彩瀬まるのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
彩瀬まるさん ベストアルバム的短編集とのこと
ストーリーの中に メタファー的(だと思うのだけど)モノや身体変容を独特に差し込んでいる
多少不思議系でもある
この短編集集は、ベストと言われるだけあり
モノと人、ストーリーがとてもしっくり
「なめらかなくぼみ」 小説新潮2021
選りすぐったソファの肌触りを愛する女
…というより 自分の愛でるモノを尊重してくれるパートナーが良いんだよね
「二十三センチの祝福」 文芸あねもね2011
同じアパートに住む女の傷んだ靴を直す男
安く傷んだ靴は彼女そのもの
都会で傷つき疲れた女性を優しく送る大人の男
「マイ、マイマイ」 オール読み物2018
大学生同 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「みっともない」と「かわいそう」の呪縛。
完全には消えはしないけど、梨枝が踏み出せて良かったです。面白くてあっという間に読んでしまいました。
わたしの母も梨枝の母みたいなところがある…というか、ここが九州とかわたしが長女というだけでなく、娘を持つ女親って大なり小なりこういうところあるかも。紀子は娘をコントロールすることで自分を保ってるんだろうな…わたしの母は違った理由もあったのだけれど。理解はできるけど納得はできないです。
「かわいそう」と思うことで、歪んだ優越感が得られる…という黒い気持ちもまざまざと見せつけられます。自分自身も誰かからかわいそうだと思われてるだろうし、誰かに言われてるのは嫌 -
Posted by ブクログ
食事を通じて変わっていく人間関係を描いた6つの物語。
現代に生きる私たちが抱える不安や悩みが、それぞれの食事を通して解消されていく。どの物語も読み始めはザラザラとした感覚が心の中に生まれるけど、登場人物が咀嚼するほどに滑らかになっていく感覚。
子育て中の女性が主人公ということもあって、「ミックスミックスピザ」「ポタージュスープの海を越えて」「シュークリームタワーで待ち合わせ」は頷く部分が多かった。3つとも「完璧でなくていい」「母親になっても自分は自分でいい」というメッセージが伝わる。大切なものを大切にしながら自分の人生を生きていくという、覚悟を決めた主人公たち。登場人物から勇気と力強さをも -
Posted by ブクログ
昔帯に椎名林檎さんがコメントを寄せていて、気になってはいたが、最近ようやく手に取って読んだ。
読んで改めて考えたこと。「みっともない」とか「かわいそう」ってのは多分、力関係に基づいた感情だ。贈与は暴力になり得る。
「人の目がこわい」というのはそうした感情に絡め取られた結果であって、自分は実感としてよく分かった。
身につまされる話が多くあり好きなのだが、彩瀬先生の「大人観」が出ている気がした。先生は周りの物事に依存せず自立することが大人になることであって、それを経て初めて他者とのパートナーシップを築き得るということなのかなと自分は読んだ。
子供と大人の間には時を重ねただけでは乗り越えられない -
Posted by ブクログ
「なにが、なにか困ったことはある?だ。あんな電話、しなくてよかったのに。職場のことなど考えず,迷惑をまき散らしながら逃げて逃げて、どこかの温泉にでも浸かってくれていた方がよかったのに。そうしたら、きっと探しに行ったのに。
本当だろうか、と熱いコーヒーを口に含んで自問する。死んだ人間相手だからと、非現実的な絵空事のやさしさを掻き集めていないか。実際にそれをやられたら,私はそれまで尊敬していた楢原店長をすぐさま見下すようになったはずだ。私も同じような目に遭ったことがあるけれどこんな風にはならなかった、なんて弱い人だろうと、さっきのように自分のたった一度の体験を引き合いに出して、わかる部分だけ切り刻