似鳥鶏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ファンにはお馴染み、市立高校シリーズの最新作(^ ^
物語の中でもきちんと時間は流れていて、
タイトル通り柳瀬さんの代が卒業してしまう、
という時期に起きた新たなナゾに挑む(^ ^
本作は、何と言うか「構成が入り組んでいる」(^ ^;
一つの長編作品の中で、事件が起きている高校時代と、
その「12年後の大人になった世界」、
そして謎の作者が書いた「ラノベ」」の世界が、
章ごとに入れ替わり立ち替わり現れてくる(^ ^;
正直、最初はちょっと面食らう(^ ^;
が、話が進んでいく内に、徐々に読者も理解し始める。
「伊神さんが解決しきれなかった事件」と、
誰も知るはずのないその事件の真相を匂わせるラノベ。
スピード感はなく、むしろゆっくり話は進むのに、
後半に行くに従い「手に汗握る」展開となる。
さらに、謎解きのドキドキ感に加えて、
葉山君と柳瀬さんの「仲」はどうなる、という
もう一つのドキドキ感が並行して手に汗握らせる(^ ^
「12年後」の匂わせがもどかしい。
え、そんな、と思わせた後で、予想外の展開もあり(^ ^
例によってミステリなので細かくは書けませんが、
相変わらず超一流のエンタテインメント作品である(^o^
GWに、シリーズを最初から読み直そうか、と思った(^ ^ -
Posted by ブクログ
似鳥さんの、シリーズものでない系列の作品が好きだ。シリーズ物はそれぞれにそのシリーズでやりたい大きなテーマを決めて、それにがっちりと取り組んでいるところが良いと思うが、それ以外の個々の作品は一つ一つ多様なテーマを扱い、それでいながらどれにも似鳥さんらしさが感じられて(多くの主人公には共通する性格があるように思われ)、どれも魅力的だ。
特にこの作品は、天才と出会った「ふつうに優秀な人」のアイデンティティの葛藤をリアルに描いていて、天才の天才ぶりも嘘くさくなく、本当にいそうなところが良い。
女の子がとても魅力的で、彼女にひきつけられる主人公に強く共感させられた。能力を持つ人たちの天真爛漫さと、影の面のバランスもとても良い。その陰にしてもプロットの必然性にも支えられ、真実味をもって感じられる。
推理小説としては、プロの探偵でもない素人が数々の事件で探偵役を引き受けることになるという、推理小説にありがちな約束事の違和感をテーマにして、それを謎解きに使ってしまうというのが斬新だった。
「青藍病治療マニュアル」とともに、彼の中で特別に好きな作品。 -
Posted by ブクログ
ネタバレミステリーを読んでいて、初めて泣いたかもしれない。
似鳥鶏さんの最新刊は、特殊設定社会派本格警察ミステリ。
「花人」という、能力も容姿も性格も秀でた人間(人種)
と、現実の私たちのような「常人」。もしこの2つの種族が現代に暮らしていたなら…という設定の本格ミステリー。
本筋の途中、数回幕間の話が挿入されているんだけど、花人の捜査官水科此花の章は特にしんどかったなぁ。
生まれつき全体的に秀でているせいで受ける差別。
頑張って物事に取り組んでも、「花人だから余裕でしょ」と言われてしまう環境。よくひねくれずに、自暴自棄にもならずに、警察官になったと思う。
本筋の事件も、ひとつひとつはきちんとトリックが仕掛けられ、それを解決する「名探偵役」もいる。でも、まさかそれ自体がもっと大きなうねりの中にあったとはね…。
ベタな表現だけれど、一番怖いのは人間。
でも最後に勝つのは正義。その場面で泣いてしまった。
時代は現代日本なので、SNSや動画サイト、ニュースサイトなど私たちが普段慣れ親しんでいるものが作中でも使われている。
炎上、叩き、マスコミ、忖度、噂、などが効果的な小道具として登場する。
日々情報に触れている全ての現代人が、読めばどこかしらで自分に刺さると思う。
とても考えながら読んだ本だった。 -
Posted by ブクログ
何とも不思議な魅力にあふれた作品(^ ^
私の(どうやら)好きな「天才譚」でもあり、
アートを目指す、いや夢を追う全ての若者に共通の
苦悩と成長の物語でもあり、
また不器用な恋愛ものとも言える(^ ^
主人公である「画廊の息子」が、
高校時代から絵画にまつわる奇妙な事件に
繰り返し巻き込まれ、それを天才画家でもある同級生が
解決に導いていく...という連作短編集。
章が変わるごとに、高校生が大学生になり、
社会人になり...と、時間経過がある。
最終章で明かされる、過去の事件に見出せる共通点と、
それに伴う意外な黒幕像...という流れなのだが、
実は「意外な」黒幕は、読んでいるとある程度予想がつく(^ ^;
予想はつくんだが、すっかり感情移入してしまっていると、
「そうならないでくれ、予想が外れてくれ」と祈りながら
読み進めることになる...時点で、著者の術中にはまっている。
「そうならいでくれ」という祈りも空しく、
予想通りの悲劇に向けて一目散に...
と、ならないところが、この作者の巧いところ(^ ^
予想のナナメ上ではなく、
予想した結末を「蹴っ飛ばす」大団円(^ ^
ある種痛快な読後感(^ ^
いや、これは上質なエンタテインメントである(^o^