【感想・ネタバレ】森があふれるのレビュー

あらすじ

小説家の夫に題材にされ赤裸々に書かれることで奪われてきた妻の琉生は、ある日植物の種を飲んで発芽、やがて家も街ものみ込む森と化す──英訳され欧米でも話題の、夫婦の犠牲と呪いに立ち向かった傑作!

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Posted by ブクログ

本作のように、十分に育ってしまった固定観念を崩してくれる作品が大好きだと改めて自覚した。恋愛作品において、最後に全てを受け入れるのは女性。独り身だと生活に困るだろうと思われるのは男性。そんな一つ一つの事実を違和感に変えられた瞬間こそ、読書好きにとって最も嬉しいと感じるのかなと思う。

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2025年11月07日

Posted by ブクログ

凄く良かった。

芸術家が素晴らしい作品をつくる為に“奪われる人”がいる時、何の疑問も持たずに甘受するだけでいいのか?

琉生が夫に言う

“思わせぶりにエッチで、急に母親っぽく優しくなって、困難に打ち勝った主人公にご褒美をあげて、存在をまるごと許さななければならない彼女達と、同じ性別なの。そんな役、まっぴらなのに、美しい女性とはそういうものなんだって…”

彩瀬まる さんの作品の中では今の所一番好き。
この作品中の女性達によって自分自身のジェンダーバイアスに気付かされた。

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2024年08月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

作家の妻が発芽し、森になるところから始まる、幻想文学のようで、真正面から現実を突きつけた作品。
編集者ふたり、作家の不倫相手、作家、作家の妻…それぞれの、女性への呪い、男性への呪いをぐるぐるにまとわりつけていたが、森で気づき、あふれていく。
彩瀬まるさん作品の、登場人物の価値観や凝り固まったものが、ふとほぐれる瞬間が大好きなんですが、『森があふれる』では、特に引き継いだ編集者・白崎の夫との会話がすばらしかった。
主観による気付きに、対面した相手の表面だけでないものが作用した瞬間の化学反応…!

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2024年07月06日

Posted by ブクログ

彩瀬まる『森があふれる』を読んで、印象に残ったのは、物語全体ににじみ出る、まだ消えないジェンダーの鎖に縛られた登場人物たちの姿だ。
特に貴夫は、男性としての呪いに気づきつつも逃れられないやるせなさを抱え、多くの男性が同じように縛られているのではないかと考えてしまう。
ジェンダーの縛りが家族という境目のあいまいな共同体で濃厚になり、個人を息苦しくさせる様子も印象的だ。文章はみずみずしく美しく、独特で伝わる比喩表現が多く、人物の心情や物語の空気を深く感じさせる。
女性は男性から常に丸くあれと求められる描写は、自身の経験とも重なり胸に響く。
ジェンダーの呪いが解消されない状況で男と女が家族になる息苦しさや、枠を通してしか相手を捉えられない不幸な構図の中でも、ともがこうとする人物たちの姿が心に残る。

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2025年09月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

絵画を鑑賞したあとのような読後感。
主人公埜渡徹也をとりまく人物の視点で物語が進んでいく。
埜渡徹也は出版界ではおしどり夫婦として知られていたり、各登場人物からも第一印象として穏やかな印象を持たれているため、自分もずっとそのような柔和な雰囲気を持つ男性をイメージしていた。しかし後半の埜渡の視点での「結局のところ、女というのは錘なのだ。」という文章に驚いた。結局、埜渡も女性を下に見る白崎の夫や、家庭のことを妻に任せっきりにするような瀬木口と同じようなイヤな男性だったのだ。

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2025年01月02日

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旅行中に一気読み。「お前は美しいものが好きなんだろう。それは分かってる」って幼い頃の主人公に放つ母の言葉が印象的。自分のもっとも優れていると思っていた感性が、肯定されながら否定された時の痛みに耐え切れなかった思春期の主人公には共感(同情?)した。これは綾瀬まるも身に覚えのある葛藤なのだろうか。 植物で満ちていく空間や不思議な世界で再会する登場人物などの描写は良いが、作品全体の構成としてはあまり美しくないと感じた。主人公との過去をめぐる旅と、ふたたび小説を書き始めたところが拙速に終わってしまって残念。

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2024年10月29日

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作家の埜渡に小説の題材とされてきた妻琉生は埜渡の浮気を疑い大量の植物の種を飲んで発芽します。やがて森になっていくという、ええ?どういう事?
埜渡は一見すると優しくスマートな男性だが、女性を低く見ていて、とてもイヤな男性でした。
星は3.5くらいで、

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2024年09月30日

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小説家の妻が「はつが」し森になり、家から溢れ出して…っていうストーリーだけど、男とは、女とは、みたいな男女の呪いについての話だった。
男らしさ女らしさの価値観が無意識のうちに刷り込まれている事実に気づくことすら案外難しい。

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2024年09月17日

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小説家の夫に赤裸々に書かれ奪われてきた琉生。
植物の種を飲んで発芽した彼女はやがて街をものみ込む森と化す…へぇ…欧米でも話題の傑作?ほぅ…と思って読んでみたが、あまり刺さらず、なんだかなぁ?と思って、窪美澄さんの解説を読んで、なるほどな…と。

まぁ、それなりの気づきはあったかな…。

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2024年07月29日

Posted by ブクログ

妻が発芽するという物語で進んでいく、現実ではありえないフィクションの中にすごくリアルな男女観の違い、会話が描かれていてのめり込んで読んだ。

人は自分を脅かさないものを軽んじるもの
この一文がすごく的確で納得した。

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2024年06月18日

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作家の妻が発芽する、という話
ありえないけど、それ以外は日常でありそうな男女の問題で読みやすい。
森になるって好きだから離れたくはないけど、対話できないなら篭もりたいっていう感じなのかな。
森の中で話していても、夫が何が問題かはじめは分からず、最後もわかってはいないけど話をできるようにはなってることが良かった。

他の作品も読んでみたい。

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2024年06月09日

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最近クレイジー小説にハマっている。村田沙耶香の生命式、湊かなえの人間標本、、、etc...。王道とは違う道をゆく本は、理性が否定したくとも本能が、好奇心をくすぐる世界を見せてくれる。

男性の書く小説、女性の書く小説。前者はどっしりしたミステリーや、社会物の王道が多いのかもしれない。常識ぶっ壊します系ほ小説は、女性著者が多い気がする。偏見だけど。

いつも、作者は読者側の抱く無意識的な格差を炙り出してくれていると思ったけれど、作者の属する文壇側にもそうした偏見がある事を教えてくれた。

本としてはもっと熟成されたクレイジーさが欲しかったかも。

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2025年10月25日

Posted by ブクログ

何だかすごいものを読んでしまった気がする。。が正直な感想。
海外で翻訳されてヒットしてるというのも納得。根底に流れているテーマはジェンダーなのでしょうかね。

小説家の妻がある日、家で発芽し森になる。という衝撃的なシーンから、小説家本人、妻、まわりの人たちそれぞれの視点で物語は進むーー。

日本的な良き妻であり、良き女であれ。ってもはや幻想だよね。。芸術家の妻は大変なんだな。。お互い自由が1番とおもう今日このごろ。

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2025年04月29日

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ネタバレ

再読
まず発想がありえないようで、そんなこともあるかなと納得したりもする。森になっていく妻と2階の寝室、作家の驚きながらも普通に対処するその心の動き、編集者も知っていながらの黙認。これってそんなに変なことではないの?と思ってしまう。

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2024年07月10日

Posted by ブクログ

彩瀬まるが怒りから本を書いてるのが意外だった
なんとなく、悲哀から本を書く人だと思ってたから
でも世界中に翻訳される理由もなんかわかった

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2024年06月10日

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