彩瀬まるのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タイトルにサーカスが使われていて 文中にも度々出てくる。大事なワードだと思うのだけれど… 企業や組織などをサーカスという共同体で表現しているのだろうか?
大手製薬会社に勤める姉の依千佳はサーカスが好きだ 大勢の人や動物が協力してもっと沢山の人に喜びを与えると信じている。
一方 アクセサリー作家で妹の仁胡瑠はサーカスから逃げて暗い草原を疾走する白い虎に自分を重ねている。
二人とも成功したかにみえたが段々暗雲が立ち込めていく。
終盤 依千佳の同期生の愛が言っていた「そういう目まぐるしく変わる世界で唯一、私たちの思い通りに動かせるものって自分の体と心ぐらいじゃない。それしか持ってないんだから、優先した方がいいよ」という言葉にはとても共感した。正しさの指標なんて時と場合でコロコロ変わる。有能な峰木弁護士の言うように 他者が差し出す正しさを頼るのではなく、自分で考えることが何よりも大事なのだと強く思うけれど 人は分かり易い方に流される。私も日常 他者から差し出されたテキトーな正しさに乗っかってしまっているような気がする -
Posted by ブクログ
ネタバレ10人の作家さんが描く怪異の短編アンソロジー。多種多様な怖い話。一体、どこからこんなアイデアが出てくるのかと驚きながら楽しみました。
恩田陸『曇天の店』
北陸の料理屋。開けてはいけない勝手口。フェーン現象がつれてくるカワケが人を狂わせる。ラストの夫婦の会話が不穏で、余韻たっぷりで終わる。
米澤穂信『わたしキャベンディッシュ』
バナナの種って貴重なんだなあ。シゲルはどんな味なのかしら。
村山由佳『ANNIVERSARY』
小2のときの儀式が35歳で効果を発揮?
夫と息子と幸せに暮らしていたのに、少し違う世界で小2からやりなおし。新しい世界で新しい家族と幸せになっても、新旧、どちらも裏切っている気持ちになるのはしんどいですね。何回も繰り返すのかな。おかしくなりそう。
窪美澄『真珠星スピカ』
いじめられてる女の子。死んだお母さんが自分だけには見えている。空気の読めない担任(隣のお兄ちゃん)、いいお姉さん感がすごい保健の先生、不器用なお父さん。中学生の女の子の一人称で書かれていて、思春期のヒリヒリやヒヤヒヤが感じられてよかったです。ラストのお父さんのセリフ、泣いちゃいました。
彩瀬まる『マイ、マイマイ』
鈴白くんと別れることになるだろう。好きなのに。鈴白くんの落とした白い石には、彼の“恥”が入っていた。マイマイを戻さない選択をした主人公が偉いなと。
阿部智里『李果を食む』
兄弟で同じ現象を体験してるはずなのに、見てるものがまっっったく違う。怖い。スモモ?リカ?どっち!? 読み返しました。
朱川湊人『フクライ駅から』
友人が精神病院に入院した。彼の妹曰く、彼が都市伝説の生みの親だという。それがきっかけでおかしくなったと。しかし、友人は主人公にだけあるメッセージを送ってきて。人の裏の顔。そして、ラストは自爆していくのかな。疑心暗鬼のおまじないをかけられたのだろうか。こうなったらもう、戻れない。怖い。
武川佑『細川相模守清氏討死ノ事』
時代もの。幕府から追放された細川清氏と、彼に仕える小姓、孫七郎。彼らと烏天狗の因縁。時代ものは分からないところもあるのですが、アクションあり、情ありでおもしろかったです。烏天狗になるのは嫌なことかもしれないけれど、なってしまったら、それすら嘲笑うようになるのかな。
乾ルカ『かぐわしきひと』
自殺した双子の兄の遺品整理中に見つけた写真。そこに写っている美女に魅入られて…。そっちか!と見事にだまされました。残酷で美しい話。
小池真理子『喪中の客』
鳴らないはずのブザーが鳴った。訪ねてきたのは、妹の不倫相手の妻。終始、不穏な空気が流れていて、ゾクゾクしました。ラストは怖いからあんまり想像しないようにします。笑 -
Posted by ブクログ
すべてに満ち足りて生きている人はいない。この連作短編集で思ったことだ。
亡くなった家族のことに想いを巡らせながら生きている人。拠り所を見つけて、何事もないかのように生きている人。自分にないものを持っている人に、嫉妬したり、関わりを絶ったりして、今の自分を正当化して生きている人。表向きはうまくやってるようでも、本当は辛いことを秘めている人。本当の自分を出せない人。自分を守るために人を蔑んでいる人。自分ではどうしようもないことを抱えている人。この登場人物達のことを知るにつれて、誰もが自分にないものを抱え、悩みながら生きていることについて考えた。
読後、改めて見ると、キラキラしたイチョウの葉っぱが降る表紙が、この物語を包んでいるように思えた。