彩瀬まるのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
冒頭の2話「なめらかなくぼみ」「二十三センチの祝福」はリアリスティックなお話だったが、以降の4話「マイ、マイマイ」「ふるえる」「マグノリアの夫」「花に眩む」はファンタジー要素のある作品だった。
どのお話も人間の持つ持つあまり認めたくない微妙な心理や弱さ、残酷さを表していると思った。
そして、それぞれのお話で象徴的なオブジェ(物体)が登場する。1人がけのソファ、パンプス、カタツムリ、石、白木蓮、ハトムギ…。
どこか視覚に訴えてくるものがある。
特に、最後の二篇が印象に残った。
「マグノリアの夫」
…語り手の陸と夫の郁人は2人とも表現者だが、陸の真っ直ぐな潔癖さと、郁人の器用ながらも繊細で少し脆い気質が対称的だった。花の美しさと不気味さ、ラストの物悲しさがドラマチックで魅力を感じた。
「花に埋もれる」
…人から花が咲き、花に埋もれて死んでいくという設定が面白い。花は現実世界で何に例えられるだろうかと考えてしまう。(癌とか?)
もし現実がそのようであれば、日々死の気配を感じて時間をもっと大切にできるだろうか。
植物の匂い、土に還っていくイメージとともに、ひとの温かさのイメージが強く印象に残った。 -
Posted by ブクログ
初彩瀬まるさん。故郷を巡る5編の短編集。
故郷を訪れることで、親や親族、友人など人とのつながりや絆を再確認する話。実家へのご挨拶から、ご先祖様との邂逅まで、バラエティに飛んだ話が収録されている。どの話も違和感はないが、現実的な話とちょっと幻想的な話が入り混じっており、どっちかにしてくれと言う気もします。
モッコウバラのワンピース
孫の智也(大学生)が、再婚をきっかけに親族と離れて暮らす祖母を訪ねる話。息子や娘らの反対を押し切っての再婚だった。タイトルのモッコウバラのワンピースは祖母が着ている服。あまり馴染みのない花(僕が浅学なだけ?)を出してくるからには何か意味があるのだろうと調べてみた。花言葉は純潔ですね。
からたち香る
婚約者の実家、福島を初めて訪ねる律子の話。震災の3年後という設定で、恋人の両親との顔あわせと言う人生の一コマと、当時の福島と言う非日常とが交じり合って緊張感を醸しだす。ちなみに、実家の裏にはに咲くからたちの花言葉は思い出。
菜の花の家
母の七回忌で久しぶりに兄夫婦の住む仙台の実家に帰省する武文の話。亡くなった母親と兄嫁の加奈子さんは折り合いが悪かったのだが、、、
ハモクレンが砕けるとき
叔母の結婚式出席で両親と花巻の母の実家を訪ねる話女の子の話。事故死した友人を思い気が塞いでいた知里の前に、不思議な少女が現れる。前3編は現実味のある(菜の花はちょっと不思議体験ありましたが)話だったのだが、こちらは幻想的。バラエティがあるといえば聞こえが良いが、少し浮いている気もする。
桜の下で待っている
前四話が全て、誰かの故郷(親族)を訪ねる話だったのだが、この作品だけどこも訪ねない。さくら姉弟は帰る故郷を持たないのだ。自らが新たな故郷となることを目指す希望の章。 -
Posted by ブクログ
【ひとひらの羽】
鳴海さんの生き方、彼女と高木さんの関係が素敵だなと思った。結婚していてもしていなくても本人の生活が充実していたら幸せだよね。二人を見ていたら私も何だってできる気がしてきた。そして、会いたい人には会えるうちに会っておこうと思った。
【遠まわり】
不思議な話だった。私にも前世での思い入れのある場所があるのかな。そんな場所に今世で辿り着けたら素敵だなと思った。でも前世の記憶が一切ないから気づかないかなぁ…笑
【あたたかな地層】
作家さんの苦労が少し分かった気がする。シリーズ化してるものって本当に凄い。鬼の話はとても興味深くて私も岩手県に行ってみたくなった。もちろん、ご飯が魅力的だったのも行きたい理由のひとつ。笑
【花をつらねて】
赤ちゃんの体重が増えない問題、とっても共感できたのと克彦さんが素敵な旦那さんすぎた。母親方の家はゴタゴタがありながらも、兄弟それぞれが姪やその娘に良くしてくれている温かさを感じた。「いいところだけ覚えておいてよ」には言葉の意味の深さを感じた。
【風になる】
政治家って悪いイメージしかなかったけど、この話を読んで私が知らなかった裏側を知って少し好感度が上がった。知子が新幹線の中での出会いをきっかけに良い方向に向かう事を願わずにはいられない。