須藤古都離のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ前著『ゴリラ裁判の日』を楽しく読んだので、期待しての著者2作品目。
うーん、悪くないが、なかなか我慢が必要な展開だった。
400ページに迫る長編、前後半の大きく二部構成。
前半の第一部が「撮影前」、第二部が「撮影開始」で、文量はおおよそ1:2だが、この「1」が、なかなか物語にのめりこめず苦労する。場面、登場人物が次々と変わり、それぞれの物語が羅列され、ブツ切れに意識が寸断されるのだ。
本作が、群像劇であると分かって読み進むのがよい(途中で、気づくけど)。
スランプの作家トムに、筆を執らせようと妻メグと、カリフォルニアの田舎町ジェスローの住民がグルになり、偽のゾンビ映画撮影を企て -
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Posted by ブクログ
「新しい法律ができた。」という一文から始まる短編小説が25編載っています。
25人の書き手が、もしこんな新しい法律ができたら、という視点でお話を綴ります。
「新しい法律」ができた理由がそれぞれ興味深いです。
例えば、
・金子玲介さん「ルパちゃん」では、「少子化対策」のために「子どもがわりに人口知能を搭載したぬいぐるみを所持することを禁止する法律」ができます。
・日野瑛太郎さん「推し活制限法」では、「推し活にハマり過ぎて身を持ち崩す人が出た」ために「推し活への課金上限を制定する法律」ができます。
(わたしが、ぜひ読んでみたいと思っていた、くどうれいんさんの場合は、)
・くどうれいんさん「ショ -
Posted by ブクログ
新しい法律ができた、から始まる物語を色んな書き手が描く1冊。
新しい法律ができているわけだから、世界設定がSFっぽかったりディストピア感を感じるものがあったりして、楽しく読めた。
その他にも、ぞっとする物語、切なくなる物語、短い中でミステリーのような作りになっている物語…
叙述トリックが含まれているものや、ばかばかしいと思ってしまうような内容の法律が大真面目に取り扱われる物語など、本当に色んな味がする1冊。
なかでも殺人を罰する法律が"新しい"法律として制定される「もう、ディストピア」が特に良かった。
有り得ないはずの世界に説得力があって冷たい汗をかく。
「ルパちゃ -
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Posted by ブクログ
ホラー小説とは程遠いストーリー。最初は少し読みづらかったのですが、読めば読むほど面白くなってきました。
他作品「ゴリラ裁判」も唯一無二の世界観でしたが、こちらもなかなか個性的。
読みながら細部の描写まですごく緻密に練られているのを感じました。
何だかもうカオスとしか言いようのない展開で、この先どう落ち着くのか心配になるくらい。物語をどこか遠くから眺めているような気分で、すべてが滑稽に思えてきました。
笑っちゃうぐらいトンデモな展開で、コメディ映画を見ているみたい。
怒涛の展開で途中からページをめくる手が止まりませんでした!
ちょっとした爽やかさもあり、ニヤリとなるラストはお見事。
映画「 -
Posted by ブクログ
『アメリカ版・カメラを止めるな!』
1960年代のアメリカ・ネバダ州の田舎町を舞台にした作品。低予算でゾンビ映画を作るストーリーはどこかで聞いたような設定。映画撮影班やギャングたちの思惑がピタゴラスイッチのように作用し合い、思いもよらない壮大な群像劇を繰り広げる作品である。
登場人物それぞれが自分の目的を果たすために突っ走る。「いや、そうはならんだろ」とツッコミたくなる謎ムーブもあり、デビュー作の「ゴリラ裁判の日」に比べると粗さも感じるが、そこはアメリカン。日曜の夜にロードショーで古いアメリカ映画の吹替版を見たかのような懐かしさを覚える。
前半の群像劇は個々の物語でかなり風呂敷を広げるた -
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Posted by ブクログ
これが最後の仕事になる、の共通センテンスからスタートするショートアンソロジー。
ショートで色んな作家さんがかく中でインパクトを、となるとどうしてもドキッとするような内容に寄る。
そのなかで違う角度で楽しませてくれたのは
・半分では足りない/呉勝浩
→うぉぉーーー読み直したよ!
・闇バイト/柿原朋哉
→タイトルと違ってちょっとほっこり
・天岩戸の真実/高田崇史
→この作者さんテイスト満載
あとストーリー好きだったのは
・悪魔との契約/須藤古都離
→オチ!良き!
・魔法少女ミラクルミルキー/一穂ミチ
→ヒーローも魔法少女も辛い仕事。。。
・時効/米澤穂信
→この長さで収まる起承転結具合が秀逸! -
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