彩瀬まるのレビュー一覧
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食に関する短編集。食べ物で人に寄り添い、そして食べることで元気になる。
特に最後の「大きな鍋の歌」が良かった。万田は松ちゃんや娘の野栄の身の上に大変なことがあった時には、思いやりの料理で励ましてくれる。そして、小さかった野栄にもその気持ちはしっかり通じていた。独身で通した万田だが、優しい人生を過ごした人なんだろうなと思った。
私も今受験に向けて頑張る息子のために料理を頑張っている。今朝、息子から「お母さんは毎日料理を頑張っている」との言葉をもらい嬉しかった。会話しながらの家族のご飯は楽しい。来年には家を出る息子との限られた月日、大事に過ごしていきたいと思う。 -
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読みやすく、一話一話は短いのに、個人的には割と没入感があった。
自分の体がしっくりこない人たちがメインの話。
こんな時自分が男だったら…とは思ったことあるし、なんだかわかるなぁという話が多かった。
中学生の時にこの本に-こんな読みやすさでさらっとジェンダーのバイアスとかを扱う話に-出会えていたら、もっとはやく視野が広がって、無意識に他の人にバイアスのある視線や声をかけず、自分も気にせず過ごせてよかっただろうにな、と少し思ってしまった。
とりあえず、合気道、とてもやってみたい。
中学、高校の時の柔道の授業で受け身が特に好きだったことを思い出した。 -
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旅行途中、東日本大震災に遭った彩瀬さんのルポルタージュ
彩瀬まるさん、22作目
福島に向かう常磐線に乗車中、あの揺れと津波を体験
第一章 川と星
3/11の震災直後から 埼玉の自宅にたどり着く3/14までを
第二章 すぐそこにある彼方の町
6/28、29 再び被災地に向かいボランティア活動を中心に
第三章 再会
震災当日偶然乗り合わせ、一緒に逃げた女性との再会 その女性は彩瀬さんの作品を読み連絡してくれたとのこと
このルポ的作品が 彩瀬さんの単行本デビュー作となった
ルポなので、実際経験した事、彼女と実際に関わった人達とのつながりになっている
あまりに震災の近くにいて、大きな震災の状況とい -
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『桜の下で待っている』を最近読み、魅力的だなと感じた、福島などの東北地方。
当時西日本の小学生だった自分は考えが幼く、しばらく関心があまりない状態だった。申し訳ない。
この話ではじめてすごくリアルなものとして認識できた。震災時の描写は読んでいるだけで怖さを感じた。
当事者にならないとわからないことはたくさんある。
そんな事態が自分の身に起きた時にどうするのか。
ただ一つ、不確かでどうすることもできない時点で怖がりすぎたり、人を差別したりしないようにはしたい。
他の人に手を差し伸べられるかなんてわからないが、差別意識は絶対に持たない。
それは決意した。
また、家族や大切な人を守るためにどうする -
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短編が6本の構成だが、読後感は何かしっくりこない.「なめらかなくぼみ」はアームソファ ノアールを中心にした物語だが、萌花と礼央くんのやり取り、澄香と啓太の生活、離婚した雅美も出てきて、ごっちゃな感じだ.「マイ、マイマイ」はベーグル店を営む父、翻訳家の母の存在、友梨愛と鈴白くんの付き合いに潜り込んでくるハルヒが登場するがアンモナイトのおはじきが主題だ.「ふるえる」では体から様々な色の石が出てくる.こりゃなんじゃ.「マズノリアの夫」では白木蓮に変身してガラスの鉢に潜り込む郁人の話だが、うまく把握できない.「花に眩む」では体に芽が出てくる.ツリガネニンジンやセンニチュウ、ハトムギなどだがそれを摘まん
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好きな言葉はエロスです。
ってな事で、『ここから先はどうするの 禁断のエロス』
澤村 伊智
壁の向こうで誰かが
彩瀬 まる
噛みあとはオレンジ
木原 音瀨
Lotus
樋口 毅宏
ROMANCE
窪 美澄
バイタルサイン
の5人の官能アンソロジー
それぞれええ感じのエロスです。
眠っていた自身のエロスを解放していく様…
脚フェチから纏足に魅せられ、また自身の纏足との別れ
と共に、過去の複雑な呪縛から解放された『何だか清々したわ』にシビれた
1番はやっぱり窪美澄さんのバイタルサインがえかったな
義父と娘のズルズルと沼にハマっていく禁断の愛が……
それぞれの作家さんのエロ -
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彩瀬まるさん、10作目
自分の正しさを貫くことは、保身かもしれない
所属する組織への遵奉は、献身かもしれない
正しさの基準は、その場所その時で変化していくのでは、と思う
求める生き方の違う二人の姉妹の物語
二人は違う道を求めながら同じ様に突き進んでしまう
自分の気持ちを表現したい妹
組織のために黙する姉
二人共 真っ直ぐで 揺らぎに弱い
妹の元彼ではないけれど
金とか名誉とか色恋で動くことも
寄り道ではないんだろうなあと思う
真面目すぎる二人が それぞれの行動を間違えて堕ちていく様は 具体的で現実的で寒気がする
サーカスの挿入に多少違和感はあるけれど
人生をステージでの演目として与えられる役を -
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言葉を選び、選びながら寡黙に テーマは“喪失”
10年前に妻であり母親を亡くした、父娘を中心とした連作短編集
「指のたより」
妻を亡くした後、娘との生活を大切に暮らしてきた父親に心惹かれる女性が現れる
妻の日記に残された言葉
誰もわかってくれない
亡くなる前の記憶と妻の出てくる夢が交差する
最後の「やわらかい骨」
こちらは、高校生の娘の視線
父親との生活に過不足はないものの、自分では気が付かないほど本来の母親の不足
宗教家一家の転校生との短いけれど篤い交流
この章は、若くも深い感情が静かに描写されていて、若い世代にお勧めしたい
「古代のバームロール」
父親と親しくなりそうだった女性
彼女