、まだ消えないジェンダーの鎖に縛られた登場人物たちの姿だ。
特に貴夫は、男性としての呪いに気づきつつも逃れられないやるせなさを抱え、多くの男性が同じように縛られているのではないかと考えてしまう。
ジェンダーの縛りが家族という境目のあいまいな共同体で濃厚になり、個人を息苦しくさせる様子も印象的だ。文章はみずみずしく美しく、独特で伝わる比喩表現が多く、人物の心情や物語の空気を深く感じさせる。
女性は男性から常に丸くあれと求められる描写は、自身の経験とも重なり胸に響く。
ジェンダーの呪いが解消されない状況で男と女が家族になる息苦しさや、枠を通してしか相手を捉えられない不幸な構図の中でも、ともがこうとする人物たちの姿が心に残る。
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小説・文芸
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