似鳥鶏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
もうタイトルのまんま。全ての話に叙述トリックが使われているということをタイトルで言っちゃってる短編集。しかも、本を開いたら各話のポイントみたいなことも全て書かれているという異色の作品。
いやー、素直に面白かった。個人的には「貧乏荘の怪事件」の叙述トリックというか仕掛けが一番好きで、ひっくり返され方に気付いた時に
「…ニヤ…フフフフフ(そういうこと!?気付かんかったんやけどwwww)」
ってなった!いやー一本とられたとはまさにこういうこと!
でも、この本全体の大きな仕掛けの一つは途中で気付いちゃった。それでも何ら遜色することなく面白かったけど。
いやー、この本のアイデア思いついた時は震えるや -
Posted by ブクログ
一言で言うと「美しい」小説。
「キレイ」ではなく「美しい」という表現がしっくりくる。
主人公が小学生から中学→高校→大学と成長する中で、「お姉ちゃん」への想いの変化や葛藤がよく描写されている。
好きな人に、自分ではない別の好きな相手がいて、その二人が仲良く幸せそうにしている様子を傍で見る切なさとか、遠い昔にそんなんあったなぁと。
前半は、日常の中で遭遇した謎を解くというテイストで、コミカルな文体も手伝って割とサクサク読める系かと思ってたのが、後半は一気に本格的な(金田一少年的な)事件に。
特にラスト2章の主人公が人間臭くて、カッコよくて、切なくて、読後に爽やかさが残った。 -
Posted by ブクログ
読めてよかった。
子育てに悩むパパたちの叫びが、胸にズドンときた。
ママたちと同じくらい、パパたちもうまくできなくて泣きたくなる時があるんだ。
泣きたいのはママもパパも一緒なんだ。
子育ては、子どもと向き合うのと同時に、夫婦がお互いに向き合わないといけないチームプレーが必要なんだと、思い知らされた。
特に「俺の乳首からおっぱいは出ない」と「髪を結ぶ」は、泣ける。
乳児期に感じる焦りと、親としての自信喪失がこれでもかというくらいリアルに描かれていて、当時の記憶が蘇って、本当に泣いた。
パパにはもちろんおすすめしたいが、ママにこそ読んでほしいと思う。
パパの気持ちがわかれば、パパに対しても優 -
Posted by ブクログ
ネタバレヤンキー、ミステリと出会う(青柳碧人)
実態はどうであれ、暴れウサギの異名は可愛い。
うまいこと被害者の性格を利用しての犯行で面白かった。
でも「琥珀のタマナ」が何とも言えない気持ちになる。
将棋部、無実を証明せよ(秋木真)
そこまで見て聞いたなら気になりますよね。何がったのか。
絵を簡単に辞めたのは理解できなくても、やってはいけないんですよね。
どんな理由であれ話が違う。
屋上の雪融け(相沢沙呼)
かっこいい探偵だ。
どのタイミングでどこまで見通したのか。
聞いていないようでちゃんと聞いてくれている。
優しいね。
学生時代の母の原稿(似鳥鶏)
凄い。出来てた二つの話を娘に合わせて混ぜた -
Posted by ブクログ
主人公は『偽の月』を目撃してから都市伝説『思い出女』に襲われたところを武装した男たちに助けられる。
『偽の月』が見える人間は怪異に襲われやすくなり、今後生き残るためには怪異に対抗する組織に所属するしかない、ということで唐木田探偵社に就職することに。
探偵社というが業務内容は人に害を為す怪異を銃器や鈍器で物理的に駆除する、というもので主人公はネズミというコードネームを付けられ怪異に対抗する術を身につける。
トイレの花子さんやUターンババアといった怪異に対して、お祓いとかではなく物理であくまでも消し潰すという対応なのが面白い。銃火器や刃物、鈍器をぶん回すアクションシーンが派手で楽しかった。
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Posted by ブクログ
刑事王子というタイトルと表紙からポップなミステリーを想像していましたが、がっつり殺人事件に、スケールの大きなトリック、派手なアクションは、さすが似鳥鶏作品!
北欧小国の王子・ミカが、とある人物を追うため来日。捜査官と身分を偽り、通訳としても活動しているベテラン刑事・馨とバディを組んで事件を解決するストーリー。
プロローグから心臓鷲掴みにされ、最後まで夢中で読んでしまった。
しかも王子が主人公かと思ったら、似鳥作品には珍しい、王子と無理やり組まされるおっさん刑事の方が主人公でした。新鮮すぎる。
でも、それが心地良い。
ぶっきらぼうだが真面目で優しい刑事と、小国の王子の可愛らしさとズレた真 -
Posted by ブクログ
面白かった。目が離せない作品とは本作の事である。
まず設定がいい。花人と言われる特殊能力を備えた人たちがいる世界はSFのようだが、舞台となる世界は我々の生きている現実世界である。
不況などで情勢が悪くなると異分子たちを排除しようと差別が起きるのは世の常だが、作中ではその花人が対象となる。彼らが富を独占している! 彼らは優遇されている! などの根拠なき感情の大声は社会を不気味に、しかし確実に歪めていく。
この展開は嫌な緊張感が充満していて背筋が凍った。国が奇妙な方向に歪み出した時、隣人を信じられるだろうかと不安になった。
SFとして社会が今、どんな風にあるのか、という事をしっかり観察しつつ、上質 -
Posted by ブクログ
25編のショートショート集で、ちょっとした時間にも読み進める事ができて楽しかったです。
全て『だから捨ててと言ったのに』の一言から始まり、そのあとは作者さんによって推理物になったり、ホラーになったり、感動物になったりと、ショートショート集なのにとても読みごたえがありました。
知っている作家さんの作品には作家さんらしさが出ていて楽しめました。初めての作家さんの作品もあったので好みの作風の作家さんの他の話も読んでみたくなりました。
このショートショート集をきっかけに読書の幅が広がりそうです。
今回は第四弾目とのことで、前作も読んでみたくなりました。