ミステリーを読んでいて、初めて泣いたかもしれない。
似鳥鶏さんの最新刊は、特殊設定社会派本格警察ミステリ。
「花人」という、能力も容姿も性格も秀でた人間(人種)
と、現実の私たちのような「常人」。もしこの2つの種族が現代に暮らしていたなら…という設定の本格ミステリー。
本筋の途中、数回幕間の話が挿
...続きを読む入されているんだけど、花人の捜査官水科此花の章は特にしんどかったなぁ。
生まれつき全体的に秀でているせいで受ける差別。
頑張って物事に取り組んでも、「花人だから余裕でしょ」と言われてしまう環境。よくひねくれずに、自暴自棄にもならずに、警察官になったと思う。
本筋の事件も、ひとつひとつはきちんとトリックが仕掛けられ、それを解決する「名探偵役」もいる。でも、まさかそれ自体がもっと大きなうねりの中にあったとはね…。
ベタな表現だけれど、一番怖いのは人間。
でも最後に勝つのは正義。その場面で泣いてしまった。
時代は現代日本なので、SNSや動画サイト、ニュースサイトなど私たちが普段慣れ親しんでいるものが作中でも使われている。
炎上、叩き、マスコミ、忖度、噂、などが効果的な小道具として登場する。
日々情報に触れている全ての現代人が、読めばどこかしらで自分に刺さると思う。
とても考えながら読んだ本だった。