似鳥鶏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
動物園シリーズ第5弾、これはストーリー的にシリーズ最高傑作かも(私比)。
今までハリウッド映画でバスとか、列車とか、航空機が暴走してきました。到着するまでXX時間しかない中で謎を解いていくという、タイムリミットアクションですわ。あれの、ゾウ版。ゾウが暴走します、しかもアジアゾウが脱走したはずなのに、なぜかアフリカゾウに変わってるんです(これ以上書きませんが)。ドキドキハラハラですねぇ。今回も鴇先生、モモさん、七森さん、服部くんが謎に立ち向かいます。新キャラにモモさんの従兄弟、それにまさにアクション映画に出てくるような謎の失敗請負人変装名人が出てきて、ハリウッド映画化しそうなビジュアルっぷりですわ。脳内キャスティングが止まりませんですよ。もちろん各所にペット問題も盛り込まれているし、日本の政府の方針の危ういところも指摘されていてストーリーの面白さもさることながら、非常に社会的に有意義な小説だと言える。
そして、あとがきが面白かった。
引用
>”現在、野生のゾウ三種はいずれも生息数を減らし、絶滅危惧種になっているが、アフリカゾウとマルミミゾウは象牙目的の密猟が原因だ。アフリカゾウの個体数はこの百年で「97%減少」、マルミミゾウに至っては「毎年、全個体数の9%ずつが密猟で減っている」という異常な状況になっている。”
”そして象牙の大部分は現在、日本で消費されている。日本は象牙の密猟防止策が緩く、書類に「国際取引が禁止された一九八九年以前の象牙である」と書けば輸入できてしまう。中国が象牙取引をやめた今、日本は世界で唯一の象牙輸入国と言ってよく、現状、密猟の動機を作っているのは日本ただ一国なのである。日本人として恥ずかしい話だった。”
まあ、象牙だけでなくエキゾチックペットなどの輸入にも世界的にかなり緩い上に、大金を出すのでいろんな動植物の密猟動機を作っていると言える。外国の公的書類がある、ということが正義だとは私は思わない。ほとんどの密猟が跋扈している国はウラでお金で公的書類が用意できるということを考えんとあきません。
恥ずかしいですな。 -
Posted by ブクログ
ワニ日和、ダチョウ、迷いアルパカに続く4冊目
娯楽ミステリ本としてもものすごく面白かった。が、これは啓発タイプミステリだと言える。全ての生体を展示型ペットショップで衝動買いしようとしている人に、まず読んで欲しい。
まず事件が3つ、柴犬の新奇恐怖症(ネオフォビア)で発覚した誘拐事件、近親交配で量産され、骨瘤を形成させているスコティッシュホールド、フクロモモンガ。これで悪ペットショップが浮き上がり、最後のアナコンダ事件で決着する。悪質なペットショップと、そこに動物を卸していた悪質なブリーダー(パピーミル)、それと『引き取り業者』のグループを告発し壊滅させるという勧善懲悪。
引用
”「悪いペットショップを利用するのは恥」という感覚が定着しますように、と思う。”
”「このグループのビジネスモデルはこうよ。まずブリーダーが、この間の事件であったように、動物の健康を無視したルール違反の繁殖を繰り返して、『流行りの犬種』や『流行りのネコ』を大量生産する。このブリーダーに関してはすでにRSSエージェンシーが調査報告書を出しているけど、狭い檻に閉じ込めてろくに世話もせず、死んだらそのあたりに捨てて、近親相姦でも構わずにとにかく繁殖させるという、いわゆる『子犬工場』だった。そこから『アニマルランド滝』が安値で仕入れて『特売』をし、、利益をあげる。現にあの店は、流行りのネコも流行りの犬種も、毛の色やオスメス、さらには月齢まで各種、常に店頭に揃っている状態だった。・・・・ということはその後、動物たちはどうなると思う?」
言うまでもないことだった。日本の顧客は「可愛いから」「懐きやすいから」という理由でとにかく小さいイヌやネコを欲しがる。それは動物たちにとってみれば、離乳前に親から引き離されて売りに出されるため、母乳から必要な栄養素を摂取できず、イヌ、ネコとしての社会性を身につけられないということになる。それと同時に、より小さい子犬や子猫が店頭に入ってきたら、それより大きい子犬や子猫は「特売品」にされるということでもあり、それでも売れなかった場合は「不良在庫」になってしまうと言う事である。”
”「『流行りの犬種』だの『流行りのネコ』だのというのも、いいかげんやめてほしいけどね」”
存外知られていないのがこの『引取り業者』の存在。色々と知らねばならんことは世の中にある。こうして事を描いてくれる作品というのは読書の面白さだけでなく、それ以上に大切なものだと思う。
それと、どうでもいいが、
2014年に新潟市内でナースシューズを200足盗んだ村上市の男性の話が服部くんによって変態事件の例として語られるが、そんな事があったんか!と思わず調べてしまった(笑)。
蛇足だが、
フクロモモンガ、オーストラリアなどの欧米先進文化圏ではペットとして売買されることに反対されているが(WIRES Wildlife Rescue :NSW Wildlife Information Rescue and Education Service) 残念ながら野生動物に対する文化後進国や貧困国では密猟対象として外貨を稼ぎ出している。私個人的には特に有袋類は金銭取引されるべきではないと思う。あっという間に絶滅する危険性がある。
動物愛護管理法
愛玩動物を飼う場合には必ず少なくとも一度は目を通すようにするべき。
もちろん野生動物を扱う人間もスタディする。
こちらにも明確に文言があるが、
第四十四条
3 愛護動物を遺棄した者は、百万円以下の罰金に処する。
捨てペットが後を絶たんが、
ペットを捨てることは犯罪。
そこらへん、全ての人がよく知るべき。
罰則があろうがなかろうが、
ペットはそのペットが死ぬまで責任を持つべし。
そして、ペットより先に死んではならんのだ。 -
Posted by ブクログ
もしかすると、ファンタジーと言うよりSF寄りか?(^ ^;
連作短編集で、それぞれの作品に別の主人公がいる。
共通しているのは、
・各主人公は常人にはない超能力がある
・その能力を発露する時に青藍色の光が見える
・その超能力を研究している大学の先生が登場する
など。あ、あとその能力があるおかげで、
主人公はいろいろひどい目に遭ったりする点も共通(^ ^;
前提は荒唐無稽ではあるが、文体に変なリアリティがあり、
似鳥氏お得意の飄々とした文体で、すいすい読める。
一作ごとに、登場人物の持つ「超能力」の種類が違い、
そのおかげで話のバラエティが広がり、
常に新鮮な気持ちで読み進めることができる(^ ^
最終話は、一応ハッピーエンドと言えると思うが、
他はあまりくっきりした「オチ」が無かったり(^ ^;
続編が出ると、だんだんと見えてくるのだろうか。
まだ「壮大な物語の序章」という感じか(^ ^ -
Posted by ブクログ
ネタバレ何とも不思議なテイストの一冊(^ ^;
前半...と言うか、基本的な設定は、
割とまんま「森見 登美彦の世界」(^ ^;
人外魔境のような貧乏学生寮に巣くう不可思議な面々が、
日ごと夜ごとアヤシイ所行をだらだらと送っている。
使い古しのパンツから生える謎のキノコで作る鍋が
「詭弁鍋」などというのも、森見先生「夜は短し〜」や
松本零士先生の「男おいどん」へのリスペクトとしか(^ ^
で、この寮に暮らしている人々には、
時々「天井に張り付く血まみれの美女」が見えたりする。
ある時は窓からじっと覗いて来たり、
足音&ドアノブをガチャガチャなど
バリエーションはいくつかある。
トイレを流すと便器に血が流れるなども(^ ^;
この「現象」の謎を解こうと立ち上がる主人公たち。
だが、この現象は徐々に発現する範囲を広げ...
しまいには「人類滅亡の危機」にまで達する(^ ^;
この壮大なスケール感は、森見作品とは違う(^ ^;
で、学生寮のアヤシイ面々は、
「成り行きで」全人類を救うために立ち上がる(^ ^;
地球規模の「巻き込まれ形パニック小説」(^ ^;
しょーもないウダウダ感と「全人類を救う」という
全く親和性の無さそうな設定が見事に融合している。
主人公たちが、結構なひどい目に遭っていながら、
最後まで飄々と我が道を進む様が痛快(^ ^
ハッピーエンドと言うには強引な(^ ^;
最後の落としどころは...人類の「しぶとさ」が感じられ、
これはこれで不思議に納得できる(^ ^
これ、ちょっとやそっとじゃ紹介しきれない(^ ^;
騙されたと思って、ぜひ読んでみて!!(^ ^; -
Posted by ブクログ
前々作・前作に続き、個人的には
「表紙の可愛さと内容のハードさが
釣り合ってねぇよ・オブ・ザ・イヤー」
を進呈したい作品(^ ^;
全く同じ事件・同じ犯人を、例えば大藪春彦が書いたら
もっと深刻でドロドロの血なまぐさい作品になる(^ ^;
それを海月警部のドジっ子姫キャラと、
作者お得意の飄々とした文体が救っていて、
エンタテインメントとして読みやすくなっている。
大変楽しく読めましたが、
ただちょっとどんどん話や「敵キャラ」が
「漫画っぽく」なっていくような気が(^ ^;
「そーゆーものだ」と思って読めば
楽しく読めるのでしょうが...
徐々におっさんには厳しくなってくるような(^ ^; -
Posted by ブクログ
前作を読んでからだいぶ経っている気がしますが...
前作に続き今作も、表紙の可愛い感じに反比例して
内容はものっそいハードボイルド(^ ^;
主人公の身内も「容赦無く」ひどい目にあうし(^ ^;
「戦力外」の理由はネタバレになるので書けませんが...
姫キャラの(一見)萌え系女刑事のドジっ子ぶりと、
飄々とした文体の軽さが救いとなっているが、
ネタはでかいし被害は甚大だし(^ ^;
しかも「実際にこれと同じことが起きている」事件。
いや、潜行しているだけで、現在進行形で...(^ ^;
ドジっ子女刑事の「姫キャラ」っぷりが、
よくあるステレオタイプな気もしますが...
細かいことを気にしなければ、娯楽作品として
充分に楽しめました(^ ^ -
Posted by ブクログ
相変わらず、安定の面白さ&奥深さ(^ ^
もうすっかり「お馴染みの」飼育員4人組が、
動物絡みの様々な事件に巻き込まれ、
基本的には「スーパーレディ」鴇先生の活躍で解決する、
という連作短編集(^ ^
今回は、ちょっと鴇先生の秘密も垣間見えて...(^ ^
最初の「イヌ」の話は、何だかずいぶん小粒だなぁ、という印象。
フクロモモンガの回は、私もモモンガを飼っているので、
そうそう、その通り! と思いながら読み進む(^ ^
一冊を通してのテーマは、愛玩動物の運命と飼い主の「責任」。
そこに「悪質ブリーダー」「悪質ペットショップ「悪質引き受けや」の
悪のトライアングルが暗躍するので...かなりシリアス。
イキナリ本作から読み始めると、メインキャラ4人の
「特性」が理解できず、ややついて行きにくいか(^ ^;
特に「変態」服部氏については、単なる危ない人...か、やっぱり(^ ^;